測量
測量 (そくりょう)とは、ある地点の距離、面積、標高を調査することである。
概要[編集]
測量は角度と距離によって行われ、基準となる点と観測機器を設置する点から測定する場所の角度と距離をひたすら測っていくものである。現代の測量においては光波測距儀とセオドライトが一つになったトータルステーションを用いて行われ、距離と角度をワンアクションで計測することが可能になった。現地における観測データを計算し、座標を求めることで面積や標高を算出することができる。20世紀に入ると飛行機にカメラを搭載し、撮影した写真から測量する写真測量が始まり、その後上空からレーザ計測器を用いて計測する航空レーザ測量が実用化されている。21世紀になるとUAV技術が発展し、UAVに搭載できるカメラやレーザ計測器によるUAV測量が実用化されている。
地形の把握は軍事上重要なものでもあり、軍部が測量を所管していたこともある。かつてGNSS衛星の一種であるGPSはアメリカの重要な地点における精度を意図的に落としていたことが知られている。
目的[編集]
地形や地理情報の把握のための地図の作成や、土木構造物、建築物の建設のために行う。土地の所有権を登記するために行われることもあるほか、隣接する互いの土地の境界を確定するために行われることもある。また、課税のために行われたこともある。
基準[編集]
日本においては基本測量により設置された三角点や水準点、電子基準点を基準として測量が行われる。これらの基準点をもとにして測量する範囲に基準点を新設し、地形などの測量が行われる。なお、測量においては緯度経度を用いず、ほとんどの場合で平面直角座標系が採用されており、南北がX、東西をYで表し、高さをZとしている。
歴史[編集]
紀元前230年頃、ギリシアの地理学者エラトステネスは、夏至におけるアレクサンドリアでの影の大きさとアレクサンドリアと北回帰線上のアスワンとの距離から、初めて地球の大きさを推定した。地球の半径を7361kmとした。
三角測量[編集]
地表面はほぼ球形であるが、数キロメートル単位未満であればユークリッド幾何学を用いても誤差は無視しても実務上差し支えないことがほとんどである。そのため、測量の対象となる地表面がユークリッド平面であると見做してユークリッド幾何学を適用して行う測量法が三角測量である。
三角形の合同条件は三つあり、
- 三辺合同
- 二角夾辺
- 二辺夾角
なので、これによって当該地表面上の位置を測定するものである。
いわゆるポケコンやプログラマブル電卓には、その類のプログラムがよく使われていたが、パソコンとスマートフォンやタブレットの普及以来、「数値を入れると適当に計算してくれる」ようになり、あまり意識されていない。
日本における測量[編集]
日本においては基本測量と公共測量、その他の測量に大きく分けることがすることができる。
基本測量は日本国内におけるすべての測量の礎となる測量のことであり、国土地理院が実施する測量のことである。
公共測量は基本測量以外の測量で、費用を国または地方公共団体が負担して行う測量であると規定されている。国の省庁や地方公共団体が発注する測量業務などが該当する。
日本においては測量法において法的整備が行われているほか、公共測量においてはその作業方法や規格が作業規定の準則により定められており、この規定に則った測量が行われている。なお、基本測量と公共測量については測量士・測量士補の資格を持ち、地理院に登録された者が技術者として作業に従事することができる。不動産登記を目的とした測量のうち、他人の依頼を受けて測量できるのは土地家屋調査士のみである[注 1]。
測量野帳[編集]
測量技術者が現場で使用するために作られた測量野帳と呼ばれる小さなノート(フィールドノート)があり、現在はその小ささと使いやすさから測量関係者以外にも愛好者が広まっている。
測量機器[編集]
三脚、定盤、アリダード、水平儀、コンパス(磁石)、水平儀、スケール(巻き尺)、測量ポール(紅白の棒)、電卓、ポケトラ(ポケットトランシーバー)などいろいろあったが、レーザー測距儀の機能・性能が向上したため、それなりに荷物は減ったという。
プラニメーターという、輪郭をなぞるだけで面積がだいたいわかる、という「面積計」というものがあるが、現場ではあまり使われない。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 椹木亨・柴田徹・中川博次『土木へのアプローチ』技報堂出版1999年1月25日第3版1刷発行。
- 室田明『河川工学』技報堂出版2001年1月31日1版10刷発行
- 渡嘉敷哲ほか『新ひとりで学べる11地学ⅠB』清水書院2003年8月20日第16刷発行