鈴木邦男
鈴木 邦男(すずき くにお、昭和18年(1943年)8月2日 - 令和5年(2023年)1月11日)は、右翼活動家、作家、評論家。「一水会」名誉顧問。河合塾講師。「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」(のりこえねっと)共同代表。コリア国際学園後援会発起人。「オールジャパン:平和と共生」顧問。
来歴[編集]
福島県郡山市生まれ。母親は生長の家の活動をしていた。高校時代は生長の家高校生連盟(生高連)に所属[1]。1963年早稲田大学に入学。乃木坂にあった生長の家の学生道場(学生寮)に入寮。学内では生長の家の学生サークルに所属。1966年に全学ストが起きると他の保守系サークルなどとともに早稲田大学学生有志会議を結成。1966年3月に有志会議を母体とした早稲田大学学生連盟(早学連)初代議長[2]。1966年5月生長の家学生会全国総連合(生学連)初代書記長[3]。1966年11月に早学連を母体とした日本学生同盟(日学同)の結成に参加するが、生学連の役員を務めていたこともあり、結成後は参加しなかった[2]。
1967年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。1969年5月に全国学生自治体連絡協議会(全国学協)の初代委員長となったが、初代書記長の安東巌らと対立し、1ヶ月で退任した。1970年に早稲田大学大学院政治学専攻修士課程を中退し、産経新聞の記者となった。1970年の三島由紀夫、森田必勝の自殺に衝撃を受けて、1972年に阿部勉、犬塚博英、四宮正貴らと新右翼団体「一水会」を結成し、1999年まで代表を、2015年まで顧問を務めた。一水会は新右翼の代表的な団体として知られるが、2015年に自ら右翼団体と名乗ることを止めている。
武闘派であったが論客に転じ、左翼の言論人と交流する。安倍晋三の改憲論や在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチに反対し、中国人監督李纓の映画「靖国 YASUKUNI」公開を右翼が妨害した際には公開に尽力した。テレビの討論番組や多くの著書を通し、イデオロギーの枠を超えた言論活動を展開した。プロレス評論も執筆した。
2023年1月11日午前11時25分、誤嚥性肺炎のため、病院で死去した。79歳没。葬儀は近親者で行なわれた。
主著[編集]
- 『腹腹時計と<狼> <狼>恐怖を利用する権力』(三一書房・三一新書)1975
- 『時代の幽閉者たちに 鈴木邦男政治論集』(暁島津書房) 1976
- 『証言・昭和維新運動』(島津書房)1977
- 『現代攘夷の思想』(暁書房)1978
- 『行動派のための読書術 よりよい<知的生活>のために』長崎出版 1980.3
- 『80年代のナショナリズム モスクワ・ベルリン・北京の旅から考える』長崎出版 1980.10
- 『読書大戦争 日本語の楽しい遊びと現代の読み方』彩流社 1986.10
- 『新右翼―民族派の歴史と現在』彩流社 1988) ISBN 4882023091
- 『テロ 東アジア反日武装戦線と赤報隊』彩流社、1988.9
- 『がんばれ! 新左翼 「わが敵わが友」過激派再起へのエール』エスエル出版会、鹿砦社、1989
- 『平成元年のペレストロイカ がんばれ,ゴルバチョフ』アイピーシー 1990.3
- 『赤報隊の秘密 朝日新聞連続襲撃事件の真相』エスエル出版会 発売:鹿砦社 1990.5
- 『闘う日本語 愛と革命の読書道』エスエル出版会 発売:鹿砦社 1990.11
- 『天皇制の論じ方 タブーなき言論、テロルなき討論を』アイピーシー 1990 「言論の不自由!?」ちくま文庫
- 『本が面白くなる!超読書術 やっぱり、読書人間は人生が楽しい。』かんき出版 1990
- 『民族派最前線 明確なる敵を求めて』島津書房 1992
- 『脱右翼宣言』中川右介編 アイピーシー 1993
- 『これが新しい日本の右翼だ 「恐い右翼」から「理解される右翼」へ』日新報道 1993.7
- 『闘うことの意味―プロレス、格闘技、そして人生 対談集』(佐山サトル・景山民夫・河内家菊水丸・井上章一・夢枕獏)エスエル出版会、鹿砦社) 1993
