代行輸送

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代行輸送(だいこうゆそう)とは、ある交通機関が運行不能となった場合に別の交通機関がその輸送を代行すること。

概要[編集]

何らかの事情で輸送機能が不全となった場合に別の交通機関でその輸送を代行する。

主として鉄道において見られるが、船舶航路や航空航路においてもその実施例がないわけではない。以下特記ない限り、鉄道の代行輸送について記す。

バス代行[編集]

道路運送法第21条に定められた「国土交通大臣の許可を受けた場合等における、貸切バス事業者、タクシー事業者による乗合旅客の運送」の規程を利用し、他の輸送機関の代行輸送をバスで行う。

ジェイアール四国バスを除くJRバスグループ各社は親会社のJR旅客鉄道会社の鉄道代行輸送が業務の一つに含まれており、プレミアムドリーム号・グランドリーム号のような高級シート装備車以外の多くの高速車・一般路線車・貸切車に「列車代行」「鉄道代行」といった表示が収録されている。その他私鉄系のバス会社や鉄道会社とバス代行輸送の契約を締結しているバス会社の所有車両でも「鉄道代行」「列車代行」の表示を用意している。

災害や大規模な鉄道事故・不発弾処理・線路工事など長時間・長期にわたって列車の運行が不可能となった場合、バスによる代行輸送が行われるが道路事情によってはバス代行が出来ない事もある。

バス代行の主な事例[編集]

阪神淡路大震災の事例[編集]

1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災では、震災発生の6日後から西宮市内と神戸市内を結ぶ鉄道代行バスの運転を開始した。

この時、阪急電鉄阪急バス阪急観光バス阪神電気鉄道阪神電鉄バスと名古屋阪神観光バス、JR西日本西日本ジェイアールバスJR九州自動車事業部、神姫バスの各社を基本に車両・乗務員を招集し、各停留所に地上係員を配置して運賃収受・定期券の券面確認を行った。
山陽新幹線も三田と姫路の間で中国自動車道播但連絡道路経由の代行バスを設定。[1]三田駅からはJR福知山線の列車で山陽新幹線の代行を担った。

秋田新幹線建設工事の事例[編集]

秋田新幹線の開業に際し、田沢湖線は全線全列車を運休して改軌工事を行った。列車運休中はジェイアールバス東北羽後交通岩手観光バス岩手県北自動車秋田中央交通の5社が代行輸送を行った。

水曜どうでしょうのサイコロの旅にもこの代行バスが1度登場している。

なお、北上〜横手〜秋田間にも特急「秋田リレー」が設定され、鉄道他路線による代行輸送も行っていた。

船舶代行[編集]

不通区間の輸送を船舶によって代行することが可能な場合、船舶で代行輸送を行うことがある。近年は貨物の代行輸送に船舶が用いられる事もあるが、かつて飯田線小和田-大嵐間が不通となった際は線路と並行して流れる天竜川に形成された佐久間ダムの人造湖上を航路とする鉄道代行船舶が運行されたことがある。使用した船舶は電源開発の保有するダム湖巡視船で、電源開発職員の保有する船舶免許は旅客輸送の出来ないものであったため、函館から普段は青函連絡船を操船している船長・船員・機関長を招聘して旅客を船舶で代行輸送したという事例がある。[2]

脚注[編集]

  1. 当初は新大阪発着としていたが、中国自動車道の大渋滞により間もなくこの区間に変更された。
  2. 初代社長が語る、JR東海の「観光列車論」東海道新幹線は観光列車になりうるのか