ACジャパン
公益社団法人ACジャパン(エーシージャパン、ADVERTISING COUNCIL JAPAN)とは、テレビ・ラジオCM、雑誌・新聞の広告などで日本国民に対し啓発活動を行っている公益社団法人である。1971年設立。
概要[編集]
いろいろなメディアを使って公共広告を流し、日本国民の公共意識を高めさせることを目的とした民間団体である。大阪万博開催の翌年、大阪でACジャパンの前身である「関西公共広告機構」が設立。提唱者は当時のサントリー社長佐治敬三。淀川長治を起用したCMが有名である。
法人の運営費は会員からの会費で賄われており、非営利である。また法人の職員は、会員の広告会社から出向した人やACジャパン独自で雇われた人で構成されている。
理事長はライオン株式会社相談役の藤重貞慶(平成28年現在)。
事務局[編集]
ACジャパンには、日本全国(具体的には、札幌市中央区・仙台市青葉区・東京都中央区・名古屋市中区・大阪市西区・広島市中区・福岡市中央区・那覇市)に事務局がありそれぞれの住所に北海道事務局・東北事務局・東京事務局・名古屋事務局・大阪事務局・中四国事務局・九州事務局・沖縄事務局がある。「関西公共広告機構」設立時は事務局が大阪にしかなかったが、1974年に「社団法人公共広告機構」と全国組織となった後は、東京事務局ができ西日本は大阪事務局、東日本は東京事務局が事務を行う。ACジャパンとなった現在では、中心的な事務局は東京事務局となった。中四国事務局は大阪事務局から分離した形で1998年、広島市の中国新聞社内にできた。
広告キャンペーン[編集]
概要[編集]
広告キャンペーンは毎年7月に更新される。7月から翌年の6月まで実施され、取り扱うテーマはそれぞれの実施する年でちがう。それぞれの年で日本社会に必要な事柄をテーマにしている。主に環境問題、公共マナー、家庭問題、いじめ、モラルなどがある。
キャンペーンの種類[編集]
広告キャンペーンには、「全国キャンペーン」「地域キャンペーン」「支援キャンペーン」の3つを主にしている。
全国キャンペーン[編集]
日本全国で展開されるキャンペーン。日本全体で問題とされることがテーマになる。
広報キャンペーン[編集]
ACジャパンは全国の1000を超える企業や団体がボランティアで運営する民間の非営利団体であることや活動の内容を社会に正しく伝えるためのキャンペーン。
地域キャンペーン[編集]
日本全国を北海道・東北・東京・名古屋・大阪・中四国・九州・沖縄の8つに区切り、それぞれの地域だけ展開されるキャンペーン。その地域の問題となることがテーマになる。
しかし、別の地域で制作している番組が自分の地域で放送されている場合、別の地域のキャンペーン広告を見られるときがある。(テレビで東京キー局が制作した番組が全国放送となった場合は、東京地域のCMが流れることがある。)
2012年度の中四国地域キャンペーン「この街の元気をあなたから」は9県が各県ごとにCMを制作している。形式は変わらないが、出演する県民や語られる目標や台詞は異なる。加えて、ほかの7篇と異なり、高知篇と徳島篇は最後の場面が県民たちが手を振る場面ではなく、それぞれ高知市、徳島市の風景になっている(冒頭の「(県名)を元気にするために、あなたができることは?」および終わりのACジャパンのロゴが表示される直前の「(県名)の元気 あなたから!」の文字がズームされていくのは同じ)。ホームページでは全篇テレビCMが見られるが、ラジオCMの台詞や新聞広告は広島篇のみ掲載されている。九州地域キャンペーン「これからの東北へ、私たちができること」は島原篇、玄界島篇、奄美篇の3篇が制作された。なお、島原、玄界島、奄美はそれぞれ雲仙普賢岳噴火(1991年、長崎)、福岡県西方沖地震(2005年、福岡)、奄美豪雨(2010年、鹿児島)を経験している。3篇とも沖縄県以外の九州地方で展開されている。中四国同様ホームページでは全篇テレビCMが見られるが、ラジオCMの台詞は玄界島篇のみ掲載されている(新聞広告は共通)。
支援キャンペーン[編集]
