造語
造語(ぞうご,英:Coined word)は作られた単語を意味する。いままでにない新しい単語を作り出す事。または既存の単語を新たな状況に適用すること。文章形式は単語ではないので、造語ではない。
造語の発生[編集]
自分だけにしかわからない「悪い造語」は、読者を混乱させるだけである。しかし、良い造語は有用である。作られてから長い間残るのは良い造語といえる。堀 義人氏によれば、良い造語には一定の法則性があるとされる[1]。
第一は既存の単語を組み合わせてインパクトのある造語を作る場合である。「ユニクロ」は「ユニーク+クロージング」を組み合わせた造語であるが、発音しやすいこともあり、ブランド名として現在も広く使われている。
第二は、音の響きや語感が良い場合である。言いやすいことがこの条件である。明治時代の「ケイザイ(経済)」は言いやすい「良い造語」の例である。「経済学」は学問の1分野となっているから、使われなくなることは考えにくい[注 1]。
第三は意味である。それまでの言語体系にない用語が必要となれば、必然的に造語となる。明治期には造語が多数生まれた。当時の日本語には西洋語に相当する概念が存在しなかったので、造語を作る必然性がある。「経済」「哲学」「社会」「化学」「新婚旅行」「常識」「家庭」「印象」「権利」「野球」など、これらはすべて明治時代の造語である。短くて音の響きもよかったので、現代まで残っている。
消えた造語[編集]
造語は年間多数あるが、消えていく造語の方が多い。近年の例を挙げれば「ヒネルトジャー」(水道の意味)、「分衆」(1985年新語・流行語大賞)「くれない族」(1984年流行語銀賞)「川の手」(1986年新語表現賞)などであり、江戸時代・明治初期の「舎密学」、「窮理学」も「化学」、「物理学」に押されて明治中期に消えた。
残るかもしれない造語[編集]
「フェイクニュース」は嘘のニュースという意味であるが、アメリカ大統領のドナルド・トランプが多用したため、広く使われるようになった。WHOは新型コロナウイルス感染症に関するフェイクニュースの拡散をインフォーメーション(Information)とパンデミック(Pandemic)を組み合わせた造語インフォデミックを広めた。
中国への逆輸入[編集]
汪栄宝・葉瀾編(1903)『新爾雅』(上海、明権社版、東京並木活版所印刷)には、日本で生まれた語を中国に逆輸入された造語リストである。現在の中国の国名「中華人民共和国」のうち、「人民」(英語「people」の翻訳語)「共和国」は日本で生まれた造語である。また中国で使われる医学・薬学用語の専門用語の9割は日本語由来である。例として、pneumonia(英語)は日本語で「肺炎」となり、中国語でも「肺炎」となる。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- 注
- 参考文献
- ↑ 堀 義人「良い造語には法則がある」Glovis,知見録,2016年4月1日