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植民地
植民地(しょくみんち)とは、以下のことをいう。
- 本国からの移住者によって経済的に開発され(植民・移民)、本国に従属する地域のことである。古代ギリシアやローマ帝国によって行われた。
- 本国などから軍隊が送られて武力により強硬に制圧された地域のことを言う。19世紀から20世紀初頭にかけて欧米諸国により植民地争奪戦が繰り広げられた。
本ページでは「2」について述べる。
概要[編集]
イベリア半島国家の海外進出[編集]
大航海時代、スペインとポルトガルはその優れた操船術によってアジア、アフリカ、アメリカ大陸に到達した。
火縄銃などの優れた武器や疫病などによって現地民を制圧し過酷な支配を行って、金銀といった富を収奪した。
初期の植民地は、金属や香辛料などその土地特有の物品あるいは奴隷の収奪が主眼であった。
オランダおよび英仏の覇権[編集]
出遅れたオランダ、イギリス、フランスは、国家公認の海賊によってスペイン船などの他国船を襲った。
19世紀に入り、産業革命によって大量の製品が安く生産されると外部の市場を求め、製品を販売してその国から搾取し、また産業基盤を破壊したり発展を阻害した。まず、東インド会社などが経済的に支配した。
次第に軍事力が衰えていたり、部族や藩国の分裂状態に遭った国を支配下に置くようにもなった。後に、国有化され、英領インド帝国などが成立する。
アフリカ分割[編集]
更に出遅れたドイツ、ベルギーやイタリアは残された地域に進出した。
アフリカ大陸はこうしたアフリカ分割によって、エチオピアのような特例を除き分割された。
欧州からアメリカへ[編集]
アメリカ独立戦争によってアメリカは独立した。
欧州での戦争で本国が窮地に立たされたポルトガルから、ブラジルが自立していった。
また、スペインの弱体化によってラテンアメリカでも独立が相次いだ。米西戦争ではフィリピンやキューバ、プエルトリコなどがスペイン支配から離脱したものの、米比戦争などを経てアメリカの植民地になっていく。
アメリカが国力を増しモンロー主義や棍棒外交といった外交政策をとると独立した新大陸国家は露骨な植民地ではないもののアメリカの影響下に置かれた。パナマ運河の重要性からアメリカによってパナマの独立もなされた
また、アメリカは黒人をアフリカ大陸に送り返すべくリベリアを建国する。しかし、アメリカで生まれ育った黒人と現地人はもはや同じではなく(また一握りに黒人と言っても多様なので)、黒人内での階級などの問題を生んだ。
第一次世界大戦終結後、ドイツはナミビアやビスマルク諸島などの植民地を失い、国際連盟によって委任統治制度が作られ、イギリスやフランス、日本、オーストラリアなどが継承した。
第二次世界大戦終結後、日本、イタリアの戦後処理によって、植民地(委任統治領を含む)のアメリカ、イギリス、フランスへの継承が起こった。
こうして、日本を経由して太平洋諸島におけるアメリカの影響圏が拡大した。
終焉[編集]
1960年のイギリス首相による「アフリカ諸地域の独立を阻害しない」発言をきっかけに、独立国が増加。1960年はアフリカの年と呼ばれた。そうした中で 他の欧州諸国は、植民地維持を目指したが、フランスのインドシナ戦争、アルジェリア戦争、オランダのインドネシア独立戦争などの独立戦争が相次いだ。ポルトガルのアントニオ・サラザール独裁政権は植民地を温存したが、1974年のカーネーション革命で独裁体制を倒して民主化移行した政権が植民地の独立を阻害しないことを決めて、旧体制の名残りだった広大なモザンビーク、アンゴラや東ティモールといった植民地が独立を果たした。
新植民地主義[編集]
旧宗主国などによる経済的支配は新植民地主義と呼ばれる。植民地時代の軍事的・政治的支配は、その支配コスト(反乱の鎮圧など)があったが、新植民地主義ではそうしたコストを現地国家に負担させ、貿易や金融を通して経済的な搾取だけをするという寸法である。旧植民地では旧宗主国よりも人件費が安く済む上に、現地の産業(特に製造業)が貧弱であれば市場シェアを独占しやすい。
植民地の独立後も植民地時代の階級・人種・部族・宗教間の対立は続いたために、内戦や独裁制の成立、経済の低迷、ハイパーインフレなどによって、失敗国家となった国もある。独立後、かつての支配者層である白人の追放政策を掲げたものの、ヒト・モノ・カネの流出によって失敗する例も見られる。
失敗国家となることは防げたものの、植民地時代のプランテーションや鉱山に依存したモノカルチャー経済から脱却できていない国も多い。
新興国の通貨は、ドル・ユーロ・円・ポンドなどの主要国通貨よりも信用が薄く、旧宗主国主導の通貨経済圏に残った国もある。(旧フランス領)
これらのモノカルチャー経済や旧宗主国主導の通貨経済圏に残った国は、旧宗主国やアメリカに経済的に支配されているとも言え、大企業や通貨が新植民地主義の支配機構である。
例えば、世界的石油企業が手を組んでしまったら、石油に依存している国は安く石油を買いたたかれてしまう。また、通貨発行権がないと独自の通貨政策ができない。
これに対して、産油国は産油国の共同体OPECやOAPECをつくり原油価格の低下に対抗している。また、人民元やルーブルの決済を使うBRICSはドル支配に抵抗し、ドルに代わる基軸通貨を模索しているため、旧植民地国家である第三世界の国々も接近している。
一方で、輸出志向型の経済の確率や民族資本の成長によって成功した新興国・発展途上国もある。(シンガポールなどの東南アジア諸国)
しかし、中所得国の罠にはまる国も多い。
現状[編集]
現在でも、軍事上の都合や住民の意向を背景にイギリス領を維持するジブラルタルやフランス領のままのニューカレドニアのような地域もある。 グリーンランドはデンマーク領だが、独立志向が強く、アメリカのトランプ大統領によって買収が提案されている。
未来[編集]
現在、アメリカや欧州、中国などが宇宙進出を加速しており、月面基地の建設や火星の植民地化が計画されている。 火星に原住民はいなそうなので20世紀まで植民地とは性格が異なるだろう。 一方で、惑星間の距離の問題から地球による火星の永続的かつ完全な支配は困難であり、かつてのアメリカ独立戦争やガンダムに出てくるコロニーのように独立する可能性もある。