加藤秀治郎
加藤 秀治郎(かとう しゅうじろう、1949年7月8日[1] - )は、政治学者。東洋大学名誉教授。専門は比較政治学・現代日本政治[2]。
岩手県東磐井郡大東町(現・一関市)生まれ[3]。1973年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学部・大学院で堀江湛に師事。1976〜1978年西ドイツ・ボーフム大学社会科学科、ケルン大学経済・社会科学部に留学。1979年慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得満期退学。1979年幾徳工業大学非常勤講師。1980年京都産業大学外国語学部専任講師、1983年助教授[1]。1986年「戦後ドイツの政党制 : 東西ドイツ政党の政治社会学的分析」で法学博士(慶應義塾大学)[4]。1990年京都産業大学外国語学部教授、2000年東洋大学法学部教授[1]。2015年定年退職、東洋大学名誉教授。
選挙制度研究の第一人者として知られる[2]。院生時代からドイツ現代政治、R・ダーレンドルフの政治理論を研究。90年代の政治改革を機に選挙制度を研究し、2003年に『日本の選挙――何を変えれば政治が変わるのか』(中公新書)を刊行。2000年代から憲法9条の改正、首相公選論への批判、両院制の改革、衆議院解散制度の改革などを論点に「憲法改革」を研究する[1]。
政策研究フォーラム理事[5]、副理事長を経て[6]、顧問。核兵器禁止平和建設国民会議(核禁会議)第5代議長(2012年1月~2022年1月)[7]。公益財団法人富士社会教育センター評議員[8]。民主党の旧民社党系の議員がなどがつくる改憲団体「創憲会議」が2005年に発表した「『創憲』を考えるための提言」は、政策研究フォーラムの加藤秀治郎東洋大教授、西修駒沢大教授、百地章日本大教授らの学者グループの作成した原案をほぼ踏襲したものである[9]。2001年に発足した「二十一世紀の日本と憲法」有識者懇談会(民間憲法臨調)の代表委員[10]。2014年に発足した「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の代表発起人の1人[11]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『戦後ドイツの政党制――東西ドイツ政党の政治社会学的分析』(学陽書房、1985年)
- 『公務員試験のための政治学入門』(芦書房、1986年)
- 増補版『政治学入門』(芦書房、1987年、増補版1988年、第3版1991年、新版1997年、新版第2版2003年)
- 『「茶の間で聞く」政治の話のウソ。』(学陽書房、1990年)
- 『はじめて学ぶ政治学』(実務教育出版[公務員試験]、1994年)
- 『ドイツの政治・日本の政治』(人間の科学社、1996年、増補改訂版1997年/一藝社、発売:三樹書房、1998年)
- 『「憲法改革」の政治学』(一藝社、2002年、増補改訂版 2005年)
- 『日本の選挙――何を変えれば政治が変わるのか』(中央公論新社[中公新書]、2003年)
- 『政治学』(芦書房、2005年、第2版2006年、第3版2008年、第3版2011年)
- 『日本政治の座標軸――小選挙区導入以後の政治課題』(一藝社[Ichigei library]、2005年)
- 『エラーイ教授偉くない教授――政治学者のアフター5』(一藝社、2009年)
- 『図解で学ぶ政治学――図表を多用してやさしく説明した入門用テキスト 公務員試験』(実務教育出版、2011年)
- 『日本の統治システムと選挙制度の改革』(一藝社、2013年)
- 『やがて哀しき憲法九条――あなたの知らない憲法九条の話』(展転社、2016年)
共著[編集]
- 『現代の政治と社会』(堀江湛、芳賀綏、岩井奉信共著、北樹出版、発売:学文社、1982年)
- 『スタンダード政治学』(中村昭雄共著、芦書房、1991年、増補1992年、新版1999年、新版第2版2002年)
- 『ドイツと日本の連合政治』(楠精一郎共著、芦書房[RFP叢書]、1992年)
- 『政治学の基礎』(林法隆、古田雅雄、檜山雅人、水戸克典共著、一藝社、2001年、新版2002年)
- 『図解・日本政治の小百科』(橋本五郎、飯田政之共著、一藝社、2002年)
- 『Q&A日本政治ハンドブック――政治ニュースがよくわかる!』(橋本五郎、飯田政之共著、一藝社、2006年)
- 『国際政治コミュニケーション』(漆山成美共著、一藝社、2006年)
- 『政治学入門』(増田正、丹羽文生、半田英俊、島村直幸、吉田龍太郎共著、一藝社、2020年)
編著[編集]
- 『政治のしくみ――図説日本はこうなっている』(編著、PHP研究所、1993年)
- 改訂版『政治のしくみ――図説日本はこうなっている』(橋本五郎共編著、PHP研究所、1995年)
- 『リーディングス選挙制度と政治思想』(編、芦書房、1993年)
