アグネスデジタル

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アグネスデジタル
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現役期間1999年 - 2003年
品種サラブレッド[1]
性別[1]
毛色栗毛[1]
生誕1997年5月15日[1]
死没2021年12月8日(満24歳没)[2][3]
登録日1999年7月8日
抹消日2004年1月18日
Crafty Prospector[1]
Chancey Squaw[1]
母の父Chief's Crown[1]
生国アメリカ合衆国の旗(国連サイズ).png アメリカ合衆国[1]
生産Catesby W. Clay & Peter J. Callahan[1]
馬主渡辺孝男[1]
調教師白井寿昭栗東[1]
調教助手白坂宗治
厩務員井上多実男
競走成績
タイトルJRA賞最優秀4歳以上牡馬(2001年)[1]
生涯成績32戦12勝
中央:21戦7勝
地方:8戦4勝
海外:3戦1勝[1]
獲得賞金9億4889万2700円[4]
日本:7億3092万5000円[1]
香港:1320万香港ドル
UAE:12万米ドル
IC115T/M(2000年)[5]
120T/I - 115D/M(2001年)[6]
117T/I - 117D/M(2002年)[7]
116T/M(2003年)[8]
 
勝ち鞍
GI マイルCS 2000年
GI マイルCS南部杯 2001年
GI 天皇賞(秋) 2001年
GI 香港カップ 2001年
GI フェブラリーS 2002年
GI 安田記念 2003年
GII 全日本3歳優駿 1999年
GIII 名古屋優駿 2000年
GIII ユニコーンS 2000年
GIII 日本テレビ盃 2001年

アグネスデジタル(欧字名:Agnes Digital1997年5月15日 - 2021年12月8日)は、アメリカ合衆国生産、日本調教の競走馬種牡馬[1]

芝・ダート、良馬場・道悪、国内・海外、短距離~中距離までの、馬場状態・距離適性・環境を選ばない万能的な活躍をした。現在は、北海道新冠郡新冠町ビッグレッドファームにおいて種牡馬として過ごしている。

戦績[編集]

デビューは1999年9月12日阪神競馬場の新馬戦。このレースではマチカネランの2着に敗れたが、折り返しの2戦目で勝利を挙げる。その後、5戦目となる500万下条件戦で2勝目を挙げると、次走の川崎競馬場で行われた交流GIIの全日本3歳優駿で重賞制覇を成し遂げる。

年が明けて3歳になると勝ちきれないレースが続くが、名古屋競馬場で行われた名古屋優駿を1分59秒8のレコードタイムで優勝し、交流重賞2勝目を挙げる。その後、ユニコーンステークスを勝ちJRA重賞初制覇、武蔵野ステークスでも2着に入る。

このようにダートで優秀な成績を残しており、芝のレースは4戦未勝利であったが、アグネスデジタル陣営は次走にマイルチャンピオンシップを選択する。18頭中13番人気という低評価であったが、レースでは直線大外から一気に1番人気のダイタクリーヴァを差しきり初GI制覇。勝ちタイムは1分32秒6というレコードタイムであった。

マイルチャンピオンシップを制した後、4歳春は芝のレースに出走するが、勝てないレースが続いた。この間、主戦騎手的場均の引退により四位洋文に替わる。秋になると実績のあるダートの日本テレビ盃マイルチャンピオンシップ南部杯に出走して連勝。芝のマイルチャンピオンシップに続き今度はダートでもGI制覇となった。

マイルチャンピオンシップを制しているものの、ここまでの芝での成績は8戦1勝、ダートでは12戦7勝(重賞5勝)であったが、次走にJRAの国際化計画によって前年から外国産馬に一部開放された天皇賞(秋)に出走。これによりNHKマイルカップ優勝馬のクロフネが除外されてしまったことから非難の声も上がった。(天皇賞に出走する外国産馬はメイショウドトウとクロフネの2頭であろうと言う見方が世間の多くを占めていた。)レースでは連覇がかかっていたテイエムオペラオーをゴール直前で差し切って優勝した。