公共福祉活動を行う団体の活動を支援するキャンペーン。ここ数年は9~10の団体を支援している。
AC・NHK共同キャンペーン[編集]
ACジャパン制作のCMをNHKで、NHK制作のCMを民間放送で放映するという交換キャンペーン。
ACジャパンの広告を流す時、民間放送では、「ACJAPAN」名義だが、NHKでは「NHK」名義となっている。
ACジャパンCM学生賞[編集]
会員校の学生が実際に公共広告CMを制作して応募するコンテストを毎年実施しており、未来を担う若い世代が、広告制作を通して公共広告への理解を深め、社会に主体的にかかわる「公」の意識を育むことを目的としているキャンペーン。グランプリ受賞作品が実際にテレビ放送される。CM放送はBS放送のみ。
臨時キャンペーン(不定期)[編集]
災害発生時に緊急にキャンペーンを立ち上げ、支援を呼びかける。例としては、阪神淡路大震災支援キャンペーン、東日本大震災臨時キャンペーンなど。
国際共同キャンペーン(不定期)[編集]
海外で公共活動を展開する団体との共同キャンペーン。例としては、日米共同キャンペーン、日韓共同キャンペーン。
名称変更[編集]
2009年、「公共広告機構」という名称から「ACジャパン」という名称に変更。理由は、「公共広告機構」という名称だと民間の団体なのに政府の団体と思われるからだ。また、朝日新聞の記事によると2012年度の調査で64%が名称を知っているらしいが、「活動内容まで知っている」のは8%。「政府の団体」という誤解は、09年に「公共広告機構」から「ACジャパン」に名称を変えた後も、依然6%あるそうだ。
そのためか、東日本大震災直後、ACのCMが洪水のように流れた際は「税金の無駄遣い」といった苦情が殺到した。AC事務局の高島邁は「誤解されたままでは、聞く耳をもってもらえない心配がある」と話している。
マスコット[編集]
ACジャパンには「めばえちゃん」というマスコットがいる。姉妹として、「みのりちゃん」、「いくえちゃん」もいる。ACジャパン公式ホームページで4コマ漫画を掲載している。
何度か、広告に出たことがある。ただし、すべて新聞広告で、テレビCMに出演したことはない。最近は創立40周年を記念した新聞広告に3姉妹で出ている。
会員[編集]
ACジャパンは会員社からの会費で賄われている。会員は「正会員」(企業・団体などの法人)「賛助会員」(正会員の事業所)「個人会員」(一般個人)に分かれており、正会員は広告会社や放送業や新聞・出版業の会社や広告に関係ない一般企業などがある。正会員社数は2013年現在、約1000社ある。会員費は正会員、年間1口12万円(何口でも可)賛助会員は年間1口6万円(何口でも可)個人会員は年間6千円である。それぞれ会誌が届けられたり、ACジャパンのホームページに名前を記載することができる。正会員はACジャパンの「社員総会」に出席でき、議決権が行使できる。賛助会員は「社員総会」に出席できるが、議決権はない。個人会員は「社員総会」に参加はできないし、議決権もない。しかし。アンケート調査に参加できたり、会員グッズが届けられたりと特典がある。(15歳以下は保護者の承認が必要。)
サウンドロゴ[編集]
ACジャパンのCMには最後にサウンドロゴが出てくる。公共広告機構時代から「AC~」というものであったが、2011年度キャンペーンからから「ACジャパンです。」に変わった。その理由は、東日本大震災で大量にACの広告がテレビなどのメディアに流れ、「不愉快だ。」などの苦情が寄せられてためである。しかし当時は、緊急処置としてサウンドロゴの部分を削除していた。(ラジオCMは「AC~」のままであった。)2012年度のキャンペーンは「ACジャパンです。」だけになった。2013年度は、男性の声で「ACジャパン」、「ACジャパンはこの活動を支援しています。」の2種類だけである。サウンドロゴの声は女性のコーラスだったり男性の声だったりする。2014年度版からは支援キャンペーン30秒版のみ「ACジャパンはこの活動を支援しています」のナレーション、それ以外は女性のコーラスとなった。暫くその状態が続くも、2020年度からは「ACジャパン」という男性ナレーションに変わった。
