カラドジョウ

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カラドジョウ
分類
動物界
脊索動物門
条鰭綱
コイ目
上科ドジョウ上科
ドジョウ科
ドジョウ属[注 1]
カラドジョウ
名称
学名Misgurnus dabryanus
(Dabry de Thiersant, 1872)[1]
和名カラドジョウ[1] (唐泥鰌)
英名large-scale loach
peppered loach
保全状況
IUCNレッドリスト低危険種 (ver 3.1)
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カラドジョウとは、コイ目ドジョウ科ドジョウ属[注 1]に分類される淡水魚の一種である。

形状[編集]

体長は15~20cm[2]。口髭は5対10本。

マドジョウに似ているが、口ヒゲが長く、尾柄高が尾柄長がほぼ同じくらいで、尾ビレ基底に黒い斑紋がない[3]

骨質盤は棒状。側線縦列鱗数は130枚以下。尾柄高と尾柄長はほぼ等しい。

生態[編集]

原産地は、アムール川からベトナム北部、台湾海南島[2]

田んぼや湿地、小川で見ることができる。5~6月に田んぼや植物が多く高水温の湿地で繁殖し、繁殖期が終わる頃になると土中に潜るようになる[4][2]

体長30mm以下の稚魚は、主にカイミジンコ類を食べるが、成長するにつれ食べなくなり、体長50mm以下のカラドジョウは、ケシゲンゴロウ亜科の幼虫をよく食べる。また30mm以上のカラドジョウはホウネンエビを捕食するようになり、体長50mm以上になるとより食べるようになる[5]

資料によっては、「ドジョウとは染色体数が異なる為、交雑する事は無い」と書かれているものもあるが、大陸系統ドジョウと交雑する事が確認されている。

分類[編集]

カラドジョウの学名として、Misgurnus dabryanusParamisgurnus dabryanusMisgurnus mizolepisの3つの名が使われている[6]

1872年Dabry de Thiersantがカラドジョウ属(Paramisgurnus)の模式種として、新種記載され、"Paramisgurnus dabryanus"と言う学名がつけられた。

1888年には、アルベルト・ギュンターによりMisgurnus mizolepisが記載された。

模式産地は両方とも長江水系である。

M. mizolepisは、P dabryanusのシノニムとする説がある。

カラドジョウ属(Paramisgurnus)は、遺伝子的な距離や形状分析によりドジョウ属(Misgurnus)と同一とする説がある[7][8]

藤田 (2007)は、学名を‘‘Paramisgurnus dabryanus’’とし[9]日本産魚類検索日本産魚類全種リストではカラドジョウ属ではなく、ドジョウ属であるとし、‘‘Misgurnus dabryanus’’の学名を使用した[6][1]

人間との関係[編集]

カラドジョウは、食用となり、養殖も行われている。

島根方言では、『ヒラドジョウ』と呼ばれる。

アクアリウムで飼育される。ヒドジョウの中にはカラドジョウの個体もいる。

移入[編集]

日本では、1960年代以前に中国または韓国から養殖用ドジョウに混じって輸入され、全国に定着している[3][2]

初めてカラドジョウが確認されたのは、1961年で場所は長崎県である。1990年代になると、関東地方北部の複数の場所で定着するようになった[2]

マドジョウと生息場所やえさなどをめぐり競合することが心配されている。また水生昆虫類を食べた事例があり、水生昆虫への影響も心配されている[2]

カラドジョウは、要注意外来生物に指定されている。愛知県では「自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例」により「条例公表種」に指定されており、野外に逃がすことが禁止されている[注 2]

カラドジョウが確認されたことがある都道府県[編集]

脚注[編集]

