名鉄6000系電車

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2023年5月27日、名鉄一宮駅にて。

名鉄6000系電車とは、名古屋鉄道(名鉄)が1976年より運用している通勤型車両である。

概要[編集]

デザインはパノラマじゃないパノラマカー7700系を踏襲している。名鉄の歴代最多製造形式であり、廃車が進行中の現在でも主力車両の1つである。

登場の経緯[編集]

1970年代半ばに発生したオイルショックの影響でガソリンの価格が高騰した結果、車社会の名古屋でも通勤に電車を使うサラリーマンが増え始め、その結果輸送が逼迫。急遽東急から譲り受けた3880系を譲り受け、3ドア車の実用性が図らずも証明され、通勤専用車両導入での打開が望まれていたことから登場した。
元々名鉄社内では、1960年代後半に早くもマイカーとの競争に晒されたため通勤は便利で快適にという考えが浸透しており、その結果初代5000系5500系、パノラマカー7000系といった個性豊かでサービス旺盛な車両が登場していたわけだが、いずれも2扉クロスシートという装備で、これは通勤輸送には不向きで、特に朝通勤時の犬山線[注 1]は殺人的混雑であり、製造に踏み切った6000系は、優先的に犬山線に投入されることになった。

車両構造[編集]

車体はすべて普通鋼製。方向幕を付けているが、系統版の使用も可能な構造となっている。車体色はもちろん名鉄スカーレット。

車内はセミクロスシートだが、後々オールロングシートへと改造された。これが伝説として語り継がれている。

主電動機は150kW級で、吊り掛け駆動方式のAL車以来の1M方式を採用。制御装置は一般的な抵抗制御だが、1C8Mの界磁チョッパ制御版については6500系、界磁添加励磁制御版については6800系に区分された。

ブレーキ方式も名鉄標準の電磁直通ブレーキ、台車もS型ミンデン式のダイレクトマウント空気ばね台車とされた。

連結器についても密着自動連結器だが、名鉄で初めてM式自動解結装置を本格採用している。

増備の変遷[編集]

10次に亘って増備が進んだため、変更点も多い。

初期車[編集]

1次車
1976年に4両編成6本(6001F~6006F)が製造。
2次車
1977年に4両編成2本(6007F・6008F)が製造。貫通扉が同一平面上に変更された。
3次車
1978年に2両編成6本(6009F~6014F)が製造。2両編成であるものの、構造は2次車と変わらない。
4次車
1979年に4両編成3本(6015F~6017F)が製造。1978年より製造されていた地下鉄直通用100系に準じ、乗降扉の窓が大型化され、貫通扉も両開き式から片開式になった。また、視認性向上のため前面方向幕のサイズが拡大され、床面が少し下げられた。

中期車[編集]

5次車
1980年に4両編成5本(6018F~6022F)と2両編成5本(6023F~6027F)が製造。従来のパノラマカーでも採用されたHゴム支持窓から、開閉可能な3枚窓へ変更されたほか、機器類においては従来車より省エネ化が図られた。
6次車
1981年に4両編成3本(6028F~6030F)と2両編成2本(6031F・6032F)が製造。車体の各部で軽量化が図られた。
7次車
1982年に4両編成3本(6035F~6037F)と2両編成2本(6033F・6034F)が製造。構造は6次車と変わらない。
8次車
1983年に4両編成4本(6038F~6041F)と2両編成3本(6042F~6044F)が製造。構造は6・7次車と変わらない。

後期車[編集]

9次車
1984年に2両編成4本(6045F~6048F)が製造。4両編成は界磁チョッパ制御を搭載した6500系としての増備に移行されたものの、当時はまだ回生ブレーキ付の1M方式がまだ開発中であることから、2両編成は抵抗制御の6000系を引き続き製造することとなった。前面は6500系に合わせて大幅に変更され、正面非貫通、前面にステンレスの飾り帯を設けた、いわゆる「鉄仮面」と呼ばれるスタイルとなっているほか、本系列の9次車のみ(かつては6500系1次車も)の特徴として、前照灯が4つあり、前面窓上に2つ、前面下部に標識灯と一体型になったものが2つ配されいる。床下機器においても、補助電源装置をSIVにするなど、一部が6500系のものに変更されている。
10次車
1985年に2両編成4本(6049F~6052F)が製造。前照灯が前面窓上の2つのみに戻され、前面下部はLEDを採用した標識灯1灯×2となった。

改造[編集]

ロングシート化[編集]

前述の通り、もはや伝説級とも言える改造。1985年の6001Fを皮切りに普及し、1990年までに8次車までの44本がロングシート化された。1995年には9・10次車のうち6048・49・52Fの3本にもオールロングシート化され、クロスシートで残った車両は既に廃車済みのため本系列からクロスシート車は全滅している。

特別整備[編集]

4次車までの17本には側面方向幕やドアチャイムの設置といった特別整備(リニューアル)が1997年から施工され、すでに完了している。

瀬戸線転属改造[編集]

1995年より5 - 7次車の2連8本が電気連結器の撤去や貫通幌の設置をはじめとした改造を受けて瀬戸線に転属した。1996年には4両固定編成の運用開始で5・8次車の4連6本から中間車を抜き取り、瀬戸線へ転属し、6本を4連化。2000年には中間車2組と4連1本が追加で転属し、最終的に4連9本の36両体制となった。

