梅原猛
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梅原 猛(うめはら たけし、大正14年(1925年)3月20日 - 平成31年(2019年)1月12日)は、日本の哲学者である。ものつくり大学総長(初代)、京都市立芸術大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。東日本大震災復興構想会議特別顧問(名誉議長)。碧南市哲学たいけん村無我苑名誉村長。また京都市名誉市民でもある。京都大学文学部哲学科卒業。立命館大学文学部哲学教授、京都市立芸術大学教授・学長の他、国際日本文化研究センター所長(初代)、社団法人日本ペンクラブ会長(第13代)などを歴任した。
略歴[編集]
京大文学部哲学科卒業後、立命館大学教授や京都市立芸術大学教授、同大学長を歴任する。昭和62年(1987年)の国際日本文化研究センター(日文研)設立に尽力して初代所長を平成7年(1995年)まで務める。平成9年(1997年)から6年間は日本ペンクラブ会長を務めた。
太平洋戦争を経験していることから戦争反対の姿勢を貫き、小田実や井上ひさしらと共に市民団体「九条の会」設立の呼びかけ人に名を連ね、日本国憲法第9条の意義を訴えた。梅原本人は「負ける戦争でなぜ死ななきゃいけないのかという深い懐疑が哲学をやる動機になった」と語っている。また憲法9条には「人類の未来の理想が含まれている」と語っていた。
平成31年(2019年)1月12日午後4時35分、肺炎のため、京都府京都市左京区の自宅において死去した。93歳没。
著作[編集]
単著[編集]
- 『地獄の思想』(中公新書、1967年)のち文庫
- 『美と宗教の発見』(筑摩書房、論文集、1967年)のち講談社文庫、ちくま学芸文庫(2002年)
- 『哲学する心』(講談社、論文集、1968年)のち文庫、学術文庫
- 『笑いの構造』(角川書店、1972年)のち文庫
- 『隠された十字架 法隆寺論』(新潮社、1972年)のち文庫
- 『水底の歌 柿本人麿論』(新潮社、1973年)のち文庫、改版2015年
- 『黄泉の王 私見・高松塚』(新潮社、1973年)のち文庫
- 『さまよえる歌集』(集英社、1974年)のち文庫
- 『塔』(集英社、1976年)のち文庫
- 『湖の伝説 画家・三橋節子の愛と生』(新潮社、1977年)のち文庫
- 『学問のすすめ』(佼成出版社、1979年)(自伝を含む)のち角川文庫(1981年)
- 『歌の復籍』(集英社、1979年)のち文庫
- 『怨霊と縄文』(朝日出版社、1979年)のち徳間文庫
- 『聖徳太子』(小学館、1980年 - 1985年)のち集英社文庫(1993年)
- 『仏教の思想』(角川書店、1980年)のち文庫
- 『日本の深層――縄文・蝦夷文化を探る』(佼成出版社、1983年、新版、1985年)のち集英社文庫(1994年)
- 『「歎異抄」と本願寺教団』(小学館 1984年)
- 『精神の発見』(角川文庫 1985年)
- 『日本学事始』(集英社文庫 1985年)
- 『ヤマトタケル』(新潮社、スーパー歌舞伎、1986年)
- 『文明への問い』(集英社文庫 1986年)
- 『飛鳥とは何か』(集英社文庫 1986年)
- 『日常の思想』(集英社文庫 1986年)
- 『仏像のこころ』(集英社 1987年)(「仏像-心とかたち」から梅原執筆分)
- 『写楽仮名の悲劇』(1987年、新潮社) のち文庫
- 『最澄瞑想』(佼成出版社、1987年)
- 『赤人の諦観』(集英社文庫 1987年)
- 『日本冒険』全3巻(角川書店、1988年 - 1989年) のち文庫
- 『ギルガメシュ』(新潮社、1988年)
- 『古典の発見』(講談社学術文庫、1988年)
- 『日本人の「あの世」観』(中央公論社、論文集、1989年)のち文庫
- 『三人の祖師 最澄・空海・親鸞』(佼成出版社 1989年)
- 『小栗判官』(新潮社、スーパー歌舞伎原作、1989年)
- 『誤解された歎異抄』(光文社・カッパ・ホームス、1990年)のち文庫
- 『日本の原郷熊野』(新潮社・とんぼの本、1990年)
- 『人間の美術 10――浮世と情念』(学習研究社、1990年)
- 『〈森の思想〉が人類を救う――二十一世紀における日本文明の役割』(小学館、1991年)。『森の思想が人類を救う』(小学館ライブラリー、1995年/新版・PHP研究所、改版2015年)