注釈
  1. a b カラドジョウ属とする説もある。
  2. なお飼育をすることは出来る。
出典
  1. a b c 本村浩之「日本産魚類全種目録.これまでに記録された日本産魚類全種の現在の標準和名と学名」Online ver. 23、鹿児島大学大学院連合農学研究科、2023年
  2. a b c d e f g カラドジョウ”. 生物多様性情報総合プラットフォーム 福岡生きものステーション. 2023年8月7日確認。
  3. a b c d e f g h i j k l m n カラドジョウ”. 国立環境研究所 侵入生物DB. 2022年10月7日確認。
  4. 久岡知輝「滋賀県における外来種カラドジョウと在来種ドジョウの季節消長と生息場所の分割」、『環動昆』第30巻、日本環境動物昆虫学会、2019年、 103-112頁、 doi:10.11257/jjeez.30.103
  5. 加納光樹、斉藤秀生、渕上聡子、今村彰伸、今井仁、多紀保彦「渡良瀬川水系の農業水路におけるカラドジョウとドジョウの出現様式と食性」、『水産養殖』第55巻第1号、日本水産増殖学会、2007年、 109-114頁、 doi:10.11233/aquaculturesci1953.55.109
  6. a b 清水 孝昭「ドジョウ:資源利用と撹乱」、『魚類学雑誌』第61巻第1号、日本魚類学会、2014年、 36-40頁、 doi:10.11369/jji.61.36
  7. 张慧; 王银肖; 杨慧兰; 谭慧敏; 陈咏霞 (2021). “中国泥鳅属和副泥鳅属鱼类的分类整理”. 水生生物学报 (河北大学生命科学学院) 45 (2): 414-427. doi:10.7541/2021.2019.166. http://ssswxb.ihb.ac.cn/cn/article/doi/10.7541/2021.2019.166. 
  8. Ivan, Jakovlić (2013). “Introgression evidence and phylogenetic relationships among three (Para) Misgurnus species as revealed by mitochondrial and nuclear DNA markers”. Archives of Biological Sciences 65: 1463-1467. 
  9. 藤田朝彦「本邦で確認されている" カラドジョウ" の学名について」、『魚類学雑誌』第54巻第2号、2007年、 243-244頁。
  10. 稲葉修「福島県で確認されたカラドジョウ」、『日本生態学会東北地区会会報』第68巻、 18-20頁。
  11. 茨城県生物多様性センター(編) (2022年). “茨城における外来種リスト2022”. 茨城県. 2023年8月7日確認。
  12. 我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リストのうち、静岡県内に生息している<動物>”. 静岡県. 2023年8月7日確認。
  13. 令和3年度 第2回新潟県農業農村整備事業環境情報協議会を開催しました”. 新潟県庁 (2021年). 2023年8月7日確認。
  14. 熊川真二、新海孝昌、茂木昌行「千曲川上中流域の水田地帯への国外外来種カラドジョウの侵入およびドジョウとの混生の実態」、『長野県水産試験場研究報告』第19巻、長野県水産試験場、2020年3月、 12-23頁。
  15. 向井貴彦 (2015年4月15日). “「ぎふ生物多様性情報収集ネットワーク」の活動開始”. 岐阜県. 2023年8月7日確認。
  16. 向井貴彦、梅村啓太郎、高木雅紀「岐阜県におけるカラドジョウの初記録と中国系ドジョウの侵入」、『日本生物地理學會會』第66巻、日本生物地理学会、2011年12月20日、 85-92頁。
  17. 浅香智也、鳥居亮一「1993-2011年の愛知県三河地方におけるカラドジョウの出現記録」、『伊豆沼・内沼研究報告』第7巻、宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団、2013年、 9-15頁、 doi:10.20745/izu.7.0_9
  18. 和歌山県の外来種リスト(案)”. 和歌山県.
  19. VI 侵略的外来種 侵入警戒種リスト”. 香川県. 2024年1月26日確認。
  20. 清水孝昭、高木基裕「ミトコンドリアDNAによる愛媛県を中心としたドジョウの遺伝的集団構造と攪乱」、『魚類学雑誌』第57巻第1号、日本魚類学会、2010年、 13-26頁、 doi:10.11369/jji.57.13
  21. 清水孝昭、高木基裕「愛媛県に侵入したカラドジョウ集団内に見られた起源の異なる 2 つの遺伝子系統」、『魚類学雑誌』第57巻第2号、日本魚類学会、2010年、 125-134頁、 doi:10.11369/jji.57.125
  22. 中島淳、水谷宏、藤井法行「熊本県における要注意外来生物カラドジョウの採集記録」、『ホシザキグリーン財団研究報告』第15巻、ホシザキグリーン財団、2012年、 179-181頁、 ISSN 1343-0807