堺屋太一
堺屋 太一(さかいや たいち、昭和10年(1935年)7月13日 - 平成31年(2019年)2月8日)は、日本の作家、経済評論家、通産官僚。団塊の世代の名付け親としても知られる。本名は池口 小太郎(いけぐち こたろう)。妻は洋画家の池口史子。
経歴[編集]
大阪市出身。東大経済学部を卒業後の昭和35年(1960年)に通商産業省(現在の経済産業省)に入省する。昭和37年(1962年)版の通商白書で「水平分業論」を展開して注目を集める。昭和45年(1970年)に開催された大阪万博においては企画を担当し、沖縄開発庁(現在の内閣府)出向中においては沖縄海洋博の企画も務めた。在職中の昭和50年(1975年)には石油危機をテーマにした『油断!』で作家としてもデビューし、第1次ベビーブーム世代を団塊の世代として名付けた昭和51年(1976年)の『団塊の世代』という名の小説ではこの世代が日本社会に与える影響をいち早く予測するなど、将来を先取りする著作でベストセラー作家となった。昭和53年(1978年)に通産省を退官する。
その後は著作活動に専念し、昭和60年(1985年)には脱工業化社会を予言した「知価革命」を出版する。歴史小説でも多く出版し、「峠の群像」や「秀吉」などはNHK大河ドラマの原作にもなっている。
平成10年(1998年)7月から平成12年(2000年)12月まで、小渕恵三内閣と森喜朗内閣で民間人の閣僚として経済企画庁長官を務めた。第2次安倍晋三内閣では内閣官房参与に就任する。元官僚であったが、官僚主義の弊害を厳しく批判し、道州制など地方分権を推進した。政府税制調査会や国会等移転調査会委員、阪神・淡路復興委員会委員も務めた。
橋本徹が大阪市長であった際に成立した大阪維新の会においてはそのブレーンとなり、平成23年(2011年)12月から大阪府市併任の特別顧問となる。また民間の外国人雇用協議会の会長などを務め、外国人労働者の雇用拡大も提言した。
平成31年(2019年)2月8日午後8時19分、多臓器不全のため、東京都の病院で死去した。83歳没。
主な著書[編集]
著作集[編集]
- 『堺屋太一著作集』東京書籍
- 第1巻 油断!/団塊の世代 2016
- 第2-3巻 巨いなる企て 2016
本名での著作[編集]
- 『EEC その経済と企業』(日本能率協会、1962年)
- 『日本の地域構造 地域開発と楕円構造の再建』(東洋経済新報社、1967年)
- 『日本の万国博覧会 その意義・計画・効果』(東洋経済新報社、1968年)
- 『万国博と未来戦略 ビジネスマンのためのガイド』(ダイヤモンド社、1970年)
予測・現代小説[編集]
- 『油断!』(日本経済新聞社、1975年)※のち文春文庫、日経ビジネス人文庫。
- 『団塊の世代』(講談社、1976年)※のち文春文庫。
- 『破断界』(実業之日本社、1976年)※のち文春文庫。
- 『ひび割れた虹』(日本経済新聞社、1978年)※のち文春文庫。
- 『世紀末の風景』(文藝春秋、1985年)※のち文庫。
- 『向かい風の朝 小説・空港国際競争』(朝日新聞社、1994年)※のち朝日文庫
- 『平成三十年』(朝日新聞社、2002年)※朝日新聞に連載。のち朝日文庫。
- 『活断層』(幻冬舎、2006年)
- 『団塊の秋』祥伝社 2013年
歴史小説[編集]
- 『巨いなる企て』(毎日新聞社、1980年)のち文春文庫
- 主人公は石田三成。関ヶ原の戦いが起こっていく様をあらたな視点から掘り起こしている。
- 『峠の群像』(日本放送出版協会、1981-1982年)のち文春文庫
- 秀吉の弟からみた戦国時代。1996年のNHK大河ドラマ「秀吉」の原作。
- 『鬼と人と~信長と光秀~』(PHP研究所、1989年)のち文庫
- 『俯き加減の男の肖像』(新潮社、1995年)のち文庫
- 『秀吉 夢を超えた男』(日本放送出版協会、1996年)のち文春文庫
- 1996年のNHK大河ドラマ「秀吉」の原作。
- 『世界を創った男 チンギス・ハン』日本経済新聞社、2007年 日経ビジネス人文庫、2011
- 1 絶対現在、2 変化の胎動、3 勝つ仕組み、4 天尽地果
- 『三人の二代目』講談社 2011
小説以外の社会評論等[編集]
- 『危機と克服の断章』(実業之日本社 1978年)
- 『80年代の読み方 10年スパンで日本経済を先見する』(祥伝社ノン・ブック 1979年)
- 『群化の構図 「知恵の文化」が創る日本列島』(実業之日本社、1980年)
- 『日本人への警告』(プレジデント社、1982年)のち新潮文庫
- 『峠から日本が見える』(実業之日本社、1982年)のち新潮文庫
