公衆便所 (隠語)

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隠語としての公衆便所(こうしゅうべんじょ)とは、不特定多数の男性性行為の関係を持つ女性のことを侮蔑したり揶揄するための言葉である。単に便所(べんじょ)、または公衆便所女(こうしゅうべんじょおんな)や公衆便女(こうしゅうべんじょ)などとも表記される。また「便器」と言う語も用いられ、公衆便所女の女性器を便器と称したり、女性を肉便器と称したりもする[注 1]

男尊女卑の意味合いも含めて差別的なスラング卑語)として使用される。しかしマニアも多く、アダルトビデオや成人向け漫画(エロマンガ)のタイトルや解説などには、これらの語が用いられる事は少なく無い。

概説[編集]

公共施設公衆便所は、不特定多数の人間が共同で使用し、無責任な使用方法やマナーの低下などで衛生状態が悪化しやすく不潔になりやすい。これが、不特定多数の男性性行為の関係を持つ女性貞操観念の低い女性のマイナスイメージと合致して、いつからともなく隠語の公衆便所が使用されるようになった。

田中雅一は、男性は長期間の禁欲が難しい[注 2]ことから、男性の射精は時として排泄であるとし、それが故にふしだらな女性や売春婦は「便所」もしくは「公衆便所」に例えられるとしている[1] 主に男性が女性を侮蔑したり揶揄するために使用し、日常生活や普段の会話の中ではまず使用されない。また、男尊女卑の意味合いを含む言葉としては最も差別的で、誹謗中傷としても酷い隠語の一種となるため、使用の際には注意を要する

成人向けのエロ本アダルトビデオなどの世界では、主な顧客である男性に対して刺激的な印象を与える隠語として使用されている。

歴史[編集]

そもそもが隠語であるため、いつ頃から使用されるようになったのか特定するのは非常に困難である。従って、公共施設の公衆便所が普及するのに合わせて自然発生的に誕生し、一般社会で次第に認知されて通用するようになったと思われる。

1920年に発行された「秘密辞典」の項目「共同便所」にて「淫売婦または多淫な女などをいう俗語」との記載がある。これが確認できる最も古い文献である。1923年に発行された「現代語辞典」の「共同便所」の項目では、作家の生田長江による解説で「市街の四辻(交差点)にある便所のこと。転じて売春婦、不品行な女のことをいふ」などの記載がある[2][注 3][3]

このように「不特定多数の誰もが自由に利用できる」という物事の特徴を「どんな男性でもセックスできる女性」という意味に重ね合わせた隠語は、言葉遊びや流行り廃りも含めて古くから現代に至るまで複数存在している。その他の例として、1989年に発表された作家の家田荘子の小説「イエローキャブ」は「誰でも乗車できる」という意味が転じた隠語である。[注 4]

なお、「公衆便所」という言葉の以前には「共同便所」という言葉が一般的に使用されており、それより以前には「辻[注 5][注 6]便所」という言葉が日常的に使用されていた[2][3]

マイナスイメージの起源[編集]

まず、公共施設公衆便所は、不特定多数の人間が共同で使用する建築物であり、排泄物を受け止めるための便器が設置されている。 使用者が尿排泄するためには、性器部分を中心に下半身を露出する必要があるため、 個人のプライバシーを確保して他者から隠す構造となることが多い。このような構造上、マナーの悪い使用者や乱雑な扱い方の使用者が存在しても特定しにくく改善もされにくい。このことから一般的に、公衆便所やそこに設置された便器は衛生状態が悪化しやすく汚損しやすいといった、不潔なマイナスイメージを与えやすい傾向にある。


また、使用者を男性女性性別で区分して両者から隔離する構造になることも一般的であるため、性差の象徴や猥褻な想像などを喚起しやすく、猥談下ネタといった性的なイメージを与えやすい傾向にある。

次に、もともとの日本人は性に開放的であり、実際の男女関係は非常におおらかであったとされる[4][5]。しかし、江戸時代になると武士道の「貞女二夫(ていじょにふ)にまみえず=貞淑な妻であれば夫の死後に再婚したりしない)」といった道徳観が大衆にも認識されるようになり、欧米諸国を参考に急激な近代化を目指した明治政府によって制定された「一夫一妻制」(新律綱領)では(めかけ)や夜這いなどの風習不貞行為として法令(姦通罪)で一切禁じられ、「未婚の女性は処女であるべき(処女崇拝)」とする倫理観や価値観などが一般社会に浸透する[4][6]。明治頃までは、地位の高い男性や経済的に裕福な男性が正妻以外の女性を妾として養うことは社会的にも認知されており、戸籍に入れることも特に問題視されていなかった。しかし、明治政府は近代化の参考とした西欧諸国の常識やキリスト教の道徳観念からは妾の存在が「奇異に感じるらしいと知って慌て始め」、1876年の元老院会議にて「蓄妾(ちくしょう、妾を囲うこと)」という言葉に対して「廃妾(はいしょう、妾を廃止すること)」という言葉を用いて議論した。[注 7]。従って、女性にとっての性行為とは、「最初に結婚した男性との間にだけ許される」とする性道徳が近代社会で形成されることとなった[7][8]

また、古くからある家父長制ミソジニー(女性嫌悪)のような男尊女卑の思想では、女性という性別そのものが認められにくく、前述の道徳観や倫理観が近代以降の性道徳に強い影響力を及ぼすことになった[9][10]。--> 不特定多数の男性と性行為の関係を持った女性や複数の男性と肉体関係があった女性は、貞操観念が低い女性やふしだらな女性といったマイナスイメージを与えやすい傾向にある。

次第に、公共施設の公衆便所が与えるマイナスイメージと、不特定多数の男性と性行為の関係を持った女性のマイナスイメージが合致するようになり、公衆便所という言葉が女性を侮蔑したり揶揄するための隠語として自然発生的に使用されるようになった。また、現代になると、類似する意味合いの「肉便器」という隠語なども派生させることになった。

差別的なニュアンス[編集]

公共施設の公衆便所は、誰もが何時でも自由に使用できるという特徴がある。この特徴に重ね合わせ、どんな男性から性行為を求められても断らない女性、あるいは断れない女性などのマイナスイメージが合致すること(理由)で、隠語の公衆便所には差別的なニュアンスが含まれている。また、金銭や物品などの条件次第で性行為に応じる女性は「有料公衆便所」などといった隠語で表現され、職業差別的なニュアンスを含むこともある。古くは、戦争や地域紛争などで被害者となり、従軍慰安婦として性的奴隷を強要された女性や、経済的に困窮して娼婦売春婦などのセックスワーカーとして働かざるを得ない女性などを侮蔑する隠語として使用されていた。

例として、旧日本軍大日本帝国陸軍)の第11軍第14兵站(へいたん)病院に勤務していた軍医少尉麻生徹男は、1939年に「花柳病[注 8]の積極的予防法」と題する具申書の中で次のように記述した[11][12]