2001年から2007年まではロゴの下の「公共広告機構」の部分も一緒に水色で表示されていた[1]。背景は白色・無地で、必ずテレビCMの最後に表示される。この形式に統一されたのは2008年度であり[2]、以前は黒地に白色ロゴや水色ロゴをはじめとする異なる色のものや、背景を白色や黒色に改めず映像にロゴが入るCMも存在した。公式サイトで公開されているACの概要を説明するVTRでは黒地に水色ロゴが使用されている[3][4]。また、2011年3月に制作された東北地方太平洋沖地震の被災者支援CMの一部では、白地に黒色または、肌地に焦げ茶色のロゴが使用されている。なお、1995年の阪神・淡路大震災の激励CMでは、スローガンの下に下線が表示され、コマを進んで「公共広告機構」の文字の左側のロゴが若干大きくなったことがあった。また、ロゴの色が水色、ロゴの下の「公共広告機構」の文字の色が黒色で表示された例もある。30秒以上バージョンではナレーションがサウンドロゴの後に「公共広告機構です」と言った場合ロゴの右側に「公共広告機構」の文字が表示されている例もある[5]。2000年度の「列島ジコ虫だより」では1971年度の第1号CMと同様、冒頭の右下に白色で「AC公共広告機構」(※スローガンは表示されていない。)が表示されており、最後には背景がそのまま映像でロゴが水色、スローガンと「公共広告機構」の部分が白色で表示されていた。ただし、通常よりも若干縮小されている。2004年度の「枯れる命」及び名古屋地域限定「ケチは地球を救う」の最後のロゴの下に「応援します 愛・地球博」と表示された。2011年度の支援キャンペーン「美しい自然を、残そう。」では余白の四角枠の部分が黒色で表示されている。
原則としてロゴと同時にスローガンがロゴの上に表示される。ただし、1987年以前までは、1971年の第1号CMを除いてロゴと同時にスローガンが表示されないCMも存在した。このCMの場合はスローガンとは全く違う文字だった。現在は必ず表示されているが、以前は表示されないCMやスローガンとは違う文字もあった。スローガンが表示されずスローガンとは違う文字で表示された作品については下記に記述する。
- 1990年代
- 「お父さん お母さん 身近なあなたが 子供の110番」- ロゴの上に「お父さん お母さん 身近なあなたが 子供の110番」の文字が表示されている。
- 「DRUGS KILL TEENS 《同級生の誘い》」-「公共広告機構」の下に「ここでいうドラッグとは、覚醒剤のことです。」の文字が表示されている。
2007年度はロゴとスローガンの表示に時間差があり、支援キャンペーンの場合はスローガンの代わりに「未来につながる活動を支援しています。」と表示されていた。同年度ではさらに30秒以上バージョンでは「明日のために、いま始めよう。」とスローガンがナレーションで読み上げられた。異なるテロップが表示される支援キャンペーンでもナレーションは同じ。2008年度は前年度と同様に表示に時間差があり、翌年度からの団体名改称に伴う移行期間として、ロゴの下に表示されていた「公共広告機構」の文字が、「よりよい社会をめざす民間の広告ネットワーク」の文字に変更され、ACロゴが若干大きくなった。ただし、日韓共同キャンペーンの場合はロゴマークのみでの表示となる[6]。また、支援キャンペーンもスローガンの表示を「明日のために、いま始めよう。」に統一した。2009年度は新スローガンとして「よりよい社会をめざす民間の広告ネットワーク」との文言が表示され、スローガンの表示が明朝体からゴシック体に変わっている。2010年度はスローガンが「民間の広告ネットワーク」に変わり「よりよい社会をめざす」の文字が削除されていた。2011年度はスローガンが「民間から。公共広告40年」に変わりゴシック体から明朝体に変更された。また、ロゴが若干小さくなった。尚、団体名が改称になってからはロゴの下に「会員社のご支援で活動しています。」という文字が下線付きで表示されている。