- 『歴史からの発想 停滞と拘束からいかに脱するか』(プレジデント社、1983年)のち新潮文庫、日経ビジネス人文庫
- 『先取りの群像・大阪 関西過去・未来考』(PHP研究所、1983年)
- 『次代思考の座標軸』(PHP研究所、1984年)のち文庫
- 『イベント・オリエンテッド・ポリシー 楽しみの経済学』(NGS、1984年)のち角川文庫
- 『知価革命 工業社会が終わる・知価社会が始まる』(PHP研究所、1985年)のち文庫
- 『三脱三創 90年代への備え方 知価革命に何が邪魔で、何が不可欠か』(祥伝社、1986年)のち新潮文庫
- 『千日の変革 日本が変わる社会が変わる』(PHP研究所、1987年)のち文庫
- 『現代を見る歴史』(プレジデント社、1987年)のち新潮文庫
- 『豊国論 日本の未来のために』(ネスコ、1987年)のち文春文庫
- 『先見後顧』1-3(毎日新聞社、1988-1992年)のちPHP文庫
- 『新規の世界・転機の日本 「新戦後」90年代を読む』(実業之日本社、1990年9月)のちPHP文庫
- 『「飛躍の主役」たちとの対話』(実業之日本社、1990年)
- 『「新都」建設 これしかない日本の未来』(文藝春秋、1990年)のち文庫
- 『日本とは何か』(講談社、1991年)のち文庫
- 『日本革質 社会の質を変えねば繁栄はない』(PHP研究所、1991年)のち文庫
- 『風と炎と』(扶桑社、1992-1993年)のち新潮文庫
- 『平成不況に克つ手 景気対策緊急提言』(PHP研究所、1993年)
- 『組織の盛衰 何が企業の命運を決めるのか』(PHP研究所、1993年)のち文庫
- 『危機を活かす』(講談社、1993年)のち文庫
- 『世は自尊好縁 満足化社会の方程式を解く』(日本経済新聞社、1994年)のち新潮文庫
- 『満足化社会の方程式 乱期を解く!』(日本経済新聞社、1994年)のち新潮文庫
- 『都会国・日本像 大競争世界で栄える道』(PHP研究所、1994年)のち文庫
- 『「大変」な時代 常識破壊と大競争』(講談社、1995年)のち文庫
- 『経営創革 自由競争とローコストに向けて 堺屋太一と12人の対話』(実業之日本社、1995年)
- 『日本を創った12人』(PHP新書、1996-1997年)のち文庫
- 『創国論』(PHP研究所、1996年)
- 『「次」はこうなる』(講談社、1997年)
- 『明日を読む』(朝日新聞社、1997年)「堺屋レポート」文庫
- 『欣求楽市 戦国戦後半世紀』(毎日新聞社、1998年)
- 『あるべき明日 日本・いま決断のとき』(PHP研究所、1998年)
- 『時代末』(講談社、1998年)のち文庫
- 『明日を診る』(朝日新聞社、1999年)「堺屋レポート」文庫
- 『歴史に学ぶ「勝者」の組織革命』(集英社文庫、1999年)
- 『未来への助走 「あるべき姿の日本」を求めて』(PHP研究所、1999年)
- 『「変革期」の人と組織 歴史に学ぶ』(集英社文庫、2000年)
- 『明日を想う』(朝日新聞社、2000年)「堺屋レポート」文庫
- 『堺屋レポート1997-2001』(朝日新聞社、2001年)
- 『時代が変わった』(講談社、2001年)
- 『豊かさはどこへ行くのか 日本経済の百年を考える (NHK人間講座)』(NHK出版、2002年)
- 『明日を企てる12人』(朝日新聞社、2002年)
- 『日本の盛衰 近代百年から知価社会を展望する』(PHP新書、2002年)
- 『「平成三十年」への警告 日本の危機と希望を語る』(朝日新聞社、2002年)のち『平成三十年』と改題して文庫化。
- 『中国大活用 (ビジネスリーダー・シリーズ)』(NTT出版、2002年)
- 『東大講義録 文明を解く』(講談社、2003年)日経ビジネス人文庫、2010年
- 『高齢化大好機』(NTT出版、2003年)のち『これからの十年日本大好機』と改題して日経ビジネス人文庫。
- 『救国12の提言 新しい「かたち」と「きもち」を創る』(PHP研究所、2003年)
- 『歴史の使い方』(講談社、2004年)日経ビジネス人文庫、2010年
- 『ブランド大繁盛 (ビジネスリーダー・シリーズ)』(NTT出版、2004年)
- 『堺屋太一の見方 時代の先行き、社会の仕組み、人間の動きを語る』(PHP研究所、2004年)のち文庫
- 『「わがまま」のすすめ』(東京書籍、2004年)
- 『ブランドと百円ショップ 知恵働きの時代』(朝日新聞社、2005年)
- 『エキスペリエンツ7 団塊の7人』(日本経済新聞社、2005年)のち文庫
- 『団塊の世代「黄金の十年」が始まる』(文藝春秋、2005年)のち文庫
