元祖有名駅弁と全国うまいもの大会
元祖有名駅弁と全国うまいもの大会(がんそゆうめいえきべんとぜんこくうまいものたいかい)は京王百貨店新宿店が主催する、駅弁特集販売展示イベントである。全国で開催される『駅弁大会』の草分けであり、全国でも最大級規模のイベントである。「駅弁界の甲子園」とも言われる[1]。阪神百貨店の阪神の有名駅弁とうまいもんまつりと鶴屋百貨店の全国有名駅弁当とうまいもの大会を合わせて全国「駅弁三大大会」と言われる。
概要[編集]
近年では毎年1月初旬から中旬にかけて約2週間の会期で開催される催事である(当初は2月開催であった)。全国有数の規模と歴史を誇る駅弁関連催事である。日本一の駅弁大会として、売り上げ個数の順位は「全国駅弁ランキング」として報道される。約2週間で6億から7億円という売り上げ規模を誇る。約2週間で消費される米飯の量は80トンに及ぶ。特徴は次の通り。
- 東京で全国各地の駅弁を楽しめる。
- 製造元から直輸送される駅弁が販売される。
- 大会内で実演販売され雰囲気を盛り上げる。
- 毎年、テーマを変えた「駅弁対決」企画があり工夫されている。
- 希少駅弁や幻の復刻駅弁に出会える。
駅弁大会の歴史[編集]
日本で最初の駅弁大会は1953年(昭和28年)に大阪高島屋で開催された「有名駅弁即売会」であるとされる[1]。
京王百貨店は1964年(昭和39年) 11月1日に全館が開店した[2]が、開業2年目の1966年(昭和41年)2月に「第1回有名駅弁と全国うまいもの大会」を開催した。駅弁大会の発案者は当時、営業担当常務であった井垣久治であった。開店当初の京王百貨店は高島屋と提携しており、営業部門のほとんどは高島屋出身者であり、井垣久治も高島屋出身者であった。
1980年(昭和55年)の第15回から1986年(昭和61年)までは会期が6日間に短縮されていた。1986年(第21回)から、会期が2週間に戻った。 1997年(第32回)には、始めて「廃線駅弁の復刻」を企画し、北海道・名寄本線の廃線によって1962年(昭和37年)に姿を消した廃線駅弁として、旧名寄本線上興部駅(北海道紋別郡西興部村)の「やまべ寿し」を出品した。 担当者の栗原正秋は北海道西興部村の「むらた弁当店」を訪ね、出品を依頼した。
1989年(第24回)から大会名は「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」となった。元祖とは新宿地区の「元祖」という意味である。 このとき駅弁の品揃えは約100種類になり、売上高は4億円を超えた。2003年(第38回)になると200種類を超え、売り上げは6億円を超えた。2010年(第45回)には歴代最高売上の7億円に達している。期間中の同百貨店の新宿店入店客数の最高は1 週目の土曜日(14 日)で約9万人、平日で 6~7 万人とされ、駅弁大会の期間中は 2~3 割入店客数が増加する目玉企画である。
中でも「対決シリーズ」は第33回大会(1998年)から実施されている人気企画である。 同種の素材や同じ形式の調理法を揃え、その地域の産物とローカリティを感じさせる駅弁を食べ比べることができ、味の違いを楽しめる。企画ものは新規開発される場合が多く、大会で売れ行きが良い場合は、そのまま駅売り等で販売が継続される。第1回対決は「ます対決」で富山駅の「ますのすし」[3]と東武日光駅の「鱒寿司」であった。
2015年1月10日土曜日の22時30分~23時00分のテレビ東京番組で「クロスロード<駅弁大会の仕掛け人 京王百貨店 河野孝彦>」として2015年の第50回の記念大会の裏側が紹介された[4]。
第1回有名駅弁と全国うまいもの大会(1966年)[編集]
第1回は1966年(昭和41年)2月11日から2月20日に開催され、会期は10日間であった。日本国有鉄道(国鉄、現JR各社)と日本国有鉄道構内営業中央会の後援で開催され、10日間で4,600万円を売り上げた。23種の駅弁が展示販売(一部実演販売)された。
- 北海道 函館本線森駅「いかめし」(70円)※実演
- 宮城県 東北本線仙台駅「まつたけ弁当」(150円)
- 福島県 磐越西線会津若松駅「栗めし」(200円)
- 栃木県 東北本線宇都宮駅「ひさご弁当」(150円)
- 栃木県 東北本線黒磯駅「九尾釜めし」(150円)
- 栃木県 東北本線黒磯駅「九尾すし」(150円)
- 群馬県 高崎線高崎駅「だるま弁当」(150円)
- 群馬県 高崎線高崎駅「とりめし」(150円)
