計測震度

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計測震度(けいそくしんど)とは、地震の観測点にある震度計によって計測される震度のことである。一般的には、地震波加速度の大きさ(周期0.1~1.0秒)に基づいたもの[1]。震度計内部のデジタル処理によって計算される。

日本においては、かつては気象庁の職員が体感や周囲の状況などから震度を判定していたが、1996年4月1日の震度階級改定により、体感による観測が全廃となり、地震動の強さを示す指標として気象庁が正式に「計測震度」を導入し、体感による観測を全廃して震度計による観測に完全移行した[2]

計算[編集]

計測震度は、地震動の強さを示す指標として、次の算式により算出したの小数第3位を四捨五入し、小数第2位を切り捨てたものである[3]

= 2・log (a0) + 0.94
  • は、 を満たす の最大値[3]
  • は時間 (s) 、 は地震動の加速度に係るパラメータ(cm/s)で、積分範囲は地震動が継続している時間とする[3]
  • は、 の とき、1の値をとる関数[3]
  • は、地震動の直交する3成分の加速度にそれぞれフィルターをかけた後、ベクトル合成した値(cm/s[3]
フィルターの種類および算式[3]
フィルターの種類 算式
周期の効果を表すフィルター
ハイカットフィルター
ローカットフィルター

上図では地震動の周波数(Hz)であり、である[3]

震度と計測震度の関係[4]
震度 計測震度
0 0.5未満
1 0.5以上1.5未満
2 1.5以上2.5未満
3 2.5以上3.5未満
4 3.5以上4.5未満
5弱 4.5以上5.0未満
5強 5.0以上5.5未満
6弱 5.5以上6.0未満
6強 6.0以上6.5未満
7 6.5以上

計測震度による震度7[編集]

詳細は「震度7」を参照

計測震度が6.5以上の場合、日本の気象庁震度階級において最も階級の高い「震度7」となる。日本で記録された過去最大の計測震度は、2016年4月16日に発生した熊本地震本震の際に、熊本県益城町で観測された計測震度6.7である。計測震度6.5以上は全て震度7であり、計測震度が仮に7.5以上に達したとしても、「震度8」などとさらに大きな震度になることはなく、全て震度7に統一される。

計測震度で震度7を観測した地震
発生日 地震名 地震の規模 震度7を観測した地点 計測震度
2004年10月23日 新潟県中越地震 M6.8 Mw6.6 新潟県 (川口町) 川口町川口 6.5[5]
2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震 M9.0 Mw9.1 宮城県 (栗原市)[6] 栗原市築館 6.6[7]
2016年4月14日 熊本地震 (前震) M6.5 Mw6.2 熊本県 (益城町) 益城町宮園 6.6[8]
2016年4月16日 熊本地震 (本震) M7.3 Mw7.0 熊本県 (西原村・益城町) 西原村小森 6.6[8]
益城町宮園 6.7[8]
2018年9月6日 北海道胆振東部地震 M6.7 Mw6.6 北海道 (厚真町)[9] 厚真町鹿沼 6.5[10]
2024年1月1日 能登半島地震 M7.6 Mw7.5 石川県 (輪島市志賀町) 輪島市門前町走出 6.5
志賀町香能 6.6

1995年の兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)では、兵庫県南部(神戸市等阪神地域)で1949年の導入後初となる震度7を記録したが、当時はまだ計測震度が導入されておらず、神戸での震度7は気象庁の職員が後に実施した現地調査によって判明したものである。そのため、2004年の中越地震において計測震度導入後初めて震度7を観測した。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 計測震度』 - コトバンク
  2. XIII 計測震度
  3. a b c d e f g 理科年表 2021
  4. 計測震度の算出方法”. 気象庁. 2021年5月1日確認。
  5. 気象庁 | 強震波形(平成16年(2004年)新潟県中越地震)”. www.data.jma.go.jp. 2021年5月1日確認。
  6. 平成23年3月 地震・火山月報(防災編)PDF”. 気象庁. p. 205 (2011年3月). 2019年10月2日確認。
  7. 「平成23年 (2011年) 東北地方太平洋沖地震」による各地の震度 - 気象庁
  8. a b c 平成28年4月 地震・火山月報(防災編)PDF”. 気象庁. p. 101, 112 (2016年4月). 2019年10月2日確認。
  9. 気象庁|報道発表資料”. www.jma.go.jp. 2021年5月1日確認。
  10. 平成30年9月 地震・火山月報(防災編)PDF”. 気象庁. p. 116 (2018年9月). 2019年10月2日確認。

参考文献[編集]