所功

所 功（ところ いさお、 1941年（昭和16年）12月12日 - ）は、日本法制史家。京都産業大学名誉教授（日本文化研究所客員研究員）。皇學館大学特別招聘教授、京都宮廷文化研究所特別顧問、国書逸文研究会代表、藝林会顧問、神道史学会顧問、國民會館理事。妻は国文学者の所京子。

人物

岐阜県揖斐郡小島村（現・揖斐川町小島野中）生まれ。1964年名古屋大学文学部史学科卒業。皇學館高等学校非常勤講師。1966年名古屋大学大学院文学研究科修士課程（国史学）修了。1966年皇學館大學文学部国史学科助手、1969年専任講師、1972年助教授。1975年文部省教科書調査官。1981年京都産業大学教養部教授、1984年法学部教授。1986年「平安朝儀式書成立史の研究」で法学博士（慶應義塾大学）。1995年京都産業大学日本文化研究所初代所長、2004年同大学法学部教授。2006年に田中卓の後任として公益財団法人國民會館理事に就任。また時野谷滋の急逝をうけて藝林会代表（会長）兼編集長に就任（2019年まで）。2012年京都産業大学を定年退職、名誉教授。モラロジー研究所（2021年からモラロジー道徳教育財団）教授、麗澤大学客員教授。皇學館大学特別招聘教授。2019年モラロジー道徳教育財団客員教授。同年「日本の伝統的儀礼制度に関する深甚な研究」により第7回日本学賞を受賞。2022年モラロジー道徳教育財団を定年退任。

岐阜県立大垣北高等学校在学中の1958年に久保田収門下である稲川誠一教諭の勧めで千早鍛錬会に参加している。田中卓を恩師と仰いでいるが、名古屋大学大学院への進学は田中の助言によるもので、また、最初の勤務先は田中が教授として在籍した皇學館大學であった。田中夫妻は仲人でもある。田中が開塾した伊勢青々塾の1期生。

日本法制文化史を専門とし、平安時代史、神社・祭祀の研究などをはじめ幅広い業績を残す。とりわけ宮廷儀式や皇室史について造詣が深く、皇室関係儀式（平成改元・昭和天皇大喪の礼・明仁天皇即位の礼・徳仁親王成婚など）にあたってNHKで解説を務めた他、皇室典範改正論議においてメディアに多く登場し、女性天皇・女系天皇を認めた上で、男子を優先とするとの立場を取っている。特に「たかじんのそこまで言って委員会」（読売テレビ）で、皇室がテーマの回では毎回と言っていい程ゲスト出演していて、「番組史上最も上品な出演者」などと評されている。

2005年6月に小泉純一郎内閣総理大臣の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が行ったヒアリングで、女性天皇・女系天皇を容認する意見を述べた。2016年11月に安倍晋三内閣総理大臣の私的諮問機関「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が行ったヒアリングで、天皇の生前退位に肯定的な意見を述べた。

