騎手
騎手（きしゅ）とは、馬に乗って操縦する人、その職種である。
概要[編集]
競馬における騎手の場合、多くの競馬主催者が法律などを根拠にライセンス（騎手免許）を取得することを義務化している。ライセンスは専門の教育機関での教育を経て試験を受験するか、独学で馬について学んで試験を受験し、合格することで発行される。騎手免許を取得後は1人の調教師の厩舎に所属し、当該厩舎に所属する馬へ騎乗する。経験を積み、勝利数も積み重なると厩舎から独立し、エージェントなどを通して騎乗依頼を受けられるようになる。
騎手免許は国家単位・主催者単位で区分されており、Aの国の騎手免許を持つ者がBの国の競馬のレースで騎乗する場合、相手国の制度に基づいた短期騎手免許や限定免許の交付を申請する。
騎手の収入はレースに出走して一定の着順に入った場合に支給される賞金、着順に関係なく支給される騎乗手当、厩舎での馬の世話や調教、その他雑務に対する給金があり、厩舎での業務とレースの騎乗手当、賞金である程度生活していくことは可能。なお日本は世界的に見ても騎手の年収が非常に高額で、外国の騎手が短期免許を取って中央競馬の一般競走どころか地方競馬でも騎乗することがよく見られる[1]のはその高額な収入と支払いの早さに魅力を感じているからだという。
なお騎手は体格が小柄な人が向いていると言われる。これはレースごとに決められた騎手の体重と馬具を含めた総重量である負担重量の調整がしやすいから。
騎手を支える職[編集]
バレット[編集]
騎手の補佐を務める職業。騎乗時に使用する道具の準備、斤量の調節などの雑務をこなす。日本中央競馬会ではバレットは騎手が個人的に雇う形式で、兄弟姉妹や親子、友人・知人といった身内が多い。
騎乗依頼仲介者[編集]
俗にエージェントと呼ばれる。調教師・馬主と騎手の間に立ち、主に厩舎に所属しない騎手に対して騎乗依頼を持ちかける役割。
騎手引退後の進路[編集]
日本では騎手の定年や成績低迷を理由とする強制引退制度はないが、肉体的・成績的な限界から生涯現役を貫くことは極めて難しく、本人の申し出によりライセンスを返納して引退する事が大半である。
引退後は調教師免許を取得して調教師、調教師の補佐をする調教助手、厩舎に所属する競走馬の日常の世話をする厩務員といった厩舎関係の仕事に転ずる者も多いが、競馬評論家や解説者として競馬メディア関係の仕事に就く者や馬運車のドライバー、飼料販売業など競馬周辺の産業に携わる仕事に就く者もいる。
負傷・殉職[編集]
馬がバランスを崩して転倒するなどして落馬したり、暴れた馬に蹴られる・踏まれたりするなどして重い怪我を負ったり、最悪の場合死亡したりするケースも決して珍しくない。
時速約60 km/h 以上にも達する馬にほぼ生身で乗る関係上、レース中の落馬は極めて危険である。仮に命は無事でも負った怪我の重さや後遺症によっては現役続行が難しくなる。