柳家小三治

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
柳家小三治 (10代目)から転送)
ナビゲーションに移動 検索に移動
Wikipedia-logo.pngウィキペディアの生真面目ユーザーたちが柳家小三治の項目をおカタく解説しています。

柳家 小三治(やなぎや こさんじ)は落語家名跡。現在は空き名跡。この名跡は中堅どころの位置付けであるが、「柳家(柳派)の出世名」といわれる[注釈 1]七代目立川談志が小三治という名を欲しがっていたというエピソードはよく知られるが、談志は襲名せずに後輩の当代(十代目)が襲名した。歴代小三治の全員が小さんになったわけではなく、廃業し落語協会事務員に転じた者もいるため、「実は小さんにも五厘(寄席の事務員)にもなる名前」とのギャグを当代小三治が使っている。七代目・八代目の柳家小三治は併存したことがある。


十代目 柳家 小三治昭和14年(1939年12月17日 - 令和3年(2021年10月7日)は、東京都新宿区出身の落語家[1]落語協会顧問。出囃子は『二上りかっこ』[1]定紋は『変わり羽団扇[1]。本名∶郡山 剛藏(こおりやま たけぞう)[1]。「高田馬場の師匠」とも呼ばれた。

経歴[編集]

ラジオの素人寄席で注目され、高校卒業後の昭和34年(1959年)に5代目柳家小さんに入門する。昭和44年(1969年)に17人抜きで真打ち昇進を果たし、10代目柳家小三治を襲名した。

柳家はしぐさ、間がうまく、ひょうひょうとした語り口でおかしみにあふれた高座を高く評価された。得意演目も多く、「死神」「青菜」「千早ふる」「初天神」などがそれである。

芸術選奨文部大臣新人賞1981年)、芸術選奨文部科学大臣賞2004年)、紫綬褒章2005年)、旭日小授章2014年)など受賞も多い。また、師匠の小さんや桂米朝に次いで落語界で3人目となる人間国宝にも選ばれた。平成22年(2010年)から4年間、落語協会会長を務めたり、後進の育成にも尽力した。別名を「まくらの小三治」とも呼ばれたり、多趣味で著書も数多いことで知られている。

令和3年(2021年)10月7日午後8時、心不全のため、東京都内の自宅で死去した。81歳没。自宅で食事をした後、外出して帰宅したところを倒れているのを家族が見つけ、急いで救急車を呼んだが急死したという。最後の仕事は10月2日の東京都府中市の劇場での「猫の皿」の口演であり、その後も落語会の仕事の予定が多く入っている中での急死であった。葬儀は柳家の生前の遺志により、密葬で行われた。

柳家自身は「落語が楽しい。これからも頑張る」などと死ぬ前に語っていたという。

出演[編集]

映画[編集]

ドキュメンタリー[編集]

  • 小三治(2009年、ドキュメンタリー映画『小三治』上映委員会=オフィス・シマ/ヒポコミュニケーションズ)[注釈 6]

テレビ番組[編集]

落語中継[編集]

バラエティ番組[編集]

ドキュメンタリー番組[編集]

テレビドラマ[編集]

ラジオ番組[編集]

web配信[編集]

  • 柳家小三治からのメッセージ(テレビ北海道youtube公式チャンネル、2020年4月25日、18:30~)- 同日開催予定の札幌独演会がコロナ禍で中止となったことを受けての無料生配信・無観客高座。演目は「千早ふる」。アーカイブ無し
  • 関内寄席 柳家小三治・柳家三三 親子会(・streaming+、2020年10月2日、有料)関内ホール主催公演の配信。
  • 柳家小三治一門会(鹿児島テレビローチケライブストリーミング、2020年10月15日・有料)鹿児島・宝山ホールでの公演の同時配信。
  • 柳家小三治 初春の会(夢空間・streaming+、2020年1月28日、有料)練馬文化センター大ホールでの会のアーカイブ配信。柳家〆治・柳家三之助共演。
  • NBC新春寄席 柳家小三治・柳家喬太郎・柳家三三 三人会(長崎放送・PIA LIVE STREAM、2021年1月24日・有料)長崎・とぎつカナリーホール公演の生配信&アーカイブ。
  • 第37回 安比スキー寄席 (ホテル安比グランド・ZAIKO ZERO、2021年2月26日・有料)岩手・ホテル安比グランドでの落語会の生配信&アーカイブ。柳家〆治・柳家三三・柳家三之助共演。
  • 柳家小三治 柳家三三 親子会 配信版(サンライズプロモーション東京・streaming+、2021年4月2日~4日・有料)2021年3月26日に大手町三井ホールで開催の会を後日配信予定だったが、小三治の体調不良により会・配信共に中止となった。

