理科
理科(りか)とは、学校における教科・科目である。また、自然科学系の科目を指す。対義語は文科である
概要[編集]
自然科学の、小学校から中学校・高等学校まで学習する教科・科目としての名称。
単なる座学だけでなく、実験や観察を伴う内容が多いため特別教室として理科室が用意され、児童・生徒はそこに移動して授業を受ける。実験・観察がなく、座学のみの日も理科室を使うことが多い。学年が上がるに連れて内容が高度化していく。
理科室には人体模型や骨格標本などが置かれ、一種の不気味さを放っている。
小学校[編集]
小学校3年生より学習を開始する。1991年度までは1・2年生も理科を学習していたが、社会科と共に生活科へ統合された事で1・2年生の理科の授業は廃止された。これにより、NHK学校放送の小学校低学年向けの理科番組が放送を終了した。
中学校[編集]
中学校では、物理・化学現象、遺伝、気象天文といった抽象概念を含む分野を学ぶことで技術科との棲み分けがされている。
高等学校[編集]
高等学校では内容が細分化される。
現行[注 1]および旧課程[注 2]の高等学校の理科は基礎科目と専門科目[注 3]が存在する。
科学と人間生活 | 物理基礎 | 化学基礎 | 生物基礎 | 地学基礎 |
物理 | 化学 | 生物 | 地学 |
理科の必履修は以下の2つの履修形態がある。
- 生徒全員に科学と人間生活を履修させ、更に物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の4科目のうちいずれか1科目を履修させる。
- 生徒全員に物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎の4科目のうち3科目を履修させる。
以上から学校が選ぶ形を取っているが、前者は理数科以外の専門学科での教育課程に多く、大学入学共通テストに科学と人間生活が課されず、センター試験時代に選択可能だった工業数理基礎や簿記が理科の基礎1科目の代替に変更されなかったことから、普通科、理数科の大勢が後者の履修形態となっている。
いわゆる文系の生徒は基礎科目のみ、理系の生徒は基礎科目に加えて専門科目も履修することが多いが、専門科目の地学を履修する生徒は、大学個別入試に、ほとんど出題されないこともあってあまり多くない。
理科、および理科の応用分野の学問を総称して、理系の学問と呼ぶ[注 4]。
大学[編集]
大学だと、理学部の他、工学部、薬学部、農学部、医学部医学科などで理科の知識が必須。
文科系学部では、1,2年次の共通教養科目で自然科学分野として細分化された理科に関する科目を履修できる場合が多い。なお放送大学の授業科目にあるので、開講されていない場合でも放送大学の科目の単位振替が認められる大学では卒業単位として単位修得できる。
沿革[編集]
- 戦前は軽視されていたが、1940年から、「国民に科学する心」を植え付けるために重要視されるようになった。教科名も「理数科」と改められた。
高校理科の科目名の変遷[編集]
- 旧々々々課程(1982年〜1993年高校入学者)では、基礎科目の理科Iと物化生地の専門4科目があり、理科Ⅰ必修だった。
- 旧々課程(2003年〜2011年高校入学者)では、理科総合A、Bと物化生地にI、Ⅱがあり、理科総合の2科目か理科総合1科目と物化生地の各Ⅰの科目が必修だった。
教員免許取得[編集]
大学の教員養成課程以外でも、理学部で中高、農学部で高校の理科教員免許が取得できる大学が多い[注 5]。取得に当たっては、高校は4分野のうちの専攻の1つの実験の単位修得で済むのに対し、中学校では4分野全ての実験の単位修得が必須で教員養成課程以外では高負担となる。また、昨今中学校では脱ゆとりで理科の時間数が増え、教員の需要が旺盛である。よって、公立中学校の教員採用試験では、低倍率の傾向のある教科である。高校は中学ほど低倍率ではないが、時間講師の需要は低くない。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- 注