鈴木達夫 (弁護士)

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鈴木 達夫(すずき たつお、1940年7月28日[1] - 2020年1月14日)は、弁護士。元NHK職員、日弁連刑事弁護センター委員。選挙では鈴木たつおの表記も用いる。

経歴・人物[編集]

現在の東京都中央区[2]、施盤工・労働者の息子として生まれる[3]東京都立新宿高等学校で原水禁運動に取り組む[4]。1959年東京都立新宿高等学校卒業、東京大学理科Ⅰ類入学[5]日本共産党東大駒場細胞の指導下の大衆組織だったフロント(社会主義学生戦線)の構革派論客だった[6]。1961年に民族民主革命論の綱領に反対し、日本共産党東大細胞から離党した(党から除名)[4]。1964年東京大学工学部土木工学科都市計画コース卒業。日本放送協会(NHK)に入局し、番組制作担当ディレクターとして長崎局に赴任[5]。ただちに日本放送労働組合(日放労)長崎分会に加入[3]。1966年日放労長崎分会教宣部長。春闘妥結を批判して解任。1967年6月日放労長崎分会委員長選挙に立候補して当選し[4]、1970年まで委員長[5]。この間、分会で反戦青年委員会を結成し、西村卓司らの三菱長崎造船社会主義研究会(長船社研)や自治労全逓などに呼びかけて、長崎地区反戦青年委員会を結成。分会をあげて1968年1月の原子力空母エンタープライズ佐世保寄港阻止闘争などを闘う[4]

1968年8月に東京への配転を命じられ、分会をあげて不当配転反対の100日闘争を闘う。この間、委員長選挙に再度立候補し、票差を7票差から13票差に広げて再当選[4]。10数名の執行委員たちと団体交渉を要求したことにより暴力行為等処罰法違反で現行犯逮捕され[7]、起訴休職[4]。1969年全国反戦青年委員会代表世話人[8]。1982年に15年間の裁判闘争の末、最高裁で懲役求刑から罰金1万円に押し戻したものの、「職場秩序を乱した」としてNHKを懲戒免職となった[7]。長崎日放労では社青同主体と変革派の一員だったが[9]、その後、革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)に加盟した[3]

15年間の裁判闘争の経験を活かして勉強し[5]、1988年司法試験に合格。第43期司法修習生を経て、1991年第二東京弁護士会に登録[7]。同時に和久田修弁護士とともに星野再審弁護団を結成し、団長に就任[2]動労千葉顧問弁護団に参加[3]。1999年に高山俊吉らと「憲法と人権の日弁連をめざす会」を結成し[10]、事務局を担う[7]。第二東京弁護士会刑事弁護委員長、日弁連刑事弁護センター委員を歴任[7]動労総連合の強制出向無効確認訴訟、国労組合員資格確認訴訟などに参加し、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の訴訟で解雇撤回の全面勝利、弁護団長を務めた法政大学学生弾圧裁判で全員無罪を勝ち取る[8]。「国鉄分割民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動」(国鉄闘争全国運動)呼びかけ人[11]、「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(NAZEN)全国呼びかけ人[12]、「許すな改憲!大行動」代表呼びかけ人[13][14]

2014年1月、東京都知事選に無所属で立候補[15]。戦争を推進する安倍政権の打倒、原発の即時撤廃、民営化・非正規職化に反対、2020年東京オリンピックの中止、盗聴の拡大・裁判員制度・司法改革に反対、星野文昭救出などを訴え[16]、中核派[17]リチャード・コシミズなどが支持を表明した[18]。1万2684票を獲得、16人中5位で落選した[19]

2014年12月の第47回衆議院議員総選挙に東京都第8区から無所属で立候補。1万6981票を獲得、4人中4位で落選した[20][21]。2016年7月の第24回参議院議員通常選挙に東京都選挙区から無所属で立候補。1万6187票を獲得、4人中4位で落選した[22][23]。参院選挙では「労働者の力で社会に革命を」というキャッチフレーズを掲げ、伊藤陽平新宿区議によるインタビューでは、労働者を中心とした社会主義を目指していると答えた[24]

2017年7月の東京都議会議員選挙では杉並区から立候補した北島邦彦都政を革新する会)を推薦した[25]。同年7月に国際連帯共同行動研究所が設立され、代表に就任した(事務局長は鎌田雅志[26]。同年10月の第48回衆議院議員総選挙では東京都第8区から立候補した齋藤郁真(都政を革新する会)を支持した[27]

2019年に肺がんを患い、2021年1月14日に日赤病院で死去した。79歳だった[3]。お通夜ではNHK長崎時代の先輩の田中勝美、革命的共産主義者同盟の秋月丈志、弁護士の武内更一が、お別れの儀では動労千葉顧問の田中康宏、芸人の松元ヒロ、弁護士の高山俊吉が弔辞を読んだ[2]。お別れ会には蛭子能収からの供花も飾られていた[28]

