西修 (法学者)

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西 修(にし おさむ、1940年 - )は、憲法学者。駒澤大学名誉教授。

経歴[編集]

富山市生まれ。1959年富山県立富山中部高等学校卒業。1964年早稲田大学第一政治経済学部卒業。1970年同大学院政治学研究科博士後期課程(憲法専修)単位取得満期退学。1998年「憲法体系の類型的研究」で博士(政治学)(早稲田大学)。2006年「日本国憲法成立過程の研究」で博士(法学)(日本大学)。

1970年防衛大学校人文科学教室専任講師、1974年助教授。1974年駒澤大学法学部助教授、1980年教授、1997年法学部長(1999年まで)、1999年大学院法学研究科委員長(2001年まで)、2001年法学研究所所長(2009年まで)。2011年定年退職、駒澤大学名誉教授[1]

人物[編集]

民社党と語る会」の憲法問題に関する研究会の副座長、政策研究フォーラム監事、理事、国家基本問題研究所理事。民主党の旧民社党系の議員がなどがつくる改憲団体「創憲会議」が2005年に発表した「『創憲』を考えるための提言」は、政策研究フォーラムの加藤秀治郎東洋大教授、西修駒沢大教授、百地章日本大教授らの学者グループの作成した原案をほぼ踏襲したものである[2]

1992年に発足した読売新聞社憲法問題調査会(委員長・猪木正道)と2012年に発足した産経新聞社「国民の憲法」起草委員会(委員長・田久保忠衛)の両方で委員を務める唯一の人物。2001年に発足した「二十一世紀の日本と憲法」有識者懇談会(民間憲法臨調)の副代表・運営委員長[3]。2014年に発足した「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の代表発起人[4]

2007年に安倍晋三首相が立ち上げた私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)のメンバー。「平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム」の呼びかけ人[5]。2014年3月13日の参議院予算委員会公聴会で、日本共産党井上哲士議員に集団的自衛権行使を容認する解釈改憲で自衛隊ベトナム戦争アフガニスタン戦争に参加することが可能になるかどうか問われ、「もし解釈を変えるということになったら、やっぱり結果的にはそうならざるを得ないと思いますけれども、しかし、それを本当に国民なりあるいは国際世論が承認するかどうか、これは本当に高度な判断だと思います」と答えた[6]菅義偉官房長官は、2015年6月10日の衆議院安保法案特別委員会で、民主党の辻元清美議員に安保法案を「違憲じゃないと発言している憲法学者の名前をいっぱい挙げてください」と問われ、「個別的にいろいろ挙げることは、これは控えるべきだというふうに思います。例えば百地先生[百地章日本大教授]だとかあるいは長尾先生[長尾一紘中央大名誉教授]だとか、そうした人たちもいらっしゃいますし、そしてまた、私どもの安保法制懇の中の西先生もいらっしゃいました。そういうことの中で私は申し上げたところであります」と答えた[7]。安保法案を合憲とした3人の憲法学者は日本会議のフロント団体であるとされる「民間憲法臨調」と「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の役員であり[8][9]、日本会議の中心メンバーであるとされる[9]。ただし西は「私は日本会議のメンバーではなく、あくまで『つくる国民の会』に所属しています」と述べている[10]