軍用特殊慰安所は享楽の場所にあらずして、衛生的なる共同便所なる故、軍に於いても慰安所内にて酒類の禁止されるは寧ろ[注 9]当然の事なり。然れども小官(本官=私が)慰安所監視中屡々[注 10]酒類飲用の跡を見しは甚だ[注 11]遺憾とする所なり
— 花柳病の積極的予防法(1939)

この記述そのものは「酒に酔った者がいると風紀が乱れて性病が蔓延しかねないので、軍隊の衛生管理や綱紀粛正(こうきしゅくせい=規律の改善など)を徹底すべき」と訴える内容だが、文中の「共同便所」という言葉は、慰安所について恣意的に表現された隠語であることが伺える。

性道徳や認識の変化[編集]

一般的に、道徳観や倫理観は時間と共に緩やかに変化していくものであり、その受け止め方も個人の価値観により千差万別であるが、現代に近づくにつれて性道徳が次第に変化および多様化するようになった。

1960年代から1970年代に大きな社会的影響を及ぼしたヒッピームーブメントからは、フリーセックス(本来はFree Love)という多夫多妻制的な友愛思想の言葉が誕生している[13][14]。なお、世界初の一般向け経口避妊薬がアメリカで発売され、普及していくのも同時期である[15]。また、従来の性道徳や婚姻関係などに束縛されず、身体的な性行為を楽しむだけの男女関係としてセックスフレンドという言葉も一般社会で認識されるようになった。

現代では、結婚前の男女間において婚前交渉と呼ばれる性行為は一般化しており、過去のような処女崇拝は減少傾向にある。また、離婚率の増加は再婚率の機会も増加させており、初婚率の晩婚化(高年齢化)も相まって、女性が処女であるかどうかはあまり意味を持たないようになってきている[16]。更に、以前は憚られていた、婚前交渉の事実を意味するできちゃった結婚できちゃった再婚の公言も珍しいことではなくなってきている[17]

従って、現代では女性が処女であることの意味は曖昧になりがちであり、どこまでが不特定多数の男性と性行為を持つ女性なのか、どのような女性であれば貞操観念が低くふしだらなのか、非常に定義しにくい。そのため、ある女性を公衆便所と侮蔑しても、その女性は自分自身を公衆便所とは考えていないといった、自己認識や解釈上の誤差が大きいといった状況も散見されるようになった。

現在[編集]

1990年代後半になると、後述する「インターネットの登場と普及による影響」などにより、電子掲示板男尊女卑職業差別などを意味したり、アダルトサイトで男性の支配欲を刺激する隠語などとして、活発に書き込まれるようになった。それに伴い、隠語の意味を拡大解釈した用法も散見される状況となっている。

従って、水商売に関わる風俗嬢キャバクラ嬢マスメディアにおいてセックスシンボルとなる女性タレントや女性アイドル性的魅力をセールスポイントとして強調する女性グラビアアイドルアダルトビデオAV女優出会い系サイトなどを通じて援助交際に応じる女性、八方美人的に複数の男性と付き合う女性などを侮蔑する際にも使用される隠語となっている。

これは、男女平等職業選択の自由があったとしても、俗に言うセックス産業に従事する女性への差別(性風俗産業に対する差別)があることや、女性であることを積極的にアピールして男性に媚びるような女性は、貞操観念が低くふしだらであるという偏見が根強く残っていることに起因している。一方で、安易に風俗店で働こうとする女性や、未成年の女性がアルバイト感覚で援助交際に関わるようなこともあり、軽率に利用する男性側と共に、望まない妊娠性病といったトラブルに巻き込まれやすい傾向があるため、これらが偏見を助長していることも否めない。1996年新語・流行語大賞では「援助交際」という言葉が選ばれるほど認識されるようになり、1997年東電OL殺人事件では被害者となった女性が経済的な余裕を持ちながら売春行為を繰り返していたことなど、女性の性道徳が変化した象徴として一般社会の保守層などに大きな衝撃を与えている。

隠語にはメタファーアナグラムといった造語の要素が含まれるため流動的であるが、現在の隠語の公衆便所には、従来通り「不特定多数の男性と性行為の関係を持つ女性」という意味と、新しく「性に開放的な女性」や「不特定多数の男性に対し、女性であることを積極的に利用したり性的にアピールしたりする女性」といった広義な意味も含まれるようになってきている。

派生語や類義語[編集]

そもそもが隠語であるため、厳密な区分や定義はしにくい。また、様々なバリエーション派生語や、類義語が存在する。

公衆便所の派生語[編集]

公衆便所に「女」を付け加えて公衆便所女(こうしゅうべんじょおんな)と表記することがある。 また、公衆便所の「所」と、女性の「女」が同じ音読みの「じょ」であることから公衆便女(こうしゅうべんじょ)と表記したり、「公衆」の部分を置き換えて共同便所共有便女などと表記することもある。 単に便所(べんじょ)、あるいは便所女(べんじょおんな)や便女(べんじょ)と表記することも多い。

なお、貞操観念の低い女性や性的奴隷であることを敢えて強調するため、精液公衆便所(せいえきこうしゅうべんじょ)や、肉便所(にくべんじょ)、ザーメン便女など、前後や間に様々な言葉を付け加えたバリエーションがある。後述する「アダルトビデオにおける使用例」なども参照のこと。

肉便器の類似点と相違点[編集]

隠語の公衆便所は女性の置かれている環境や状態なども含めて意味するに対し、「肉便器」は主として女性や女性器そのものを意味しているという点で微妙に相違点がある。なお、実際には非常に混同した意味合いで使用されていることが多い。ただし言語は変化するものであるため、正確な所は不明である。

公衆便所
公衆便所は不特定多数の男性と性行為の関係を持つことが前提。不特定多数の男性の人数が大勢であればあるほど、その女性は公衆便所として該当しやすくなる。
肉便器
肉便器は不特定多数の男性と性行為の関係を持つとは限らない。男性と女性が1対1で、その男性に性的奴隷として専従している関係なら、その女性は肉便器ではあっても、公衆便所としては該当しにくい[注 12]

家畜人ヤプーで描写される近未来は、絶対的な白人至上主義と徹底的な女尊男卑思想によって構成されている。人間社会は、主人のコーカソイド(白色人種)と奴隷のネグロイド(黒色人種)だけで構成され、男女の役割は完全に逆転している。物語の主人公は日本人青年であるが、モンゴロイド(黄色人種)は人間ではなく家畜であるため、人格や身体の様々な改造が施されていく。いずれも、グロテスクなほど自虐的なマゾヒズムの視点で細部にわたって描写されており、古今東西の文化や思想が高度なアナグラムによる造語で置き換えられているのも特徴である。

サセ子やヤリマンの類似点と相違点[編集]

サセ子ヤリマン、や痴女、ニンフォマニア(女性の色情狂)といった隠語については、公衆便所である女性は男性を選ばない、または選べないといった意味が含まれるのに対し、サセ子やヤリマンは女性が男性を選ぶ場合もあるという点で微妙に相違点がある。また、女性側に主導権があると言うニュアンスも含まれる。 なお、実際には非常に混同した意味合いで使用されていることが多い。