以前はフィルムでの制作が主流だったためにロゴタイプ変更当初から1990年代前期まで以下のようなパターンのロゴがあった。
- 画面一杯に映るぐらいの特大の物
- ロゴに動作をつけて登場させる物
- 下から上方向にロゴがせり上がってくる物(1990年11月 - 2002年)
- ロゴがサウンドロゴと同時に書きだされるような物(1987年6月 - 1991年6月(ただし15秒バージョン以外))
現在はデジタル編集が多様化されてきたためコンパクトになっている。
サウンドロゴは、ロゴタイプが変更された1987年2月期以降導入されている。ただしラジオではラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)のように、それまでの鳩マーク時代での「ポポーン」というサウンドロゴもしばらくは併用された。テレビCMでは最後にロゴが出ると同時に流される。かつては同時ではなくタイミングをずらしているものもあった。2000年度の「列島ジコ虫だより」では出演者とサウンドロゴが同時に合わせて「♪AC」と言われていた。また、15秒バージョンのCMがサウンドロゴ、30秒バージョンが「公共広告機構です。」とそれぞれ異なっていたCMがあった。2007年度以降は、2009年度の臨時キャンペーン「ハイチ地震支援」及び2010年度の東京地域キャンペーン「こだまでしょうか」(テレビCMのみ)以外のCMは必ずサウンドロゴが流されるよう統一されているが、以前はサウンドロゴのないCMも存在した。この場合はサウンドロゴではなくそのまま音楽が流れる。2010年度のCMのサウンドロゴは、2011年の東日本大震災以降苦情により削除されており、臨時CMでもサウンドロゴは使用されていない[7][8]。2011年度の作品では全般がサウンドロゴは流されず、無音状態かそのまま音楽が流れるが、地域限定を除くラジオCMの一部はサウンドロゴが存在している。
2006年度以前のCMには、サウンドロゴの有無に関わらずロゴの表示前後に「公共広告機構です」とのナレーションが入るCMが一部に存在した。鳩マークのロゴの時代でも「公共広告機構です」とナレーションが入ったことがある。ほかに「公共広告機構からのお願いです」とのナレーションもあった。
同一キャンペーンでもCMの秒数や放送されるメディアによってサウンドロゴやナレーションの有無が異なるCMも存在した。なお、例外的に、2006年度の「人のココロにタネをまく。」のラジオCMは冒頭と最後に合計2回サウンドロゴが流されていた。2010年度のラジオCM「おせっかい」では、冒頭にサウンドロゴが流され、最後に畑中フーが「ACジャパンです」と言っている。ラジオCMでも、2007年度以降はテレビCM同様、全てサウンドロゴのあるものに統一され、サウンドロゴの前後に「公共広告機構です」というナレーションが入らなくなった。また、支援キャンペーンのラジオCMでは、最後にサウンドロゴを流す直前に「ACはこの活動を支援(応援)しています」や「この活動はACが支援しています」などと言うメッセージが添えられるようになったが、2010年度のCMではメッセージは省略されている。2011年は前途のサウンドロゴの代わりに「ACジャパンは~を支援しています」または「~はACジャパンが支援しています」と言うメッセージを添えている。
2009年度より、団体名改称に伴いサウンドロゴが若干異なっており(以前の物と比べて女声が柔らかめになっている)、現在の物は2代目となる。初代サウンドロゴを使うCMは今でも存在する。2010年度のCMは初代サウンドロゴを使うCMと2代目サウンドロゴを使うCMが混在していた。理由については不明である。
2009年度以降に初代サウンドロゴを使用しているCMは下記に記述する。
- 2009年度支援キャンペーン「コトバダイブしよう。」(ラジオCMのみ)
- 2010年度全国キャンペーン「見える気持ちに。」
- 2010年度支援キャンペーン「オシムの言葉」
「♪AC」の初代サウンドロゴの女声の担当は以前は公共広告機構に所属していたが現在は所属していないため不明。また、2代目サウンドロゴの女声に関しても不明。
