覇戦国志
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覇戦国志(はせんごくし)とは、工藤章興原作の歴史シミュレーション小説である。全3巻に単行本化された。
あらすじ[編集]
天正18年(1590年)、時の天下人である豊臣秀吉は、服従しようとしない北条氏政を討伐するため、小田原征伐を開始した。徳川家康、織田信雄、豊臣秀次、前田利家ら大大名を従えた秀吉率いる大軍は、関東における後北条氏の城を次々と落とし、小田原城を包囲する。しかし、小田原城は名だたる堅城であり、包囲は長期化する。
そして、この小田原征伐が、実は秀吉とその軍師である黒田孝高の謀略によるものであることを察した家康は、密かに反秀吉の大名を糾合。小田原城包囲や関東各地に派遣されていた豊臣軍を奇襲する。いきなりの奇襲に不意を突かれた豊臣軍は各地で大敗して壊滅し、秀吉は何とか美濃国まで落ち延びた。
怒る秀吉は、復仇を果たすべく西国大名を糾合し、ここに天下は西国大名を糾合した豊臣秀吉と、東国大名を糾合した徳川家康に分裂して争うことになる。当初は家康が優位であったが、実はそれは全て黒田孝高による罠であった。家康ら東国大名連合軍は関ヶ原まで誘い込まれて大敗する。
家康は軍の立て直しを図るべく、黒田孝高に匹敵する軍師・真田昌幸に助けを求める。昌幸はこれに応じると、東国各地の軍勢を残らず集めて反撃を開始。
その頃、西国大名連合軍内部では不協和音が起こり、戦線離脱が相次いだ。それでも加藤清正、福島正則らの活躍で兵力で劣りながらも善戦するが、昌幸の策により大坂城に退却して籠城を余儀なくされる。
秀吉は長期戦に持ち込むことで家康を撃退しようと画策するが、内部の裏切りに遭い、自害を余儀なくされるのであった。
主な登場人物[編集]
徳川家[編集]
- 徳川家康
- 本作の主人公のひとり。通称は駿河大納言。東海甲信に5ヶ国を領する豊臣政権のナンバー2だが、小田原征伐における秀吉の謀略、自らの野心のために反乱を起こす。
- 本多正信
- 家康の謀臣。家康を政略において支える。軍略は苦手。
- 本多忠勝
- 徳川三傑のひとり。本多忠政の父で、真田昌幸の長男・真田信幸の舅。
- 榊原康政
- 徳川三傑のひとり。武勇に優れ槍働きは抜群だが、軍略はイマイチ。
- 井伊直政
- 徳川三傑のひとり。赤備えを率いる勇将。
豊臣家[編集]
- 豊臣秀吉
- 本作の主人公のひとり。天下取りの総仕上げとして小田原攻めを行うも、家康らの裏切りに遭い大敗する。
- 黒田孝高
- 通称は官兵衛。号は如水。秀吉の軍師として家康と渡り合う。
- 豊臣秀長
- 秀吉の実弟。通称は小一郎。小田原征伐には病で参加できず、家康の離反を知ると秀吉を助けたが、間もなく病死した。
- 加藤清正
- 賤ヶ岳七本槍の一人で肥後熊本城主。知勇兼備の良将。
- 福島正則
- 加藤清正の朋友で豊臣を支える猛将。秀吉を助けるために奮戦するが、単純な猪武者である。
- 石田三成
- 豊臣家の奉行。行政に秀でるが戦は苦手で、関東では東国大名連合軍の奇襲にあって大敗した。最期は秀吉に殉じた。
織田家[編集]
真田家[編集]
- 真田昌幸
- 信濃の小大名であるが智謀無双の人物。家康とは犬猿の仲だったが、秀吉の謀略を知って激怒し、謀反に協力する。
- 真田信尹
- 昌幸の弟。家康の家臣で、家康と昌幸の間を取り持つ。
北条家[編集]
- 北条氏政
- 関東に覇を唱える北条家の第4代当主。天正8年(1580年)に嫡子の氏直に家督を譲って隠居しているが実権は掌握している。凡庸で、弟たちに支えられている。
- 北条氏直
- 北条家の第5代当主。氏政の子で家康の娘婿。父親の言いなりである。
- 北条氏照
- 氏政の弟で氏直の叔父。北条家を支える名将のひとり。
- 北条氏邦
- 氏政、氏照の弟で氏直の叔父。氏照と共に北条家を支える名将。居城の鉢形城で徹底抗戦する。
- 北条氏規
- 北条氏政、氏照、氏邦の弟。家康とは今川義元の時代の頃からの人質として知己がある。居城の韮山城で徹底抗戦する。
- 松田憲秀
- 北条家の家老。城外出撃を主張する氏照らに対して、篭城戦を主張する。
伊達家[編集]
- 伊達政宗
- 奥州の戦国大名で伊達氏の当主。秀吉の惣無事令に従わず勢力を拡大。奥州や北関東における秀吉派の大名を掃討する。
- 片倉景綱
- 伊達氏の重臣で政宗の参謀。通称は小十郎。
- 伊達成実
- 伊達政宗の従弟。片倉景綱と共に政宗の覇業を支える。別働隊を率いて北関東を侵略する。
佐竹家[編集]
- 佐竹義重
- 常陸の戦国大名。政宗に攻められて抗戦するも戦死する。
- 佐竹義宣
- 義重の長男。義重から家督を譲られ当主になる。秀吉に従って小田原征伐に参加するが惨敗。北関東に攻め込んだ政宗にも敗れて行方不明になる。