東急8500系電車

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最後まで残った8637F

東急8500系電車(とうきゅう8500けいでんしゃ)は、かつて東急電鉄が保有していた電車の1形式。

登場の経緯[編集]

新玉川線建設にあたり、8000系をベースに電動車比率の向上などの設計変更を行ったマイナーチェンジ車として登場し、以降1991年までに400両が製造された。

構造[編集]

車体[編集]

8000系のものとほぼ同一構造のオールステンレス車体を持ち、前面は8000系と比較して150mm高い高運転台構造を採用した。当初は小田急9000形のようないかつい顔つきも検討されたが、切妻以外は考えるなという方針からボツになっている。

走行機器[編集]

基本的に8000系と同様の複巻モータに界磁チョッパ制御の組み合わせだが、半蔵門線内の急勾配に対応するべく、電動車比率が4両で3M1T、5両で4M1T、6両で5M1T、8両で6M2T、10両で8M2Tと、8000系と比較してさらに引き上げられた。最終増備車のデハ0718とデハ0818のペアには日立製のGTOサイリスタVVVFインバータ制御が積まれ、これと前後してデハ8799-デハ0802のペアがVVVFの試験車に抜擢されている。

内装[編集]

8000系と同一のえんじ色ベースの内装が採用された。屋根には冷房装置と扇風機を搭載するが、一部は当初冷房準備車として落成した。

編成構成[編集]

詳細は「東急8500系の編成一覧」を参照

最終的に田園都市線向け10両編成×38本、大井町線向け5両編成×4本の体制となった。

運用の変遷[編集]

1975年にまず4連10本が当時の田園都市線向けに投入され、次いで翌76年に全電動車の4連6本が登場。その後同年内にすべて5連に組み替えられた。

その後も増備は続き、8000系との混成編成も見られた。1977年には東横線に6連2本が暫定配置され、後に一部の新製編成も東横線配置となった。東横線からは1989年までに撤退している。

1986年製造分の5連4本は大井町線との共通予備車として投入され、増備完了時点では全400両が田園都市線配置となった。

更新工事[編集]

1997年から更新工事が始まったが、全編成には及ばず、2001年に打ち切られた。主に内装の交換などがなされ、行先表示器もLED化されている。

置き換え[編集]

2002年から5000系による置き換えが始まり、まず8601Fと8602Fが廃車・長野電鉄に譲渡となり、5連4本が大井町線に正式に転属した。

2003年からは東武乗り入れ対応工事もなされたが、一部は5000系への置き換えで対象外となり廃車された他、当初対象外だった8613Fと8614Fは5000系の6ドア車組み込みによる予備車確保のため東武乗り入れ対応となり、VVVF車組み込みの8642Fと幕車の8606Fは2008年のリーマンショックによる5000系の導入打ち切り後も東武乗り入れ非対応のまま残ることになった。

2018年からは2020系による置き換えが始まり、翌年より廃車が再開。大井町線車両も2000系改造の9020系により淘汰が進み、最後まで残った8637Fも2023年1月25日の運用をもって引退した。

特殊な編成[編集]

ラッピング車[編集]

  • 8637F(青帯) - 渋谷Bunkamura号
  • 8634F - TOQ-BOX装飾
  • 8614F - 伊豆の夏号

機器類が特殊[編集]

  • 8642F - VVVF車組み込み
  • 8635F - 前面・側面ともにフルカラーLED表示器
  • 8616F・8634F - 側面のみフルカラーLED表示器
  • 8606F - 最後まで残った幕編成

譲渡車[編集]

2020系置き換えによる譲渡車はゼロで、すべて5000系置き換え時の際に譲渡されている。

車両販売[編集]

2021年11月より8522Fと8530Fの先頭車が販売されている。しかし8522Fは未だ残っており幕式・スカートなしでイベントに登場することもある。

保有[編集]

8537Fが解体され消滅するかと思われたが2024年5月ごろ秋にイベント列車を4両で運行することが決まった。そのため現在は長津田検車区に保管されている。

関連項目[編集]