公衆便所
公衆便所はどんな男性から性行為を求められても断れず、拒否権を持てないという状況の場合がある。どんな男性との性行為でも受動的に受け入れている、あるいは強制的に受け入れさせられているというのであれば、その女性は公衆便所として該当しやすくなる。
サセ子やヤリマンなど
サセ子ヤリマンは女性自身が気に入った男性を見つけた場合、自らが能動的または積極的にその男性に性行為を求めるような場合がある。このような女性は公衆便所としては該当しにくくなる。英語では「必ずヤレる」の意の「シュア・シング」があり、同名のラブコメディ映画(1985)がある。

対義語[編集]

不特定多数の女性と性行為の関係を持った男性を侮蔑する隠語として「便所ブラシ」がある[18]

また、同じ女性と性行為の関係を持った複数の男性を穴兄弟などといった隠語で総称する場合がある。一般的に、性的な隠語は男性から女性に対するものが多くなる傾向にあるため、対義語はごく少数に留まっている。

誹謗中傷や噂[編集]

隠語の公衆便所は、日常生活や普段の会話の中で使用されることはまず皆無と思ってよい。また、男尊女卑の意味合いを含む言葉としては最も差別的で酷い隠語の一種となるため、使用する際には注意を要する。従って、よほどの理由がない限り、実際に言葉として口から発することも稀である。

しかし、相手を貶めるような無記名の怪文書や、インターネットによる匿名性が確保されたコミュニケーションの中では、現在も根強く使用されている。 また、誹謗中傷や噂の応酬が激しくなってくると、相手を辱めるためのより酷い罵詈雑言を求める傾向があるため、このような場合は男性から女性に対してだけでなく、女性から女性に対しても使用されることがある。

誹謗中傷[編集]

誹謗中傷として、女性を侮蔑するために使用される。実際にその女性が公衆便所なのかどうかという真偽は問題にならないことが多く、男性が別れた女性を見下すために使用したり、女性が恋敵の女性を貶めようとして使用したりする。

[編集]

として、女性を侮蔑するために使用される。誹謗中傷と同様、実際にその女性が公衆便所なのかどうかという点は問題にならないことが多い。男性が性的魅力のある女性を卑下するために使用したり、女性が自分よりも男性経験の多い女性を辱めようとして使用したりする。

マスメディア[編集]

マスメディアには放送問題用語(いわゆる放送禁止用語)が存在するが、公共施設の公衆便所と隠語の公衆便所が同じ漢字と発音であるため、特にこれといった制限や指定は設けられていない。しかし、一般的なマスメディアにおいて隠語の公衆便所を意味するような使用は皆無と思ってよく、あからさまに公衆便女などと表記して使用するようなことも皆無と思ってよい。また、使用する場合はほぼゴシップの範疇か、問題発言として扱われることが多い。仮に、発言者が特定された場合は非常識な問題発言として扱われることが多く、使用上の意図について注意を要する。

ゴシップの例[編集]

都市伝説なども含むゴシップ記事などでは、稀にではあるがマスメディア側から使用する場合がある。例として、下記の掲載例がある。

問題発言の例[編集]

隠語の公衆便所を発言した人物や使用した団体が特定された場合、その人物や団体の常識を疑う問題発言として取り扱われることが多く、マスメディア側がそのまま報じる場合がある。例として、下記の報道例がある。

  • 2009年新しい歴史教科書をつくる会の理事であり、中学校の歴史教科書(中世史から近代史)を執筆した学習院大学の男性教授から、従軍慰安婦の案件について「教科書に公衆便所の歴史を記載する必要があるのか」や「学校教育でこうしたトイレの構造の歴史(従軍慰安婦の経緯)や犯罪の歴史が教えられるということになればどうなのか」といった問題発言があったとして報じられた[20][21]。これに対し、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)の女性代表は、男性教授の発言は「戦争で日本の兵士が慰安所を公衆便所と呼んでいたことを連想させ」、「女性を性奴隷、性的道具として扱っていた軍国主義の女性蔑視がいまだ日本社会に残っている」と抗議している[22][23]
  • 2010年東京都荒川区議会にて、公共施設の「公衆便所のイメージを改善するため、名称を公衆トイレで統一する」という条例改正の案件が提出され、「女性蔑視の際に使用される差別用語であり、『所』を『女』という漢字に置き換える隠語もある」との具体例まで挙げて論じられた。これに対し、複数の議員が「日本語の尊厳無視」や「衛生管理の責任を言葉の置き換えで誤魔化している」などとして反発、臨時の委員会まで招致する騒ぎとなり、最終的には賛成多数により可決となった経緯などが報じられた。なお、公衆便所という隠語が存在する旨の発言については、議事録から削除されることになった。[24][25]

その他の例[編集]

2004年、デザインを重視した浴室用品を製造販売するオランダのBathroom Mania!(バスルームマニア!)社の男性用小便器「Kisses!(キス!)」が問題となった[26][27]

キス!はオランダ人の女性プロダクトデザイナー、Meike Van Schijndel(マイク・ファン・セインデル)が手掛けており、女性が口唇を開けたような様子が非常にリアルに造形されている。本来は単なる小便器にすぎないが、キス!を使用する姿は、男性が女性の口唇でオーラルセックスしているイラマチオフェラチオの姿を容易に連想させやすい。実際にオランダのマクドナルドやドイツの公衆便所など各国で設置されたが、不快に感じた使用者からの相次ぐクレームで撤去される騒ぎとなり、世界中に報道された。これにより、ヴァージン・アトランティック航空 はジョン・F・ケネディ空港の自社ラウンジに設置する計画を撤回することになった。

なお、バスルームマニア!のホームページでは「Het Sexy Urinoir(セクシーな男性用小便器)」といったキャッチコピーで紹介しているが、スハインデル自身は「私はこれをイラストレーティブ・デザインと呼んでいる。ギャグ漫画のような口を模しただけで、特に女性の口を意識していない。下品な意図もない」といった主旨の発言をしている[28][29]

キス!は、大人のおもちゃやジョークグッズのような性具ではなく、一般の商品でありながら公衆便所や便器の与えるマイナスイメージが性的なマイナスイメージと合致することで問題となった、非常に珍しい実例である。

アダルト作品における使用とイメージ表現[編集]

隠語の公衆便所は、成人が対象となる官能小説エロ本成人向け漫画アダルトビデオアダルトアニメアダルトゲームといった世界で、主な顧客である男性に対してより刺激的な印象を与える言葉やイメージ表現として根強く使用されている。

これは、男性器陰茎内の尿道を通じて排尿射精も行うため、男性が排尿行為と射精行為を同じ排泄行為とみなし、女性女性器)を公衆便所や便器とみなすような差別的な表現となることが多い。従って、公衆便所とみなされた女性や女性器は、男性の性欲を満たすためだけに存在する人形ダッチワイフのようにぞんざいに扱われたり、物体道具のようにデフォルメして表現されることが多い。また、女性の人格を尊重することで成り立つ愛情表現生殖行為ではなくなり、女性の心身を満足させるための性行為でもなくなる、という傾向がある。

