ビスケット
ビスケット(英: biscuit)とは、小麦粉を練って薄く板状にしたものを二度以上に分けて焼いた食品である[1]。ただし、イギリスでは二度焼きしないものを区別して呼ぶ語がないため、アメリカ合衆国のクッキー、クラッカーやフランスのサブレも含めてビスケットと呼ぶ。
概要[編集]
保存食として使われるほか、軍用、登山用、非常食に用いられる。
本来は、硬く焼き締めたハードビスケットをいう。乾パンや堅パン(北九州の地方食のひとつ)とほぼ同じものである。日本語では、古くは「重焼面皰」といった。そのまま齧ると食しにくいため、シチューなどに入れて煮て食うという利用法もある。
バターを練り込んで砂糖を入れ、柔らかく焼いたソフトビスケットもある。二度焼きしないので厳密にいうとビスケットではないかもしれないが、日本国内で、もっぱら菓子として食され、広く云われる「ビスケット」は、ソフトビスケットである。
日本へは16世紀後半の江戸時代にポルトガル人によって南蛮菓子としてもたらされ、ポルトガル語のビスコウト(biscouto)が訛って伝えられた[2]。
大日本帝国海軍とビスケット[編集]
戦艦大和の艦長は、のべ数百機にものぼる敵機の攻撃で艦の最期が近いと知ると、体を操舵にロープで巻き付け、ビスケットを齧り、艦と運命を共にした。また、ある特攻隊の部隊ではビスケットの袋を譲り合い、「なあに、死にに行くのに食べても仕方がないですよ」と答えたという。なお、大日本帝国海軍では金平糖が添えられることも多かった。
形状[編集]
軍用の乾パン以外に、非常食として一般的な「乾パン(金平糖とのセット)」や、海難用非常食として乾パンを粉砕したものを固めてゼリー(風情としては羊羹だが、スティック状で、かなり硬い)を添えたものもある。後者の二種は消費期間が切れる前に配給されるが、なにしろ「非常食」なので硬くて食いにくい。「南部せんべい」のつもりで煮て食うというのがお奨めである。
ビスケットと飲み物[編集]
コーヒー、紅茶、中国茶、緑茶いずれにも合う。英国では、クッキーやクラッカーなどのソフトビスケットを紅茶にディップすることも普通に行われるという。
販売店[編集]
菓子店、スーパーなどで販売されている。
税[編集]
イギリスではビスケットは軽減税率の対象になっているが、チョコレートは軽減税率の対象になっていないので、ビスケットを使ったチョコレート菓子の税をどうするか議論となった。
余談[編集]
呼称については地方性もあり、議論もあるため統一見解はない。「堅パン」か「乾パン」かは意見の分かれるところである。