佐瀬昌盛
佐瀬 昌盛(させ まさもり、1934年12月21日 - )は、国際政治学者[1]。防衛大学校名誉教授。専門はドイツ外交、国際政治、安全保障[2]。妻は東京音楽大学名誉教授の佐瀬道子[3]。
経歴[編集]
満州・大連生まれ[4]。小学校の後半3年と中学校時代を奈良で過ごし[5]、奈良女子高等師範学校付属国民学校5年生のとき敗戦を迎える[6]。大阪府立住吉高等学校を経て[7]、1958年東京大学教養学部教養学科卒業。1960年同大学大学院社会科学研究科修士課程(国際関係論専攻)修了。1961〜1964年西ドイツ政府交換留学生としてベルリン自由大学オットー・ズーア研究所に留学。1965年東京大学大学院社会科学研究科博士課程中退。
1965年東京大学教養学部助手。1966年成蹊大学政治経済学部専任講師、1968年助教授。1974年防衛大学校教授[8]。人文科学教室に着任、1975年社会科学教室に移籍[9]。1995年防衛大学校評議員、1996年教務部総合安全保障研究科教務主事(1998年まで)、1997年図書館長[8]。2000年3月定年退官、防衛大学校名誉教授[2]。
2000年拓殖大学海外事情研究所教授[1]。第12代所長を経て[10]、客員教授[11]。2006年瑞宝中綬章受章[4]。
人物[編集]
猪木正道の門下生[12]。現実主義的・反共的な立場から国際政治、日本の安全保障、社会主義・共産主義などについて研究・評論を行う[1][9]。自民党機関紙『自由民主』の執筆協力者で民社党ブレーン[13]。産経新聞の正論メンバーで[14]、2010年に第25回正論大賞を受賞した[15]。
著書に『西ドイツの東方政策』(日本国際問題研究所、1973年)、『戦後ドイツ社会民主党史――政権への歩み』(富士社会教育センター出版局、1975年)、『チェコ悔恨史――かくて戦車がやってきた』(サイマル出版会、1983年)、『摩擦と革命――東欧、脱ソ連化の軌跡』(文藝春秋、1990年)などがある。
- 民社党中央党学校青年幹部研修会、民社研労働学校の講師[13]
- 民主社会主義研究会議[大系 民主社会主義]編集委員会委員
- 言論人懇話会同人[13]
- 日本文化会議会員[16]
- 大平正芳首相の私的諮問機関「総合安全保障研究グループ」政策研究員[16]
- 政策研究フォーラム理事[17]、顧問
- 公益財団法人富士社会教育センター評議員[18]
- 安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)構成員[11]
- 「二十一世紀の日本と憲法」有識者懇談会(民間憲法臨調)代表委員[19]
- 産経新聞社「国民の憲法」起草委員会(委員長・田久保忠衛)委員[20]
- 公益財団法人中曽根康弘世界平和研究所評議員[21]
- 一般財団法人平和・安全保障研究所副評議員長[22]
- 一般社団法人日本戦略研究フォーラム顧問[14]
- 日本国際政治学会評議員[23]
- 国際安全保障学会会長[23]、顧問[24]
著書[編集]
単著[編集]
- 『西ドイツの東方政策』(日本国際問題研究所[国際問題新書]、1973年)
- 『戦後ドイツ社会民主党史――政権への歩み』(富士社会教育センター出版局[富士双書]、1975年)
- 『西ドイツ戦う民主主義――ワイマールは遠いか』(PHP研究所、1979年)
- 『チェコ悔恨史――かくて戦車がやってきた』(サイマル出版会、1983年)
- 『『朝日』の報道はここがおかしい――軍事情報をめぐる虚と実』(力富書房[リキトミブックス]、1988年)
- 『虚報はこうしてつくられた――核情報をめぐる虚と実』(力富書房[リキトミブックス]、1988年)
- 『摩擦と革命――東欧、脱ソ連化の軌跡』(文藝春秋、1990年)
- 『NATO――21世紀からの世界戦略』(文藝春秋[文春新書]、1999年)
- 『集団的自衛権――論争のために』(PHP研究所[PHP新書]、2001年)
- 『新版 集団的自衛権――新たな論争のために』(一藝社、2012年)
- 『むしろ素人の方がよい――防衛庁長官・坂田道太が成し遂げた政策の大転換』(新潮社[新潮選書]、2014年)
- 『いちばんよくわかる集団的自衛権』(海竜社、2014年)
- 『朝日新聞は真実を伝えているのか?――ねじ曲げられた報道はもういらない』(海竜社、2016年)
- 『対ソ国交回復交渉の軌跡――戦後日本の政治風土』(南窓社、2016年)
共著[編集]
- 『世界の歴史(25)現代の世界』(猪木正道共著、講談社、1978年)
- 『ソ連崩壊論』(勝田吉太郎、丹羽春喜、木屋隆安、法眼晋作共著、講談社、1990年)