いずれにせよ、アダルト作品ではフィクション性的空想として、また、顧客の妄想や男性の支配欲なども汲んだ演出として、現実よりも過激なイメージ表現となることが多い。

隠語の公衆便所を連想させる性行為[編集]

公衆便所とみなされた女性を辱めたり貞操観念の低さを強調するため、1人の女性が複数の男性と同時に性行為の関係を持つ輪姦グループセックスなどが好まれる傾向にある。また、公衆便所に相当する不潔さを強調するため、1人の女性に複数の男性が連続して口内射精顔射をしたり、次々と膣内射精をしたりするような性行為も多い。 なお、これらの性行為は、差別的で陰湿な強姦や性的奴隷を含む演出とすることもあれば、フリーセックスとして性に開放的な演出とすることもあり、物語や内容も含めた表現となると多種多様なアダルト作品が存在している。

また、性行為の内容は別として、貞操観念が低いことを象徴する舞台として、実際に公共施設の公衆便所が使用されることがある。これは後述「貞操観念の低さを象徴する舞台」を参照のこと。

公衆便所を真似た形態[編集]

公共施設の公衆便所には、複数の便器が設置されていることが多い。これを真似て、複数の女性が並べられ、その以上の複数の男性が次々に性行為に及ぶといった表現である。なお、便器が1つしか設置されていない公衆便所を真似て、1人の女性と複数の男性の性行為によって表現されることもある。

便器を真似た形態[編集]

男性は排尿の際、陰茎を便器の排水口へしっかりと向け、尿が周りに飛び散ったり溢れないようにする必要がある。これを真似て、身動きがとれないよう拘束した女性に対して、複数の男性が次々と性行為に及ぶといった表現である。

また、女性の身体的な穴(陰茎の挿入が可能な肛門)を便器の構造的な穴(排水口)と同列にみなし、デフォルメして表現することもある。この、女性の穴と便器の穴を同一化してしまう差別的な捉え方は肉便器という隠語と深い繋がりを持ち、公衆便所という隠語と類似点が多い。

落書きや標語による辱め[編集]

公共施設の公衆便所や便器は、落書きで汚損していることが多い。これを真似て、女性の身体に下品な言葉や猥褻な図形を落書きした上で、男性が性行為に及ぶような表現である。一方、マナー標語や使い方の指示書を女性の身体に貼り付けたりした上で、男性が性行為に及ぶといった表現もある。

レッテルによる辱め[編集]

落書きや標語のイメージと同様の意味合いを持つが、レッテルや烙印によって公衆便所であることを他者に晒して辱めるような表現がある。公衆便所と書かれた札や看板などを女性の首からぶら下げさせたり、手に持たせたりして表現する。

素人写真投稿誌を出版しているコアマガジンのニャン2倶楽部Z(2007年8月号)では「公衆便所バッジ企画」とのタイトルで、誰にでもセックスさせる女性やサセ子の証として公衆便所バッジなるものを配布しており、レッテルの意味合いを表現していた[30]

男性経験の告白による辱め[編集]

インタビューやプロフィールなどで女性自身に、過去の男性経験を告白させたり、性行為の関係を持った男性の人数を告白させることで、貞操観念の低さを表現する。作品のパッケージなどに「男性経験○○人!」などと明記して、隠語の公衆便所に該当する女性としてアピールするような表現が多い。

貞操観念の低さを象徴する舞台[編集]

公共施設の公衆便所を舞台として、その個室などで性行為に及ぶ表現がある。これは、一般的には自宅やラブホテルなどでプライベートな環境を確保して人目を避け、更に入浴などによって衛生状態も確保してから性行為に及ぶことが多いという常識から逸脱している様子を描き、貞操観念が低い女性として表現される。 従って、どんな場所でも簡単に、入浴などの手間隙を省いて着の身着のままで性行為に及ぶような表現となることが多い。同様の舞台に、カーセックスなどの青姦、雑居ビルの非常階段や倉庫などが選ばれることも多い。

SM[編集]

サディズム(加虐性欲)を持つ男性が、マゾヒズム(被虐性欲)を持つ女性に対して、プレイの中で主従関係をもとに様々に表現する。男性に従属する奴隷となった女性が複数の男性から性的奴隷の扱いを受け、その状況を主人である男性から侮蔑されるような表現もある。 なお、女性の身体に公衆便所という文字を落書きして辱めることもあるが、これは女性の羞恥心を性的に責めているに過ぎず、実際には公衆便所に該当するような性行為に及ばないことも多い。なお、顔面騎乗や糞尿も含めたよりハードなSМプレイには、スカトロジーにおける人間便器がある。

スカトロジー[編集]

公衆便所という言葉そのものが、どうしても人間の排泄物をイメージさせる為、スカトロジーの性癖と混同される傾向がある。一般的にはスカトロジーを嫌悪する者が多いため、実際に糞尿が登場するようなアダルト作品はスカトロ物として明確にジャンルを区別することが多い。ただし「肉便器」は本来、スカトロジーの分野が第一義であり、精液便器の意味は後から付加されたものである。 男性が射精行為だけでは満足しない場合やより過激な表現として、女性の膣内に男性が陰茎を挿入したまま排尿する膣内放尿や、飲尿食糞を行う人間便器といった表現がある。

アダルトビデオ[編集]

1980年代から一般に普及したアダルトビデオは、主な顧客である男性を通じて社会に様々な影響を与えた。また、普及と共に競争が激化して市場が成熟、顧客の性癖や嗜好に合わせた様々なジャンルに細分化している。同時に、顧客の需要に合わせてAV女優に求められる資質や演じる性行為も多様化している。

このような背景で、1人のAV女優が複数のAV男優と一度に性行為の関係を持つことを好む顧客が表れ、「輪姦物」や「ザーメン物」などと呼ばれるジャンルを築くようになった。また、そのようなジャンルのアダルトビデオがAV雑誌やアダルトサイトに掲載され、風俗ライターや顧客のコメンテーターなどから「男達から公衆便所のように扱われる」や「ザーメンの肉便器だ」といった文言で紹介されるようになった。また中出し輪姦無修正オンライン販売AVで著名な東京熱においては、2017年2月現在、全2821動画のうち、「公衆便所」をキーワードで検索すると28件、便所で65件、肉便器で475件、便器で560件がヒットする[31]

AV女優の認知と普及による影響[編集]

1980年代、アダルトビデオの普及と共に、出演しているAV女優も注目されるようになった。次第に、単にAV女優という肩書だけではセールスポイントが弱くなり、容姿容貌の底上げはもちろんのこと、性行為の内容をより過激にすることなどで差別化を図るようになった。また、AV女優の需要増加は、そのまま新人採用のルートや人数も押し広げることになった。風俗嬢の転身などではなく、一般の女性たちが気軽に志望するようになったり、それまでは別ルートとされていた(処女性が強く求められる傾向にあった)芸能界を目指すためのワンステップとして志望するような女性たちまで加わるようになった。