- 群馬県 信越本線横川駅「峠の釜めし」(150円)
- 千葉県 総武本線千葉駅「やきはま弁当」(150円)
- 神奈川県 東海道本線大船駅「鯵の押寿し」(100円)
- 新潟県 信越本線田口駅「笹寿司」(100円)
- 新潟県 信越本線新津駅「えびめし弁当」(150円)※実演
- 富山県 北陸本線富山駅「ますのすし」(250円)
- 福井県 北陸本線福井駅「赤えびずし」(200円)
- 山梨県 中央本線笹子駅「笹子餅」(100円)
- 長野県 中央本線上諏訪駅「わかさぎ寿し」(100円)
- 長野県 信越本線長野駅「きじ焼丼」(150円)※実演
- 静岡県 東海道本線静岡駅「釜のたいめし」(150円)
- 静岡県 東海道本線浜松駅「うなぎ飯」(200円)※実演
- 愛知県 東海道本線豊橋駅「稲荷寿し」(100円)
- 鳥取県 山陰本線鳥取駅「かに寿し」(150円)※実演
- 岡山県 山陽本線岡山駅「祭ずし」(150円)
- 第1回大会の売上ランキング
第2回有名駅弁と全国うまいもの大会(1967年)[編集]
1967年(昭和42年)2月10日(金)~22日(水)と会期が12日間となった。 長野駅の「信州善光寺そば」と高松駅の「讃岐手打うどん」が販売された。
- 第2回大会の売上ランキング
- 第1位 北海道・函館本線森駅「いかめし」
- 第2位 北海道・函館本線長万部駅「かにめし」
- 第3位 鳥取県・山陰本線鳥取駅「かに寿し」
- 第4位 群馬県・信越本線横川駅「峠の釜めし」
- 第5位 宮城県・東北本線仙台駅「栗めし」
第50回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会(2015年)[編集]
2015年は第50回と節目の大会であったが、2015年1月8日から20日に掛けて開催され、308種類の駅弁がそろい、66の実演販売が行われた。初出場駅弁は90に及ぶ。メイン対決企画として「海の三宝対決」サブ企画に「新作肉駅弁対決」で盛り上げた。「東海道新幹線50周年弁当」の掛紙のデザインはJR東海、京王電鉄の協力により、1964年当時、実際に走っていた東海道新幹線0系、京王5000系を上下に配置している。会場内に「赤福茶屋」が設けられた。幻の駅弁と言われた、「うに弁当」(岩手県 三陸鉄道 久慈駅/1470円)が登場し、任期を博した。
- 海の三宝対決(実演販売)
2015年の実演販売ベスト10は次の通り。()内は販売数。
- ★第1位★ いかめし 北海道/函館本線 森駅(33,421個)
- ★第2位★ 峠の釜めし 群馬県/信越本線 横川駅(21,338個)
- ★第3位★ 佐賀牛三昧 ステーキ&すき焼き弁当 佐賀県/佐世保線 武雄温泉駅(13,754個)
- ★第4位★ 牛肉どまん中 山形県/奥羽本線米沢駅(13,234個)
- ★第5位★ 氏家かきめし 北海道/根室本線 厚岸駅(12,390個)
- ★第6位★ 鹿児島黒豚・黒牛 贅沢肉めし重 鹿児島県/九州新幹線 出水駅(12,017個)
- ★第7位★ たらば三昧弁当 北海道/根室本線釧路駅(11,249個)
- ★第8位★ 抹茶ひつまぶし日本一弁当 愛知県/東海道新幹線 名古屋駅(10,782個)
- ★第9位★ 炙りあなごめし 広島県/山陽本線 広島駅(10,704個)
- ★第10位★うに弁当 岩手県/三陸鉄道 久慈駅(9,380個)
第53回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会(2018年)[編集]
2018年は300種を超える駅弁を集め、2018年1月10日(水)から23日(火)にかけて開催された[5]。実演・輸送あわせて約 300 種類の駅弁と約30種の実演販売が行われた[6]。
対決企画は「海の幸焼き対決」と「海鮮ウニ対決」に加え、新対決企画として規模の大きい「3大大会」と言われる大阪の阪神百貨店、熊本の鶴屋百貨店と東京の京王百貨店の「3社対決」企画があった[7]。
- 「人気の海鮮ウニ対決」三つ巴対決
- 「人気駅弁大会3店舗合同企画新作牛肉駅弁対決」:3百貨店対決企画
3店舗合同企画の順位は次の通りであった(京王百貨店開催分の結果)[8]。
- 第一位 調製元[松栄軒]×監修[鶴屋百貨店] 熊本あか牛と鹿児島黒毛和牛の牛肉めし
- 第2位 調製元[松川弁当店]×監修[京王百貨店 新宿店]米沢牛 伝統の百年焼肉弁当
- 第3位 調製元[淡路屋]×監修[阪神梅田本店]酒乃蔵 牛肉弁当
2018年の実演販売ベスト10は次の通り。()内は販売数。
