前進社

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前進社(ぜんしんしゃ)は、革命的共産主義者同盟全国委員会(通称:中核派)の出版社、拠点事務所。

概要[編集]

東京都江戸川区松江に本社が存在し、全国に5支社・1支局を置く。革マル派が中核派を「ブクロ派」と蔑称するのは、かつて豊島区東池袋、その後池袋に近い豊島区千早に本社が存在したことによる。千早にあった本社は要塞のような外観から「千早城」と呼ばれた。大阪市淀川区東三国にあった関西支社は2007年に関西地方委員会が分裂して結成した「革命的共産主義者同盟再建協議会」(通称:関西派)の事務所になったため、天王寺区寺田町に新たな関西支社が設置された。関西派は引き続き事務所を「前進社関西支社」と称している[1]

主に中核派の機関紙誌や活動家の著作を出版している。1974年に機関紙『前進』を印刷していた民間の印刷所が革マル派に襲われて発行できなくなったため、同年中に本社を移転して自前の印刷工場を設置した。以後は前進社が『前進』の印刷も手掛けている[2]。他に中核派の機関紙誌や活動家の著作を複数出版している出版社として「アール企画」「出版最前線」などが存在する。なお革マル派は「解放社」、革労協主流派は「現代社」、革労協反主流派は「赤砦社」、JRCLは「新時代社」、労働者党は「全国社研社」という出版社・拠点事務所を有している。

本社[編集]

総武本線新小岩駅都営新宿線船堀駅、同・一之江駅から徒歩30分、都営バス・京葉交差点バス停から徒歩5分の地に位置する。周囲は工場や倉庫が立ち並び、向かいにはマンションが建っている。建物は5階建ての新館と4階建ての本館に分かれており[3]、周囲は高い鉄柵で囲まれ、正面の入口は分厚い鉄板扉で塞がれている。この鉄板扉には警察が家宅捜査の際にエンジンカッターで焼き切った跡が無数に残っている[4]。2重の入口からさらに進んだ所は監視モニターが並び、壁一面に公安警察官の顔写真が貼り出されている[4]。建物内は迷路のような入り組んだ形状で、印刷室、食堂、風呂場、洗濯場[4]、男子部屋、女子部屋[5]、学生ルーム(新館)などが存在する[3]

公安調査庁(2012年)によると約80人[6]、各種メディアの取材(2017年~2018年)によると約100人が共同生活を送る[5][4]齋藤郁真ら中核派系全学連メンバーへのインタビュー(2017年)によると約100人が生活または家から通い、年齢は20代から80代までいるという[3]。20代から30代の若者はAbemaTIMES(2017年)によると10人[5]、Smart FLASH(2018年)によると20人前後いる[4]。食事は朝昼晩の当番制で自炊[5]、食費は朝250円、昼350円、夜400円。定住者は一定額の光熱水道費を支払う必要がある[7]

出版物[編集]

前進社に直接注文するか、一部の大手書店や新宿の模索舎など取扱書店で購入することが出来る。2017年からAmazonでも購入できるようになった。神田神保町の書泉グランデでは「前進社ブックフェア」が行われたことがある[8]

定期刊行物[編集]

  • 機関紙『前進』(週2回・木発行)
  • 機関誌『共産主義者』(季刊)

書籍[編集]

  • 本多延嘉著作選』全7巻、1975-1981年
  • 陶山健一重要著作集』2巻まで刊行、2007-2008年
  • 清水丈夫選集』全10巻(7巻・8巻は未刊)、1998-2016年 など

歴史[編集]

  • 1959年9月 - 革共同全国委員会の機関紙『前進』創刊。
  • 1963年4月 - 革共同全国委員会から革マル派が分裂、革共同全国委員会は「中核派」と呼ばれるようになる。この時点で前進社は「豊島区池袋東1の50 佐藤ビル内」にあった[9]
  • 1966年11月 - 所在地が「豊島区東池袋2の62の9」に変更される[9]
  • 1974年1月 - 革マル派が『前進』の印刷所を襲撃。『前進』に替えてB4版の『革共同通信』を発行する[2]
  • 1974年8月 - 豊島区千早に前進社第2ビルが完成する[9]
  • 1974年11月 - 『前進』復刊。この号から『前進』は民間の印刷会社から自前の印刷工場での印刷体制に入った[2]
  • 1986年10月2日 - 豊島区議会が「中核派『前進社』即刻立ち退き要求に関する請願」を全会一致で採択。請願を行った豊島区千早町の住民は町民大会で「前進社の立ち退き要求決議」を採択したり、町内に「豊島区千早町1丁目居住の中核派『前進社』即刻立ち退き要求決議」と記載した立看板を設置したりしていた[10]
  • 1994年10月 - 江戸川区に移転[2]

所在地[編集]

脚注[編集]

  1. 連絡先 革命的共産主義者同盟再建協議会
  2. a b c d 21世紀世界革命の扉開く60年 「前進」3000号発刊を迎えて 中核派『前進』ホームページ
  3. a b c 恋愛OK、活動家の集団生活とは?中核派・全学連委員長が激白(5) | 『週刊ダイヤモンド』特別レポート ダイヤモンド・オンライン(2017年11月16日)
  4. a b c d e 中核派のアジトに潜入…壁一面に公安警察官の顔写真が! Smart FLASH(2018年6月10日)
  5. a b c d 恋バナ、夢、自炊、YouTubeチャンネル、そして逮捕も… 中核派アジト「前進社」で暮らす若者たちの素顔 AbemaTIMES(2017年6月15日)
  6. 公安調査庁「コラム 中核派,革マル派,革労協解放派の拠点事務所」『内外情勢の回顧と展望(平成24年1月)』(PDF)、2011年、60頁
  7. 恋愛OK、活動家の集団生活とは?中核派・全学連委員長が激白(5) | 『週刊ダイヤモンド』特別レポート ダイヤモンド・オンライン(2017年11月16日)
  8. 前進社出版物ブックフェアー 中核派『前進』ホームページ
  9. a b c 池袋 前進社ビルを語る! 5ちゃんねる
  10. 昭和63年 警察白書 警察庁
  11. 前進社 本社・支社・支局 - 出版案内 中核派『前進』ホームページ

外部リンク[編集]