AC差し替え[編集]
主に企業の不祥事などが原因だが、珍しい例ではキリンホールディングスがスポンサーを務めるフジテレビ系列の音楽番組『僕らの音楽 Our Music』では、同業他社のCM契約中の矢沢永吉が出演した回では、キリンビールがカウキャッチャーとして扱われている同局系列の『ニュースJAPAN』を含めACジャパンに差し替えられるという措置もしていた。
他には以下のようなCMの放送事例がある。
- 地域の都合によるCM差し替え
- 全国ネット番組のスポンサーで、地域によって商品展開が異なったり、事業を展開していなかったりする企業が、一部の地域に限定してCMをACジャパンのものに差し換えるという事例。例として、東京箱根間往復大学駅伝競走の大会・番組スポンサーおよび毎日放送・TBS系『知っとこ!』のスポンサーの敷島製パンは北海道・九州・沖縄県で事業活動を行っていないため、これらの地域のみACジャパンのCMに差し替えている。ちなみに、敷島製パンの事業エリアであっても、以前はエリアでブランド展開が異なっていたため、「Pasco」ブランドを用いていた関東地方以外では、「シキシマ」ブランドとして制作されたCMに差し替えていた。また、かっぱ寿司は北海道、セキスイハイムは沖縄県で事業活動が行われていないため、これらの地域のみACジャパンのCMに差し替えている。なお、一部の番組ではそのまま差し替えなしの場合がある。
- 日本テレビでは『24時間テレビ』放送時でもスポンサー枠のCMと一緒にACが放映される事が多い。
- TBSラジオ制作で、JRN系全国ネットのラジオ番組におけるタイムCM枠でACジャパンのCMが放送される場合は、ネット局によって別の内容が放送される。
- 稀にチバテレ、tvk、テレ玉、TOKYO MXなどの独立テレビ局でも、スポンサー枠のCMと一緒にACジャパンのCMが放映されることもあった。
- 消費者金融のCMの差し替え
- 消費者金融のCMは一部の放送局でACジャパンのCMに差し替えられている。例としては、2010 FIFAワールドカップ中継でモビットのCMが一部の放送局で差し替えられていたケースがある。
- 創価学会・聖教新聞のCMの差し替え
- 関西テレビ、テレビ熊本など創価学会からのCM受け入れを行わないことを局是としている放送局では、系列他局制作の全国ネット番組に創価学会ないし聖教新聞社からタイム契約で出稿がなされた場合、そのCM枠をACジャパンのものに差し替える。場合によって自局の番宣や後援イベントなどのスポットに差し替えられる場合もある。
企業の不祥事によるCM自粛の事例[編集]
- 1991年(平成3年)6月に起こった証券会社の損失補填事件により、日興證券(現:SMBC日興証券)をはじめとするすべての証券会社のCMがACのものに差し替えられた。
- フジテレビ系アニメ『サザエさん』の1996年(平成8年)8月25日放送分では、当時一社提供だった東芝が談合事件の影響で番組提供を自粛したことから、CMがACのものに差し替えられた。以前あった東芝機械ココム違反事件の際も同じ措置が取られた。
- 日本テレビ系土曜ドラマ『伝説の教師』の第10話の放送では、スポンサー花王と当時のスポンサー三菱電機が不適切な表示がされ、番組提供を自粛したことからCMがACのものに差し替えられた。
- テレビ朝日系バラエティ『料理バンザイ!』では、一社提供だった雪印乳業が2000年(平成12年)6月の食中毒事件で一時期番組提供を自粛したため、CMがACのものに差し替えられた。
- フジテレビ系バラエティ『ライオンのごきげんよう』2003年(平成15年)3月21日放送分では、一社提供であるライオンが不適切な表示がされ、番組提供を自粛したことからCMがACのものに差し替えられた。