- 『海人と天皇』(朝日新聞社、1991年)のち新潮文庫、朝日文庫
- 『人間の美術7――バサラと幽玄』(学習研究社 1991年)
- 『混沌を生き抜く思想――21世紀を拓く対話』(PHP研究所、1992年) のち文庫
- 『日本人の魂 あの世を観る』(光文社カッパ・ホームス、1992年)
- 『古代幻視』(文藝春秋、1992年)のち文庫
- 『百人一語』(朝日新聞社、1993年)のち新潮文庫
- 『梅原猛の『歎異抄』入門』(プレジデント社、1993年)のちPHP文庫
- 『中世小説集』(新潮社、1993年) のち文庫
- 『饗宴 随想と対話』(講談社、1994年)
- 『将たる所以――リーダーたる男の条件』(光文社、1994年)
- 『思うままに』シリーズ(文藝春秋)
- 『世界と人間――思うままに』(文藝春秋 1994年)のち文庫
- 『自然と人生――思うままに』(文藝春秋 1995年)のち文庫
- 『癒しとルサンチマン――思うままに 』(文藝春秋、1997年)
- 『亀とムツゴロウ――思うままに』(文藝春秋、1999年)
- 『シギと法然――思うままに』(文藝春秋、2000年)
- 『宗教と道徳――思うままに』(文藝春秋、2002年)のち文庫
- 『戦争と仏教――思うままに』(文藝春秋、2004年)のち文庫
- 『神と怨霊――思うままに』(文藝春秋、2008年)
- 『親鸞と世阿弥――思うままに』(文藝春秋、2011年)
- 『老耄と哲学――思うままに』(文藝春秋、2015年)
- 『心の危機を救え――日本の教育が教えないもの』(光文社 1995年)のち文庫
- 『梅原猛の世界』(平凡社、1995年)
- 『もののかたり』(淡交社、1995年)
- 『共生と循環の思想』(小学館、1996年)
- 『あの世と日本人』(日本放送出版協会・NHKライブラリー、1996年)
- 『京都発見』全9巻(新潮社、1997年 - 2007年)
- 『オオクニヌシ』(文藝春秋、1997年)
- 『芸術と生命―ディオニュソスに魅せられて』(岩波書店、1998年)
- 『天皇家の"ふるさと"日向をゆく』(新潮社、2000年)のち文庫
- 『浄土仏教の思想〈巻8巻〉法然』(講談社 2000年) のち文庫、『法然――十五歳の闇』(角川文庫(上・下)、2006年)
- 『脳死は本当に人の死か』(PHP研究所、2000年)
- 『古事記』(学研M文庫、2001年)のち増補新版、『古事記(増補新版)』(学研プラス、2016年)
- 『三度目のガンよ、来るならごゆるりと』(光文社、2001年)
- 『梅原猛の授業』シリーズ(朝日新聞社)
- 『梅原猛の授業――仏教』(朝日新聞社、2002年)のち文庫
- 『梅原猛の授業――道徳』(朝日新聞社、2003年)のち文庫
- 『梅原猛の授業――仏になろう』(朝日新聞社、2006年)のち文庫
- 『梅原猛の授業――能を観る』(朝日新聞社、2012年)
- 『王様と恐竜 スーパー狂言の誕生』(集英社、2003年)
- 『法然の哀しみ』(小学館文庫(上・下)、2004年)。元版は(梅原猛著作集第10巻、小学館、2000年)
- 『梅原猛、日本仏教をゆく』(朝日新聞社、2004年) のち文庫
- 『母ごころ 仏ごころ――豊かに生きる知恵』(小学館、2004年)。『仏のこころと母ごころ』(小学館文庫、2006年)
- 『日本の霊性――越後・佐渡を歩く』(佼成出版社、2004年)のち新潮文庫(2007年)
- 『最澄と空海――日本人の心のふるさと』(小学館文庫 2005年)
- 『親鸞の告白』(小学館文庫 2006年)
- 『神殺しの日本 反時代的密語』(朝日新聞社、2006年)のち文庫
- 『歓喜する円空』(新潮社、2006年)のち文庫
- 『親鸞のこころ――永遠の命を生きる 』(小学館文庫、2008年)
- 『うつぼ舟』シリーズ(角川学芸出版)
- 『うつぼ舟Ⅰ――翁と河勝』(角川学芸出版、2008年)
- 『うつぼ舟Ⅱ――観阿弥と正成』(角川学芸出版、2009年)
- 『うつぼ舟Ⅲ――世阿弥の神秘』(角川学芸出版、2010年)
- 『うつぼ舟IV――世阿弥の恋』(角川学芸出版、2012年)
- 『うつぼ舟V――元雅の悲劇』(角川学芸出版、2013年)
- 『日本の伝統とは何か』(2010年、ミネルヴァ書房)
