飯山線の歴史

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本項では、飯山線の歴史を解説する。

歴史[編集]

豊野駅 - 十日町駅間は私鉄の飯山鉄道(いいやまてつどう)によって、十日町駅 - 越後川口駅間は鉄道省十日町線(とおかまちせん)として開業した。両線は1929年に繋がって全通した。太平洋戦争終盤、信越本線が攻撃された際の迂回路として1944年飯山鉄道戦時買収により国有化され、十日町線を含めて飯山線となった。バス専業会社として残った飯山鉄道は1945年越後交通に吸収された[1]

飯山鉄道[編集]

飯山鉄道
種類株式会社
本社所在地日本国旗.png日本
長野県下水内郡飯山町1丁目114番地4[2]
設立1917年(大正6年)9月11日[2]
業種鉄軌道業
事業内容旅客鉄道事業、バス事業[2]
代表者社長 新井章治[2]
資本金10,000,000円[2]
発行済株式総数200,000株(内新株140,000)[2]
主要株主東電證券 153,692株[2]
特記事項:上記データは『株式会社年鑑. 昭和18年版』より[2]

飯山鉄道は1917年8月30日に設立され、1067mm軌間の蒸気鉄道の軽便鉄道施設免許が交付されたが資本金50万円に対し建設費車両購入費などでおよそ135万円かかるとされ沿線町村の寄付を見込んでも50万円が不足していた。鉄道院監督局は不足分を借入金で賄うことに危惧していたという。ところが沿線の信濃川に流入する中津川水力発電所を計画していた信越電力(東京電燈鈴木商店の共同出資のちに東京電燈に合併)がその建設資材の輸送手段として飯山鉄道を利用するために出資することになり株式の大半を保有することとなった[3]。そして電源開発のため延長することになり資本金を300万円に増資した。1921年に豊野駅 - 飯山駅間が開通してからは発電所建設資材運搬のため下流の新潟県境へ延伸していくことになった。

  • 1917年(大正6年)5月5日 飯山鉄道に対し鉄道免許状下付(上水内郡神郷村-下水内郡飯山町間)[4]
  • 1920年(大正9年)3月20日 鉄道免許状下付(下水内郡飯山町-同郡岡山村間)[5]
  • 1921年(大正10年)10月20日 飯山鉄道 が豊野駅 - 飯山駅間を開業、信州浅野(現・信濃浅野)・上今井・替佐・飯山の各駅および蓮・静間停留場を新設[6]
  • 1922年(大正11年)9月15日 鉄道免許状下付(下水内郡岡山村-中魚沼郡十日町間) [7]
  • 1923年(大正12年)
    • 7月6日 飯山駅 - 桑名川駅間を延伸開業、信州平(現・信濃平)・戸狩(現・戸狩野沢温泉)・上境・桑名川の各駅および北飯山停留場を新設[8]
    • 12月1日 桑名川駅 - 西大滝駅間を延伸開業、西大滝駅を新設[9]
  • 1925年(大正14年)11月19日 西大滝駅 - 森宮野原駅間を延伸開業、横倉・森宮野原の各駅および信州白鳥停留場を新設[10]
  • 1927年昭和2年)
    • 8月1日 森宮野原駅 - 越後外丸駅間を延伸開業、越後田中・越後外丸の各駅を新設[11]
    • 11月6日 越後外丸駅 - 越後田沢駅間を延伸開業、越後鹿渡・越後田沢の各駅を新設[12]
  • 1928年(昭和3年)10月23日 信州白鳥停留場を駅に変更。
  • 1929年(昭和4年)9月1日 越後田沢駅 - 十日町駅間を延伸開業し十日町線と合わせて現在の飯山線の区間が全通、越後水沢・土市・十日町(国有鉄道既設駅)の各駅を新設[13]
  • 1930年(昭和5年)5月16日 伊達臨時停留場を新設。
  • 1931年(昭和6年)
  • 1932年(昭和7年)5月25日 伊達駅を大黒沢駅に改称。
  • 1934年(昭和9年)
  • 1936年(昭和11年)6月15日 大黒沢臨時停留場を廃止。
  • 1937年(昭和12年)
    • 4月1日 足滝臨時停車場を新設。
    • 8月9日 北外丸臨時停車場を新設。
  • 1941年(昭和16年)9月9日 北飯山停留場を駅に変更。
  • 1942年(昭和17年)8月13日 北外丸臨時停車場を駅に変更。
輸送・収支実績
年度 輸送人員(人) 貨物量(トン) 営業収入(円) 営業費(円) 営業益金(円) その他益金(円) その他損金(円) 支払利子(円) 政府補助金(円)
1921 62,057 8,871 35,959 49,317 ▲ 13,358
1922 258,832 63,327 199,470 161,331 38,139
1923 413,129 79,851 299,577 219,318 80,259 雑損5,712 84,737 106,051
1924 465,883 37,608 246,638 222,819 23,819 雑損54 61,612 245,725
1925 487,730 38,926 255,427 194,429 60,998 27,112 243,076
1926 447,275 48,447 280,464 275,139 5,325 7,619 345,640
1927 470,093 40,094 279,403 318,907 ▲ 39,504 雑損5,390 36,824 347,789
1928 504,119 34,745 270,248 359,790 ▲ 89,542 118,988 350,651
1929 550,755 37,574 299,509 335,200 ▲ 35,691 雑損10,907 154,638 354,201
1930 496,082 30,286 242,235 327,571 ▲ 85,336 雑損5,617 169,720 355,167
1931 407,618 30,366 221,140 254,871 ▲ 33,731 雑損2,925 155,379 273,515
1932 382,504 42,170 206,379 206,665 ▲ 286 雑損371 154,793 216,545
1933 417,071 38,538 213,526 225,324 ▲ 11,798 雑損2,328 152,404 161,007
1934 462,998 45,994 228,767 198,674 30,093 雑損922 144,413 173,021
1935 445,603 49,460 227,550 197,070 30,480 自動車231 雑損償却金60,528 127,592 177,920
1936 509,736 69,507 297,164 227,974 69,190 自動車業3,527 雑損償却金147,373 106,325 186,158
1937 677,251 150,768 468,675 396,401 72,274 自動車業21,126 自動車業2,490雑損償却金149,485 91,041 153,019
  • 鉄道省鉄道統計資料、鉄道統計資料、鉄道統計各年度版

