赤木春恵

赤木 春恵（あかぎ はるえ、大正13年（1924年）3月14日 - 平成30年（2018年）11月29日）は、日本の女優である。本名は小田 章子（おだ あやこ）。紫綬褒章受章。俳優の野杁俊希は孫。

経歴

中華民国の新京市（現・長春）で大正13年（1924年）3月14日に生まれる。父親は満鉄病院(現大連大学付属中山病院)の医師であったが、赤木春恵が3歳の頃に奉天で亡くなった。昭和8年（1933年）に帰国し、母の親戚を頼り京都府に在住。京都洛陽高等女学校卒業後の昭和15年（1940年）に松竹ニューフェイスとして入社する。映画『二本松少年隊』（1940年公開、秋山耕作監督）でデビューする。しかしなかなか役が付かず、伊藤大輔監督の映画で『老け役』に転換した。昭和18年（1943年）、伊藤大輔監督が東映から大映に移籍したことに伴い、赤木も大映に移籍する。

1945年（昭和20年）2月、大映を退社して慰問団に参加し、劇団を編成し満州各地を巡業した。敗戦後は進駐したソ連軍に脅かされながら、ハルビンで発疹チフスに罹り、生死の境をさまようが助かる。1946年（昭和21年）10月、ハルビンから帰国の途に就き、葫蘆島から引揚船で10月20日に博多に着く。 帰国後は、片岡千恵蔵に勧められ大映に復帰する。1947年（昭和22年）に東映プロデューサーの小田賢五郎と結婚し、1948年（昭和23年）、東映に入社する。

1959年（昭和34年）、森繁久弥の自由劇団に参加と同時にフリーとなる。 1961年（昭和36年）、22歳の時、映画『宮本武蔵』（内田吐夢監督）で宮口精二演じる竹細工屋喜助の妻で、60歳の竹細工屋老婆を演じた。

昭和47年（1972年）、NHK連続テレビ小説「藍より青く」に出演。昭和54年（1979年）から開始したTBSのテレビドラマ「3年B組金八先生」では、校長役を演じて人気を得る。昭和58年（1983年）、NHK連続テレビ小説「おしん」に出演。平成2年（1990年）、TBSのドラマ「渡る世間は鬼ばかり」に出演。姑役を好演する。

平成23年（2011年）、明治座での公演を最後として、舞台の仕事を引退した。平成27年（2015年）9月に自宅で転倒して大腿骨を骨折し、パーキンソン病も患い、入院生活となった。 平成30年（2018年）11月29日午前5時7分、心不全のため、東京都府中市の病院で死去した。94歳没。

葬儀は平成30年（2018年）12月4日午後1時から築地本願寺和田堀廟所で行われ、佐久間良子や中村玉緒ら500人が参列した。弔辞は渡る世間は鬼ばかりの脚本家の橋田寿賀子の手紙を葬儀委員長の石井ふく子が代読し、里見浩太郎と大空真弓が読んだ。

評価

• 長山藍子 - 誰にも懐が深くて優しかった。凄いプロフェッショナルで大変な台詞も辛いときもあるけどあれは演技と理解し、堂々としていた。
• 角野卓造 - 真摯に役に向き合っていたので、1年に1、2回は「こんな台詞は言いたくない」と仰った。渡るはママがいてくれるので一家がちゃんとできていると思った。
• 東てる美 - お芝居や人生、色々なことを教えてもらいました。素敵なスカーフをしていてくれました。
• 小林綾子 - 温かい人柄で楽屋は人であふれていた本当に素敵な方。
• 中村玉緒 - 赤木先生はいつも同じ顔で、疲れて帰るときも元気に帰って子供たちに元気な顔を見せようとしていた。

人物

• 終戦後の旧満州で、ソ連兵による日本人女性に対する暴行が多発しており、夜になるとソ連の若い兵隊が戸を叩く。夕方に汚い衣装を身にまとい、顔にドーランを塗って影をつけ、頭は粉おしろいとか練りおしろいで白髪にみせ、老婆に化けた。ソ連兵は『ニェ・ハラショー（良くない）』と言い次の部屋を探したため、命を救われたという。
• 役では意地悪な姑役が多かったが、本当は嫌だったという。実際には愚痴や人の悪口は言わなかったという。
• 1941年(昭和16年)の女学校卒業の頃、母方の大叔母に預けられ、行儀見習いとして、ふすまの開け方、お辞儀の仕方、三つ指のつき方などを仕込まれた。
• 20歳の頃、撮影所には時代劇の髪を結う順番取りのため、午前5時に起き撮影所に入っていた。自分の番でも先輩が来たら席を譲らなければならず、撮影開始に間に合わなくなることがあるためである。

受賞歴

• 第13回菊田一夫演劇賞授賞。　
• 昭和62年（1987年） - 名古屋ペンクラブ演劇賞授賞。
• 平成5年（1993年）秋 - 紫綬褒章受章。　
• 平成10年（1998年）秋 - 勲四等寶冠章受章。
• 平成11年（1999年） - 橋田文化財団特別賞授賞。
• 平成22年（2010年） - 第19回日本映画批評家大賞ゴールデングローリー賞受賞。
• 平成25年（2013年） - ギネス世界記録(世界最高齢での映画初主演女優）認定。
• 平成26年（2014年） - 第68回毎日映画コンクール女優主演賞受賞。
• 第28回高崎映画祭最優秀主演女優賞受賞。
• おおさかシネマフェスティバル2014年主演女優賞受賞。