飛び級

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飛び級(とびきゅう)とは、

  1. 児童生徒年齢に関わらず、より上級の学年へ進級すること。上位の学校に早期に入学する飛び入学(とびにゅうがく)、早期に卒業する早期卒業(そうきそつぎょう)の場合も使われる。本ページで詳述。
  2. 上記が転じて、スポーツ競技で、競技者の年齢の下限を超えて、競技能力によって代表選手に抜擢することや、最低所要年数未満で上位リーグにスポーツ団体が短期間で昇格する場合に使われる。

概要[編集]

個人の学習能力や成績によって、一定段階の課程を飛び越えて、より上位の学年の科目の履修を認めたり、早期に入学卒業させる教育システムで、アメリカ合衆国では普遍的に行われている。

日本の事例[編集]

日本学校教育は原則1年を単位とする学年制を採用しており、上級学校への入学(進学)にはその前の課程の卒業・修了を原則としている。なお、短期大学では飛び入学等は実施していない。

大学[編集]

高等教育レベルでは優れた業績を挙げた者について、医学など一部を除いて大学に3年(通常は4年)の在学で大学院への入学を認める飛び級があり、修士課程を1年(通常は2年)で修了し、博士課程を3年(通常は5年)で修了することができる。
また、入学についても、数学物理など特定の分野でその能力の伸長の著しい中等教育レベルの生徒に対して、大学への入学を認める飛び入学が実施されている。
なお、飛び入学後、高校は中退扱いとされ、飛び入学前に在籍した高校の校長が、大学入学後の学習実績を認めて卒業認定させることが現状不可能なため、大学を中退・除籍した場合に最終学歴が「中卒」になるデメリットがある。このため、飛び入学後に旧在籍校などで高卒認定を行えるようにする学校教育法等の改正が検討されている。

高等専門学校[編集]

高専では、後述の中等教育学校のように、高専3年次に大学1年次程度の学習内容を履修する「飛び級的な」教育課程を編成している。
一方で、中学卒業者以外の入学や高卒者以外の編入学は基本的に認めておらず、飛び入学で浮きこぼれ生徒が早期にアカデミックな教育に触れることはできない。

高等学校[編集]

高等学校は基本的に中学卒業者以外の入学は認めておらず、全日制高校ではさらに3年間の最低在籍期間が定められており、上記の大学飛び入学を含めて早期卒業は認めていない。
一方、単位制定時制通信制高校では必要単位の74単位をのべ3年間の在籍期間で履修して早期卒業できる三修制(さんしゅうせい)が実施されている。

義務教育[編集]

義務教育段階では、学校教育法で保護者が子女を学校へ就学させる期間が定められており、国内の上位学校への飛び入学による就学猶予もしくは就学免除は認めておらず、児童生徒個人の知能より学校の授業レベルが低い「浮きこぼれ」の生徒が生じる要因となっている。
なお、中等教育学校では3年次に高等学校の学習内容を履修する「飛び級的な」教育課程を編成することが認められている。

学校教育法施行以前[編集]

旧学制では、各学校について国会が議決した法律によらず、立法権者の天皇の名による勅令が制定され、例えば、高等学校中学校4年修了を入学資格としており、本来は、5年間修学の中学校を4年修了で旧制高校に入学した学生が少なくなかった。一方、旧制の中学校も尋常小学校5年修了で入学が可能であったが、小学校は6年卒業の児童が多かった。

また、現学制にはない2学年の跳躍飛び級も可能だった[注 1]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 例えば、元首相の濱口雄幸旧制高知中学で留年を重ねた後、3年から5年への飛び級を果たしている。

外部リンク[編集]