陣営が次走に選んだレースはジャパンカップやマイルチャンピオンシップや東京大賞典ではなく、香港沙田競馬場で行われる香港国際競走のひとつ、香港カップであった。初の海外レースとなったが見事に優勝。2001年JRA賞最優秀4歳以上牡馬に選出された。

翌年、5歳になるとドバイワールドカップへの出走を表明し、年明け緒戦のフェブラリーステークスを1番人気に応えて優勝し、GIの連勝記録を4と伸ばした。ドバイワールドカップは勝ったストリートクライから2.6秒離された6着と敗れてしまうが、次走の沙田競馬場で行われたクイーンエリザベス2世カップではエイシンプレストンの2着と意地を見せた。その後は脚部不安のため休養を余儀なくされてしまう。

6歳になり、かきつばた記念で復帰するも4着。しかし安田記念ではレコードタイムでアドマイヤマックス以下を差しきり優勝し、GI6勝目を挙げた。その後は5戦して未勝利で、有馬記念を最後に引退、ビッグレッドファームにて種牡馬入りした。

競走成績[編集]

年月日 競馬場 レース名 オッズ 着順 距離 タイム 3F 着差 騎手
勝ち馬/(2着馬)
1999 9. 12 阪神 3歳新馬 2.2(2人) 2着 ダ1400m(良) 1:26.1 (37.9) 1.1秒 福永祐一 53 マチカネラン
10. 2 阪神 3歳新馬 1.2(1人) 1着 ダ1200m(良) 1:13.0 (36.5) 3身 福永祐一 53 (ツルマルアラシ)
10. 9 京都 もみじS OP 9.1(7人) 8着 芝1200m(良) 1:09.7 (35.8) 1.2秒 福永祐一 53 エンドアピール
11. 7 京都 もちの木賞 4.7(1人) 2着 ダ1400m(良) 1:25.1 (37.4) 0.0秒 福永祐一 54 スリーフォーナイナ
11. 27 東京 3歳500万下 1.8(1人) 1着 ダ1600m(良) 1:38.2 (36.6) 7身 的場均 54 (ファインイレブン)
12. 23 川崎 全日本3歳優駿 GII 1.7(1人) 1着 ダ1600m(良) 1:41.1 (38.7) 2 1/2身 的場均 54 (ツルミカイウン)
2000 2. 20 東京 ヒヤシンスS OP 3.5(3人) 3着 ダ1600m(良) 1:37.8 (38.7) 1.4秒 的場均 57 ノボジャック
3. 12 中山 クリスタルC GIII 26.2(8人) 3着 芝1200m(良) 1:10.3 (36.5) 0.5秒 的場均 56 スイートオーキッド
4. 8 中山 NZT4歳S GII 23.4(7人) 3着 芝1600m(良) 1:34.5 (35.6) 0.1秒 的場均 56 エイシンプレストン
5. 7 東京 NHKマイルC GI 8.0(4人) 7着 芝1600m(良) 1:34.3 (36.1) 0.8秒 的場均 57 イーグルカフェ
6. 14 名古屋 名古屋優駿 GIII 4.1(3人) 1着 ダ1900m(重) R1:59.8 1 1/2身 的場均 55 (マイネルコンバット)
7. 12 大井 ジャパンDダービー GI (1人) 14着 ダ2000m(良) 2:09.3 (41.5) 2.9秒 的場均 56 マイネルコンバット
9. 30 中山 ユニコーンS GIII 10.0(4人) 1着 ダ1800m(良) 1:50.7 (37.2) 2 1/2身 的場均 56 (マチカネラン)
10. 28 東京 武蔵野S GIII 8.3(4人) 2着 ダ1600m(良) 1:35.2 (36.6) 0.2秒 的場均 55 サンフォードシチー
11. 19 京都 マイルCS GI 55.7(13人) 1着 芝1600m(良) R1:32.6 (34.3) 1/2身 的場均 55 ダイタクリーヴァ