- 『国際政治の基礎知識』(渡邉啓貴共編、芦書房、1997年、増補版2002年)
- 『選挙制度の思想と理論――Readings』(編訳、芦書房、1998年)
- 『日本の安全保障と憲法』(編、南窓社[国際関係学叢書]、1998年)
- 『戦後日本の国際政治論』(関嘉彦著、編・解説、一藝社、2000年)
- 『西欧比較政治――データ/キーワード/リーディングス』(G・レームブルッフ、J. ブロンデル、H. ダールダー著、編、一藝社、2002年、第2版2004年)
- 『憲法改革の構想』(編、一藝社、2003年)
- 『政治社会学』(岩渕美克共編、一藝社、2004年、第2版2005年、第3版2007年、第4版2009年、第5版2013年)
- 『日本の統治システム――官僚主導から政治主導へ』(堀江湛共編、慈学社出版、発売:大学図書、2008年)
- 『議会政治――N・W・ポルスビー「立法府」収録』(水戸克典共編、発売:大学図書、2009年、第2版2011年)
- 第3版『議会政治――N・W・ポルスビー「立法府」 K・R・ポパー「民主制について」収録』(水戸克典共編、発売:大学図書、2015年)
- 『新西欧比較政治』(池谷知明、河崎健共編著、一藝社、2015年)
- 『政治学小辞典』(堀江湛共編、一藝社、2019年)
- 『政治学・行政学の基礎知識』(改訂第4版、堀江湛共編、一藝社、2021年)
訳書[編集]
- ラルフ・ダーレンドルフ『ザ・ニューリバティ――ポスト「成長」の論理』(創世記、1978年)
- ラルフ・ダーレンドルフ『新しい自由主義――ライフ・チャンス』(吉田博司、田中康夫共訳、学陽書房、1987年)
- ラルフ・ダーレンドルフ『現代文明にとって「自由」とは何か』(TBSブリタニカ、1988年)
- R・ドーソン、K・プルウイット、K・ドーソン『政治的社会化――市民形成と政治教育』(青木英実、中村昭雄、永山博之共訳、芦書房[芦書房新政治学双書]、1989年)
- ラルフ・ダーレンドルフ『激動するヨーロッパと世界新秩序』(TBSブリタニカ、1992年)
- ウォルター・ラカー『ヨーロッパ現代史――西欧・東欧・ロシア 1 戦後の状況と経済の奇跡』(坂井一成、永山博之、金井和子、佐治孝夫、藤井浩司共訳、芦書房、1998年)
- ラルフ・ダーレンドルフ『政治・社会論集――重要論文選』(編・監訳、晃洋書房、1998年/増補版、檜山雅人共編・監訳、晃洋書房、2006年)
- 増補版『政治・社会論集――重要論文選』(檜山雅人共編・監訳、晃洋書房、2006年)
- ウォルター・ラカー『ヨーロッパ現代史――西欧・東欧・ロシア 2 戦後欧州社会と東西の動向』(河原地英武、永山博之、藤井浩司、金井和子、坂井一成、檜山雅人共訳、芦書房、1999年)
- ウォルター・ラカー『ヨーロッパ現代史――西欧・東欧・ロシア 3 「戦後」時代の終焉』(河原地英武、佐治孝夫、藤井浩司、金井和子、坂井一成、檜山雅人共訳、芦書房、2000年)
- ラルフ・ダーレンドルフ『現代の社会紛争』(檜山雅人共訳、世界思想社[Sekaishiso seminar]、2001年)
- ドナルド・R・キンダー『世論の政治心理学――政治領域における意見と行動』(加藤祐子共訳、世界思想社[Sekaishiso seminar]、2004年)
- ハロルド・D.ラスウェル、エイブラハム・カプラン『権力と社会――政治研究の枠組』(堀江湛、永山博之共訳、芦書房、2013年)
- クラウゼヴィッツ『クラウゼヴィッツ語録――『戦争論』のエッセンス』(編訳、一藝社、2017年)
- 改題・加筆『『戦争論』 クラウゼヴィッツ語録』(編訳、日経BP日本経済新聞出版本部[日経ビジネス人文庫]、発売:日経BPマーケティング、2022年)
- カール・フォン・クラウゼヴィッツ『縮訳版 戦争論』(日経BP日本経済新聞出版本部、発売:日経BPマーケティング、2020年)
出典[編集]
- ↑ a b c d 加藤秀治郎「最終講義 私の政治学と選挙制度研究 (加藤秀治郎教授退職記念号)」『東洋法学』第58号、2015年3月
- ↑ a b 「研究フロントライン 加藤秀治郎 法学部教授(PDF)」『東洋大学報』第219号、2009年10月20日
- ↑ 政治社会学―選挙制度の作用・民主制の理論について (第5版) 紀伊國屋書店
- ↑ CiNii Dissertations
- ↑ 『改革者』第35巻第2・3号(通巻406・407号)、1994年6月
- ↑ 政策研究フォーラム役員体制(2011・12年度) 政策研究フォーラム
- ↑ 年表(PDF) 核兵器廃絶・平和建設国民会議
- ↑ 公益財団法人 富士社会教育センター 役員 平成二七年六月一日現在 公益財団法人富士社会教育センター
- ↑ 核兵器保有の余地残す/民主・旧民社系改憲案/永田町でも話題の異常突出 しんぶん赤旗、2005年2月18日
- ↑ 役員一覧(平成24年3月31日現在) 民間憲法臨調
- ↑ 役員名簿 美しい日本の憲法をつくる国民の会