このため、現在においても清楚な雰囲気で処女性を感じさせるAV女優が顧客に好まれる傾向がある一方、-->1980年代デビュー作品でいきなり輪姦や中出し膣内射精)のような過激な性行為を演じるAV女優を好む顧客も増加するようになった。従って、新人でありながら「公衆便所」や「肉便器」といった文言で紹介され、最初から処女であることを否定したりセックスフレンドがいることを公言するようなAV女優も多くデビューするようになった。

インディーズの登場と普及による影響[編集]

アダルトビデオの普及と共に通常の内容では飽き足らず、ある特定のジャンルにこだわったり、より過激な性行為を好む顧客が表れるようになった。これらの需要を受け、法令を遵守しつつも日本ビデオ倫理協会などからは独立し、特化したジャンルへ絞り込んだレーベルを持つインディーズ系やセル(直販)系とよばれるアダルトビデオメーカーが登場する。

1995年頃から、欧米の「ビザール物(Bizarre=日本のマニア物やフェチ物)」[注 13]や「ギャンバン物(Gangbang=日本の輪姦物やグループセックス物)」[注 14]などを積極的に紹介して自らも制作したAV監督ラッシャーみよし [32]、後にエムズ・ビデオ・グループ [33]を設立したAV監督の松本和彦 [34]らによって、精液の表現にこだわった「ザーメン物(またはスペルマ物)」や「ネバスペ物」と呼ばれるジャンルがインディーズを発端に普及していった。また、アダルトビデオメーカーのシャトルジャパン [35]は1人のAV女優に複数のAV男優が顔射する「ぶっかけ物」をジャンルとして定着させ[36]、 AV男優に汁男優と呼ばれるの新しい役割まで開拓した。

同時期、アダルトビデオは急速に多様化していくが、性に積極的な女性を演じる「痴女物」、男性よりも高齢で経験が豊富な女性を演じる「熟女物」なども顧客に受け入れられるようになり、処女性とは逆の資質を持つAV女優たちが一定の市場を形成するようになった。 更に、満足する顧客は多いが受け入れるAV女優は少なかったジャンルの「中出し物」も、1998年に国内で経口避妊薬(低用量ピル)が解禁されたことで急速に一般化した。アダルトビデオメーカーのモブスターズ [37]は膣内射精が本物である「真正中出し」の証拠として半中半外と呼ばれる呼称と方法などを開発している[注 15]

いずれも、モザイク処理などで性器を隠さなければならない規制の中で、いかに男性の精液によって女性を穢すか、いかに大量の精液によって女性を辱めるかといった表現に工夫や重点が置かれており、これらの映像手法はアダルトビデオ全体に大きな影響を与えることとなった。従って、インディーズを中心に生ハメ(避妊用具としてコンドームを使用しない生本番)や中出しをセールスポイントにするAV女優が多く登場して一般化するようになり、AV雑誌などで公衆便所や肉便器といった隠語で紹介されるようになった。

インターネットの登場と普及による影響[編集]

2000年頃から、パソコンインターネットの環境が急速に普及した。当初は扱えるデータ量が少なかったため、文字によるコミュニケーションが主体であったものの、匿名性が確保された環境で様々な情報と共にアダルトビデオに関する情報も盛んに交換されるようになった。また、パソコンと同時にDVDプレーヤーも普及し、アダルトビデオが低価格で大量に供給されるようにもなった。

1999年頃に登場して普及した2ちゃんねるなどの電子掲示板や、アダルトビデオを紹介するアダルトサイトなどで、公衆便所や肉便器といった隠語が活発に書き込まれるようになり、一般の話題でも拡大解釈して侮蔑や揶揄の際に使用されるようになった。また、イメージチャットと呼ばれる仮想的な性行為のチャットHなどでも、刺激的な隠語として多く使用されるようになった。

ジャポルノ[編集]

2000年代の前半から、アダルトビデオをインターネットでを取り扱うジャポルノ海外配信物が登場し、「映像で性器を鑑賞できる」ことが認知されるようになった。以前からあった裏ビデオと違って画質が良く、洋物のハードコアと違って出演者が全員日本人であり、AV女優のレベルも高いことなどが大きな特徴である。

これにより、日本国内で製造販売されてきたアダルトビデオがわいせつ物頒布罪に抵触しないことを遵守することで顧客に与えてしまう問題、つまり「映像で性器を鑑賞できない」という不満や、「本当の性行為なのかどうか(本番か疑似か)」「過激な性行為ほど信憑性が低い(本当に膣内射精しているのか)」といった疑問が全て解決することになり、多くの顧客から支持を得るようになった。

日本国内で製造販売されるアダルトビデオと比べて、ジャポルノや海外配信物のアダルトビデオでは「顧客が映像を見て確認できる」という点をセールスポイントに置き、隠語の公衆便所や肉便器が与えるイメージをタイトルやパッケージデザインで活用したり、より過激な性行為を取り込む傾向にある。同時に、デビュー作品で何十人ものAV男優に生ハメで輪姦され、連続して中出しされるような性行為を受け入れる新人AV女優も登場するようになった。これらは、AV雑誌やアダルトサイトの風俗ライターや顧客のコメンテーターによって「公衆便所の状態」や「性欲処理の肉便器」といった文言で紹介されている。

アダルトビデオにおける使用例[編集]

隠語の公衆便所などがタイトルキャッチコピーで使用され、国内で製造販売されたアダルトビデオの主な使用例を挙げる。なお、表記は「作品タイトル(発売年/AV女優/アダルトビデオメーカーやレーベル名)」である。