- 2004年(平成16年)6月8日にキユーピーと三菱商事の合弁企業「サラダクラブ」で不法就労が発覚したことを受け、日本テレビ系・CBCテレビ系の料理番組『キユーピー3分クッキング』では一社提供スポンサーであるキユーピーが約1か月間提供を自粛し、CMがACのものに差し替えられた(同年7月19日放送分でCMを再開)。特定スポンサーの冠番組では、当該スポンサーが不祥事を起こしてCMを自粛した場合、俗に番組タイトルのスポンサーの部分を「AC」に差し替えて呼ばれる場合があるが、キューピー3分クッキングについては「AC3分クッキング」と呼ばれることがあった。
- 2005年(平成17年)3月ごろ、テレビ東京系紀行番組『田舎に泊まろう!』では、筆頭スポンサーであるいすゞ自動車が公道での走行試験の手続きについて国土交通省より警告書を受けた不祥事が発覚したことから、短期間だけ提供を自粛し、CMがACのものに差し替えられた。
- 2005年4月に起きたJR福知山線脱線事故の後、JR西日本をはじめとするJRグループ各社がCM放送を自粛し、提供番組のCMがACのものに差し替えられた。
- 2007年5月、ペッパーランチ心斎橋店で同店の店長らが女性客に対して行った強盗・強姦事件により、同チェーン店はスポットCMを自粛し、ニッポン放送ではCMがACのものに差し替えられた。
- 2007年6月、グッドウィルがグループ会社・コムスンによる介護報酬不正請求事件が発覚したため、提供番組におけるCMがACのものに差し替えられた。
- 日本テレビ系土曜ドラマ『銭ゲバ』では、当時のスポンサーであるキヤノンが企業上の談合事件の影響とドラマ内容の問題を理由として、第2話より提供を自粛し、CMがACのものに差し替えられた。
- ABC・テレビ朝日系バラエティ『新婚さんいらっしゃい!』の2009年(平成21年)1月25日放送から2009年4月26日までメインスポンサーであるヤマキが不適切な表示がされ、商品を自主回収したために番組提供を自粛し、CMがACのものに差し替えられた。
- 日本テレビ系『AKBINGO!』の2009年3月18日、3月25日放送分では、当時のスポンサー京楽産業.が不適切な表示がされ、番組提供を自粛したことから、CMがACのものに差し替えられた。
- 2009年4月21日に日立グループの子会社日立アプライアンス製造の冷蔵庫で虚偽表記が発覚し、公取委から景品表示法違反で排除命令(優良誤認)を受けたことから、その週日立グループではTBS系クイズ番組『日立 世界・ふしぎ発見!』をはじめとする番組の提供を自粛し、CMがACのものに差し替えられた。一部の提供番組では5月末まで再びCM差し替えが続いた。
- 日本テレビ系『所さんの目がテン!』の2009年5月30日の放送分では、当時のスポンサーであるトヨタ自動車が不適切な表示がされ、番組提供を自粛していたことからCMがACのものに差し替えられた。
- 2009年7月23日、アリコジャパン(現:メットライフアリコ)で顧客情報の流出が発覚し、それに伴いすべてのテレビCMの放映を自粛し、9月末までCMがACのものに差し替えられた。11月には新たな顧客情報の流出がわかり[9]、再びCMがACのものに差し替えられた。2010年3月15日からCM放映が再開された。
- 2010年(平成22年)4月、アヴァンス法務事務所(大阪市)の過当な取り立て問題が発覚し、法律関連事務所・法人がスポンサー活動開始以来史上初となる大規模なCM自粛を行い、これらの法人のCMがACのものに差し替えられた。当初はそれ以外の法律関連事務所(法人)のスポンサー活動が一時、一部の小規模事務所・法人を除いて一斉自粛という事態に陥ったことがある。
- 2010年10月11日にセガトイズで販売しているアンパンマン商品で不具合が発生し、商品回収が行われたため2010年10月22日放送の日本テレビ系『それいけ!アンパンマン』で提供を自粛し、CMがACのものに差し替えられた。
- 2022年7月に発生したKDDIの大規模通信障害を受け、KDDIがCM提供を自粛。直後に発生した安倍晋三銃撃事件の影響でも一部の企業がCMを自粛したため、同月はACジャパンのCMへの差し替えが急増[10][11][12]。銃撃事件発生直後はACジャパンのCM放映数が平時の50倍超に増加しており、CM総合研究所によると、企業CMの自粛が相次いだ東日本大震災以後では最多としている[13]。同年9月27日に行われた故安倍晋三国葬儀でも国葬関連の報道特別番組放送時は同様の措置がとられた[14]。
