藁科満治
藁科 満治(わらしな みつはる、1931年12月25日 - )は、労働運動家、政治家[1]。全日本民間労働組合連合会(民間連合)会長代行、日本労働組合総連合会(連合)会長代理、参議院議員(2期)。
経歴[編集]
神奈川県川崎市生まれ。浅野高等学校在学中に甲子園に出場[2]。1953年富士通に入社。1957年明治学院大学経済学部経済学科卒業[3]。在学中に賀川豊彦の影響を受けた[2]。1959年富士通労組本社支部執行委員を皮切りに労働運動に参加[注 1]。1966年富士通労組本社支部委員長[1]。1968年電機労連中執となり[4]、在任期間中に早稲田大学大学院経済学研究科専攻修了[注 2]。1974年電機労連書記長となり、竪山利文委員長を補佐[4]。同年8月IMF-JC常任幹事[5]。1978年3月に山岸章(全電通)、田淵勲二(全日通)らと労働社会問題研究センターを設立し、社会党改革と労働戦線統一を推進[4][6]。1980年発足の労働戦線統一推進会で「統一基本構想」の執筆にあたるなど労働戦線統一に貢献した[2][4]。1983年中立労連事務局長[7]。1984年電機労連委員長、中立労連最後の議長[2]。同年8月IMF-JC副議長(1990年8月まで)[5]。1986年11月全民労協副議長[8]。1987年12月民間連合の第1回中央委員会で会長代理に選任。1989年11月に連合が発足した際、規約にはない会長代行に推挙され、大会で了承された[9]。1990年電機労連会長[1]。
連合会長代理を退任後、1992年7月の第16回参議院議員通常選挙比例代表区に社会党公認で立候補し初当選(2期)[4]。1996年10月11日に第1次橋本内閣の官房副長官に起用されたが、同月20日の第41回衆議院議員総選挙で敗北した社民党が閣外協力に転じたため、同年11月7日に退任した。1997年社民党を離党し、民主党に入党[4]。2002年秋の叙勲で勲一等瑞宝章受章[10]。2003年11月民主党参議院議員会長(2004年7月まで)[11]。2004年国家基本政策委員会委員長。2004年7月の第20回参議院議員通常選挙には立候補せず政界を引退。2010年第40回大倉喜七郎賞受賞[12]。2012年日本棋院八段[10]。囲碁と歌舞伎に造詣が深く、それに関する著作がある[4]。
参議院地方行政委員会委員長、連合顧問、電機連合顧問、囲碁文化振興議員連盟副会長[13]、民主党倫理委員会委員長[14]、神奈川県連代表も務めた[15]。
著書[編集]
- 『個別賃金決定方式――転機に立つベ・ア方式とその背景』(産業労働調査所、1974年)
- 『現代の労働組合主義 2 経済と賃金』(新田俊三共著、教育社、1982年)
- 『定昇問題と賃金決定』(金子美雄、矢加部勝美他共著、日本生産性本部、1983年)
- 『労働界トップリーダーの自画像』(山岸章共編著、日本評論社、1985年)
- 『連合築城――労働戦線統一はなぜ成功したか』(日本評論社、1992年)
- 『民主リベラルの政権構想――21世紀の扉を開く民主党』(日本評論社、1997年)
- 『「出会い」こそ人生の分岐点――複眼で見る政治と教育』(日本評論社、2003年)
- 『囲碁文化の魅力と効用』(日本評論社、2008年)
- 『浮世絵に映える囲碁文化』(日本評論社、2012年)
- 『歌舞伎に踊る囲碁文化』(日本評論社、2014年)
- 『藩校に学ぶ――日本の教育の原点』(日本評論社、2018年)
- 『藩校に学ぶ[補遺]――日本が誇れる人づくり・しつけ教育のモデル』(日本評論社、2019年)
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ↑ a b c デジタル版 日本人名大辞典+Plus「藁科満治」の解説 コトバンク
- ↑ a b c d 山田精吾監修、高梨昌、加藤敏幸、鷲尾悦也編『「連合」のすべて』エイデル研究所、1990年、85頁
- ↑ ものがたり戦後労働運動史刊行委員会編『ものがたり戦後労働運動史Ⅸ 政策推進労組会議の成立から統一準備会へ』教育文化協会、2000年、65頁
- ↑ a b c d e f g 高木郁朗『ものがたり現代労働運動史1 1989~1993――世界と日本の激動の中で』明石書店、2018年、20頁
- ↑ a b 『金属労協50年史 新たな50年に向けて「飛躍」(PDF)』全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)、2015年
- ↑ 渡辺治『「豊かな社会」日本の構造』労働旬報社、1990年、343頁
- ↑ ものがたり戦後労働運動史刊行委員会編『ものがたり戦後労働運動史Ⅹ――全民労協の発足から連合結成へ』教育文化協会、1999年、96頁
- ↑ 国民政治年鑑編集委員会編『国民政治年鑑 1987年版』日本社会党中央本部機関紙局、1987年、1065頁
- ↑ 法政大学大原社会問題研究所編『日本労働年鑑 第60集 1990年版』労働旬報社、1990年
- ↑ a b 藁科 満治 日本評論社
- ↑ 参院議員総会で藁科会長ら新三役を選出(民主党、2003年11月13日)、参院議員総会で江田会長、輿石幹事長ら新3役を承認(民主党、2004年7月26日)。
- ↑ 大倉喜七郎賞 日本棋院
- ↑ 藁科満治『民主リベラルの政権構想』日本評論社、1997年
- ↑ 新機構、新役員を発表 政務役員会に「ネクスト・キャビネット」機能 民主党、1999年10月1日
- ↑ 神奈川新聞社編集局報道部編著『知事誕生』神奈川新聞社、2003年、121頁