清水谷公園 (大阪市)
清水谷公園(しみずだにこうえん、英語: Shimizudani Park[1])は、大阪府大阪市天王寺区清水谷町にある都市公園(地区公園)[2]。大正天皇の御大礼(即位の礼)記念事業として[3]、1917年(大正6年)3月5日に開設され[4]、初の大阪市立図書館「清水谷図書館」も隣接していた[5]。
概要[編集]
広さ7,052平方メートル[2]で、園内に清水谷グラウンド、清水谷公園会館がある[6]。
清水谷公園の真北にある大阪府立清水谷高等学校は古代の前期難波宮の一角(南限)で朱雀大路の近くと推定され[7]、戦国時代に石山本願寺の寺内町があり、豊臣家が惣構の南堀(空堀)として整備した。清水谷高校から清水谷公園にかけての一帯は、清水谷の地名の通り良水が湧いたことから関白(太閤)豊臣秀吉が御茶の水として利用し、茶亭と下屋敷を置いた場所で、江戸時代大坂城代直轄地の「清水谷屋敷」と呼ばれ下屋敷などがあり、この周辺一帯に大坂城の鎮守神として崇敬の玉造稲荷神社の分霊を祀る稲荷社も多数あった[8][9]。
公園の北東には私立学校の大阪女学院(中・高・短大・大学)、城星学園(幼・小・中・高)があり、南側には大阪市立高津中学校、東側には戦国時代大坂冬の陣で徳川家康と戦った豊臣側武将真田幸村の支城「真田丸」跡(明星中学校・高等学校の校地)と小橋寺町(大坂城の南に形成された寺町の一つ)が立地している。その隣に市立真田山小学校と日本最大・最古の陸軍墓地の真田山陸軍墓地と三光神社、大阪市立味原幼稚園と市立真田山幼稚園がある。
南西に空清町公園が、南側に東高津公園があるほか、寺社も数多くあり、文教地区の天王寺区の中でも、特に「多くの史跡があり、歴史と文化の香り漂う落ち着きのある町並み」[10]を構成している。
なお、清水谷公園はスマートフォン向けオンライン位置情報ゲーム「Ingress」利用者による見守り防犯の対象となっている[11]。
沿革[編集]
1917年(大正6年)3月5日、大正天皇の御大礼(即位の礼)記念事業の公園として土地収用され[3]、大阪市東区清水谷西之町に開設された[4]。
太平洋戦争後の1952年(昭和27年)7月30日、都市公園として新たに開園した(現在地[2])。
初の市立図書館を併設[編集]
清水谷公園に隣接して1921年(大正10年)年10月1日、初の大阪市立図書館「清水谷図書館」が開館した。大阪府立図書館の分館計画を引き継ぎ、東西南北の各区1館ずつ設置されており、清水谷図書館と同日、南区にも御蔵跡図書館が開館。同年6月20日、北区に西野田図書館、西区に阿波座図書館が設置されている[5]。
当時の図書館は閲覧料を徴収し、館外への貸し出さない場合もあったが、大阪市立の図書館は無料で、数え年7歳以上であれば子供も借りられた。東西南北4館の蔵書は計約1万4千冊、貸出期間は2冊10日間(子供は1冊6日間)だった[5]。
なお、清水谷図書館は建物の老朽化に伴い1935年(昭和10年)3月より閲覧中止していたが、太平洋戦争に伴い、南区の育英商工学校の跡地(現・大阪市立南中学校敷地)に疎開移転し「育英図書館」と改称。1945年3月の大阪大空襲で焼失したため、終戦翌年1946年7月1日南海電鉄難波駅前の精華国民学校(1947年4月から大阪市立精華小学校)の空き教室を使い、大阪市立育英図書館として開館した[12]
戦後復興で精華小の児童数が増えたため、1950年6月1日、北区の桜宮公会堂(元明治天皇記念館)の2階へ移転し「大阪市立図書館」と改称。西区に市立中央図書館の完成に伴い、1961年「桜宮図書館」と改称。1978年7月に旧淀川(大川)を挟んだ都島区に市立都島図書館の開館に伴い、翌年3月に廃館となっている[12]。
周辺施設[編集]
コンビニエンスストアのほか、大阪府医師会館や、大阪ガスの実験集合住宅NEXT21、出版社ひかりのくに、スーパーのライフ清水谷店、大阪南郵便局城南寺町分室などがある。
交通[編集]
- Osaka Metro(地下鉄)谷町線 谷町六丁目駅 3号出口 南東へ約650m
- Osaka Metro(地下鉄)長堀鶴見緑地線 玉造駅 西へ約500m、JR大阪環状線 玉造駅 西へ約800m
- 近鉄大阪線・奈良線・難波線 大阪上本町駅 北へ約1000m
- 地下鉄千日前線 鶴橋駅 北西へ約1.1km、近鉄・JR大阪環状線 鶴橋駅 北西へ約1.2km
脚注[編集]
- ↑ “Shimizudani Park - 大阪中心 The Heart of Osaka Japan- 大阪市 中央区 オフィシャルサイト 観光・イベント総合情報ポータルサイト” (日本語). 中央区役所(大阪市役所). 2020年9月22日確認。
- ↑ a b c “大阪市都市公園一覧表(PDF形式, 1.33MB)令和2年4月1日現在” (日本語). 天王寺区役所(大阪市役所). 2020年9月22日確認。
- ↑ a b 丸山宏『公園と土地収用』(昭和62年度日本造園学会研究発表論文集(5))
- ↑ a b 官報大正6年(1917年)3月5日
- ↑ a b c “草創期 - 大阪市立図書館” (日本語). 大阪市立図書館. 2020年9月22日確認。
- ↑ “大阪市都市公園一覧表(PDF形式, 1.33MB)令和2年4月1日現在” (日本語). 天王寺区役所(大阪市役所). 2020年9月22日確認。
- ↑ 前期難波宮の南方空間 - 大阪歴史博物館へ - 大阪市
- ↑ 『清水谷六十年史』1961年(昭和36年)
- ↑ 城代下屋敷 - 玉造稲荷神社
- ↑ “校長あいさつ - 大阪市 教育委員会” (日本語). 大阪市立高津中学校. 2020年9月22日確認。2019年(平成31年)4月1日付けで着任した校長の竹内直樹による挨拶
- ↑ “大阪市天王寺区:スマートフォン向けアプリゲームIngress(イングレス)を活用した区内全公園での見守り活動に取組みます (防災・防犯>防犯)” (日本語). 天王寺区役所(大阪市役所). 2020年2月17日確認。
- ↑ a b “戦中・戦後復興期 - 大阪市立図書館” (日本語). 大阪市立図書館. 2020年9月22日確認。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 大阪市天王寺区:Aコース地図 (イベント・にぎわい>観光) - 天王寺区による区内の公園の地図