- 『世紀末世界をどう生きるか 「新右翼」の立場から』河合ブックレット 1993.3
- 『90年代のナショナリズム 新しい「共生」の時代を迎えて』長崎出版 1994.5
- 『受験は不惜身命で勝て キミは、人生でもっとも美しいこの闘いに燃えているか』ごま書房 1995
- 『夕刻のコペルニクス』正続・3 扶桑社、1996―2000 のち文庫
- 『右であれ左であれ 対談集』エスエル出版会 鹿砦社 (発売)1999
- 『がんばれ!!新左翼』pt.2-3 エスエル出版会 鹿砦社 (発売)1999―2000
- 『右翼・公安用語の基礎知識 知ってトクする!? 書下ろし辞典』アートブック本の森 コアラブックス (発売)2000.2
- 『売国奴よ!―魂を売るべからず』(廣済堂出版)2001
- 『言論の覚悟』(創出版)2002
- 『ヤマトタケル イラスト版オリジナル』現代書館 2004
- 『公安警察の手口』ちくま新書)2004 ISBN 4480061983
- 『公安化するニッポン 実はあなたも狙われている!』WAVE出版 2005
- 『愛国者は信用できるか』講談社現代新書)2006 ISBN 4061498428
- 『愛国者の座標軸』作品社) 2007 ISBN 978-4861821677
- 『愛国の昭和―戦争と死の七十年』講談社 2008 ISBN 978-4062148917
- 『失敗の愛国心』理論社・よりみちパン!セ)2008 「増補 失敗の愛国心」理論社)2012
- 『「蟹工船」を読み解く 魂の革命家小林多喜二』データハウス)2009 ISBN 978-4781700021
- 『愛国と米国-日本人はアメリカを愛せるのか』平凡社新書) 2009 ISBN 978-4582854718
- 『右翼は言論の敵か』ちくま新書、2009
- 『日本の品格』柏艪舎)2009 ISBN
- 『遺魂』無双社)2010
- 『愛国と憂国と売国』集英社新書0617B)2011 ISBN 978-4-08-720617-3
- 『竹中労---左右を越境するアナーキスト』 (河出ブックス) (河出書房新社)2011 ISBN 978-4309624372
- 『新・言論の覚悟』創出版)2011 ISBN 978-4904795125
- 『歴史に学ぶな』(dZERO) 2014 ISBN 978-4-8443-7621-7
- 『「連合赤軍は新撰組だ!」:その〈歴史〉の謎を解く』彩流社)2014.2 ISBN 978-4779119873
- 『秘めてこそ力』柏艪舎) 2013 ISBN 978-4434175374
- 『BEKIRAの淵から 証言・昭和維新運動』皓星社)2015 ISBN 978-4774406015
- 『新右翼〈最終章〉』〔新改訂増補版〕: 民族派の歴史と現在 彩流社) 2015 ISBN 978-4779121333
- 『テロ《新版》東アジア反日武装戦線と赤報隊』彩流社)2015 ISBN 978-4779196508
- 『〈愛国心〉に気をつけろ!』(岩波ブックレット)(岩波書店)2016 ISBN 978-4002709512
- 『これからどこへ向かうのか』柏艪舎)2016.9 ISBN 978-4434223815
- 『天皇陛下の味方です 国体としての天皇リベラリズム』バジリコ, 2017
- 『言論の覚悟 脱右翼篇』創出版, 2017
- 『憲法が危ない!』祥伝社新書 2017
共編著[編集]
- 『アントニオ猪木・過激プロレスの崩壊』編著 エスエル出版会 発売:鹿砦社 1987.1
- 『プロレス・シュート・格闘技 :よみがえれ!!過激伝説』エスエル出版会、鹿砦社) 1988
- 『UWF革命 シューティングの彼方に』 エスエル出版会 発売:鹿砦社 1988.8
- 『格闘プロレスの探究』 エスエル出版会 発売:鹿砦社 1989.1
- 『宗教なんてこわくない 上手な付き合い方』 エスエル出版会 発売:鹿砦社 1993.2
- 『行動派の整理学』遠藤誠共著 現代書館 1994.7
