高等学校卒業程度認定試験
高等学校卒業程度認定試験(こうとうがっこうそつぎょうていどにんていしけん)とは、高等学校を卒業できなかった者などを対象に、高校卒業者と同等以上の学力を有していることを認定する試験である[注 1]。通称は高認。前身は大学入学資格検定(大検)。
概要[編集]
高校・高専に合格できたが、いじめや起立性調節障害など様々な理由で卒業を迎えられずに退学してしまったり[注 2]、そもそも高校等に合格できなかったり、自主的に進学しなかった16歳以上の高卒者ではない者[注 3]を主な対象となる試験(高校在学中の者や18歳未満の高校非在籍者でも受験は可能)。合格した科目は免除の形で次回以降繰り越されるため、年月をかけて全科目合格することも可能。
この試験に合格することで、公的に
が得られる。
履歴書に書く時は(西暦ないし和暦)◯◯年◯◯月 高等学校卒業程度認定試験合格と書く。
なお、年度内に満18歳に達すれば、高認全科目合格後に入学試験を受け合格して、上級学校へ進学・卒業することで最終学歴も更新される[注 5]。
実施要領[編集]
解答用紙はマークシート形式で、合格ラインはある程度変動する。
試験科目は高校で教えられている教科のうち、中間テスト等でペーパーテストを行う以下の6教科の科目である[注 6]。
必須科目と出題科目の内容は実施年の前々年に適用の学習指導要領に準ずる[注 7]。
2024年度の高認受験者は、2022年度入学生から実施の学習指導要領に準じた内容で出題される。このため、一部の教科で前年度と科目名が変更となる。なお、2023年までの合格科目は2024年以降の科目名に振替となるが、地理歴史で必須科目の移行措置はない。
また、2026年以降は情報が必須教科に加わる。
試験内容[編集]
2024年 -[編集]
以下は、2024年度からの試験内容である。2022年入学生から実施の学習指導要領に準じた内容で出題される。
全員必須科目については太字で記した[2]。
- 国語
- 現代の国語
- 言語文化
- 地理歴史
- 歴史総合
- 地理総合
- 公民
- 公共
- 数学 - 但し、新課程に準じた単元内容になる。
- 数学Ⅰ
- 理科 - 但し、新課程に準じた単元内容になる。
- 以下の科目から1科目または3科目選択[注 8]。
- 物理基礎
- 化学基礎
- 生物基礎
- 地学基礎
- 上記科目から1科目のみ選択の場合、他2科目は以下の科目で代替する。
- 科学と人間生活
- 以下の科目から1科目または3科目選択[注 8]。
- 外国語(実質英語必須[注 9])
- 英語コミュニケーションⅠ
2015年 - 2023年[編集]
以下は、2015年から2023年度の試験内容である。2013年から2021年度入学生まで実施の学習指導要領に準じた内容で出題された。
全員必須科目については太字で記した[3]。
- 国語
- 国語総合
- 地理歴史
- 公民
- 以下の中から現代社会1科目または倫理+政治・経済の2科目
- 現代社会(2024年以降に合格繰り越しの場合、「公共」の合格に相当)
- 倫理(2024年以降に政治・経済と組み合わせて合格繰り越しの場合、「公共」の合格に相当)
- 政治・経済(2024年以降に倫理と組み合わせて合格繰り越しの場合、「公共」の合格に相当)
- 以下の中から現代社会1科目または倫理+政治・経済の2科目
- 数学
- 数学Ⅰ
- 理科
- 外国語(実質英語必須[注 9])
- コミュニケーション英語Ⅰ
科目免除・単位繰り入れ[編集]
中退した学校で単位を修得した科目[注 11]や、一定以上の級を取得した外国語、数学、日本史B、世界史Bの各教科・科目に対応する認定された検定試験について、当該科目を合格済として科目免除が得られる規定がある。但し、全科目免除を満たしても最低1科目の受験は必要。
一方、単位制高等学校在籍者は、所属の校長の裁量で、高認の合格科目を修得済単位に繰り入れ可能である。
沿革[編集]
「大学入学資格検定#沿革」も参照
高認合格の著名人[編集]
「大学入学資格検定#大検合格の著名人」も参照
関連項目[編集]
- 高認サポート校
脚注[編集]
- 注
- ↑ 学校教育法施行規則63条の2により、高等学校の全課程の修了の認定(卒業認定)は高校校長が行うものとされる。
- ↑ 高専は2年未満の在籍や3年次修了が成らずに退学した場合。
- ↑ 諸事情で中卒資格を得られなかった者も受験が可能。一方、前身の大検は中卒必須だった。
- ↑ 高等専門学校の4年次もしくは3年次の編入学については出願資格の有無が学校によって分かれる。
- ↑ このため、合格時に17歳でも、4月1日までに18歳になる人は大学に出願できる。但し、飛び入学実施の殆どの大学は満17歳以下の高認合格者を現在出願資格者としていない。
- ↑ 保健体育科のうち保健、家庭科、情報科の科目は高校で必履修だが、高認科目に無い。
- ↑ 旧々課程以前の理科のように、高校学齢時の必修科目と高認の必須科目が大きく異なるのもあるので注意。
- ↑ a b 2科目選択では合格にならない。
- ↑ a b 英語以外の科目は出題されず、学校設定教科で英語以外の言語で振替可能にも関わらず、英語以外の言語では検定試験による科目免除もない。
- ↑ 一方、旧々課程で理科の全必修を満たした理科総合A、B2科目は科学と人間生活1科目分の免除しか得られないため、基礎付き科目1科目の追加受験が必要。
- ↑ 高等専門学校の3年次修了前の科目は含まれる。高等専修学校は文科省問合せ要となっている。
また、旧課程以前に修得した科目も科目振替がされるが、必須科目の移行措置はない。
- 出典