名鉄3300系電車 (2代)

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名鉄3300系電車 (2代)(めいてつ3300けいでんしゃ)は、かつて存在した名古屋鉄道の鉄道車両の1形式。名鉄の本線系統に最後まで残っていた吊り掛け駆動方式の車両であったが、2003年3月末に全廃された。

登場の経緯[編集]

老朽化により6000系6800系に置き換えられて淘汰された3850系3900系は主要機器がまだ使用できるような状態であったため、これらの機器を流用して日本車輌製造で本系列3連4本が1987年に製造された。

構造[編集]

名鉄6500系電車鉄仮面に準じた、19m級の全鋼製・両開き3扉車体を備え、内装もロングシートとされた。

前面については6000系のものをベースに、標識灯を6500系鉄仮面のようなLEDにしたパターンという、6750系1次車に準じた独特なタイプとなった。

一方、主要機器は112kWの吊り掛け式主電動機にES-568系電動カム軸式制御器、および自動空気ブレーキの組み合わせという、近代的な車体に見合わない不釣り合いなものとされたが、これらは3850系や3900系からの流用品となっている。このため、車体側にも大量の点検蓋が設けられた。

台車も流用品で、住友金属工業製のゲルリッツ式台車であるFS107系あるいは軸バネ式のFS13系が採用されている。

編成構成については輸送需要を勘案して3連とされた以上、MT比1.5:1.5にはできなかったため、例外としてMT比2:1が採用された。

冷房装置は6000系や6500系鉄仮面にて採用された東芝製のものを搭載するが、熱交換器は省略された。このため、補助電源装置もGTOサイリスタ素子のSIVが新規設置された。

沿革[編集]

1987年6月20日より、小牧線各務原線広見線の系統で運用を開始し、1991年までは幹線系統の普通列車の運用にもついた。1996年からは築港線の運用にも入るようになった。

塗色については当初スカーレットをベースに扉窓周りをライトグレーに塗られていたが、1993年以降はライトグレーに変更、2000年から2001年にかけてスカーレット1色に変更された。1998年には3301Fの冷房装置がより出力の高いものに交換されている。

晩年は小牧線の運用が中心で、かつ車体も製造から16年弱と新しかったが、機器類の老朽化が著しく進み、2001年からの300系投入、およびワンマン化、更には地下鉄上飯田線直通開始により2003年3月のダイヤ改正で運用を離脱。同月31日に全車が廃車され、形式消滅となった。なお、当形式が廃車となった直接的な理由には老朽化よりも300系投入のほうが大きかったと言われている。

廃車後はすべて解体され、発生品のうちLED標識灯は6500系1次車のシールドビーム標識灯の交換に、SIVは1030系パノラマsuper1380系のMGの交換に活用され、更には8両あった電動車のうち7両分の台車と主電動機はえちぜん鉄道に譲渡されている。

2022年現在、えちぜん鉄道の吊り掛け車は現存せず、1030系や1380系も全廃されたため、6500系1次車のLED標識灯のみが旧3300系を偲ばせる、現存する部品となっている。

関連項目[編集]