CM[編集]

LP・カセット・CD・DVD[編集]

多数リリースされているが、そのほとんどがソニーミュージックエンタテインメント京須偕充によってプロデュースされたものである。

CD-BOX[編集]

著書[編集]

写真集[編集]

芸談・エッセイ[編集]

  • 『落語家仲間泣き笑い行状記?読むだけで楽しくバイクの腕があがる』(1984年、交通タイムス社
  • 『落語家論』(2001年、新しい芸能研究室、文庫版:ちくま文庫
  • 『どこからお話ししましょうか 柳家小三治自伝』(2019年、岩波書店

対談・インタビュー[編集]

速記集[編集]

マクラのみの速記集[編集]

  • 『ま・く・ら』(1998年、講談社文庫
  • 『もひとつ ま・く・ら』(2001年、講談社文庫)
  • 『バ・イ・ク』(2005年、講談社文庫)

雑誌[編集]

  • 別冊太陽スペシャル 永久保存版 十代目 柳家小三治』(2018年10月、平凡社

絵本[編集]

いずれも、文・絵:野村たかあき、監修:柳家小三治、教育画劇刊。

  • 『しにがみさん』(2004年)
  • 『ねこのさら』(2017年)
  • 『しばはま』(2018年)
  • 『そこつ長屋』(2019年)

寄稿[編集]

関連書籍[編集]

  • 佐渡新発見(1993年、三一新書、著:東京やなぎ句会)
  • 噺家カミサン繁盛記(1998年、講談社文庫、著:郡山和世)[注釈 16]
  • 友あり駄句あり三十年 恥多き男づきあい春重ね(1999年、日本経済新聞社、編:東京やなぎ句会)
  • 師匠噺(2007年、河出書房新社、著:浜美雪)[注釈 17]
  • 五・七・五 句宴四十年(2009年、岩波書店、編:東京やなぎ句会)
  • 楽し句も、苦し句もあり、五・七・五 五百回、四十二年(2011年、岩波書店、編:東京やなぎ句会)
  • 友ありてこそ、五・七・五(2013年、岩波書店、編:東京やなぎ句会)
  • なぜ「小三治」の落語は面白いのか?(2014年、講談社、著:広瀬和生
  • 前座失格(2015年、彩流社、著:藤原周壱)[注釈 18]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. 初代・五代目・九代が柳派の総帥・留め名である「柳家小さん」を襲名した一つ前の名となるからである。
  2. エースデュースエンタテインメントよりDVD発売。
  3. ハピネット・ピクチャーズよりDVD発売。
  4. VHSビデオテープあり。
  5. エスピーオーよりDVD発売。
  6. 各地の映画館を廻り上映された。
  7. ここでの高座が『落語研究会 柳家小三治全集』(ソニーミュージックエンタテインメント/小学館 MHBL-35-45)としてDVD化されている(ボックスセットのみの発売)。
  8. 若手大喜利は正規の大喜利とは別の企画で、不定期に開催された。
  9. コーナー司会(小三治)が「横丁の月番」という設定。アシスタントを務めていたのが真打になる前の春風亭小朝で、「横丁の若様」と自称していた。小朝のキャッチフレーズの発祥である。
  10. 1994年、番組700回記念大会にもOBチームメンバーとして佐藤陽子とペアで出演した。
  11. この放送は『プロフェッショナル 仕事の流儀 第V期 噺家 柳家小三治の仕事』としてNHKエンタープライズよりDVD発売。
  12. 上記「ザ・ヒューマン」からの5分番組。
  13. 小三治の二つ目昇進から妻との結婚、弟子とのトラブルまでの半生を題材としたもので、朝の連続ドラマとして放送された。ただし、小三治本人は出演していない。
  14. 加山雄三宇崎竜童鳳蘭小沢昭一白石かずこ三上寛永六輔戸川昌子小島美子との対談集。
  15. 末廣亭2005年6月下席の詳細な記録。小三治は『小沢昭一の小沢昭一的こころ』がどれほど自分の落語のマクラに好影響を与えたかを記している。
  16. 夫人による著書。
  17. 弟子柳家喜多八への小三治に関するインタビューを掲載。
  18. 破門された元弟子の柳家小多けが著した暴露本

出典[編集]

  1. a b c d 柳家 小三治|一般社団法人 落語協会”. 一般社団法人 落語協会. 2017年9月12日確認。
  2. 止まらない男 柳家小三治”. NHK. 2021年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月22日確認。
  3. 2021年3月20日、90分拡大版がNHKBS4Kで放送。

参考文献[編集]

  • 諸芸懇話会・大阪芸能懇話会共編 『古今東西落語家事典』 平凡社 ISBN 458212612X

外部リンク[編集]