- 『葬られた王朝――古代出雲の謎を解く』(2010年、新潮社)のち文庫(2012年)
- 『京都鬼だより』(淡交社、2010年)
- 『学ぶよろこび――創造と発見――』(朝日出版社、2011年)
- 『梅原猛の仏教の授業――法然・親鸞・一遍』(PHP研究所、2012年) のち文庫
- 『人類哲学序説』(岩波書店、岩波新書、2013年)
- 『縄文の神秘』(学研パブリッシング、2013年)
- 『親鸞「四つの謎」を解く』(新潮社、2014年)のち文庫
編著・監修[編集]
- 『日本とは何なのか』(日本放送出版協会NHKライブラリー、1990年)
- 『脳死は、死ではない』(思文閣、1992年)
- 『能を読む』(1)翁と観阿弥 能の誕生、(2)世阿弥 神と修羅と恋、(3)元雅と禅竹 夢と死とエロス、観世清和監修、天野文雄・土屋恵一郎・中沢新一・松岡心平と編集委員(角川学芸出版、2013年)
共著[編集]
- (末川博・桑原武夫・湯川秀樹)『現代の対話』(雄渾社、1966年)
- (梅棹忠夫・鶴見俊輔・高橋和巳)『未来の対話』(雄渾社)
- (中上健次)『君は弥生人か縄文人か』朝日出版社
- (稲盛和夫)『「哲学」への回帰』(PHP研究所)
- (埴原和郎)『アイヌは原日本人か』(小学館)
- (藤村久和)『アイヌ学の夜明け』(小学館)
- (吉本隆明・中沢新一)『日本人は思想したか』(新潮社)
- (山折哲雄)『宗教の自殺』(PHP研究所)
- (福井謙一)『哲学からの創造』(PHP研究所)
- (中曽根康弘)『政治と哲学』(PHP研究所)
- (河合隼雄・松井孝典)『いま、いのちを考える』(岩波書店)
- (樋口隆康・厳文明)『長江文明の曙』(角川書店)
- (上田正昭)『「日本」という国』(大和書房)
- (稲盛和夫)『新しい哲学を語る』(PHP研究所)
- (白川静)『呪の思想-神と人との間』(平凡社) のち平凡社ライブラリー
- (山折哲雄・長谷川公茂・河合雅雄)『神と仏 対論集 第1巻 神仏のかたち』(角川学芸出版)
- (中沢新一・松井孝典・日高敏隆)『神と仏 対論集 第2巻 神仏のすみか』(角川学芸出版)
- (市川亀治郎)『神と仏 対論集 第3巻 神仏のまねき』(角川学芸出版)
- (松岡心平)『神と仏 対論集 第4巻 神仏のしづめ』(角川学芸出版)
- (吉村作治)『「太陽の哲学」を求めて エジプト文明から人類の未来を考える』(PHP研究所)
- (稲盛和夫)『人類を救う哲学』(PHP研究所)のち文庫「近代文明はなぜ限界なのか」
- (今出川行雲、梅原賢一郎、奥田昭則)『横川の光―比叡山物語』(角川学芸出版)
- (中曽根康弘)『リーダーの力量 日本を再び、存在のある国にするために』(PHP研究所)
- (五木寛之)『仏の発見』(平凡社)のち学研M文庫
- (瀬戸内寂聴)『生ききる。』(角川ONEテーマ21、2011年)
- (釈徹宗)『仏教入門 親鸞の「まよい」』(とんぼの本・新潮社、2011年)
- (町田宗鳳)『仏教入門 法然の「ゆるし」』(とんぼの本・新潮社、2011年)
- 『憲法九条は私たちの安全保障です。』(岩波ブックレット、2015年) 共著者:大江健三郎、奥平康弘、澤地久枝、鶴見俊輔、池田香代子、金泳鎬、阪田雅裕
- (佐藤敬)『虫はウソをつくのか』(KADOKAWA 2015年)
- 『水木しげる 鬼太郎、戦争、そして人生』(新潮社・とんぼの本 2015年)
対談集[編集]
- 『考える愉しさ 梅原猛対談集』(新潮社、1975年)
- 『芸術の世界上下 梅原猛対談集』(講談社、1980年)
- 『梅原猛全対話』全6巻(集英社、1984年)
- 『少年の夢 梅原猛対談集』(小学館のちライブラリー、1994年)
- 『九つの対話』(潮出版社、2000年)
- 『美の奇神たち:梅原猛対話集』(淡交社、2013年)
- 『人類哲学へ』(NTT出版、2013年)
- 『少年の夢』(河出文庫、2016年)
著作集[編集]
- 『梅原猛著作集』全20巻(集英社、1981年 - 1982年)
- 『梅原猛著作集』全20巻(小学館、2000年 - 2003年)
舞台作品[編集]
- 『ヤマトタケル』(スーパー歌舞伎、1986年初演)
- 『オグリ 小栗判官』(スーパー歌舞伎、1991年初演)
- 『ギルガメシュ』(戯曲、1996年初演)
- 『オオクニヌシ』(スーパー歌舞伎、1997年初演)
- 『世阿弥』(スーパー能、2013年初演)