能勢電鉄
能勢電鉄(のせでんてつ)は、兵庫県と大阪府にまたがる日本の中小鉄道会社である。川西能勢口と妙見口および日生中央を結んでいる通勤路線を経営。
概要[編集]
能勢口駅(現・川西能勢口駅)から能勢妙見山への参拝客輸送を目的として1435mm軌間の能勢電気軌道として設立された会社で、社名の由来となっている。
一時期は西武鉄道に買収されかけることもあったが、現在は阪急の子会社であり、阪急阪神ホールディングスの連結子会社である。2000年代前半まで不動産事業、2023年まで索道事業を行っていたほか、戦前の一時期には乗合自動車事業も行っていた。
路線[編集]
廃止路線[編集]
索道事業廃止前は、鉄道路線2路線とケーブルカーを含め、総営業キロは15.4kmだった。
- 妙見線
車両[編集]
車両も阪急から譲渡された車両を使っていることにより、復刻以外は見た目がまるで阪急。
在籍する車両は全て元々は阪急電鉄の車両である。6000系1編成と5100系2編成を除いて全て4両編成となっている。阪急時代からの番号を維持しているのも5100系と6000系のみである。
1700系[編集]
1990年登場。元阪急2000系電車 (初代)で譲渡時に方向幕が取り付けられた。他の系列とは異なり方向幕は左上のみに設置されている。方向幕の上部に種別、下部に行先が表示されるようになっている。外観は方向幕を除けば原形に近く、車体下部に前照灯が取り付けられることはなく、上部のままとなっている。最盛期には9編成が在籍していたが、2005年より廃車が始まり、2022年末までに7編成が運用を終えた。残る2本も2027年度までに置き換えられる見込みである。
5100系[編集]
2015年登場。元阪急5100系電車。方向幕はLEDのものに取替えられている車両もある。LED表示器以外の外観にはあまり変化は無い。7編成が在籍し、5124Fと5142Fのみ2両編成だが、予備車がないため他の編成が2両化されることもある。本系列により1500系がすべて淘汰され、その後1700系も本系列で置き換える予定だったが、消費電力量の問題からVVVF車の7200系に移行した。
6000系[編集]
2014年登場。元阪急6000系電車。能勢電鉄の車両で最も原形を留めている車両。8両1編成のみの在籍。あまり手を付けられていないせいで違いが全く分からないし、阪急線内を普通に走っているせいでどこ所属の車両かわからなくなってしまっている。しかも能勢電鉄線内に入ることは滅多に無い。譲渡される前との違いはロゴが阪急から能勢電鉄に変わっている程度。
7200系[編集]
2018年登場。元阪急6000系電車と元阪急7000系電車の車両をリニューアルした車両である。能勢電鉄初のVVVF車。3編成が在籍する。
2024年度以降、少なくとも2両編成2本が追加される見込み。
編成一覧[編集]
- 1700系
- 1755F
- 1757F
- 5100系
- 5108F - 幕車。
- 5124F - 幕車。2両編成。
- 5136F
- 5138F
- 5142F - 幕車。2両編成。
- 5146F
- 5148F
- 6000系
- 6002F - 8両編成。
- 7200系
- 7200F
- 7201F
- 7202F
過去の車両[編集]
新造車は1956年の51形・61形が最後だが、足回りまで含めた完全新造車に至っては1926年の31形が最後となっている。1500系以降の高性能車はすべて阪急からの譲受車である。
1000系[編集]
1986年登場。元阪急1010系電車および阪急1100系電車で譲渡時に方向幕が取り付けられた。1700系と同様に方向幕は左上のみに設置されている。前面は1700系とは異なり大幅に手を加えられ、5100系と同様の標識灯・尾灯が下部に設置された。2編成存在し、1998年に先頭車2両を廃車にして6両化されたが、2000年に運用離脱、2001年に廃車、2002年に解体され形式消滅。
1500系[編集]
1983年登場。元阪急2100系電車で譲渡時に方向幕が取り付けられた。1700系と同様に方向幕は左上のみに設置されている。外観自体も1700系とほぼ同様だが、主電動機出力が不足して1700系より先に登場した。能勢電鉄初の高性能車。当初は4両6編成が登場し、1997年に1編成が2両2編成となる。うち1560Fの1編成は1灯式の標識灯が下部に設置された。2015年より5100系による置き換えが始まり、2016年に全廃。
3100系[編集]
1997年登場。元阪急3100系電車で譲渡時に方向幕が取り付けられた。1700系と同様に方向幕は左上のみに設置されている。前面は1700系とは異なり大幅に手を加えられ、角型1灯式の標識灯が下部に設置された。1編成のみの存在だったが、2021年に7200系に置き換えられて廃車。
塗装[編集]
塗装は復刻を除いて阪急時代と変わらずのマルーン色である。
運行形態[編集]
- 普通
- 日中は全線で毎時6本の10分毎となっている。川西能勢口〜山下〜日生中央の運行が基本で、山下〜妙見口間は区間列車がほとんどである。両数は3両編成または4両編成である。朝夕には平野入庫などによる区間列車もある。
- 特急日生エクスプレス
- 基本的に阪急所属の車両で運行される。そのためたまにクロスシート車両も入ってくる。運行区間は日生中央〜川西能勢口〜大阪梅田。朝夕のみに運行される特急列車で能勢電鉄唯一の優等列車かつ阪急直通列車かつ8両編成の列車。運行区間の全域で通過運転をする。朝方は日生中央→大阪梅田、夕方は大阪梅田→日生中央となっている。能勢電鉄線内の停車駅は川西能勢口、平野、畦野、山下、日生中央。なお、能勢電鉄線内での普通列車の追い越しは行われない。ちなみに能勢電鉄線内で待避設備のある駅は平野駅の上り側のみである。
その他[編集]
「妙見線が京都府亀岡まで延長すれば、大阪~亀岡間を短絡するのに…」という妄想を抱く人は少なくないが、実際に延長する構想はあったようだ。もし、新京阪線が戦後の京阪神急行電鉄の企業分割で、戦前のように京阪に復帰すれば、阪急と京福[注 1]を結ぶ路線として、阪急に注目されたに違いない。