キタドジョウ

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キタドジョウ
分類
コイ目
上科ドジョウ上科
ドジョウ科
ドジョウ属
キタドジョウ
名称
学名Misgurnus chipisaniensis
Shedko & Vasl’eva, 2022
和名キタドジョウ (北泥鰌)
英名Chipisani pond loach[1]
保全状況
環境省レッドリスト情報不足

キタドジョウとは、コイ目ドジョウ科の淡水魚である。本種の分類には混乱があるが、同一と思われる為、一先ず本記事においてドジョウ属TypeIやM. chipisaniensisをキタドジョウに含めて解説する。

形状[編集]

体長は12~21cm。体色は褐色から暗褐色で、腹部が明色。

骨質盤の形状は、中島 & 内山 (2017)ではシャモジ状と、Okada et al. 2017では鎌状とされた。目はマドジョウより小さい[2]

胸鰭分岐棘は8-10本(普通は9)[注 1]。尾柄部の深さ、背鰭、背鰭基底、胸鰭、骨質版の長さがドジョウよりも短い[3]

尾鰭の付け根に黒紋が無い。

尾柄部が長く、全長の19%以上になる。背鰭は尾鰭の先端よりも吻の先端にかなり近い。

生態[編集]

東北地方関東地方北陸地方に分布する。本州北部集団と日本海側集団、太平洋集団に分かれる。

北海道樺太の個体は、本州産個体と遺伝子的な差が小さすぎる事から移入とされる。ミトコンドリアDNA分析により本州北部集団・本州日本海側集団・本州太平洋側集団の3グループに分かれるとされる。

本種の生息地にドジョウの分布地の大部分が重なるが、交雑しない。

分類[編集]

2008年の研究により、マドジョウとは異なる遺伝子型のドジョウ属魚類が発見される。

同年、ドジョウのmtDNA分析からtype IとTypeIIに別れたと報告される。

2017年に中島淳が、このドジョウ属魚類に北海道濤沸湖産の標本を用いて『キタドジョウ』と名付けた[2]

同年9月、グレードAは隠蔽種とされ、Misgurnus sp. Type Iという仮の学名がつく[4]

2022年、ShedkoとVasl’evaは、樺太南部から得られた標本を元に、キタドジョウと同系統のMisgurnus chipisaniensisを新種記載した[1]。キタドジョウと同一と見られるが、記載論文内でキタドジョウとM.chipisaniensisの形状が比較されていないため、確定ではない。

またキタドジョウとMisgurnus dichachrousは同種の可能性が高いとされる。

ドジョウの個体群とされるジンダイドジョウは、キタドジョウの可能性があるとされる。

人間との関係[編集]

開発や水質汚濁によって数を減らしていると思われる。環境省レッドリスト2020では「情報不足」とされる。

脚注[編集]

注釈
  1. ドジョウは7-9本で、普通は8本。
出典
  1. a b Sergei V., Shedko; Ekaterina, Vasil'eva (2022). “A New Species of the Pond Loaches Misgurnus (Cobitidae) from the South of Sakhalin Island”. Journal of Ichthyology 62 (3): 356-372. doi:10.1134/S0032945222030158. 
  2. a b 中島淳内山りゅう 『日本のドジョウ 形態・生態・文化と図鑑』 山と溪谷社2017年3月1日。ISBN 9784635062879
  3. Y., Yashima; R., Okada; T., Kitagawa (2023). “Differences in sexual morphological dimorphisms between two loach species of the genus Misgurnus (Cypriniformes: Cobitidae) in the River Shono system, Fukui Prefecture, Japan”. Vertebrate Biology 72 (23035). doi:10.25225/jvb.23035. 
  4. Okada, R.; Inui, T.; Iguchi, Y.; Kitagawa, T.; Takata, K.; Kitagawa, T. (2017). “Molecular and morphological analyses revealed a cryptic species of dojo loach Misgurnus anguillicaudatus (Cypriniformes: Cobitidae) in Japan”. Journal of Fish Biology 91: 989–996. doi:10.1111/jfb.13393. https://www.researchgate.net/publication/319465991_Molecular_and_morphological_analyses_revealed_a_cryptic_species_of_dojo_loach_Misgurnus_anguillicaudatus_Cypriniformes_Cobitidae_in_Japan.