2001 1. 5 京都 京都金杯 GIII 4.8(3人) 3着 芝1600m(良) 1:33.8 (34.3) 0.4秒 的場均 58 ダイタクリーヴァ
5. 13 東京 京王杯SC GII 8.6(4人) 9着 芝1400m(良) 1:20.7 (34.4) 0.6秒 四位洋文 59 スティンガー
6. 3 東京 安田記念 GI 17.7(6人) 11着 芝1600m(良) 1:34.1 (35.9) 1.1秒 四位洋文 58 ブラックホーク
9. 19 船橋 日本テレビ盃 GIII 4.3(3人) 1着 ダ1800m(良) 1:51.2 (37.9) 3身 四位洋文 58 (タマモストロング)
10. 8 盛岡 マイルCS南部杯 GI 2.1(1人) 1着 ダ1600m(良) 1:37.7 3/4身 四位洋文 56 トーホウエンペラー
10. 28 東京 天皇賞(秋) GI 20.0(4人) 1着 芝2000m(重) 2:02.2 (35.4) 1身 四位洋文 58 テイエムオペラオー
12. 16 香港 香港C G1 (1人) 1着 芝2000m(良) 2:02.8 0.1秒 四位洋文 57.2 (Tobougg)
2002 2. 17 東京 フェブラリーS GI 3.5(1人) 1着 ダ1600m(良) 1:35.1 (35.6) 1身 四位洋文 57 トーシンブリザード
3. 23 UAE ドバイワールドC G1 - ( - ) 6着 ダ2000m(良) 四位洋文 57 Street Cry
4. 21 香港 QE2世C G1 2着 芝2000m(良) 2:02.6 1/2身 四位洋文 57.2 Eishin Preston
2003 5. 1 名古屋 かきつばた記念 GIII (4人) 4着 ダ1400m(良) 1:25.9 0.4秒 四位洋文 59 ビワシンセイキ
6. 8 東京 安田記念 GI 9.4(4人) 1着 芝1600m(良) R1:32.1 (33.7) クビ 四位洋文 58 アドマイヤマックス
6. 29 阪神 宝塚記念 GI 6.8(3人) 13着 芝2200m(良) 2:13.7 (37.9) 1.7秒 四位洋文 58 ヒシミラクル
9. 15 船橋 日本テレビ盃 GII (1人) 2着 ダ1800m(良) 1:52.2 (38.3) 0.8秒 四位洋文 58 スターキングマン
10. 13 盛岡 マイルCS南部杯 GI (2人) 5着 ダ1600m(不) 1:37.0 1.6秒 四位洋文 57 アドマイヤドン
11. 2 東京 天皇賞(秋) GI 7.9(4人) 17着 芝2000m(良) 2:00.4 (35.8) 2.4秒 四位洋文 58 シンボリクリスエス
12. 28 中山 有馬記念 GI 17.4(7人) 9着 芝2500m(良) 2:32.8 (36.6) 2.3秒 四位洋文 57 シンボリクリスエス

※1 タイム欄のRはレコード勝ちを示す。
※2 香港での正式な負担重量は126ポンド。1ポンドは約453グラム
※3 2002年クイーンエリザベス2世カップの勝ち馬エイシンプレストンの表記は、海外国際競走の慣例に従い英語表記とした。

表彰[編集]

  • 2001年 JRA賞最優秀4歳以上牡馬

種牡馬時代[編集]

2004年春より種牡馬となり163頭に種付けを行った。2005年、ファーストクロップとなる産駒が誕生し117頭が血統登録された。2007年、7月にコスモビットが2歳未勝利を制し、この勝利が中央・地方を通じた産駒の初勝利となった。翌2008年にドリームシグナルがシンザン記念を制し、初年度産駒から中央競馬の重賞勝ち馬を輩出した。

