元住吉駅列車追突事故

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元住吉駅列車追突事故
日付2014年2月15日
時間午前0時頃
場所元住吉駅構内
死者0人
負傷者72人
原因大雪が降ったことによる制動力低下

元住吉駅列車追突事故とは、2014年2月15日に東急東横線元住吉駅構内で発生した列車追突事故である。

概要[編集]

2014年2月15日に川崎市中原区に所在する東急東横線元住吉駅下り2番線ホーム内にて、第231列車(渋谷元町・中華街行 東急5050系 8両)[1]が先行する第221系(渋谷発元町・中華街行 Y500系 8両)[2]に衝突した。衝突により先行列車は3号車から後ろ側にて貫通幌の損傷、当該列車は列車側面が破壊するといった状態になった。この事故で両列車に乗車していた乗客乗員あわせて144名のうち、72名が負傷した。

詳細[編集]

事故が起こるまで[編集]

事故が起こった2月15日および前日に当たる14日は近年まれにみる大雪が降ることが想定されており、14日16時ごろには元住吉駅が所在する川崎市全体に大雪警報が発令されていた。同日22時ごろには駅に隣接する元住吉検車区で10cm程度の積雪が観測されていた。こうした状況ながらも輸送指令は現場から視認距離や制動力に関しての特段以上となる情報が報告されていなかったことから、速度を落としての運行といったことは行われていなかった。一方で乗務区でも降雪が予想されるため、耐雪ブレーキの使用や制動力の低下に関する情報は共有されていた。

事故発生[編集]

2月5日午前0時25分ごろ、先行列車が元住吉駅に進入した。先行列車は速度を落として慎重に運行していたため、当初の運転時刻よりも遅れて運行していた。先行列車はブレーキをかけたものの、雪による制動力が低下したため、ホームの停止位置をおよそ30mほど過ぎて停車した。先行列車の運転手は停止位置を修正するため、輸送指令に非常運転スイッチ使用の許可を求めた。輸送指令はこの時点で後続列車が一つ手前の武蔵小杉駅を出発した直後であったため、後続列車に向けて直ちに停止指示を出した。後続列車はこれを受けて非常ブレーキをかけたものの、ブレーキ力が低下しており通常よりも大幅に停止するまでの距離が延びてしまった。そうこうしているうちに先行列車が停車していた元住吉駅に進入、そのままブレーキが利かずに衝突した。

事故による影響[編集]

旅客への影響[編集]

この事故により15日は東横線は渋谷 - 菊名間にて、並行する目黒線では武蔵小杉 - 日吉で終日運転を見合わせ、乗り入れ先各線でもダイヤ変更が生じた。

車両面[編集]

この事故により、先行列車(Y500系 Y516F)および後続列車(5050系 5155F)は事故分析を行うため運用を離脱した。東横線は各停の全列車と急行の半数ほどが8両編成で運行されており、事故により2編成失うことになり車両不足に陥った。このため、5050系10両編成のうち1本を暫定的に8両編成に短縮し、当面の間乗り切ることになった。

事故車両のうち5155Fは2016年に製造された5177Fに代替されて東急5000系列初の廃車となった。5177Fでは今回の事故を踏まえて車両前面のスカートをスノープロウ一体型に変更し、雪対策を強化した。Y516Fの代替は協議の結果、事故を起こした東急電鉄と被害者である横浜高速鉄道との間で車両をトレードすることを決定。2017年に5156FとY516Fをトレード。Y516Fは東急側の車籍となり廃車処置がとられた。一方で5156FはY517Fとして2018年3月に運用を開始することになった。不足する8両編成1本分は2019年に新たに5178Fを製造した。

事故原因[編集]

2015年5月に運輸安全委員会が事故報告書を提出した。それによると、事故原因は大雪によってブレーキの制輪子車輪の摩擦係数が大幅に低下したことで通常得られるべき制動力が得られなかったことを原因と断定。また、遠因として輸送指令が運転規制を行っていなかったことで渋谷から元住吉間を走行中に先行列車と当該列車の距離が詰まっていたことも挙げた。

脚注[編集]

  1. 以下当該列車とする
  2. 以下先行列車とする

外部リンク[編集]

鉄道での事件・事故
国内
海外
関連項目 鉄道事故の一覧 - 鉄道事件の一覧