産経新聞「正論」執筆メンバーで、2018年に第34回正論大賞を百地章とダブル受賞した[11][12]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『憲法ノート』(静進堂、1969年)[1]
  • 『現代世界の憲法制度』(成文堂、1974年)
  • 『憲法講義(上・下)』(静進堂、1974・1977年)[1]
  • 『国の防衛と法――防衛法要論』(学陽書房、1975年、新版1980年)
  • 『自衛権――奪われざる国民の生存権』(学陽書房、1978年)
  • 『自衛隊法と憲法9条』(戸津正勝共著、教育社[入門新書 時事問題解説]、1978年)
  • 『憲法』(実務教育出版、1982年)[1]
  • 『憲法九条と自衛隊法――有事・防衛の範囲で問われる』(教育社[入門新書 時事問題解説]、1983年)
  • 『各国憲法制度の比較研究』(成文堂、1984年)
  • 『日本国憲法の40年――「改憲」と「靖国」』(教育社[入門新書 時事問題解説]、1986年)
  • 『ドキュメント日本国憲法』(三修社、1986年)
    • 増訂『日本国憲法はこうして生まれた』(中央公論新社[中公文庫]、2000年)
  • 『日本国憲法の誕生を検証する』(学陽書房、1986年)
  • 『The Constitution and the National Defence Law System in Japan』(Seibundo、1987年)[1]
  • 『話題から学ぶ憲法』(自由国民社、1989年)
  • 『Ten Days inside General Headquarters(GHQ)』(Seibundo、1989年)[1]
  • 『Constitution of Japan(Chronology & Bibliography)』(Oceana Publications,INC、1990年)[1]
  • 『よくわかる平成憲法講座』(TBSブリタニカ、1995年)
  • 『憲法体系の類型的研究』(成文堂、1997年)
  • 『日本国憲法を考える』(文藝春秋[文春新書]、1999年)
  • 『ここがヘンだよ!日本国憲法』(アスキー、2001年、第2版2003年)
  • 『日本国憲法成立過程の研究』(成文堂、2004年)
  • 『現代世界の憲法動向』(成文堂、2011年)
  • 『図説 日本国憲法の誕生』(河出書房新社[ふくろうの本]、2012年)
  • 『憲法改正の論点』(文藝春秋[文春新書]、2013年)
  • 『いちばんよくわかる! 憲法第9条』(海竜社、2015年)
  • 『世界の憲法を知ろう――憲法改正への道しるべ』(海竜社、2016年)
  • 『証言でつづる日本国憲法の成立経緯』(海竜社、2019年)
  • 『憲法の正論』(産経新聞出版、発売:日本工業新聞社、2019年)
  • 『憲法9条を正しく知ろう』(海竜社、2020年)
  • 『知って楽しい世界の憲法』(海竜社、2021年)
  • 『"ざんねんな"日本国憲法―研究60年集大成の解決策』(ビジネス社、2022年)
  • 『吾輩は後期高齢者の日本国憲法である』(産経新聞出版、発売:日本工業新聞社、2022年)

共著[編集]

  • 『自由国民・口語六法全書 第23巻 防衛法』(宇都宮静男共著、宇都宮静男監修、自由国民社、1974年)
  • 『衆参両院議長の地位と権限』(戸津正勝共著、教育社[入門新書 時事問題解説]、1978年)
  • 『日本の安全保障と各党の防衛政策』(吉原恒雄共著、教育社[入門新書 時事問題解説]、1979年)
  • 『各国憲法論』(宮本忠、石田栄仁郎、大越康夫、網中政畿、西岡祝、萩原直造共著、学陽書房[現代政治選書]、1982年)
  • 『転機に立つ日本の防衛――日米新時代への対応』(上条末夫共著、学陽書房、1982年)
  • 『日本憲法の今日的課題――小森義峯先生還暦記念論文集』(土居靖美執筆者代表、嵯峨野書院、1983年)
  • 『日本国憲法制定の経緯――連合国総司令部の憲法文書による』(犬丸秀雄監修、安田寛、村川一郎、大越康夫共著、第一法規、1989年)
  • 『新しい日本の国家像――共生社会への道』(佐瀬昌盛編著、小野五郎、田村正勝共著、富士社会教育センターパラダイムシリーズ]、1999年)
  • 『新しい日本の憲法像』(大原康男、石田光義、吉原恒雄共著、富士社会教育センター[パラダイムシリーズ]、2000年)
  • 『日本の安全保障法制』(浜谷英博、高井晉、松浦一夫、富井幸雄共著、内外出版、2001年)
  • 『テレビ、新聞じゃわからない「テロ」「戦争」がイッキにわかる本』(渥美堅持、水野隆徳、神浦元彰、歳川隆雄共著、アスキー[アスキーQ&Aブックス]、2001年)
  • 『我が国防衛法制の半世紀――発展の軌跡と展望』(青山武憲、安田寛、富井幸雄、小針司、松浦一夫、浜谷英博、永野秀雄共著、内外出版、2004年)
  • 『国防軍とは何か』(石破茂、森本敏共著、幻冬舎[幻冬舎ルネッサンス新書]、2013年)

編著[編集]