日本ビデオ倫理協会の審査を経たアダルトビデオのタイトルとして、初めて公衆便女が使用された。なお、キャッチコピーで「女、買いませんか?」と娼婦の要素などを差別的にアピールしているものの、当時のアダルトビデオの状況もあって内容はごく普通の性行為である。
インディーズのアダルトビデオとして、タイトルに初めて公衆便所女が使用された。キャッチコピーには「素人6人が合計12発」とあり、タイトルと内容が伴った輪姦や中出しとなっている。シリーズに、直美とまほという企画女優の2作品がある。
タイトルに公衆便所とあり、他に「ド迫力便所SEX」や「一度はやってみたい!公衆便所SEX」などがある。パッケージデザインはVHS版とDVD版で多少異なるが、何れも公衆便所という場所を前述した「貞操観念の低さを象徴する舞台」として扱い、その個室内で性行為に及んでいる男女の様子がパッケージデザインに採用されている。キャプションに「彼らは街に設置された公衆便所の中で、人目を阻みながらも激しいセックスを展開」や「つれこみ男女発情行為、簡易処理便所」などとあり、多数の企画女優が出演した。
タイトルに公衆便女とあり、キャッチコピーにも「お前は俺達の公衆便所なんだよ!!」とある。援助交際でヤリマンとなった女を制裁するため、大勢の男達から輪姦および中出しされるという内容。奥菜はAV雑誌のインタビューで自ら「デビュー前に100人近い男性経験があった」としており、一般的には貞操観念が低い女性と受け止められるような告白をしている[38]。第二章として、朝香美穂ミュウが共演した同名作品がある。
タイトルに初めて公衆便所がそのまま使用された。キャッチコピーにも「公衆便所のくせに意思だとか感情だとか持ってんじゃねぇ!」とあり、内容も素人が参加した14人のAV男優による輪姦および中出しとなっている。
タイトルやキャッチコピーに公衆便所とあるだけでなく、AV女優たちが小便器に拘束された肉便器となり、性的奴隷となっている様子が初めてパッケージデザインに採用された。以降、多くのシリーズ作品が発売され、「行列の出来る公衆便所ベスト2時間」のキャプションでは「人間便器の下品な排水口」や「ザーメン浸しの便所女」などとある。恵千歳森下沙弥佳青山遥望月加奈などが出演した。なお、メディアステーションは通称「宇宙企画」というレーベルである。
公衆便所をそのままタイトルに使用していながら、テレビや映画にも出演する人気AV女優が出演した初めての作品。紅音はシリーズ4作品中の3作目に出演し、他に水野美香天衣みつ椎名りくが出演した。キャッチコピーには「公衆便所として精子の掃き溜めにされてしまう!!」などとある。
タイトルに便器化射精公衆便女、キャッチコピーに「小便溜まったら公衆便所、精液溜まったら公衆便女!」とある。パッケージデザインでもAV女優たちが木枠に拘束された肉便器として性的奴隷になっている様子が採用された。同名の続編と共に、この作品のAV監督であるGORIは、オフィシャルブログ「AV監督GORI DigitalGorilla」で「ファンタジーとリアルが混在する、ある種シュールな世界観を妄想するのが好き」と自己紹介しており、アイデアや関連作品について言及している[39]。また、宮咲は旧オフィシャルブログ「宮咲志帆☆裏Blog パイパン娘の日々」で自ら「公衆志帆便所」とのタイトルで撮影の様子を写真と共に記事で綴っていた[40]
タイトルに公衆便女とあり、公衆便所という場所を前述した「貞操観念の低さを象徴する舞台」として扱っている。即尺(そくしゃく)とは洗っていない陰茎をそのままフェラチオすること、精飲とは精液を飲み下すことを意味する性風俗用語で、フェラチオ中心の内容となっている。2作目に村上涼子松浦らん葉月紗絢など、3作目に平山みな、三浦加奈(篠原リョウ)、中森玲子など、4作目はM女偏として大沢美加国見奈々葉月紗絢などが出演した。
パッケージデザインや性行為中に、奥菜の身体に様々な隠語が殴り書きしてある様子が採用されている。腹に肉便器、股に便所女などとあり、前述した「落書きや標語による辱め」などの要素が見られる。また、キャプションには便所女公衆便器とある。
便所をトイレに置き換え、公衆トイレットとしている。キャッチコピーには強制拘束肉便器公衆トイレとある。パッケージデザインではAV女優たちが椅子に拘束された肉便器として性的奴隷になると共に、背景に「ご自由にお使いください」などの案内が貼ってあり、前述した「落書きや標語による辱め」などの要素が見られる。
タイトルに便女とあり、キャプションに「便女は性欲を満たすだけの道具です」などとある。ある高校で給食当番や掃除当番と同じように性欲処理のための便女当番がいたら、という内容。パッケージデザインにはAV女優たちが口淫用便女や性交用便女として教室の机や椅子に拘束された肉便器となり、性的奴隷となっている様子が採用されている。
タイトルに公衆便所とあり、昼間は商社で働くOLが、ソープランドでアルバイトしているという内容。なお、「二輪車」とは1人の男性客につき2人のソープ嬢が相手になることを意味する性風俗用語である。
タイトルの精飲公衆便女を目指し、ザーメン専門店でアルバイトをしたり男友達を練習台に励むという内容。水沢が自ら積極的であるという演出がなされており、痴女の要素が盛り込まれている。
タイトルに射精公衆便所とあり、キャッチコピーには「便所扱いされて凌辱連続中出し」や「順番待ちをしている男たちに次々と性欲処理として犯される」などとある。大沢が扮する支援センターの女性職員が、専用の木枠や足枷などに「便器を真似た形態」で固定され、更に「挿入200円、中出しOK」などという「落書きや標語による辱め」が施された上で、性欲処理の道具になるという内容。

その他のアダルト作品における使用例[編集]

くそみそテクニック1987年/ 山川純一
同性愛漫画。ハッテン場の噂がある公園の公衆便所を舞台に、予備校生の道下正樹と自動車修理工の阿部高和が性行為に及ぶ。ここから派生した楽曲が『バラライカ』の替え歌である『やらないか』であり、一時期ネット上で動画がバズった。振付動画もある。

一般作品[編集]

隠語の公衆便所などが使用された一般作品の使用例を挙げる。なお、表記は「作品タイトル(発表年/作者)」である。

マドンナのごとく1988年/ 藤堂志津子
恋愛小説。1990年には映画監督の門奈克雄によって映画化された。広告代理店に勤めるキャリアウーマンの小島優子が、唐沢潤一と藤堂郁馬という2人の自衛隊幹部から同時に告白され、この三者が了解した上で付き合う状況をヒロイン自らが「共同便所」と自嘲している。

