文明

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黄河文明から転送)
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文明 (ぶんめい) は、人間が作り出した高度な文化あるいは社会を包括的に指す。

概要[編集]

文明についての厳密な定義は特にないが、西欧においては以下のような観点から評価される。

  • 穀物の栽培と、それに伴う集約的な労働、定住
  • 文字の使用、都市国家の成立、税法、成文法
  • 治水・灌漑などの技術の発展と数学・暦学などの成立
  • 通貨(貨幣制度)の導入

ここから、いわゆる「世界四大文明」のうち「豊穣半月弧」(ハーベスト・クレッセント)地帯に興ったエジプト文明(ナイル文明)とメソポタミア文明(チグリス=ユーフラテス文明)を都市文明の嚆矢とする立場もある。
文明登場以前(農耕以前)は漁労採集を中心とする時代であ、貝類など採集しやすい生物やクリなどの果実が利用されていた。その後、銛(鏃は鹿角など)・釣糸(カラムシの繊維やヤママユの絹糸線など)・釣針(鹿角)や槍・弓矢・吹矢など猟具の発達、狼を家畜化した犬の利用によって、大型の野生動物(イノシシやクマなど)を狩ることができるようになった。毎年成長する野草や木の実を取ったり[1]を取ったりするが、取り過ぎて獲物や植物が消えたり、年ごとの収穫量が不安定であり、保存技術も乏しかった。収穫は「次に収穫できるのはいつごろで何か」といった自転車操業的なものであったったため、餓死の危険とは常に隣り合わせであった。したがって、「保存性の高い穀物の栽培・収穫と安定供給による定住」というシステムが成立していないと文明とはいえないという意見がある。交易のシステムが成立するまでは、食物の保存の記録を取る必要も特になかった。集落・村落はあったものの、都市国家などは未発達であり、祭祀を行い収穫物を再分配するシステムはあったものの徴税や通貨などは未発達であった。

四大文明[編集]

以下の4つの文明は「世界四大文明」と呼ばれる[2]。いずれも巨大な河川の流域で発生し、肥沃な土地で農業が発展し、余剰の収穫物はを使った交易が行われて経済が発展し、様々なものを手に入れられるようになった。

  • エジプト文明 (ナイル川流域)
  • メソポタミア文明 (チグリス・ユーフラテス川流域)
  • インダス文明 (インダス川流域)
  • 黄河文明 (黄河流域)

文明の生態史観[編集]

旧大陸の文明の地政学的な状態を説明するもの。サハラ以南アフリカや海洋で隔たれた新大陸と実質的に居住不可能な南極大陸は、旧大陸の文明との相互影響が(近代以前は)少なかったので扱わない。1つの破壊の根源と、4つの文明の故地、2つの中間的な地域、2つの先進(近代以降)地域である第二地域で構成される対称性のある理論。

ユーラシアステップ(破壊の根源)[編集]

多くの遊牧民の根拠地。隣接する4つの文明の故地に破壊をもたらす。モンゴル帝国が有名。

文明の故地[編集]

ユーラシアステップに隣接するため、攻撃されやすく王朝交代によって国家そのものが変わる。

中華文明[編集]

漢字儒教、火薬、羅針盤、活版印刷などの文明をもたらし、東アジア東南アジアに文明圏をもつ。はモンゴルに滅ぼされた。日本に影響を及ぼす。

インド文明[編集]

インド系の文字や仏教ヒンドゥー教、0の概念などの文明をもたらし、南アジア東南アジアに文明圏をもつ。インド北部を征服したムガル帝国はモンゴルがなまったものである。

イスラム文明[編集]

アラビア文字やイスラム教錬金術の系譜からくる化学の基礎などの文明をもたらし、西アジア北アフリカに文明圏をもつ。ホラズム・シャー朝などがモンゴル帝国に征服された。西欧に影響を及ぼす。

ロシア文明[編集]

キリル文字やロシア正教などの文明をもたらし、北アジア東欧に文明圏をもつ。ルーシ諸国は、長らくタタールのくびきと言われる、モンゴルの服属下いた。

中間地域[編集]

複数文明の故地の影響力が拮抗し、戦乱の原因となる。

東南アジア[編集]

中華文明とインド文明がせめぎ合う地域。ベトナムは中華系、ビルマはインド系のものが多い。タイは、王朝や言語は中華系だが、文字体系はインド系など複雑になっている。

東欧[編集]

イスラム文明とロシア文明がせめぎ合う地域。ロシア帝国オスマン帝国が相争った地域。正教徒もイスラム教徒もいる。

第二地域[編集]

緩衝地域や海洋のおかげで、ユーラシアステップからの攻撃を受けずに、文明を輸入することはできる絶妙な位置関係にある。そのため、国家そのものは変わらずに体制変化を通じて連続的に発展する。

西欧[編集]

イスラム文明やロシア文明との間に東欧や海洋があるので受ける影響が半減する。しかし、イスラム文明を輸入することはできる絶妙な位置関係にある。20世紀前半までは、世界を分割する列強だった。

日本[編集]

中華文明やインド文明との間に東南アジアや海洋があるので受ける影響が半減する。しかし、中華文明を輸入することはできる絶妙な位置関係にある。20世紀後半までは、欧米に唯一対抗しうる国と考えられていた。

文明の危機[編集]

  • 戦争(文明内の内戦)
    • 第三次世界大戦の勃発が全面核戦争を引き起こし、人類文明は滅亡すると言われている。
  • 感染症
    • 内陸部の人類があまり干渉してこなかった地域やシベリア永久凍土から未知の病原菌が出現し、人類文明は滅亡すると言われている。
  • 電磁気的脅威
  • 外敵の襲来
  • AI・ロボットの反乱
    • AIシンギュラリティを起こし、人類よりも優秀になった状態で、人類に反旗を翻したり人類の予期しない挙動を示すことで、人類文明は滅亡すると言われている。
  • 小惑星の衝突
    • 小惑星が地球に衝突し、恐竜と同様に人類は滅亡すると言われている。
  • 気候変動
    • 急速な気候変動に追いつけず、人類文明は滅亡すると言われている。

脚注[編集]

  1. 縄文時代にはクリの挿し木が行われていたことが、遺伝子解析によって確認されたという。
  2. 四大文明』 - コトバンク