著書[編集]

  • 『司法改革と治安弾圧』(労働者学習センター)
  • 『自民党新憲法草案との対決』(労働者学習センター)

分担執筆[編集]

  • 足立昌勝監修『共謀罪と治安管理社会――つながる心に手錠はかけられない』(社会評論社、2005年)
  • 『未決勾留16年』刊行委員会編著『未決勾留16年――迎賓館・横田事件の被告は無実だ』(編集工房朔、発売:JRC、2007年)

出典[編集]

  1. 鈴木 達夫:立候補者情報:選挙区:東 京:参院選2016 時事ドットコム
  2. a b c 鈴木達夫弁護団長逝去 霊前に国賠・再審勝利を誓う」星野新聞第93号
  3. a b c d e 葉山岳夫鈴木達夫同志を追悼する改憲阻止、反戦闘争と労働運動に生涯を捧げた革命家弁護士」週刊『前進』04頁(3110号04面05)(2020/02/24)
  4. a b c d e f 陶山健一『反戦派労働運動』刊行に寄せて 革命的左翼と労働組合 元日放労長崎分会委員長鈴木達夫弁護士に聞く」週刊『前進』10頁(2341号10面1)(2008/04/28)
  5. a b c d 鈴木達夫氏記者会見の起こし 3・14法大弾圧を許さない法大生の会、2014年1月15日
  6. 川上徹、大窪一志『素描・1960年代』同時代社、2007年、39頁
  7. a b c d e ★祝勝無罪12★ 鈴木達夫弁護士からのメッセージ 法政大学文化連盟、2012年8月28日
  8. a b 鈴木たつお弁護士を国会へ 政治家と資本家の腐敗を許すな 労働者民衆の新しい政党を 主張・経歴・趣味週刊『前進』02頁(2748号01面01)(2016/05/19)
  9. 加藤啓、山中幸男「救援連絡センターの五〇年――激動の発足時」『情況』2018年秋号、151頁、山中幸男の発言
  10. 弁護士会 政治闘争(3)「もし中国が尖閣占領を…」〝日本有事〟直視しない反安保決議 少数派が主導権握る日弁連執行部 産経新聞、2017年4月7日
  11. 呼びかけ 国鉄闘争全国運動
  12. 8・9長崎集会 福島と被爆地・長崎が結び核も原発もない世界へ ZNN.JP、2013年8月13日
  13. 憲法改悪と戦争を絶対に許さないために職場、地域、国境を越えてつながろう! 戦争絶対反対!許すな改憲!東京集会週刊『前進』06頁(2707号05面01)(2015/11/23)
  14. 戦争・改憲阻止―安倍打倒へ新しい労働者政党つくろう 許すな改憲!大行動代表呼びかけ人 鈴木達夫弁護士が大いに語る週刊『前進』12頁(2712号02面01)(2016/01/01)
  15. 弁護士・鈴木氏が都知事選出馬表明 読売新聞、2014年1月15日
  16. 闘う弁護士・鈴木たつおさんが東京都知事選に出馬表明! 前進ブログ版、2014年1月15日
  17. 畠山理仁「【東京都知事選】新聞・テレビが伝えない12人の立候補者に迫る「鈴木達夫」 」週プレNEWS、2014年2月3日
  18. リチャード・コシミズ「都知事選:鈴木たつお候補の池袋応援演説やりました。」旧RKブログ保存版、2014年2月3日
  19. 東京都知事選挙(平成26年2月9日執行) 開票結果 東京都選挙管理委員会事務局
  20. 鈴木達夫(小選挙区・東京都) : 衆院選2014(衆議院選挙) YOMIURI ONLINE
  21. 2014衆院選 東京8区 鈴木 達夫 毎日新聞
  22. 鈴木達夫(選挙区・東京都)【参議院選挙2016】 読売新聞
  23. 2016参院選 無東京 鈴木 達夫 毎日新聞
  24. 伊藤陽平 泡沫候補と言われるも、精力的に活動。無所属鈴木たつお編|最年少区議の選挙現場レポート 選挙ドットコム
  25. 推薦します 都政を革新する会
  26. 7・30東京 国際連帯共同行動研究所を設立 世界革命への挑戦 前進ブログ版、2017年8月24日
  27. 東京8区・斎藤いくま(全学連委員長)を国会へ! 国際連帯共同行動研究所、2017年10月2日
  28. 松元ヒロのツイート

関連文献[編集]

  • 陶山健一『反戦派労働運動』(亜紀書房、1969年/上・下、前進社、2007-2008年)
  • 水谷保孝岸宏一『革共同政治局の敗北1975〜2014――あるいは中核派の崩壊』(白順社、2015年)

外部リンク[編集]