脚注・外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. 本来の意味としては、「肉便器」は文字通り、大小便といった排泄物を対象とした、いわゆるスカトロジーに属する概念である。だが後述するように男性の射精自体を排泄行為と捉えると言った向きもあり、そういう観点から見ると「肉便器」は、精液排泄器としての意味も持つ。
  2. 編注:いわゆる(精液が)「溜まる」状態。
  3. なお、江戸時代には「誰でも乗せる」ことから「乗合船(のりあいぶね)」という隠語なども使用されていた。また、衆目を避けるために陸から離れて船上で性行為に及ぶことから、船着き場を拠点に商う娼婦のことも隠語で「乗合船」と呼んでいた。
  4. 1995年に発表された作家の浅田次郎による「極道放浪記2」では公衆便所とともに、「誰でも手紙を投函できる」という意味が転じた「郵便ポスト」などの隠語が記載されている。
  5. 辻(つじ)とは、人々の往来が盛んな街中の交差点長屋道端などを意味している
  6. 道端(辻)で客引きする娼婦を「辻君(つじぎみ)」と呼ぶ隠語もあった。(類語大辞典(講談社2002年)。
  7. なお、この会議にて議員から「有用な妾」という発言があり、家族制度として「正妻が跡継ぎの男児を産まない場合もあるので、妻の代わりとしての妾はどうしても必要」かもしれないが、「性的欲求を満たすための妾は無用」などといった議論があったとしている。結果的に、1880年の刑法制定にて正式に妾は禁じられた。また、文中には「妾腹(めかけばら)という言葉が示しているように、女を腹として(道具のように看做して)扱うことを許す発想がその根本」にあり、これは現代に至る「女は生む機械」という発想にも繋がるとしている。なお、1870年に発布された「新律綱領」については律令法の項目「幕藩体制と明律研究」を参照のこと。
  8. かりゅうびょう=性病の旧称
  9. 読み:「むしろ」
  10. しばしば
  11. はなはだ
  12. 肉便器という用語は、1956年覆面作家沼正三が発表したSF小説「家畜人ヤプー」 (沼正三著『家畜人ヤプー』(角川文庫1972年)にも登場する。
  13. 英語のBizarreは「奇妙な」や「異様な」といった意味を持ち、当初はヨーロッパを中心としたBDSM(ビー・ディー・エス・エム)やRubber Fetishism(ラバーフェティシズム)などを指すことが多かった。
  14. 英語のGangbangは、Gangは「悪党一味(ギャング)」や「ならず者の集団」を意味し、Bangは「物を叩きつける音」や「銃の発砲音」などを意味する。これが、大勢の男たちが女を嬲る意味の「輪姦」を指している。なお、英語のアダルト用語では1人の女に対し、2名の男であればThreesome(スリーサム=日本語の3P)、3名の男であればFoursome(フォーサム=日本語の4P)と呼び、それ以上の人数の男になるとGangbangと呼ばれることが多い。ただし、Double Penetration(ダブル・ペネトレーション=DPとも略称される、日本語の膣と肛門への二穴同時挿入)、Internal Cum(インターナル・カム=日本語の膣内射精)やCreampie(クリームパイ=日本語の中出し)といった過激な性行為があれば、3Pや4PであってもGangbangと呼ばれる場合がある。
  15. 勃起した陰茎は射精の際に律動しながら数回に分けて断続的に精液を放出するが、モブスターズの「半中半外」はこの生理現象を利用して「射精前半は膣内、その途中で膣から陰茎を抜き、射精後半は膣外」とする流れをノーカット撮影、編集せずに顧客へ見せることで偽物の精液や疑似の中出しではないという証拠にした。

出典[編集]

