白井藩
白井藩（しろいはん）は、江戸時代前期のごくわずかな期間だけ上野国白井に存在した藩である。藩庁は白井城。現在の群馬県渋川市白井（旧北群馬郡子持村吹屋）に存在した。
概要[編集]
天正18年（1590年）の小田原征伐で白井城は前田利家・上杉景勝の攻撃の前に落城した。その後、関東に入部した徳川家康は、白井に本多康重を2万石で入れた。これが白井藩の立藩である。文禄元年（1592年）に朝鮮出兵が開始されて家康が関東から離れると、康重は関東の留守居を命じられた。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは徳川秀忠軍に属して上田城の真田昌幸と戦い、殿軍を務めた武功を賞されて慶長6年（1601年）2月、三河国岡崎藩に5万石で加増移封された。
代わって同年11月、松平康長が武蔵国から2万石で入った。しかし慶長7年（1602年）に1万石を加増された上で下総国古河藩に移封された。これは居城の白井城が火災により焼失したためとする説も存在する。
代わって彦根藩主・井伊直政の次男・井伊直孝が1万石で入った。直孝の長兄・井伊直勝は父の跡を継いで彦根藩の第2代藩主となっていたが、何事においても直勝は病弱で、大坂の陣においても直勝に代わって直孝が出陣して武功を挙げたこと、直勝よりも直孝のほうが直政の才能を受け継いでいたことなどを評価されて、元和2年（1616年）、家康の命により直勝は廃されて直孝が新たに彦根藩主となった。
代わって白井には西尾忠永が2万石で入る。しかし元和4年（1618年）8月に常陸国土浦藩へ移封となった。
その後、かつての白井藩主であった本多康重の次男・本多紀貞が1万石で入った。紀貞は元和6年（1620年）に大番頭に任命されたが、元和9年（1623年）に嗣子なく死去したため、白井藩は廃藩となり、白井城は破却、その所領は旗本領として分割された。
歴代藩主[編集]
本多家[編集]
譜代 2万石
- 康重（やすしげ）
松平〔戸田〕家[編集]
譜代 2万石
- 康長（やすなが）
井伊家[編集]
譜代 1万石
- 直孝（なおたか）
西尾家[編集]
譜代 2万石
- 忠永（ただなが）
本多家[編集]
譜代 1万石
- 紀貞（のりさだ）