  • 『憲法基本判例』(林修三、斉藤寿共編、青林書院新社、1976年)
  • 『資料体系アジア・アフリカ国際関係政治社会史 第7巻 憲法資料 中東』(浦野起央共編著、パピルス出版、1979年)
  • 『資料体系アジア・アフリカ国際関係政治社会史 第6巻 憲法資料 アジア(3分冊)』(浦野起央共編著、パピルス出版、1980・1984・1985年)
  • 『資料体系アジア・アフリカ国際関係政治社会史 第8巻 憲法資料 アフリカ(3分冊)』(浦野起央共編著、パピルス出版、1982・1984・2014年)
  • 『行政書士受験講座 第3巻 憲法』(編、法学書院、1983年、改訂版1994年)
  • 『日本国憲法を考える』(佐藤寛行共編、学陽書房[学陽選書]、1983年)
  • 『憲法新講』(共編著、小林出版、1986年)
  • 『日本国憲法25講』(編著、八千代出版、1993年)
  • 『エレメンタリ憲法』(編著、横手逸男、松浦一夫、山中倫太郎、大越康夫、浜谷英博共著、成文堂、2001年、新訂版2006年)

訳書[編集]

  • C. ハーマン・プリチェット『アメリカ憲法入門』(村田光堂、竹花光範共訳、成文堂[翻訳叢書]、1972年)
  • ウィリアム・エーベンシュタイン『現代の全体主義と民主主義』(奥原唯弘監訳、滝沢一郎共訳、成文堂、1974年)
  • L.マクファーレーン『政治的不服従論――抵抗権の諸問題』(斉藤寿、岩下栄一共訳、早稲田大学出版部[現代政治学入門講座]、1977年)
  • 『憲法改正小委員会秘密議事録――米国公文書公開資料』(森清監訳、村川一郎共訳、第一法規出版、1983年)
  • アルバート・P.ブラウスタイン『世界の憲法――その生成と発展』(成文堂、1994年)

監修[編集]

  • 読売新聞社編、西修資料監修『憲法21世紀に向けて――読売改正試案・解説・資料』(読売新聞社、1994年)
  • シーズ・コミュニケーション編、待鳥正峰画『日本国憲法が驚くほどよくわかる本』(ワニブックス、2002年)
  • 『詳解有事法制』(内外出版、2005年)
  • 『防衛省移行の概要』(内外出版、2006年)
  • 『世界地図でわかる日本国憲法』(講談社、2008年)

解説[編集]

  • 『憲法を考える 3 第百四十八回第百四十九回第百五十回国会衆議院憲法調査会議録』(現代史料出版、2001年)
  • 『憲法を考える 4 第百四十九回第百五十回国会参議院憲法調査会会議録』(現代史料出版、2001年)
  • 『テロ対策関連法三法』(内外出版、2001年)[1]
  • 内外出版編『有事法制の現況――法案読解と展望』(内外出版、2002年)
  • 『有事法制の解説』(内外出版、2003年)
  • 内外出版編『詳解有事法制――国民保護法を中心に』(内外出版、2004年)
  • 『憲法関係答弁例集(第9条・憲法解釈関係)――平成28年9月内閣法制局』(内外出版、2017年)

出典[編集]

  1. a b c d e f g h 西修教授プロフィルPDF」『駒澤法学』第11巻第1号、2011年9月
  2. 核兵器保有の余地残す/民主・旧民社系改憲案/永田町でも話題の異常突出 しんぶん赤旗、2005年2月18日
  3. 山崎雅弘『日本会議 戦前回帰への情念』集英社新書、2016年、215頁
  4. 役員名簿 美しい日本の憲法をつくる国民の会
  5. [安保法案]8/13「平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム」が記者会見=学界、経済界、法曹界など各界から318名が賛同 日本会議、2015年8月14日
  6. 第186回国会 参議院 予算委員会公聴会 第1号 平成26年3月13日 国会会議録検索システム
  7. 第189回国会 衆議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第8号 平成27年6月10日 国会会議録検索システム
  8. 菅野完『日本会議の研究』扶桑社新書、2016年、202頁
  9. a b 俵義文『日本会議の全貌』花伝社、2016年、8頁
  10. 話題書『日本会議の研究』に関係者激怒「トンデモ本ですよ」 『NEWSポストセブン』2016.05.27 07:00(週刊ポスト2016年6月3日号)
  11. 正論大賞に西修氏、百地章氏 新風賞に楊海英氏 産経ニュース、2018年12月3日
  12. 第34回正論大賞 受賞者「喜びの声」 産経ニュース、2018年12月3日

外部リンク[編集]