十日町線[編集]

  • 1927年(昭和2年)
    • 6月15日 越後川口駅 - 越後岩沢駅間を十日町線として新規開業、内ケ巻駅・越後岩沢の各駅を新設[14]
    • 11月15日 越後岩沢駅 - 十日町駅間を延伸開業、下条・魚沼中条・十日町の各駅を新設[15]

飯山線(飯山鉄道買収後)[編集]

  • 1944年(昭和19年)6月1日 飯山鉄道を買収し国有化、十日町線を編入し豊野駅 - 越後川口駅間 (83.8km) を飯山線と改称[16]。信州白鳥・北外丸の各駅、静間・上桑名川の各停留場、足滝臨時停車場を廃止、信州浅野駅を信濃浅野駅に、信州平駅を信濃平駅に、野沢温泉駅を上境駅にそれぞれ改称、蓮停留場を駅に変更。
  • 1946年(昭和21年)6月1日 信濃白鳥仮乗降場を新設。
  • 1950年(昭和25年)1月28日 信濃白鳥仮乗降場を駅に変更。
  • 1951年(昭和26年)
    • 3月1日 上桑名川仮乗降場を新設。
    • 10月10日 上桑名川仮乗降場を駅に変更。
  • 1955年(昭和30年)11月10日 長野駅 - 戸狩駅間に気動車列車を3両のディーゼルカー(キハ42600-42603)により運転開始[17]。飯山駅折り返し3往復、戸狩駅折り返し3往復。
  • 1958年(昭和33年)8月8日 立ケ花駅を新設。
  • 1960年(昭和35年)7月15日 足滝駅を新設。
  • 1968年(昭和43年)10月1日 越後外丸駅を津南駅に改称。
  • 1969年(昭和44年)
  • 1970年(昭和45年)1月22日 高場山トンネル(前述)が地すべりにより崩落。その後ルートを山の奧側に変更し、同年11月29日に新しいトンネル(新高場山トンネル)が開通した[20]
  • 1982年11月15日:県都連絡急行「うおの」が快速格下げ。
  • 1986年11月1日ダイヤ改正。全線を運転し、長岡駅に乗り入れていた急行「野沢」を廃止。
  • 1987年(昭和62年)
  • 1993年平成5年)12月 タブレット閉塞から特殊自動閉塞化される[21]
  • 1994年(平成6年)4月1日 全列車が終日禁煙化[22]
  • 1995年(平成7年)
    • 3月15日 全線にCTCPRCを導入[21]
    • 7月12日 7.11水害により信濃浅野駅近くの鳥居川鉄橋が冠水したことと立ケ花駅 - 上今井駅間で土砂崩れが発生したことにより飯山線全線が運休となる[23][24]
    • 7月14日 飯山駅 - 越後川口駅間が運転再開[25]
    • 7月18日 飯山線全線で運転が再開される[24]
  • 1997年(平成9年)10月1日 ワンマン運転開始。全列車を110系気動車に置き換え。
  • 2010年(平成22年)4月1日 森宮野原駅 - 越後川口駅間の路線管理を長野支社から新潟支社に移管。
  • 2011年(平成23年)
    • 3月12日 長野県北部地震により、横倉駅 - 森宮野原駅間で土砂崩れが発生し、路盤が消失[26]。戸狩野沢温泉 - 越後川口間が不通となる。22日に十日町駅 - 越後川口駅間が運転再開。4月29日に全線で運転再開[26]
    • 7月30日 新潟・福島豪雨により、森宮野原駅 - 十日町駅間が不通となる。
    • 9月16日 全線で運転再開。
  • 2013年(平成25年)9月16日 台風18号により、中条川橋りょうが損傷。戸狩野沢温泉 - 森宮野原間で不通となる。同月21日に運転再開。
  • 2014年(平成26年)
    • 4月1日 桑名川駅 - 西大滝駅間で発生した土砂流出により運転を見合わせ。戸狩野沢温泉駅 - 森宮野原駅間で不通となる。同月14日に運転再開。
    • 11月9日 飯山駅が長野側に約300m移転し北陸新幹線(2015年3月14日開業)の駅と併設となる[27][28][29]
  • 2015年(平成27年)3月14日 北陸新幹線延伸開業に伴い、信越本線長野駅 - 豊野駅間がしなの鉄道北しなの線となり(直通運転は継続)、豊野駅のJR線としての所属が飯山線となる(管轄はしなの鉄道)。
  • 2017年(平成29年)
    • 5月22日 飯山市内の井出川流域で山腹崩落が発生し、戸狩野沢温泉駅 - 森宮野原駅間が不通となる。6月5日からバス代行[30]
    • 6月25日 飯山線全線で運転が再開となる[31]
  • 2019年(令和元年)