- 『激論・世紀末ニッポン 戦争犯罪 阪神・淡路大震災 オウム真理教事件』浅野健一 三一新書 1995
- 『僕が右翼になった理由、私が左翼になったワケ』和多田進共著 晩聲社 1997.3
- 『たまゆら (神蔵美子写真集)』女装モデル (マガジンハウス)ISBN 978-4838710652
- 『こんな日本大嫌い! 辛淑玉対鈴木邦男』青谷舎 1999.11
- 『突破者の本音 残滓の思想』宮崎学共著 青谷舎 1999.5 のち幻冬舎文庫
- 『日本国民のための北朝鮮原論』井上周八,重村智計共著 デジタルハリウッド出版局 2000
- 『僕の憲法草案』(橋爪大三郎、呉智英ほかと共著) ポット出版 2001.10 ISBN 978-4939015021
- 『鬼の闘論 いでよ変革者!』( 松崎明と共著)創出版、2005 ISBN 4924718653
- 『言論統制列島 誰もいわなかった右翼と左翼』斎藤貴男,森達也共著 講談社 2005.6
- 『天皇家の掟―『皇室典範』を読む』(佐藤由樹と共著)祥伝社新書)2005 のち黄金文庫
- 『日本の右翼と左翼』(宝島社)2006 ISBN 978-4796655392
- 『私たち、日本共産党の味方です。』筆坂秀世と共著 情報センター出版局 2007
- 『超日本国憲法』潮匡人,斎藤貴男,林信吾と共著 講談社 2007
- 『本と映画と「70年」を語ろう』川本三郎と共著 朝日新書 2008
- 『右翼の掟 公安警察の真実』(北芝健と共著) 日本文芸社 2010 ISBN 978-4537256963
- 『未来に語り継ぐ戦争』(岩波ブックレット)(東京新聞社会部)岩波書店 2012.1 ISBN 978-4002708263
- 『生きた思想を求めて―鈴木邦男ゼミin西宮報告集〈Vol.1』鹿砦社 2012.3 ISBN 978-4846308605
- 『思想の混迷、混迷の時代に―鈴木邦男ゼミ in 西宮 報告集〈Vol.2〉』鹿砦社 2013.2 ISBN 978-4846309244
- 『だれがタブーをつくるのか――原発広告・報道を通して日本人の良心を問う』(本間龍共著) 亜紀書房 2013.2 ISBN 978-4750513027
- 『終わらないオウム』(上祐史浩、徐裕行、田原総一朗と共著)鹿砦社 2013.5 ISBN 978-4846309497
- 『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』保阪正康,東郷和彦,富坂聰,宇野常寛,江田憲司,金平茂紀,松元剛共著 (角川oneテーマ21) 角川書店 2013.6 ISBN 978-4041104897
- 『愛国者の憂鬱』(坂本龍一と共著)金曜日 2014.1 ISBN 978-4906605958
- 『錯乱の時代を生き抜く思想、未来を切り拓く言葉―鈴木邦男ゼミ in 西宮報告集〈Vol.3〉』鹿砦社 2014.1 ISBN 978-4846309831
- 『「日本の分」について考える――鈴木邦男シンポジウム1・2』 (ネプチューン“ノンフィクション”シリーズ) (中島岳志と共著) 柏艪舎 2014
- 『「右翼」と「左翼」の謎がよくわかる本』(監修)(グループSKIT編著)PHP研究所 2014.7 ISBN 978-4569819372
- 『いま語らねばならない戦前史の真相』(孫崎亨と共著) 現代書館 2014.10 ISBN 978-4768457474
- 『保守と右翼 八木秀次、河野洋平、鈴木邦男が問う安倍首相の「思想の底流」』 (朝日新聞デジタルSELECT) 朝日新聞社 Kindle
- 『慨世の遠吠え 強い国なりたい症候群』(内田樹と共著) 鹿砦社 2015.3 ISBN 978-4846310387
- 『吉田松陰』 (FOR BEGINNERSシリーズ) 増補新装版 現代書館 2015.3 ISBN 978-4768401088
- 『「日本の分」について考える2 鈴木邦男シンポジウム3・4』(佐高信、山口二郎、藤野彰共著)ネプチューン“ノンフィクション”シリーズ 2015.7 ISBN 978-4434198502
