新田俊三

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新田 俊三(にった しゅんぞう、1931年5月12日 - 2002年2月8日)は、経済学者。東洋大学経済学部教授。

経歴[編集]

日本統治下の朝鮮京城生まれ。大分県東京都で育つ[1]。1956年東京大学経済学部卒業[2]。1960年フランスに留学[3]。1961年東京大学大学院社会科学研究科理論経済学専攻博士課程修了[1][2]。学部では鈴木鴻一郎ゼミ、大学院では宇野弘蔵ゼミ[3]、宇野の定年退官後は鈴木ゼミで学ぶ[4]。1961年大分大学経済学部助手、1965年東洋大学経済学部助教授、1972年教授[2]。1980-84年経済学部長。1985年フランス・ストラスブール第1大学客員教授[1]。2002年1月「ヨーロッパ中央銀行論」で博士(経済学)(東洋大学)[5]。「社会システム論研究会」を主催し、国際公共経済学会日本支部事務局長も務めた[6]

2002年2月8日、胃がんのため神奈川県鎌倉市の病院で死去、70歳[7]

人物[編集]

宇野学派の論客で、日本社会党の有力な経済政策ブレーンの1人[1]社会主義協会で活躍した「宇野経済学三羽烏」(大内秀明鎌倉孝夫)の1人で[8]、社会党の綱領的文書「日本における社会主義への道」(通称:「道」)の作成にも少壮学者として参加したが[9]、1978年時点で協会を離脱していた[10][11]大内力馬場宏二らと1977年に発足した労働者自主管理研究会議に参加し、自主管理社会主義の立場から「道」の見直しを主張した[12][13]。1978年の社会党第42回大会で社会主義理論センターが設置されると、福島新吾と大内秀明が座長格に、新田俊三、福田豊高木郁朗らが助言者に起用され、「道」の見直し、「日本社会党の新宣言」の作成に携わった[11]平和経済計画会議理事も務めた[14]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『フランスの経済計画――混合経済論批判』(日本評論社、1969年)
  • 『国家独占資本主義と合理化』(現代評論社、1971年)
  • 『転換する日本経済』(時潮社、1974年)
  • 『高度社会システムの創造――21世紀社会へのシナリオ』(第一書林、1985年)
  • 『社会の変革と創造――市民社会主義のすすめ』(新地書房、1987年)
  • 『ヨーロッパ経済紀行』(日本放送出版協会[NHKブックス]、1994年)
  • 『アルザスから――ヨーロッパの文化を考える』(東京書籍、1997年)
  • 『ユーロ経済を読む』(講談社[講談社現代新書]、1999年)
  • 『ヨーロッパ中央銀行論』(日本評論社、2001年)

共著[編集]

  • 『独占価格』(御園生等共著、日本評論社[現代経済全書]、1967年)
  • 『自立への熱望――ポーランド1980年』(富塚三夫大内秀明高木郁朗共著、国際文化出版社、1981年)
  • 『現代の労働組合主義 2 経済と賃金』(藁科満治共著、教育社、1982年)
  • 『ヨーロッパの政権と労働組合』(真柄栄吉、大内秀明、福田豊、高木郁朗共著、第一書林、1984年)
  • 『土井社会党――政権を担うとき』(大内秀明、田中愼一郎、高木郁朗、福田豊共著、明石書店、1989年)
  • 『成熟社会・日本――21世紀への社会戦略』(松原聡共著、東京書籍、1992年)
  • 『社会経済のためのインターネット入門――URLアドレス800付き』(中山光太郎共著、時潮社、1997年)
  • 『インターネットで日本経済入門』(渋澤健太郎共著、日本評論社、2000年)

編著[編集]

  • 『数字でみる安保体制下の日本』(高沢寅男共編、社会新報[新報新書]、1969年)
  • 『円切上げと労働問題』(編、至誠堂、1972年)
  • 『講座 現代資本主義――戦後体制の崩壊と再編(全6巻)』(大内秀明、鎌倉孝夫共編著、日本評論社、1975-76年)
  • 『社会システム論』(編、日本評論社、1990年)
  • 『国境を超えた社会民主主義』(編著、日本評論社、1991年)
  • 『経済・社会学のためのコンピュータ入門』(大杉八郎共編著、朝倉書店、1994年)

訳書[編集]

  • フランコ・ペコ『経済理論からみた鉄鋼業』(監訳、鋼材倶楽部、1975年)
  • ピエール・ロザンバロン『自主管理の時代』(田中光雄共訳、新地書房、1982年)
  • テオ・ティーマイヤー、ガイ・クォーデン編『民営化の世界的潮流』(尾上久雄、廣岡治哉共編訳、御茶の水書房、1987年)

出典[編集]

  1. a b c d 20世紀日本人名事典「新田 俊三」の解説 コトバンク
  2. a b c 新田俊三『高度社会システムの創造――21世紀社会へのシナリオ』第一書林、1985年
  3. a b 『エコノミスト』1993年6月1日号
  4. 鈴木鴻一郎編『経済学原理論(上・下)』(東京大学出版会、1960-62年)の執筆者の1人。執筆者は当時の大学院鈴木演習の博士課程の院生(櫻井毅岩田弘の世界資本主義論とその内的叙述としての経済理論PDF」『武蔵大学論集』第62巻第1号、2014年7月)。
  5. CiNii 博士論文
  6. 新田俊三「ヨ-ロッパ社会に定着するエコノミ-ソ-シャル――たしかな根を張る社会民主主義政党」『月刊社会党』第484号、1995年10月
  7. 新田俊三氏死去/東洋大経済学部教授 SHIKOKU NEWS、2002年2月8日
  8. 「表現の自由」研究会編著『現代マスコミ人物事典』二十一世紀書院、1989年、501頁
  9. 川上忠雄「日本社会党の参加型「自主」管理社会主義」、川上忠雄編著『岐路に立つ日本社会党――路線論争と自主管理社会主義』社会評論社、1981年
  10. 森裕城『日本社会党の研究――路線転換の政治過程』木鐸社、2002年
  11. a b 前田和男「「新宣言」に連合政権論を盛り込む」『図書新聞』No.2909、2009年3月14日
  12. 水原輝雄「国益主義への屈服」、川上忠雄編著『岐路に立つ日本社会党――路線論争と自主管理社会主義』社会評論社、1981年
  13. 降旗節雄『解体する宇野学派――Zへの手紙』論創社、1983年
  14. 『平和経済』第314号、1987年11月