- 2023年2月、関西電力と関西電力送配電による顧客情報の不正閲覧が発覚したことに伴い、関電グループは近畿広域圏民放10社[15]と福井県[16]の民放2社[17]で流すCMを2023年5月まで自粛することになり、代替としてACジャパンへ差し替えられている。
ACジャパンへの苦情[編集]
ACジャパンの広告への苦情は最近の「東日本大震災」の時だけでなく,それ以前からあった。広告の表現のしかたによって「思いもしない苦情」がくるそうだ。
- 2002年度のNHK共同キャンペーン「ペットボトルのリサイクル」では、ペットボトルはキャップを取ってラベルを剥がし、潰してから捨てると呼びかけるものが放送された。実際はペットボトルの捨て方は自治体によって異なり、ラベルは剥がさず潰さないで捨てると定めている地域[18]があり、これらの地域ではACが推奨するルールが分別ルールの実態とそぐわない現象が発生した。後の2010年度に放送された3R推進団体連絡会の支援CM「ちょっとだけバイバイ」(これも東日本大震災時によく見られたCMで、震災時に分別を説くのはそぐわないとの苦情が来た)には、「地域の分別ルールにしたがってください」という注意テロップを表示している。
- 2004年度の「抱きしめる、という会話」。母親が娘を抱きしめる映像で愛情表現の大切さを描いたが「母親を亡くした子が傷つく」などの苦情があり、「父親編」が追加されたそうだ。
- 2006年度は骨髄バンクへのドナー登録の呼びかけで、白血病と闘った歌手の本田美奈子さんを登場させたそうだが、本田さんは闘病の末に亡くなったことから、「私も助からない」と傷ついた患者らの声があった。
- 2009年度にオレオレ詐欺対策を呼びかけた「したたかおばあさん」では、「オレオレ」で電話が始まる場面に実際の被害者がショックを受けたと苦情が多くて中止となったそうACジャパンでは同年度、審査基準に「傷つく人がいないように配慮されているか」を追加した。
- 前述の通り、東日本大震災の時ACのCMが大量にテレビで流れたため、ACジャパンに「AC~の部分が目障りだ。」や同じものばっかり流しているため、「しつこい」や「地震にそぐわない」「大震災発生直後に難民募金なんて非常識も甚だしい」など批判が相次いだ。そのため、ACジャパンは、インターネット上に、謝罪文を掲載した。法下広告の内容にも苦情がきて、活字を読んで蓄積される知識を「知層(ちそう)」と表した広告に、「地震を想起させる」と批判があった。この広告は大きな被害のあった宮城県仙台市で撮影されたもので、ぼやけているので分かりにくいが特徴的なアンテナがあったSS30(住友生命仙台中央ビル)などの建物が確認できる、またこのような景色が撮影できるのは仙台城址であり、同所から撮られたと推測される。
- ノンスポンサーで放送される深夜のラジオ番組(オールナイトニッポンなど)におけるACのCMの放送数は莫大であり、中にはすべてのCMがACのCMもしくは番宣スポットもしくはその局が主催·後援するイベント告知という事態まで現れ始めてる。これについてはACジャパンに苦情が来ている。苦情の内容は「同じCMばかり流れてしつこい」「不快だ」「いい加減やめろ」「そんなにACのCMを流したいか」「あまったCM枠を買いあさっているのか」など、やはり言いがかりに近いものが多い。
刊行物[編集]
以下の書籍(昭和のものは不明)は、ACジャパンから会員社に向けて送られるものだが、一般人は図書館にて閲覧や借りることができる(古いものは国立国会図書館にあるため時間がかかる)。
新しいものについては、図書館に購入希望をだしたらACジャパンから寄贈という形で図書館に送られるため閲覧や借りることができる。
- アメリカ広告協議会(公共広告機構、1977年(昭和52年)、発行月不明)
- 米国広告協議会年次報告(公共広告機構、1978年(昭和53年)、11月)