- 『新しい歴史像の創造――過去の真実と未来への希望を結ぶ』(富士社会教育センター教育総合研究所「歴史問題委員会」編、井尻千男、大原康男、高橋史朗共著、富士社会教育センター[パラダイムシリーズ]、1998年、第2版1999年)
編著[編集]
- 『日本の安全・世界の平和――猪木正道先生退官記念論文集』(衛藤瀋吉ほか編著、原書房、1980年)
- 『ソ連東欧 volume 1 1981~1982』(志水速雄共編著、原書房、1982年)
- 『ソ連東欧 volume 2 1982~1983』(志水速雄共編著、原書房、1983年)
- 『ソ連東欧 volume 3 1983~1984』(志水速雄共編著、原書房、1984年)
- 『ゴルバチョフ革命――ペレストロイカの挑戦と障害の分析』(木村汎共編著、サイマル出版会、1988年)
- 『転換期の日本そして世界』(石渡哲共編、人間の科学社、1995年)
- 『新しい日本の国家像――共生社会への道』(編著、西修、小野五郎、田村正勝著、富士社会教育センター[パラダイムシリーズ]、1999年)
- 『プーチンの変貌?――9・11以後のロシア』(木村汎共編、勉誠出版、2003年)
訳書[編集]
- ヴィリー・ブラント『共存の試練』(時事通信社[時事新書]、1965年)
- デーヴィッド・S.コリヤー編『ベルリンと東欧の将来』(時事通信社[時事新書]、1966年)
- アデナウアー『アデナウアー回顧録(1・2)』(河出書房[Kawade world books]、1968年)
- ディーター・シュスター『DGB――戦後のドイツ労働運動』(前島巌共訳、フリードリッヒ・エーベルト研究所、1971年)
- ゲルト・レッシンク『ヤルタからポツダムへ――戦後世界の出発点』(南窓社、1971年)
- エドゥアルト・ベルンシュタイン『社会主義の諸前提と社会民主主義の任務』(ダイヤモンド社[現代思想]、1974年)
- ハインリヒ・ブリューニング『ブリューニング回顧録――1918-34年(上・下)』(ぺりかん社、1974年)
監修[編集]
- 『世界戦争犯罪事典』(秦郁彦、常石敬一共同監修、文藝春秋、2002年)
出典[編集]
- ↑ a b c デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「佐瀬昌盛」の解説 コトバンク
- ↑ a b むしろ素人の方がよい―防衛庁長官・坂田道太が成し遂げた政策の大転換 新潮社
- ↑ 佐瀬道子さん死去/東京音楽大名誉教授 SHIKOKU NEWS 、2008年3月5日
- ↑ a b いちばんよくわかる!集団的自衛権 紀伊國屋書店
- ↑ 【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 震災への思い、国自ら守る気概に 産経ニュース、2013年3月11日
- ↑ 「8・15」に思う 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 iZa、2013年8月8日
- ↑ ブックハンティング・クラシックス(72)日米安保「生みの親」元米国務長官の『戦争か平和か』 新潮社 Foresight、2020年3月8日
- ↑ a b 『防衛大学校紀要 第八十輯 社会科学分冊』2000年
- ↑ a b 西原正「佐瀬昌盛先生のご退官に寄せて」『防衛大学校紀要 第八十輯 社会科学分冊』2000年
- ↑ 歴代所長 拓殖大学海外事情研究所
- ↑ a b 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の開催について 内閣官房
- ↑ 現実主義外交の総帥 元防衛大学校長、猪木正道氏死去 MSN産経ニュース、2012年11月7日
- ↑ a b c 青木慧『改憲軍団――組織と人脈』汐文社、1983年
- ↑ a b 役員等 一般社団法人日本戦略研究フォーラム
- ↑ 正論大賞の歴史 月刊「正論」
- ↑ a b 青木慧『タカ派知識人――組織と人脈500人』汐文社、1984年
- ↑ 政策研究フォーラム役員体制(2011・12年度) 政策研究フォーラム
- ↑ 公益財団法人 富士社会教育センター 役員 平成二七年六月一日現在 公益財団法人富士社会教育センター
- ↑ 山崎雅弘『日本会議 戦前回帰への情念』集英社新書、2016年、215頁
- ↑ 本紙が新憲法起草へ 安保環境激変に対応 委員会初会合「国新たにする覚悟で」 産経ニュース、2012年3月27日
- ↑ 定款 中曽根平和研究所
- ↑ 役員 (平成27年7月1日現在) 一般財団法人平和・安全保障研究所
- ↑ a b researchmap
- ↑ 国際安全保障学会の概要 国際安全保障学会