みんなで靖国神社に参拝する国民の会発起人。明治の日推進協議会代表委員。

著書

単著

• 『三善清行』（吉川弘文館［人物叢書］、1970年、新装版1989年）
• 『飯盒の遺書』（皇學館大学出版部［講演叢書］、1973年）
• 『伊勢の神宮』（新人物往来社、1973年）
  • 『伊勢神宮』（講談社［講談社学術文庫］、1993年）
• 『日本の年号――揺れ動く「元号」問題の原点』（雄山閣［カルチャーブックス］、1977年、再版1978年、第3版1983年）
• 『天神さまと日本人』（熱田神宮宮庁［熱田神宮文化講座講録集］、1980年）
• 『平安朝儀式書成立史の研究』（国書刊行会、1985年、再版1987年）
• 『日本の祝祭日』（PHP研究所［21世紀図書館］、1986年、改訂版1989年）
  • 『日本の祝祭日――「国民の祝日」の来歴を解き明かす』（PHP研究所、1999年）
  • 『「国民の祝日」の由来がわかる小事典』（PHP研究所［PHP新書］、2003年）
• 『年号の歴史――元号制度の史的研究』（雄山閣［雄山閣Books］、1988年、増補版1989年）
• 『国旗・国歌の常識』（近藤出版社、1990年／東京堂出版、1993年、新版1995年、新版3版1996年、新版5版1999年）
• 『歴史に学ぶ――日本文化の再発見』（新人物往来社［文化講演叢書］、1991年）
  • 『日本歴史再考』（講談社［講談社学術文庫］、1998年）
• 『京都の三大祭』（角川書店［角川選書］、1996年／KADOKAWA［角川ソフィア文庫］、2014年）
• 『皇室の伝統と日本文化』（モラロジー研究所、発売：廣池学園出版部、1996年）
• 『国旗・国歌と日本の教育』（モラロジー研究所、発売：廣池学園出版部、2000年）
• 『宮廷儀式書成立史の再検討』（国書刊行会、2001年）
• 『近現代の「女性天皇論」』（展転社、2001年）
• 『天皇の人生儀礼』（小学館［小学館文庫］、2002年）
• 『菅原道真の実像』（臨川書店［臨川選書］、2002年）
• 『靖國の祈り遙かに』（神社新報社、2002年）
• 『神宮・皇室と日本人』（伊勢神宮崇敬会［伊勢神宮崇敬会叢書］、2003年）
• 『あの道この径一〇〇話』（モラロジー研究所、発売：廣池学園出版部、2004年）
• 『日本の建国と発展の原動力』（モラロジー研究所［生涯学習ブックレット］、発売：廣池学園出版部、2004年）
• 『皇位継承のあり方――女性・母系天皇は可能か』（PHP研究所［PHP新書］、2006年）
• 『和気清麻呂公と護王神社』（護王神社、2006年）
• 『歴代天皇の実像』（モラロジー研究所研究部、発売：廣池学園出版部、2009年）
• 『天皇の「まつりごと」――象徴としての祭祀と公務』（日本放送出版協会［生活人新書］、2009年）
• 『皇室に学ぶ徳育』（モラロジー研究所、発売：廣池学園出版部、2012年）
• 『古希随想――歴史と共に七十年』（歴研［歴研［自分史］叢書］、2012年）
• 『皇室典範と女性宮家――なぜ皇族女子の宮家が必要か』（勉誠出版、2012年）
• 『お伊勢さんの式年遷宮と廣池千九郎』（モラロジー研究所［生涯学習ブックレット］、発売：廣池学園出版部、2013年）
• 『伊勢神宮と日本文化――式年遷宮“常若”の英知』（勉誠出版、2014年）
• 『象徴天皇「高齢譲位」の真相』（ベストセラーズ［ベスト新書］、2017年）
• 『近代大礼関係の基本史料集成』（国書刊行会、2018年）
• 『日本学ひろば88話』（コミニケ出版、2020年）
• 『未刊論考デジタル集成――DVD-ROM版 1』（方丈堂出版、2021年）
• 『天皇の歴史と法制を見直す』（藤原書店、2023年）
• 『「天皇学」入門ゼミナール』（藤原書店、2024年）
• 『「皇族の確保」急務所見』（方丈堂出版、2024年）

國民會館叢書

• 『日本の国旗・国歌――「日の丸・君が代」の歴史と意義』（國民會館［國民會館叢書］、1995年）
• 『日の丸・君が代の法制化と公教育の役割』（國民會館［國民會館叢書］、1999年）
• 『皇室典範と女帝問題の再検討』（國民會館［國民會館叢書］、2002年）
• 『戦没者の慰霊と遺骨収集――ソロモン・沖縄を再び訪れて』（國民會館［國民會館叢書］、2005年）
• 『「国民の祝日」の来歴検証と国際比較』（國民會館［國民會館叢書］、2006年）
• 『日本国憲法「天皇」の再検討』（國民會館［國民會館叢書］、2013年）
• 『「成人」とは何か――吉田松陰の『士規七則』に学ぶ「成人」の要件』（國民會館［國民會館叢書］、2016年）
• 『令和日本の皇室制度を建て直す』（國民會館［國民會館叢書］、2022年）

共著

• 『日本教育会叢書 第14集』（池井優、西部邁共著、日本教育会［日本教育会叢書］、1987年）
• 『皇室の伝統精神と即位礼・大嘗祭』（加瀬英明、高森明勅共著、廣池学園出版部編、廣池学園出版部、1990年）
• 『平成時代の幕明け――即位礼と大嘗祭を中心に』（田中卓、大原康男、小堀桂一郎共著、歴史研究会文化講演会編、新人物往来社［文化講演叢書］、1990年）
• 『皇位継承』（高橋紘共著、文藝春秋［文春新書］、1998年、増補改訂版2018年）
• 『元号――年号から読み解く日本史』（久禮旦雄、吉野健一共著、文藝春秋［文春新書］、2018年）
• 『皇位継承の歴史と廣池千九郎』（久禮旦雄、橋本富太郎、後藤真生共著、モラロジー研究所、発売：廣池学園事業部、2018年）

編著

• 『楠公の史蹟点描』（編著、五典書院［五典叢書］、1971年）
• 『三代御記逸文集成』（編、国書刊行会［古代史料叢書］、1982年）
• 『京都御所東山御文庫本 撰集秘記』（編、国書刊行会［古代史料叢書］、1986年）
• 『京都御所東山御文庫本 建武年中行事』（編、国書刊行会［古代史料叢書］、1990年）
• 『名画にみる國史の歩み――東京・養正館旧蔵/伊勢・神宮徴古館現蔵』（小堀桂一郎監修、編、近代出版社、2000年）
• 『ようこそ靖國神社へ――オフィシャルガイドブック』（編、靖國神社監修、近代出版社、2000年）
  • 『新・ようこそ靖國神社へ――オフィシャルガイドブック』（編、靖國神社監修、近代出版社、2000年）
• 『日本の宮家と女性宮家――女性宮家創設と皇位継承問題を解き明かす』（編著、新人物往来社、2012年）
• 『日本年号史大事典』（編著、雄山閣、2014年、普及版2017年）
• 『松陰から妹達への遺訓』（編著、勉誠出版、2015年）
• 『ゆづりは――感謝をこめて』（所京子著、編、歴研、2016年）
• 『「五箇条の御誓文」関係資料集成』（編著、原書房［明治百年史叢書］、2019年）
• 『昭和天皇の大御歌――一首に込められた深き想い』（編著、角川文化振興財団、発売：KADOKAWA、2019年）
• 『光格天皇関係絵図集成』（編著、国書刊行会、2020年）