出典[編集]

  1. 鈴木文彦著 日本のバス p103
  2. a b c d e f g h 『株式会社年鑑. 昭和18年版』(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. 総株数20万株うち152千株を東電が保有株式社債年鑑. 昭和7年度
  4. 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1917年5月8日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. 「鉄道免許状下付」『官報』1920年3月23日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1921年10月25日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. 「鉄道免許状下付」『官報』1922年9月16日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1923年7月10日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1923年12月8日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  10. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1925年12月1日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  11. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1927年8月10日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  12. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1927年11月17日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  13. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1929年9月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  14. 「鉄道省告示第118号・第119号」『官報』1927年6月9日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  15. 「鉄道省告示第263号・第264号」『官報』1927年11月9日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  16. 「運輸通信省告示第249号・第250号」『官報』1944年5月27日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  17. 『鉄道ピクトリアルアーカイブスセレクション』No.13、146頁
  18. 「飯山市など浸水 国鉄は橋梁が流され普通」『朝日新聞』昭和44年(1969年)7月7日朝刊12版、15面
  19. 「豪雪で地すべり 交通禁止中 人身事故さける」『中國新聞』昭和45年1月22日夕刊 7面
  20. 宮脇俊三・原田勝正『全線全駅鉄道の旅 6 中央・上信越 JR私鉄2200キロ』小学館、1991年、p.101
  21. a b “JR長野支社 進む飯山線近代化 CTC、PRC化が完了”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (1995年3月20日 
  22. “4月から飯山線全車で終日禁煙”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1994年3月25日 
  23. “県北部の豪雨 線路、相次いで流失”. 信濃毎日新聞 (信濃毎日新聞社): p. 7(夕刊). (1995年7月12日 
  24. a b “県北部豪雨災害 被災から1週間目、飯山線全線開通”. 信濃毎日新聞 (信濃毎日新聞社): p. 6(夕刊). (1995年7月18日 
  25. “JR東日本 集中豪雨の長野支社管内 昼夜懸命の復旧作業 予想上回る早期開通”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1995年8月7日 
  26. a b 信濃毎日新聞社出版部 『長野県鉄道全駅 増補改訂版』 信濃毎日新聞社、2011年7月24日、51頁。ISBN 9784784071647
  27. 飯山線飯山駅は新しい駅に生まれ変わります。PDF - 東日本旅客鉄道長野支社、2014年7月29日
  28. “新飯山駅、11月9日開業 新幹線延伸控え移転”. 信濃毎日新聞. (2014年7月30日). オリジナル2014年8月14日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140814095826/http://www.shinmai.co.jp/news/20140730/KT140729FTI090012000.php 2014年11月10日閲覧。 
  29. “3階建てJR飯山駅が移転オープン 北陸新幹線延伸で 観光施設も併設 長野”. 産経ニュース. (2014年11月9日. http://www.sankei.com/life/news/141109/lif1411090047-n1.html 2014年11月10日閲覧。 
  30. 「飯山市照岡 井出川流域で発生した山腹崩落」に伴う飯山線の運転見合わせ及びバス代行についてPDF - 東日本旅客鉄道長野支社、2017年6月2日
  31. 飯山線が全線で運行再開 観光列車「おいこっと」も7月1日から運転 - 乗りものニュース、2017年6月26日
  32. “飯山線開通90周年号”運転”. 鉄道ファン (2019年10月5日). 2019年10月18日確認。
  33. 令和元年台風第19号による被害状況等について(第2報)”. 国土交通省 (2019年10月12日). 2019年10月18日確認。
  34. a b 令和元年台風第19号による被害状況等について(第10報)”. 国土交通省 (2019年10月15日). 2019年10月18日確認。
  35. しなの鉄道長野-妙高高原間 あす始発から再開”. 信濃毎日新聞 (2019年10月17日). 2019年10月18日確認。
  36. a b 令和元年台風第19号による被害状況等について(第35報)”. 国土交通省 (2019年11月1日). 2019年11月2日確認。

関連項目[編集]