- 『戦争を通すな!』(福島みずほとの共著) 七つ森書館 2015.9 ISBN 978-4822815424
- 『「右翼」と「左翼」の謎』(監修)(グループSKIT編著)PHP研究所 2015.11 ISBN 978-4569764795
- 『万博と沖縄返還――1970年前後 (ひとびとの精神史 第5巻)』岩波書店 2015.11 ISBN 978-4000288057
- 『テロル―Terror (シリーズ紙礫)』皓星社 2016 ISBN 978-4774406114
- 『昭和維新史との対話――検証 五・一五事件から三島事件まで』(保阪正康との共著)現代書館 2017.3 ISBN 978-4-7684-5794-8
- 『憂国論 戦後日本の欺瞞を撃つ』白井聡共著 (祥伝社新書 2017
- 『徹底解剖安倍友学園のアッキード事件』佐高信編, 木村真,横田一, 野中大樹,福島みずほ共著 七つ森書館, 2017
- 『慨世の遠吠え2』(内田樹と共著)鹿砦社 2017
- 『権藤成卿の君民共治論』 荒岩宏奨,浦辺登,小野耕資,折本龍則,坪内隆彦共著 展転社 2019
- 『彼女たちの好きな鈴木邦男』望月衣塑子,雨宮処凛,松本麗華,香山リカ,三浦瑠麗,入江杏,ミサオ・レッドウルフ,中村真夕共著 ハモニカブックス 2020
出演[編集]
テレビ[編集]
- 激論・全共闘 (1984)
- 朝まで生テレビ(テレビ朝日)激論! 日本の右翼と言論の自由と暴力!! (1990.2)
- 密着!少年右翼 (1990)
- 朝まで生テレビ(テレビ朝日)激論! こんな日本に誰がした! ド〜する根腐れニッポン?! (1996.9.28)
- ミライ (フジテレビ)司会:笑福亭鶴瓶、南原清隆(2003)
- 朝まで生テレビ(テレビ朝日)激論! オウム・連合赤軍は終わらない?! (2004.3.27)
- 朝まで生テレビ(テレビ朝日)激論!天皇 (2006.2.25)
- 朝まで生テレビ(テレビ朝日)激論! 昭和天皇と靖国神社 (2006.7.29)
- もうひとつの日本(朝日ニュースター)(2006.11.18)
- 激論!クロスファイア (2013)
- 朝まで生テレビ (テレビ朝日)激論! 大丈夫か?! 日本の防衛 (2013.6.1)
- 激論!クロスファイア(2016.7.28)
- たかじんのそこまで言って委員会・そこまで言って委員会NP(読売テレビ)(これまで30回ほど出演している)
- NHKスペシャル 未解決事件File.06 赤報隊事件(NHK) (2018.1.28)
映画[編集]
- ベオグラード1999 (2010年、監督:金子遊)ドキュメンタリー
- 沈黙の隣人 (2010年、監督:増田俊樹)特別出演、刑事役
- 天皇ごっこ 見沢知廉 たった一人の革命 (2011年、監督:大浦信行)出演
- 11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち (2012年、監督:若松孝二) 企画協力
- 天皇と軍隊 (2015、監督:渡辺謙一)ドキュメンタリー
- ベースメント(2016、監督:井川楊枝) 特別出演、刑事役
- 愛国者に気をつけろ!鈴木邦男(2020年、監督:中村真夕)ドキュメンタリー
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 一水会
- 鈴木邦男をぶっとばせ!(独自ドメイン 2008年1月~)毎週月曜日にコラム「今週の主張」が更新
- 鈴木邦男をぶっとばせ!blog出張所
- Mammo.tv >> 今週のインタビュー(2001.09.10号 Part1)鈴木邦男 さん
- 鈴木邦男(@suzukikunyon) - X(旧:Twitter)
- 鈴木邦男 - Facebook
- 鈴木邦男 - Facebook
- ↑ 100歳の誕生日。友達100人、出来ました! 鈴木邦男をぶっとばせ!、2013年8月12日
- ↑ a b 愛国から憂国へ、そしてナショナリズムを疑った鈴木邦男さん 安田浩一ウェブマガジン「ノンフィクションの筆圧」、2023年1月28日
- ↑ 菅野完『日本会議の研究』扶桑社新書、2016年、275-278頁