- 公共広告機構会員名簿 平成2年度(公共広告機構、1990年(平成2年)9月)
- キャンペーン作品集 : 1971年(昭和46年)-1991年(平成3年)(公共広告機構、1992年(平成4年)、発行月不明)
- 社団法人公共広告機構20年史 (公共広告機構、1992年(平成4年)5月)
- 公共広告機構20年史・キャンペ−ン作品集(公共広告機構、1992年(平成4年)5月)
- キャンペーン作品集 : 1971年 (昭和46年) -1996年 (平成8年) (公共広告機構、1997年(平成9年)5月)
- 公共広告の30年 : 社団法人公共広告機構設立30周年記念作品集 (公共広告機構、2002年(平成14年)、5月)
- 公共広告の35年 : 公共広告機構設立35周年記念作品集 (公共広告機構、2006年(平成18年)12月)
- 公共広告の40年 : 創立40周年記念 キャンペーン事例集 (ACジャパン、2011年(平成23年)9月)
- ACジャパンの45年 : 公益社団法人ACジャパン創設45周年記念キャンペーン作品集 (ACジャパン、2016年(平成28年)9月)
脚注[編集]
- ↑ 但し、2001年度の当初はロゴの下の「公共広告機構」の部分は黒色で表示されていた。
- ↑ 但し、日韓共同キャンペーンの「エコライバルになろう」や2011年度の東北地域キャンペーン「笑顔の花」では背景が映像となる。
- ↑ 但し、サウンドロゴが流されておらずロゴの下には「会員社のご支援で活動しています。」は表示されていない。
- ↑ “ACジャパンとは?” (日本語). ACジャパン. 2011年8月23日確認。
- ↑ 但し、ロゴタイプから2001年度までは「公共広告機構です」と言った場合ロゴの下に「公共広告機構」の文字が表示されていた。
- ↑ ロゴマークだけで表示されている作品は初めてとなる。
- ↑ 但し、ラジオでの臨時CMでは最後に「ACジャパン」とナレーションが読み上げられている。
- ↑ ラジオCMでも震災後の一時期、サウンドロゴが削除された事があった。尚、ラジオCMでのサウンドロゴが削除されると「ACジャパン」では無くなってしまう事があり誤解される事があった。その後はラジオCMでのサウンドロゴが流された。
- ↑ アリコジャパン 11月11日 プレスリリース
- ↑ “「やさしいラップ」ACジャパンのCMで話題の呂布カルマ「CMこんなにかかりまくる事になるとは…」とツイート”. 中日スポーツ・東京中日スポーツ. 中日新聞社 (2022年7月10日). 2022年7月10日確認。
- ↑ “民放テレビ各局で「AC 広告」急増 安倍ショックがもたらした〝不謹慎〟以上のCM中止理由”. 東京スポーツ. 東京スポーツ新聞社 (2022年7月12日). 2022年7月13日確認。
- ↑ 芋澤貞雄 (2022年7月24日). “KDDI大規模障害で「au三太郎」CM消滅危機 …「さんま御殿」など人気番組もピンチ”. 日刊ゲンダイDIGITAL. 2022年7月24日確認。
- ↑ “安倍氏銃撃、公共CM50倍超に 自粛相次ぎ震災以後で最多”. 共同通信 (2022年8月8日). 2022年8月8日確認。
- ↑ 海原かみな (2022年9月25日). “安倍氏国葬をどう放送するのか、CMは? 世論の反対強くテレビ各局が苦悩”. 日刊ゲンダイDIGITAL. p. 2. 2022年9月27日確認。
- ↑ 毎日放送、朝日放送テレビ、関西テレビ放送、読売テレビ放送、テレビ大阪、サンテレビジョン、びわ湖放送、京都放送、テレビ和歌山、奈良テレビ放送
- ↑ 西南部の若狭地域は関西電力送配電の供給エリア
- ↑ 福井放送、福井テレビジョン放送
- ↑ ペットボトルの捨て方について、「ラベルは剥がさず潰さない」と定めている自治体(京都府京丹後市・山口県山陽小野田市など)、「ラベルは剥がし潰さない」と定めている自治体(北海道名寄市・京都府和束町など)、「ラベルは剥がさず潰す」と定めている自治体(青森県西目屋村・石川県金沢市など)があり、自治体によって様々である。