共編著

• 『元号読本――「大化」から「令和」まで全248年号の読み物事典』（久禮旦雄、吉野健一共編著、創元社、2019年）

校注・校訂

• 『京都東山御文庫本 撰集秘記』（校注解説、国書刊行会［古代史料叢書］、1980年）
• 和田英松『新訂 官職要解』（校訂、講談社［講談社学術文庫］、1983年）
• 和田英松註解『新訂 建武年中行事註解』（校訂、講談社［講談社学術文庫］、1989年）
• 神道大系編纂会編『神道大系 朝儀祭祀編 3 北山抄』（土田直鎮共同校注、神道大系編纂会、1992年）
• 神道大系編纂会編『神道大系 朝儀祭祀編 2 西宮記』（土田直鎮共同校注、神道大系編纂会、1993年）

解説

• 坂本太郎『日本歴史の特性』（講談社［講談社学術文庫］、1986年）
• 『礼儀類典 解説書』（雄松堂フィルム出版、1991年）
• 白鳥庫吉『國史』（勉誠出版、1997年）
  • 『日本歴史――昭和天皇の教科書（上・下）』（勉誠出版［勉誠文庫］、2000年）
  • 『国史――昭和天皇の教科書 原本五巻縮写合冊』（勉誠出版、2015年）
• 清水澄撰『法制・帝國憲法』（原書房［明治百年史叢書］、1997年）
• 杉浦重剛『教育勅語――昭和天皇の教科書』（勉誠出版［べんせいライブラリー］、2002年）
  • 『昭和天皇の学ばれた教育勅語』（勉誠出版、2006年、補訂版2009年）
  • 『教育勅語――少年昭和天皇への進講録』（勉誠出版、2024年）
• 杉浦重剛『昭和天皇の学ばれた「倫理」――倫理御進講草案抄』（勉誠出版、2016年）
• 『三善清行の遺文集成』（訓読解説、方丈堂出版、発売：オクターブ、2018年）

監修

• 『即位儀礼にみる宮廷文化展――雅と伝統』（井筒雅風、岡田莊司、西牟田崇生、牟禮仁共同監修、企画編集：共同通信社、制作：大塚巧藝社、熊本日日新聞社、1990年）
• 『歴代天皇 知れば知るほど』（実業之日本社、2006年／実業之日本社［じっぴコンパクト新書］、2014年）
• 『まんがと図解でわかる天皇のすべて――日本人なら知っておきたい天皇のお仕事と歴史が理解できる!』（宝島社［別冊宝島］、2012年）
• 『『古事記』がよくわかる事典――日本はどのようにしてできたの? あらすじと解説で読む建国物語』（PHP研究所、2012年）
• 『初心者にもわかる昭和天皇――波乱の時代を生き抜いた立憲君主の生涯がよくわかる』（メディアックス［Mediax mook］、2013年）
• 坂田桂一『公卿補任図解総覧――大宝元年(701)〜明治元年(1868)』（勉誠出版、2014年）
• 『近代の御大礼と宮廷文化――明治の即位礼と大嘗祭を中心に』（京都宮廷文化研究所、2017年）
• 「京都の御大礼即位礼・大嘗祭と宮廷文化のみやび」展実行委員会編『京都の御大礼――即位礼・大嘗祭と宮廷文化のみやび』（「京都の御大礼即位礼・大嘗祭と宮廷文化のみやび」展実行委員会、制作・販売：思文閣出版、2018年）

関連文献

• 『赤福のこと――創業二百六十年記念』（赤福、制作：中央公論事業出版、1971年）
• 護王神社御遷座百年祭奉賛会編『和氣清麻呂公略伝』（護王神社、1985年）
• 『図説 天皇の即位礼と大嘗祭』（新人物往来社［別冊歴史読本］、1990年）
• 『古式に見る皇位継承「儀式」宝典』（新人物往来社［別冊歴史読本］、1990年）
• 日本の祝祭日を考える会編『日本の祝祭日を考える』（日本の祝祭日を考える会、発売：展転社［てんでんブックレット］、1994年）
• 所功先生還暦記念会編『國書・逸文の研究』（所功先生還暦記念会、発売：臨川書店、2001年）
• 皇室事典編集委員会編著『皇室事典』（角川学芸出版、発売：角川グループパブリッシング、2009年）
• 日吉大社大年表編集委員会編『日吉大社大年表』（日吉大社、2018年）

外部リンク

• 所功の「かんせい汗青PLAZA」
• 所 功 Official Website
• 研究センター員プロフィール
• researchmap
• 所 功 名誉教授 - 京都産業大学同窓会