主な産駒[編集]

グレード制重賞勝利馬[編集]

太字はGIまたはJpnI競走。

地方重賞勝利馬[編集]

競馬開放時代の嚆矢[編集]

アグネスデジタルが勝利を挙げた競馬場は9場にも達し、天皇賞が外国産馬に開放された翌年の2001年に天皇賞を制覇(過去に外国産馬の出走が認められていた時代があるため史上初ではない。外国産馬の天皇賞制覇は、1956年、第34回天皇賞(秋)、ミツドフアーム以来45年ぶりのことであった。)、中央・地方交流競走・海外での活躍と、その昔海外との競走馬の行き来は皆無であったばかりか、日本国内でも中央競馬と地方競馬、中央競馬の中での関東と関西(アグネスデジタルの主戦は的場均がつとめていた時期があるが、関西馬の主戦騎手が関東所属であることさえ1970年代中頃までは考えられなかった)の間の壁、地方競馬の各競馬場間の壁が厳然として存在し鎖国競馬、箱庭競馬と言われていた時代では存在しない競走馬であった。このため、最強馬を議論する時に、アグネスデジタルを引き合いに出す競馬ファンも存在する。

オールラウンダー[編集]

南部杯→天皇賞(秋)→香港カップ→フェブラリーステークスのGI4連勝にみられるように芝・ダート、距離、中央・地方・海外を問わず活躍した日本の競走馬としては稀有な存在であった。また、3歳~6歳まで4年連続でGIを制覇するなど息の長い活躍を見せた(4年連続GI優勝は他にはメジロマックイーンメジロドーベルアドマイヤドンユートピア)。さらに安田記念、マイルチャンピオンシップをレコードタイムで制するなどのスピードも見せた。また、当時に国内で行われていた芝・ダート1600mの古馬のGI・統一GIを全て制覇していることになる(現在ではかしわ記念がこれに加わっている)。

血統表[編集]

アグネスデジタル血統ミスタープロスペクター系アウトブリード(アウトクロス)) (血統表の出典)

Crafty Prospector
1979 栗毛
父の父
Mr.Prospector
1970 鹿毛
Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
父の母
Real Crafty Lady
1975 栗毛
In Reality Intentionally
My Dear Girl
Princess Roycraft Royal Note
Crafty Princess

Chancey Squaw
1991 鹿毛
Chief's Crown
1982 鹿毛
Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Six Crowns Secretariat
Chris Evert
母の母
Allicance
1980 鹿毛
Alleged Hoist the Flag
Princess Pout
Runaway Bride Wild Risk
Aimee F-No.22-d


主な兄弟および近親[編集]

JRA3勝、主な成績:2004年毎日杯2着、青葉賞3着、巴賞(オープン)現・種牡馬
JRA3勝、主な勝ち鞍:2006年京成杯GIII)、2005年いちょうステークス(オープン)
  • 半弟 - フェニックスハート(牡・2004年産、父Pulpit
地方2勝、2008年2月1日現在。

脚注[編集]

  1. a b c d e f g h i j k l m n o アグネスデジタル(USA)”. JBIS-Search. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年1月21日確認。
  2. https://twitter.com/jairs_jp/status/1468492445575180288” (日本語). Twitter. 2021年12月8日確認。
  3. アグネスデジタルの死亡について”. ジャパン・スタッドブック・インターナショナル (2021年12月8日). 2021年12月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月8日確認。
  4. 競走馬情報 - アグネスデジタル”. 日本中央競馬会. 2023年4月6日確認。
  5. 優駿』、日本中央競馬会、2001年2月、 32頁。
  6. 優駿』、日本中央競馬会、2002年2月、 70-74頁。
  7. 優駿』、日本中央競馬会、2003年2月、 77-79頁。
  8. THE 2003 INTERNATIONAL CLASSIFICATIONSPDF”. IFHA. 2021年9月21日確認。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]