  1. 田中 2009 p.184
  2. a b 精選版 日本語大辞典 第四巻(小学館2006年)「共同便所」の項目より
  3. a b 日本語俗語大辞典(東京堂出版2006年)、「公衆便所」の項目より。
  4. a b 赤松啓介著『非常民の民俗文化-生活民俗と差別昔話』(明石書店1996年)や『非常民の民俗文化-村社会の民族と差別』(明石書店、1996年)など。一般大衆の性道徳と、それが近代化によって変容する過程は、赤松の「結婚と恋愛の歴史」「女の歴史と民俗」「民謡・猥歌の民俗学」「猥談 近代日本の下半身」「夜這いの民俗学」「夜這いの性愛論」などにも詳しい。これらは、史実に残りにくい一般大衆の日常生活において、もともとの日本人は非常に大らかな性道徳であったと指摘している。男であれば100人の女性経験を持つ「百人切(百人切り)」や、女であれば100人の男性経験を持つ「百人抜(百人抜き)」なども珍しいことではなかったといい、ハレ(祭)の日には人妻との性行為ですら暗黙に了解する地域もあって、女から男を誘うことも特に恥ずべき行為ではなかったことなどが述べられている。
  5. 北村鮭彦著『お江戸吉原ものしり帖』(新潮文庫2005年)。
  6. 黒岩比佐子著「明治のお嬢さま」(角川学芸出版2008年)。第四章「家の存続と妾問題」より
  7. 別冊宝島編集部編『江戸の秘め事史』(宝島社2009年
  8. 三橋修著『明治のセクシュアリティ-差別の心性史』(日本エディタースクール出版部1999年)。
  9. 遠藤徹著『人格と性-結婚以前の性の倫理』(聖公会出版2000年)。
  10. 遠山ロバート・R著『アダムとイヴは一夫一妻ではなかった-日本人だけが知らない世界の大常識集』(土屋書店2007年)。
  11. 高橋隆治著『十五年戦争重要文献シリーズ1復刻 軍医官の戦場報告意見集』(不二出版1990年
  12. 第27回日本医学会総会出展「戦争と医学」展実行委員会編『戦争と医学 日本医学界の「15年戦争」荷担の実態と責任 パネル集 第27回日本医学会総会企画展示出展』(三恵社2008年)。 (注 -このパネル集では、具申書「花柳病の積極的予防法」の文中に共同便所と記載された個所を、軍医の麻生徹男自身による肉筆で見ることができる。)
  13. ヴィルヘルム・ライヒ著『性と文化の革命』(勁草書房1969年)。ヒッピームーブメントや性の革命と共に再評価されたライヒは、この著書の中で「相続法と生殖が一体化」してしまった近代以降の結婚制度そのものに問題があり、「結婚にエロティシズムを要求することは、結婚のイデオロギーに矛盾する」として、「性を抑圧しなければ維持することは難しいだろう」と述べている。なお、晩年のライヒは自ら提唱した「オルゴン理論」と呼ばれる疑似科学へ傾倒してしまい、批判する意見も多い。
  14. 田原総一朗著『私たちの愛』(講談社2003年)。田原はこの著書の中で、ヒッピーの結婚式を取材した時の様子を述べている。その結婚式に列席者と取材者が参加する条件とは「全員が全裸であること」と「全員が花嫁とセックスすること」であった。なお、フリーラブやフリーセックスは大概の実態において、単なる乱交パーティとドラッグ漬けでカルト集団の温床となってしまったり、相手の奪い合いや嫉妬による確執が内ゲバ闘争の遠因となってしまうなど、自由であるが故の矛盾や破綻が多く見られた。
  15. FDA(アメリカ食品医薬品局)が一般向けの経口避妊薬として最初に許可したのは、1960年に発売されたG.D.Searle & Company(ジー・ディー・シーラル・アンド・カンパニー)によるノルエチノドレル10mgを含有した「Enovid 10(エノビド・テン)」である。初期の経口避妊薬はステロイドを多く含み副作用も大きかったが、普及と共に急速に開発が進み、現在の低用量ピルとなった。
  16. 内閣府「平成13年(2001年) 国民生活白書 ~家族の暮らしと構造改革~」2002年3月26日公表 第1章 家族を巡る潮流変化「2.婚姻や子どもを生み育てる機能に関する変化-進む少子化、高まる離婚率」より「未婚化、晩婚化の傾向」「高まる離婚率」「変化する離婚観」「再婚の状況」の項目など。なお、「5.家族における変化の方向性-小世帯化と多様化」より「家族間の多様化」の項目では、婚前交渉を認めない層を「伝統重視群」、婚前交渉を認める層を「多様性重視群」と名付け、性別と年齢による分析が行われている。どちらにおいても、男性は「伝統重視群」が多く、女性は「多様性重視群」が多いといった結果などを見ることができる。
  17. 内閣府「平成17年(2005年) 国民生活白書 ~子育て世代の意識と生活~」2005年8月12日公表 第1章 結婚・出産行動の変化「第1節 最近の出生率低下の要因」より「晩婚化・非婚化が急速に進んでいる」の項目、および、補論1 結婚行動における新しい流れ「1.法律婚へのこだわり-できちゃった婚」より「20代前半までの結婚はできちゃった婚が主流」「法律婚を重視する伝統的な意識ができちゃった婚に反映されている」の項目、「2.離婚と再婚」より「女性の離婚に対する抵抗感は薄れている」「子どもを伴った再婚が増加している」の項目、「3.法律に基づかない結婚-同棲と事実婚」より「事実婚の背後には結婚制度に対する価値観の多様化がある」「コラム 社会認知が進む事実婚」の項目など。なお、この白書では具体的に「できちゃった婚」という言葉を使用して分析が行われている。
  18. この類義語にはヤリチンなどがある。
  19. 大洋書房「金のEX G.T.R. Vol.05」2009年10月10日発売 大洋図書グループのミリオン出版による、ゴシップ記事が中心の実話誌。芸能界の絶対タブーとして、薬物問題や引退アイドルの記事などが掲載されている。
  20. Chosun Online 朝鮮日報「坂本多加雄・学習院大教授の妄言が波紋」2001年4月13日付 朝鮮日報。被害女性の人権蹂躙に関する記事。
  21. Chosun Online 朝鮮日報「与野党、坂本暴言を一様に非難」2001年4月20日付 朝鮮日報。教科書歪曲問題に関する記事。
  22. 「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク編『ここまでひどい!「つくる会」歴史・公民教科書-女性蔑視・歴史歪曲・国家主義批判』(白澤社2001年)。
  23. 「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク編『裁かれた戦時性暴力-「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」とは何であったか』(白澤社2001年)。日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷とは、民間団体が主催した国際的な民衆法廷。法的拘束力はないものの、裁判長は旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷の所長であった Gabrielle Kirk McDonald(ガブリエル・カーク・マクドナルド)が務めた。
  24. 東スポWEB「公衆便所は女性蔑視?」2010年3月4日付 東京スポーツ新聞社。荒川区議会の公衆トイレ名称統一案に関する記事。
  25. 東スポWEB「荒川区<便所→トイレ>条例案可決」2010年3月6日付 東京スポーツ新聞社。荒川区議会の公衆トイレ名称統一案に関する記事。
  26. Bathroom Mania ! オランダにあるバスルームマニア!社のオフィシャルサイト。トップページ右下にてオランダ語Nederlandsか英語Englishを選択。オランダ語であればOntwerpen!、英語ならDesigns!の項目に男性用小便器キス!Kisses!の紹介がある。
  27. Bathroom Mania ! Nieuws バスルームマニア!による、各国で実際に設置された男性用小便器キス!の様子。
  28. National Organization for Women「Tell Virgin Atlantic: There's Nothing 'Fun' About Exploiting Women」2004年3月18日付 全米女性機構National Organization for Women(ナショナル・オーガニゼーション・フォー・ウーマン)による、ヴァージン・アトランティック航空への批判。男性用小便器キス!を「差別的な便器」としている。
  29. Expatica News「Orders flow in after 'lips urinal' controversy」2004年3月24日付 男性用小便器キス!の撤去や論争後、逆にバスルームマニア!が受注を増やしたことや、スハインデルの記事など。
  30. コアマガジン「ニャン2倶楽部Z」2007年8月号 コアマガジンによる素人参加型のエロ本。限定生産された公衆便所バッジは「誰にでもセックスさせる女性=サセ子にのみ与えられる名誉あるバッジ」としている。ただし、使用上は女性の同意を得ることや、違法行為がないようにも呼びかけている。
  31. Tokyo-Hot 東京熱 無修正オリジナル徹底凌辱動画 1作品で膣内射精10発程度は珍しく無いが、「中出し20発以上」カテゴリは173件、「中出し50発以上」カテゴリは3作品にとどまっている。
  32. AV監督ラッシャーみよしが早い時期から「ザーメン物」で関わっていたアダルトビデオメーカーにハウスギルドがある。ただし、ラッシャーみよし監督による同メーカーのアダルトビデオ「口臭便女(こうしゅうべんじょ)」の内容は「スカトロ物」である。
  33. エムズ・ビデオ・グループ アダルトビデオメーカー。初期はマイナーなジャンルだった「ザーメン物」に早くから着目し、「マイナーだからAV女優の容姿容貌はあまり問わない」という消極的なメーカーが多い中で、当初から積極的に一流の容姿容貌を持つAV女優を起用していた。
  34. AV監督松本和彦はエムズ・ビデオ・グループ設立前の1994年に、初の「ザーメン物」のアダルトビデオ専門店「ミルキーショップ・エムズ」を渋谷にオープンしていた。なお、ザーメン物がほとんど知られていない時期から、同名レーベルのアダルトビデオにおいて「レベルの高いAV女優と大人数のAV男優」「疑似本番や疑似精液は使用しない」「高画質と丁寧なカメラワーク」などを目指していたことは特筆に値する。
  35. シャトルジャパン アダルトビデオメーカー。「ぶっかけ」と「Bukkake」を登録商標(第4545137号)として所有している。
  36. 現在はBukkake(ぶっかけ)という単語で、海外のアダルトビデオ市場でも通用する英語となっている。なお、もともとの英語ではFacial(フェイシャル=日本語の顔射)やCum Shot(カム・ショット=日本語のぶっかけ)などと呼ばれる。
  37. モブスターズ アダルトビデオメーカー。コンドームを使用しない「生ハメ」と「真正中出し」をセールスポイントにしている。
  38. 三和出版「ベストビデオ」1999年12月号 アダルトビデオを紹介するAV雑誌「ベストビデオ」による、AV女優のインタビュー記事「奥菜亜美の部屋へようこそ」より。トップページはBESTVIDEO HOMEPAGE
  39. AV監督GORI Digital Gorilla AV監督GORIのオフィシャルブログ。エロティシズム全般や射精公衆便女に関するアイデアの記事など。なお、現在は閉鎖されている。
  40. ☆苺のしふぉん☆ AV女優宮咲志帆の現オフィシャルブログ(閉鎖予定)。「公衆志帆便所」と題する記事は2009年5月に閉鎖された旧オフィシャルブログ「宮咲志帆☆裏Blog パイパン娘の日々」2009年01月23日付に掲載されていた。

参考文献[編集]

  • 田中雅一、「第八章 射精する性 -男性のセクシュアリティ言説をめぐって-」、西川祐子; 荻野美穂編 『共同研究 男性論』 人文書院、2009年。ISBN 9784409240618

関連項目[編集]

類語など[編集]

経緯など[編集]

性風俗など[編集]

アダルトビデオなど[編集]