井上周八
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井上 周八(いのうえ しゅうはち、1925年3月9日[1] - 2014年[2])は、マルクス経済学者。専門は経済理論、農業経済学[2]。立教大学名誉教授。チュチェ思想国際研究所名誉理事長。
人物[編集]
山形県上ノ山(現・上山市)で生まれた[3]。特攻隊に志願するも終戦を迎え、戦後は日本共産党に入党した(のち離党)[4]。1946年明治学院高等商業部卒[5]。1949年立教大学経済学部卒。1952年東京商科大学本科卒。1959年立教大学大学院経済学研究科博士課程所定単位修得[6]。1965年「地代の理論 : 戦後論争点の批判的考察」で経済学博士(立教大学)[7]。立教大学経済学部助手・講師・助教授・教授を務め[1]、地代論の研究で業績を残した[3]。主著に『地代の理論――戦後論争点の批判的考察』(理論社、1963年)、『農業経済学の基礎理論』(東明社、1967年)などがある[2]。
1979年3月~4月にチュチェ思想国際研究所の第1回目の訪朝団6名の一員として初めて訪朝してから一貫して北朝鮮(本人は「朝鮮」「共和国」と呼ぶ)を賛美している。訪朝前は金日成主席に対する個人崇拝には否定的であった。帰国後、社会党の機関誌『月刊社会党』と公明党の機関誌『公明』に寄稿し「朝鮮のすばらしさ」を紹介。以後毎年のように訪朝し、1982年5月11日と1990年9月17日に金日成主席と接見している[8]。
1990年3月に立教大学経済学部を定年退職し、6月に同大学名誉教授となる。この時点でチュチェ思想国際研究所理事長[1]、2005年時点で同名誉理事長。2005年4月1日、井上の80歳の誕生日に際し金正日総書記がおくった贈物を徐萬述朝鮮総聯議長から朝鮮会館で手渡された[9]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『地代の理論――戦後論争点の批判的考察』(理論社、1963年)
- 『農業経済学の基礎理論』(東明社、1967年)
- 『日本資本主義のあゆみ』(青木書店[青木新書]、1968年)
- 『日本資本主義の米価問題』(亜紀書房、1968年、増補版1971年)
- 『現代マルクス経済学――唯物史観・哲学入門』(亜紀書房、1972年)
- 『現代日本の経済的諸問題』(税務経理協会、1977年)
- 『経済学――解説と研究』(文眞堂、1979年)
- 『現代朝鮮と金正日書記』(雄山閣、1983年)
- 『Modern Korea and Kim Jong Il.』(雄山閣、1984年)
- 『経済政策論序説――わたしの経済哲学と資本主義経済批判』(文眞堂、1985年)
- 『チュチェ思想概説――愛と統一の実践哲学』(雄山閣、1987年)
- 『人間中心のチュチェ思想――チュチェ思想に関する連続講座』(チュチェ思想国際研究所、1990年)
- 『解説 チュチェ思想』(チュチェ思想国際研究所、1992年)
共著[編集]
- 『マルクス経済学演習』(本間要一郎、高野利治、小林威雄、金子ハルオ、種瀬茂、清水嘉治共著、春秋社、1962年)
- 『現代日本経済の批判』(久保田順、和田八束共著、文眞堂、1974年)
- 『協同組合論・批判と考察』(岡野昇一共著、文眞堂、1976年)
- 『日本国民のための北朝鮮原論』(鈴木邦男、重村智計共著、デジタルハリウッド出版局、発売:駿台社、2000年)
分担執筆[編集]
- 立教大学経済学研究会編『河西太一郎先生在職三十五年記念論文集』(立教大学経済学研究会、1960年)
- 野田稔、加藤寛、中村秀一郎、大野英二、新野幸次郎編『経済政策講座 第4巻 現代における経済体制と経済政策』(有斐閣、1964年)
- 遊部久蔵編『資本論講座 第6分冊 地代・収入』(青木書店、1964年)
- 越村信三郎、石原忠男、古沢友吉編著『資本論の展開――批判・反批判の系譜』(同文館出版、1967年)
- 宮本義男編『経済原論』(有斐閣[有斐閣双書]、1969年)
- 日本経済政策学会編『公害と経済政策』(勁草書房[日本経済政策学会年報]、1972年)
- 平和経済計画会議経済白書委員会編『国民の経済白書 1974』(日本評論社[経済評論増刊号]、1974年)
- 佐藤金三郎、岡崎栄松、降旗節雄、山口重克編『資本論を学ぶ』(有斐閣[有斐閣選書]、1977年)
- 加藤寛、五井一雄、小松雅雄、高柳暁、野田総編『現代経済政策体系 第3巻 産業と政府の経済政策』(勁草書房、1978年)
- 佐藤金三郎編『基礎経済学大系 2 マルクス経済学』(青林書院新社、1980年)
- 近藤康男編『昭和後期農業問題論集 10 食糧管理制度論』(農山漁村文化協会、1982年)
- 日本経済学会連合編『経済学の動向 第2集』(東洋経済新報社、1982年)
- 『金日成主席誕生70周年記念研究論文集』(チュチェ思想国際研究所、1982年)
- 日本経済政策学会編『環太平洋連帯と日本経済』(勁草書房[日本経済政策学会年報]、1982年)
- 『主席金日成――生誕八十周年記念』(金日成主席傘寿記念出版刊行会、1992年)
- 『金正日書記誕生50周年記念研究論文集』(チュチェ思想国際研究所、1992年)
- 『金日成主席との印象深い会見――金日成主席誕生80周年記念会見記集』(チュチェ思想国際研究所、1992年)
出典[編集]
- ↑ a b c 「井上周八教授の略歴および業績(井上周八教授記念号)」『立教経済学研究』44巻2号、1990年10月
- ↑ a b c 老川慶喜、渡邉恵一「老川慶喜先生の人と学問 : インタビュー (老川慶喜教授記念号)」『立教経済学研究』69巻5号、2016年3月
- ↑ a b 久保田順「井上周八教授の人と学問--研究・教育・実践につらぬくヒュ-マニストの意識 (井上周八教授記念号)」『立教経済学研究』44巻2号、1990年10月
- ↑ 世界を救ったハイジャック 鈴木邦男をぶっとばせ!(2009年3月30日)
- ↑ 岡野昇一、井上周八『協同組合論・批判と考察』文眞堂、1976年
- ↑ 井上周八『農業経済学の基礎理論』東明社、1967年
- ↑ CiNii 博士論文
- ↑ 井上周八「人間の尊厳と価値を高めたチュチェ思想の創始者」、『金日成主席との印象深い会見――金日成主席誕生80周年記念会見記集』チュチェ思想国際研究所、1992年
- ↑ 2005年 在日本朝鮮人総聯合会