数学

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数学(すうがく)とは、一般的には形式科学の一分野とされ、自然科学とは区分される。数、空間、図形、論理などについて研究する学問およびその教育のことである。「量」については一般的には扱われないが、量子力学との関連から、扱われることも多い。

概要[編集]

数学は都市文化において「学ぶべきこと」とされ、(「マセマティック」の語源もそうである)、同時に「都市の市民として身につけておくもの」とされたが、メソポタミアやエジプトなどの古代文化ではメディアがパピルスや粘土板とか(石とか)であったので、ほとんど口伝によったらしい。「都市文化における、『説得』と『納得』の技法」のひとつといえる。
よって、法治国家であある現代日本の社会には不可欠の学問であるといえる。土地の面積や距離、高度を計算する測量速度時間の計算、物質の荷重や強度といった構造力学等も古典的な数学の範囲であるが、情報工学パワーエレクトロニクス、放射性元素の崩壊といった20世紀後半から発達した工学では電子計算機を用いて膨大な計算を行う必要が生ずるようになった。
なお、第二次世界大戦中には非線形の微分方程式を数値計算によって(近似的に)解くことを目論んで電子計算機の開発が行われたが、終戦に間に合ったのはドイツのエニグマ暗号を解くためのイギリスの「ボンベ」のみであり、あまり役には立たなかったらしい。その後、膨大な物資や人員の輸送に大量に計算をする必要が生じてがプログラミング言語COBOLが発明され、現代に至る。
現代ではコンピュータによる数学研究は盛んであり、代表例として四色問題がある。

分類[編集]

  • 純粋数学 - 数学そのもの。
  • 応用数学 - 数学的に進める他の学問。
    • 数理物理学
    • 数理工学
    • 数理経済学

沿革[編集]

古代[編集]

数学の登場は古代エジプト時代のピラミッド建設の際、土地の測量や労働者の食糧、宿舎の建設の際に必要な物資の計算に必要であった。また、カレンダーを作って季節毎の天気予報を予測したり、原始的な時計の作成にも数学は重要な学問であった。また、文字の発明から数字も作られ、数学に使用されたが、古代エジプト文明は漢数字、古代バビロニアの数字は後のインド数字に近かったので、多少の混乱はあったようである。
これは他の文明、黄河文明インダス文明等でも同様であった。ここで、インドで発生した0の概念は数学の発展に大きな影響を及ぼした。
後代の古代ギリシアでは労働はおおむね奴隷に任せて一般市民は政治軍事学問に専念した。ここで数学は大いに飛躍した。素数無理数の概念が生まれ、アルキメデスのような学者も登場した。古代ギリシアにとって代わったローマ帝国では数学の進歩はなかったが、これに基づいた工学が発達し、巨大な建築物が作られた。

中世[編集]

ローマ帝国が滅びると、ヨーロッパは大混乱となった。これにとって代わったビザンツ帝国はギリシア数学を保存していたが、イスラム勢力の侵攻によってこれも衰退した。イスラム教偶像崇拝を禁止したので抽象的なデザインが発達し、これが幾何学の発展に大きな影響を与えた。代数学も発達し、インド数学の0の概念も取り入れた。また、インド数字からいわゆるアラビア数字が作られ、さらにギリシア語の書物をアラビア語に翻訳してギリシア数学の保存のほか、注釈を書き入れ、数学の発展に大きな影響を与えた。

近世[編集]

イスラム世界との交易と留学生の派遣によってイタリアを中心にヨーロッパにイスラム文化が流入し、ルネサンスが始まる。数学も例外ではなく、多くの文献がアラビア語からラテン語に翻訳された。さらに負の数の概念が発表され、三次方程式を解く過程で虚数が誕生した。そして高等数学が誕生した。

算数との違い[編集]

小学校では、数学ではなく算数を学ぶ。算数は、筆算などの計算方法と、日常生活での実用性に重きを置いているのに対し、数学は理論的な内容が中心となり、物理学・工学・経済学など学問への応用があるが、「負の数」の概念、統計を除いて、日常生活に直結する事柄を連想させにくいのが大きな特徴である[注 1]

数学を学ぶ意義[編集]

小学校における算数(算術あるいは計算術)と中学校における数学は実用的な使い道があるが、「それ以上のことを学ぶ意味は教養とするものなのか?」という疑問は当然のように持たれる。「文学や法学を学ぶ者が数学を学ぶ意味は何なのか[注 2]?」という問いもある。
とはいえ数学は「都市文化における合意形成の技術」という側面があり、これは法治国家には欠かせない。同時に「数学には合理的な(合目的な)考え方を育成する」という目的があり、「自由主義や民主主義や資本主義の形成において必須である」という意味では、教養の一部である。
また、数学は証明問題は法学にも転用できる。
また、楽譜の記述においても応用され、正調律は分数、黄金律は対数がその基礎に置かれているために、黄金律においては「移調」というテクニックが行われ、ジャズにおいては「黄金律によりながら、いかに正調律に近づけるか」というので「ブルーノート」という技法が生まれた[1]なお、管楽器は一般に正調律によるので、黄金律によって演奏をするのには困難があったが、そこを改良したものがいわゆるサキソフォンである。

数学者[編集]

とくに資格などは不要であり、数学の研究者はおしなべて「数学者」である。「それで収入を得ているか」も無関係であり、ピエール・ド・フェルマーの本業は裁判官であった。

数学者[編集]

数学を研究する人物をいい、特に年齢・学歴・性別を問わないし、アマチュアかプロか(それで収入を得ているか)も問わない。たとえばピエール・ド・フェルマーの正業は裁判官である。
数学者であり数学教育家でもある遠山啓さんは、「数楽者」(すーらくもん)を自称していた。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 北海道では負の数の概念は小学生でも理解できる余地がある。
  2. 「論理的な思考を身につけるため」と2020年9月18日のチコちゃんに叱られる!で放送していた。
出典
  1. 山下洋輔『風雲ジャズ帳』の「ブルーノートの研究」などを参照のこと。