情況

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情況(じょうきょう)は、「変革のための総合誌」と銘打った新左翼系雑誌。発行元は情況出版。新左翼運動の高揚の中で創刊され、その思想・文化を代表する雑誌媒体であったが1976年に廃刊となった。1990年に復刊し、2012年以降は第4期に入っている。2017年から季刊。

概要[編集]

1968年に古賀暹が情況社を設立し[1]、同年7月に月刊誌『情況』(8月号)を創刊した[2]。古賀によれば、哲学者の廣松渉が当時の金で100万円援助して、創刊されたものだという。古賀はいったん断ったが、喫茶店で上半身の服を脱ぎ、さらしから100万円を出し、「男が一度出した金を引っ込めることはできない」と言われたことから、創刊を決意したと言う[3]

「変革のための総合誌」と銘打ち、新左翼系の理論家や活動家が寄稿し、新左翼系の学生らに大きな影響を与えた[4]。古賀によれば、同誌は自身が属していた共産同再建準備委員会(通称:情況派)とは別のジャーナリズムであり、党派が情況派と呼ばれることは迷惑だったという[5]。なお当時『現代の眼』『流動』『構造』など総会屋系の新左翼雑誌も広く読まれていたが、情況は総会屋系ではない。1976年暮に101号で廃刊となった。

古賀は休刊後すぐ西ドイツに渡り[6]、1986年(または1984年[7])に帰国[1]、1990年7月に第2期『情況』を創刊した[8]。古賀によれば、帰国後『情況』を再刊する気はなかったが、廣松渉の要請により、再刊に至ったという[9]。創刊号の特集は「壁なき世界の思想を問う」、巻頭論文は廣松渉の「“壁”崩壊後の歴史的課題情況」[8]、その他の執筆者は今村仁司三島憲一江原由美子最首悟などだった。古賀は2000年に引退し[1]、情況出版を大下敦史に譲渡した[9]

沿革[編集]

  • 第1期:1968年 - 1976年。月刊。発行は情況編集委員会(1-2号)、情況社(3-31号)、情況出版。
  • 第2期:1990年 - 2000年。
  • 第3期:2000年 - 2011年。途中で隔月刊となる。
  • 第4期:2012年 - 刊行中。途中で月刊となるが、再び隔月刊に戻る。2017年春号から季刊となる。

脚注[編集]

  1. 1.0 1.1 1.2 北一輝―革命思想として読む 紀伊國屋書店
  2. 熊野純彦『戦後思想の一断面――哲学者廣松渉の軌跡』ナカニシヤ出版、2004年、104頁
  3. 荒岱介、古賀暹「親子二代、雪のふる日に人生が変わっていく」荒岱介編著『破天荒な人々――叛乱世代の証言』彩流社、2005年、130-131頁
  4. 宮本則夫「情況」戦後革命運動事典編集委員会編『戦後革命運動事典』新泉社、1985年、131頁
  5. 『破天荒な人々――叛乱世代の証言』133頁
  6. 「“逆風”に抗し第2期創刊(雑誌界)」『朝日新聞』1990年6月10日付朝刊11面(読書)
  7. 『破天荒な人々――叛乱世代の証言』102頁、138頁
  8. 8.0 8.1 『戦後思想の一断面――哲学者廣松渉の軌跡』165頁
  9. 9.0 9.1 『破天荒な人々――叛乱世代の証言』140-141頁

外部リンク[編集]