ドジョウ科
ドジョウ科 | |
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分類 | |
界 | 動物界 |
門 | 脊椎動物門 |
綱 | 条鰭綱 |
目 | コイ目 |
上科 | ドジョウ上科 |
科 | ドジョウ科 |
名称 | |
学名 | Cobitidae Swainson, 1838 |
和名 | ドジョウ科 |
英名 | true loaches |
保全状況 |
ドジョウ科とは、旧世界に分布するコイ目の科。ユーラシア大陸全域とモロッコに生息し、河川で見られる。今日の「ドジョウ」と呼ばれるには本科が多い。この科には約260種が記載されており、定期的に新種が記載されている[1][2][3]。
概要[編集]
体形は、ミミズ型で細長い。殆どのドジョウ科魚類には鱗がなく、他の多くのコイ目やナマズ科の魚と同じように、口には髭がある(通常3~6対)。 この仲間によく見られる他の特徴としては、底生生活をするのに適した小さな底向きの口、眼球の下にある立毛棘、1列の咽頭歯などがある。
ドジョウはスカベンジャーで、雑食性である。 水生甲殻類や昆虫、その他の小さな無脊椎動物、有機デトリタス等を食べることがある。多くは一般に水質の悪い富栄養水域に生息し、tubifex wormのような生息環境に生息する同様の底生生物を捕食する。これらのドジョウの中には、大気中の酸素を吸い上げることができることで、温かく濁った川や汚れた池の低酸素レベルに適応したものもいる。特にシマドジョウ属やドジョウ属等の属の一部の種は、気圧の変化に敏感である。 彼らはそれに応じて行動を変化させ、天候により行動が変化することから、"weather fishes"や"weather loaches"と呼ばれる。
ドジョウ科の中には外国に持ち込まれ、侵略的な種として現地の野生生物に被害をもたらしているものがいる[4]。他のドジョウ科の、多くが回遊魚であり、生息地の減少、汚染、ダム建設などによって深刻な影響を受けており、今日では絶滅危惧種とみなされているものも多い。 回遊魚の中には、アクアリウムで人気のある魚もいるが、飼育が非常に難しいため、乱獲により、かつては一般的だったが、大幅に減少している例もある。
分類[編集]
かつては、ドジョウ全種がドジョウ科に分類されており、サッカー科(Catostomidae)と共に、ドジョウ上科を構成していた。 しかし、ギリノケイルス科(Gyrinocheilidae)は、サッカー科の親戚として容易に認識された[2]。
タニノボリ科は、ドジョウ科と推定される他の2種よりもドジョウに似ているが、それ自体が1つの科(タニノボリ科)と見なすのに十分なほど異質なものであると認識されるようになった。
そして、「サッカー科」とはかなり遠く、おそらくはコイ科に著しく近いと思われるため、サッカー上科(Catostomoidea)の再評価が必要であるとされるようになった。最後に、mountain carp科の魚類は、近年ではPsilorhynchidaeとして区別されることが多かった。しかし、多くの系統図では、タニノボリ科(もしくはBalitorinae、ドジョウ科)に分類されていた。 実際には、ドジョウに似たコイ科であるようである[5]。
2012年、Maurice Kottelatがかつてのアユモドキ亜科をアユモドキ科に昇格させ、Serpenticobitis属をサルペンティコビディス科(Serpenticobitidae)を設立した[6]。
属[編集]
- アカントプシス属 Acantopsis van Hasselt, 1823
- クーリーローチ属 Pangio Blyth, 1860
- シマドジョウ属 Cobitis Linnaeus, 1758
- アジメドジョウ属やコウライシマドジョウ属、ヨコジマドジョウ属はシノニム。
- ドジョウ属 Misgurnus Lacepède, 1803
- カラドジョウ属はシノニムとなる可能性が高い。
- Aperioptus Richardson, 1848
- Bibarba Chen & Chen, 2007
- Canthophrys Swainson, 1838
- Koreocobitis Kim, Park & Nalbant, 1997
- Kottelatlimia Nalbant, 1994
- Lepidocephalichthys Bleeker, 1863
- Lepidocephalus Bleeker, 1859
- Microcobitis Bohlen & Harant, 2011
- Neoeucirrhichthys Bănărescu & Nalbant, 1968
- Paralepidocephalus Tchang, 1935
- Protocobitis Yang & Chen, 1993
- Sabanejewia Vladykov, 1929
- Theriodes Kottelat, 2012
日本のドジョウ科[編集]
- シマドジョウ属
利用[編集]
ドジョウ科魚類は、東アジア、特に日本で食用となり、水産業で重要な魚種で、養殖も行われている。
小さい種は釣り餌として使われる。
アクアリウム[編集]
色鮮やかな種の多くはアクアリストに人気があり、アクアリウムの取引において重要である。アクアリウムでの取引でよく見るドジョウ科には以下のようなものがある
- ドジョウ Misgurnus anguillicaudatus
- ホースフェイスローチ Acantopsis choirorhynchus
- クーリーローチ Pangio kuhlii
- シマドジョウ Cobitis biwae species complex
- スジシマドジョウ Cobitis striata species complex
- シュガースポットローチ Misgurnus sp.
出典[編集]
- ↑ Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2015). "Cobitidae" in FishBase. 2015Octoberのバージョン.
- ↑ a b Nelson, J.S. (2006): Fishes of the World. John Wiley & Sons, Inc. ISBN 0-471-25031-7
- ↑ Perdices, A., Bohlen, J., Šlechtová, V. & Doadrio, I. (2016): Molecular Evidence for Multiple Origins of the European Spined Loaches (Teleostei, Cobitidae). PLoS ONE, 11 (1): e0144628.
- ↑ Misgurnus anguillicaudatus (fish) Archived 2015-05-27 at the Wayback Machine. ISSG Global Invasive Species Database
- ↑ He S.-P.; Gub X.; Mayden R.L.; Chen W.-J.; Conway K.W.; Chen Y.-Y. (2008). “Phylogenetic position of the enigmatic genus Psilorhynchus (Ostariophysi: Cypriniformes): Evidence from the mitochondrial genome”. Molecular Phylogenetics and Evolution 47 (1): 419–425. . . オリジナルの2021-02-25時点によるアーカイブ。 2019年12月11日閲覧。.
- ↑ Kottelat M (2012). “Conspectus cobitidum: an inventory of the loaches of the world (Teleostei: Cypriniformes: Cobitoidei)”. The Raffles Bulletin of Zoology Suppl. 26: 1–199 .>