- ★第1位★ いかめし 北海道/函館本線森駅(23,103個) 780円
- ★第2位★ 牛肉どまん中 山形県/奥羽本線米沢駅(14,162個) 1,250円
- ★第3位★ うに貝焼き食べくらべ弁当 福島県/常磐線 いわき駅(13,525個) 1,380円
- ★第4位★ 熊本あか牛と鹿児島黒毛和牛の牛肉めし 鹿児島県/九州新幹線 出水駅(10,435個) 1,500円
- ★第5位★ 氏家かきめし 北海道/根室本線 厚岸駅(9,554個) 1,080円
- ★第6位★ 焼きかにめし 福井県/北陸本線 福井駅(9259個) 1,380円
- ★第7位★ 米沢牛 伝統の百年焼肉弁当 山形県/奥羽本線米沢駅(9,025個) 1,500円
- ★第8位★ 焼き夫婦あなごめし 広島県/山陽本線 広島駅(8,538個) 1,300円
- ★第9位★ 厚切り牛たんと A5 仙台牛 W ステーキ弁当 宮城県/東北新幹線 仙台駅(,6175個) 1,600円
- ★第10位★ 飛騨牛ローストビーフ寿司 岐阜県/高山本線 高山駅(5,790個) 1,500円
なお、現在のランキングは実演販売の個数をカウントしている。
第54回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会(2019年)[編集]
「いかめし」は、第1回(1966年)、第4回(1969年)、第5回(1970年)大会を除き、第54回(2019年)大会まで49回大会連続1位(通算51回)である。
- (1) いかめし 780円 北海道/函館本線 森駅 19,840個
- (2) 味くらべ牛肉どまん中*1 ◆ 1,500円 山形県/奥羽本線 米沢駅 18,620個
- (3) 食べくらべ四大かにめし ◆ 1,400円 北海道/宗谷本線 稚内駅 17,584個
- (4) 氏家かきめし 1,080円 北海道/根室本線 厚岸駅 10,519個
- (5) 四味 穴子重 ◆ 1,350円 兵庫県/山陽本線 姫路駅 10,509個
- (6) 佐賀牛ロースステーキ三昧弁当 ◆ 1,998円 佐賀県/佐世保線 武雄温泉駅 8,962個
- (7) ゴジラ対ひっぱりだこ飯*2 ◆ 1,300円 兵庫県/山陽本線 西明石駅 7,852個
- (8) 厚切り真たん牛たん弁当 ◆ 1,500円 宮城県/東北新幹線 仙台駅 7,405個
- (9) のどぐろ天麩羅と海老づくし弁当 ◆ 1,380円 新潟県/信越本線 新津駅 6,899個
- (10) 花咲港のかに便り*3 ◆ 1,380円 北海道/根室本線 釧路駅 6,720個
第55回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会(2020年)[編集]
2020年1月8日(水)から1月21日(火) 10:00-18:00 約30の「実演販売」と全国から「輸送駅弁」を合わせた、42都道府県の駅弁約300種類が出店した。新型コロナ対応により、次の施策を打った。
- 会場の分散化:7階大催場のほか、5階特設会場(初)、中地階食品フロアで開催。
- 7階大催場の入場制限
- WEBによる駅弁の予約販売
今回の企画は「5種のカニ駅弁対決」であった。
2020年の販売個数ベストファイブは
- ①いかめし(森駅)
- ②峠の釜めし(横川駅)
- ③佐賀牛ザブトンステーキ・ローストビーフ・ロースすき焼き弁当(武雄温泉駅)
- ④ビビンバ牛肉どまん中(米沢駅)
- ⑤氏家かきめし(厚岸駅)
第56回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会(2021年)[編集]
2020年1月7日(木)から1月20日(水) 10:00-1900
- 全線復旧記念!「常磐線復旧記念特集」
- 水戸駅「常磐街道味めぐり」1,500円
- いわき駅「常磐線全線開通記念 鰹づくし弁当」
脚注[編集]
- ↑ a b 京王百貨店駅弁チーム(2001)『駅弁大会』光文社
- ↑ 同年4月26日に地下食品フロアが先行オープンした
- ↑ ますのすし(一重)
- ↑ 駅弁大会の仕掛け人
- ↑ 第53回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会京王百貨店、2018年12月17日閲覧
- ↑ 百貨店最大級の駅弁大会
- ↑ 凄すぎる駅弁の祭典!
- ↑ 【結果発表】人気駅弁大会3店舗合同企画 新作牛肉駅弁対決