- 『堺屋太一が解くチンギス・ハンの世界』(講談社、2006年)
- 『団塊世代 「次」の仕事』(講談社、2006年)
- 『CD+テキスト 堺屋太一の日本を創った12人』(PHP研究所、2006年)監修。
- 『人生の「秋」の生き方 「後半の幸せ」とは何か』(PHP研究所、2008年)
- 『対話 芸術のある国と暮らし』(実業之日本社、2008年)
- 『東京タワーが見た日本 1958-2008』(日本経済新聞出版社、2008年)
- 『大激震 堺屋太一かく語りき』(実業之日本社、2008年)
- 『凄い時代 勝負は二〇一一年』(講談社、2009年)
- 『巨富への道 創業の極意を探る』PHP研究所 2010
- 『第三の敗戦 緊急警告!』講談社 2011
- 『人を呼ぶ法則』幻冬舎新書 2012
- 『「維新」する覚悟』文春新書 2013
- 『戦国時代の組織戦略』集英社 2014
- 『堺屋太一が見た戦後七〇年七色の日本 自伝』朝日新聞出版 2015
共著[編集]
- 『競争の原理』(竹井出版、1987年)渡部昇一共著。
- 『新しい日本のために』(講談社、1993年)加藤寛共著。
- 『21世紀 日米共生の時代 グローバル時代の国家と経済の役割』(PHP研究所、1998年)稲盛和夫と[責任編集]、日米21世紀委員会[監修]
- 『情報楽市 激動のネット社会を予見する 次はこう動く!!』(扶桑社、1999年)池田純一、泉博史、広瀬克哉、井戸芳之の共著。
- 『国家百年の計』(致知出版社、2001年)渡部昇一、中西輝政、小野晋也、山本夏彦、林望、多田富雄、村上和雄、唐津一、石井威望、牛尾治朗、中西巌、芳村思風、土屋秀宇共著。
- 『「官僚」と「権力」 省庁再編はなぜねじ曲げられたか』(小学館、2001年)水野清、榊原英資、岡本行夫共著。
- 『進むべき道 日本は楽しくなれる』(PHP研究所、2001年)浜田宏一共著。
- 『日本の正論 21世紀日本人への伝言』(産経新聞社、2001年)渡部昇一、加藤寛、唐津一、曽野綾子、竹村健一、石原慎太郎、西部邁、猪木正道、岡崎久彦、田久保忠衛、西尾幹二、小堀桂一郎、三浦朱門、上坂冬子共著。
- 『あるべき金融 リスクテイクなくして再生なし』(東洋経済新報社、2003年)刈屋武昭、植草一秀共著。
- 『どうして売れるルイ・ヴィトン』(講談社、2004年)「堺屋太一と東京大学堺屋ゼミ生」名義。
- 『日本の社会戦略 世界の主役であり続けるために』(PHP新書、2006年)稲盛和夫共著
- 『こんな日本に誰がした 日本の危機と希望』(扶桑社、2006年)渡部昇一、岡崎久彦、松田尚士共著。
- 『松下幸之助経営回想録』(2007年)松下幸之助、堺屋太一の共同名義。
- 『イベント学のすすめ。』(ぎょうせい、2008年)「イベント学会編 会長 堺屋太一」名義。
- 『経営者の品格 今こそ問われるリーダーの人間力!』(プレジデント社、2009年)城山三郎、三鬼陽之助、加護野忠男の共著。
- 『日本 米国 中国 団塊の世代』(出版文化社、2009年)浅川港、ステファン・G・マーグル、葛慧芬、林暁光共著。
- 『体制維新-大阪都』橋下徹共著 文春新書 2011
- 『緊急提言日本を救う道』編著 日本経済新聞出版社 日経プレミアシリーズ 2011
- 『図解大阪維新とは何か』上山信一,原英史共著 幻冬舎 2012
- 『歴史の遺訓に学ぶ 日本を拓いた偉人たち』渡部昇一共著 致知出版社 2016
翻訳[編集]
- ウイルフレッド・ベッカーマン『経済成長擁護論 終末論を告発する』(日本経済新聞社、1976年)
- ハワード・J・ラフ『破局に備える '80年代を乗り切る法』(講談社、1980年)
- ジャック・アンダーソン『フィアスコ 「油断」への道』(光文社、1984年)
- ジョン・ディーボルド『アメリカ知価革命 大変革に遅れる組織への警告』(光文社、1986年)
- ドナルド・L・バーレット、ジェームズ・B・スティール『アメリカの没落』(ジャパンタイムズ、1993年
- リチャード・クー,ピーター・タスカ、ターガート・マーフィー『未来はいま決まる ビッグバンの予測と現実』(フォレスト出版、1998年
- ジョン・ケネス・ガルブレイス『よい世の中 The Good Society』(日本能率協会マネジメントセンター、1998年)監訳、佐々木直彦・佐々木純子[訳]
- ジャイルズ・マレー『対訳 日本を創った12人』(講談社インターナショナル、2003年)
対談[編集]
外部リンク[編集]
- 堺屋太一略歴(首相官邸)
- 堺屋太一さん、どうしましょう?-糸井重里との対談〜ほぼ日刊イトイ新聞
- 出版文化社 堺屋太一シリーズ