西蒲ワンマン[編集]

名鉄西尾線蒲郡線で1998年よりワンマン運転を実施するにあたり、6009 - 13Fに運賃箱や客用扉横のLED式扉扱い表示器の設置をはじめとしたワンマン化改造が行われた。当初は西尾 - 蒲郡間の運用が主であったが、後に広見線末端区間のワンマン化により当該編成が充当されることになり、2008年に蒲郡線のみでの運用に変更された。

三河ワンマン[編集]

2001年からは三河線の山線で都市型ワンマン運転を行うことになり、1次車4連3本と5 - 8次車の2連11本が自動放送の設置をはじめとしたワンマン化が行われた。2006年には海線でのワンマン運用拡大に伴い4次車全車が、2009年には7100系7700系の代替として1次車4連2本、および2連の6014Fが追加で同様の改造を受けている。

重整備[編集]

2014年からは三河ワンマンのうち2連全車に方向幕のフルカラーLED化や側面方向幕の設置、内装材交換をはじめとした重整備が施工され、2018年までに中期車の11本が完了し、2020年には初期車で唯一の三河ワンマンであった6014Fに対しても施工が完了した。

にしがま号[編集]

2022年3月19日より西蒲ワンマンの6011Fを対象に7700系などと同様の白帯復刻ラッピングが施された。5月8日以降は系統板を外して白帯のまま運行している。

廃車[編集]

名電築港駅にて解体を待つ6008F・6052F

2011年まで本系列に廃車は出ていなかったが、瀬戸線を走る車両が回生ブレーキなしの塗装車ばかりであったことから4000系の投入により廃車が進められ、2014年4月6日の6035Fのさよなら運転をもって瀬戸線からは撤退した。なお当初の計画では4000系置き換えで捻出された6000系は本線系統へ戻す予定があったが、4000系の投入が当初計画よりも遅れたために本線へ戻せなくなったという。

2016年からは本線系統における重整備未施工の車両の廃車も始まり、2017年の6051Fを皮切りに鉄仮面車両の廃車も始まった。なお、9次車については2021年12月の6045Fの廃車をもって全滅し、名鉄線上から四つ目と言われるシールドビーム標識灯搭載車もすべて姿を消した。[注 2]

2022年7月からは6006Fを皮切りに初期車にも廃車が発生することになり、2022年10月の6028F廃車をもって中期車非ワンマン、および中期車4連が消滅した。

2023年3月からは6002Fを皮切りに三河ワンマン車にも廃車が生じている。

2023年6月には6008F・6052Fが廃車され、非ワンマンの本線専用車は消滅した。

2024年1月現在は4連4本と2連17本が現存する。

運用[編集]

本線系統のほか、築港線豊田線瀬戸線などを除く[注 3]ほぼすべての路線で運行している。廃線危機の蒲郡線は6000系の独擅場となっている。

また広見線の末端区間(新可児御嵩)では、系統板を付けて走行する。

今後[編集]

Achtung.png以下の内容は投稿者の予想や憶測を含みます。
確定事項ではありません。参考程度にご覧下さい。

9500系の増備は順調に進んでいることから、三河線向けの4両編成に関しても6500系などのワンマン化で廃車が進むものだろう。
重整備施工済みグループも決して安泰とは言えず、6800系ワンマンの追加改造および尾西・豊川グループの共用あるいは4両統一による6500系鉄仮面グループの転用で淘汰される可能性があり、さらには最近9100系が三河線で運用を開始した事もあって予断を許さない状況にある。
蒲郡線向けワンマンに関しては、走行区間自体が、廃線が取り沙汰されるレベルの大赤字路線につきまだまだ走るものと思われる。

憶測はここまで


編成表[編集]

詳細は「名鉄6R車の編成一覧」を参照

車両番号[編集]

  • 6001 ~ 6052 : Tc車
  • 6101 ~ 6141 : T車。2両編成に対応する番号は欠番。
  • 6201 ~ 6252 : Mc車
  • 6301 ~ 6341 : M車。2両編成に対応する番号は欠番。

余談[編集]

NHKのテレビ番組鉄オタ選手権では、レイザーラモンRGが名鉄あるあるについて「6000系の系統板で宣伝しがち」という回答を出した。

近い世代の車両[編集]

注釈[編集]

  1. これは犬山線のバイパスになり得た小牧線が名古屋市交通局との力関係から都心と連絡する整備が遅れた影響もある。
  2. 他に四つ目は6500系1次車と7100系も該当したが、前者は旧3300系全廃時にLED化、後者は2009年に廃車されている。
  3. かつては瀬戸線でも運行していた。ポケモンや招き猫のラッピングを施して走行したこともある。

関連項目[編集]

営業車
特急車
3R車 2000系 - 2200系・2300系
SR車 1000系・1200系 - 1800系
本線通勤車
3R車 3500系 - 3700系 - 3100系 - 3300系・3150系 - 9500系・9100系
6R車 6000系 - 6500系 - 6800系
SR車 5000系
地下鉄直通車 100系・200系 - 300系
瀬戸線車 4000系
事業用車
機関車 EL120形
貨車 チキ10形 - ホキ80形
編成表 名鉄3R車の編成一覧 - 名鉄6R車の編成一覧