桂歌丸
桂 歌丸(かつら うたまる、昭和11年(1936年)8月14日 - 平成30年(2018年)7月2日)は、日本の落語家。本名は椎名 巌(しいな いわお)。神奈川県横浜市中区真金町(現:南区真金町)の出身。ハゲチャビン、生ミイラ、理科室の骸骨ではない。
落語芸術協会の会長や『笑点』の司会を務め、日本の落語界の発展に尽くした。
生涯[編集]
神奈川県横浜市出身。15歳のとき、古今亭今輔に入門し、後に桂米丸の門下に入る。二つ目時代の昭和41年(1966年)に放送が開始された「笑点」で大喜利レギュラーとして頭角を現し、当時の若手のホープとして注目される。昭和43年(1968年)に真打ちに昇進する。
テレビの人気者として落語ファン以外にも親しまれ、寄席での評判も高く、埋もれていた古典落語に高座にかけ、特に「真景累ヶ淵」(しんけいかきねがふち)など名人三遊亭円朝ものに取り組んだ。平成元年(1989年)に芸術祭賞を受賞する。
自宅がある横浜市の三吉演芸場での独演会は1970年代から続けており、建て替えにあたっては募金活動に奔走し、寄席「横浜にぎわい座」の館長も務めている。
平成16年(2004年)に落語芸術協会会長に就任し、若手の育成に力を注ぎ、さらに各地で公演を開くなど落語に普及に尽くす。平成18年(2006年)には5代目三遊亭円楽の後を継いで笑点の5代目の司会に就任し、平成28年(2016年)5月に退くまで大喜利コーナーで笑いをリードする。笑点には50年間出演し続け、そのシンボルとして活躍し、お茶の間に笑いを届けた。ちなみに歌丸が司会を務めた最後の出演回の平均視聴率は関東地区で27.1パーセントを記録し、視聴者に愛され続けた。
平成17年(2005年)に芸術選奨文部科学大臣賞、平成19年(2007年)に旭日小授章、平成28年(2016年)に文部科学大臣表彰を授賞した。
平成30年(2018年)7月2日午前11時43分、慢性閉塞症肺疾患のため、神奈川県横浜市の病院で死去した。81歳没。「笑点」においては勇退後の「終身名誉司会」から「永世名誉司会」と称号が格上げされた。
主な演目[編集]
- いが栗
- 井戸の茶碗
- 厩火事
- 江島屋怪談
- 越後屋
- おすわどん
- お茶汲み
- お見立て
- お若伊之助
- 火焔太鼓
- 鰍沢
- 紙入れ
- 髪結新三
- 菊江の仏壇
- 紺屋高尾
- 小烏丸
- 小言幸兵衛
- 後生鰻
- 小間物屋政談
- 三年目
- 塩原太助一代記
- 尻餅
- 城木屋
- 真景累ヶ淵(作:三遊亭圓朝)
- 宗悦殺し
- 深見新五郎
- 豊志賀の死
- 勘蔵の死
- お累の自害
- 湯灌場から聖天山
- お熊の懺悔[注 1]
- 鈴ヶ森
- 粗忽長屋
- 竹の水仙
- 乳房榎
- 長命
- 辻八卦
- 壷算
- つる
- 中村仲蔵
- 鍋草履
- 抜け雀
- ねずみ
- 引越しの夢
- 双蝶々雪の子別れ
- 牡丹灯籠(作:三遊亭圓朝)
- お露と新三郎
- お札はがし
- 栗橋宿
- 関口屋のゆすり
- 夢金
- 藁人形
出演[編集]
テレビ[編集]
演芸番組[編集]
- 死去時点の出演番組
- 日本の話芸( NHK教育・NHK総合) - 不定期出演。『お化け長屋』『厩火事』などを口演。
- もう笑点(2016年4月3日 - 、日本テレビ) - 司会者、終身名誉司会
- 笑点 なつかし版(2016年10月10日 - 、BS日テレ)
- 過去の出演番組
- 金曜夜席(1965年3月12日 - 1966年4月22日、日本テレビ) - レギュラー
- 笑点(1966年5月15日 - 2016年5月22日、日本テレビ) - レギュラー、司会者
- 爆笑パニック!体当たり60分(1975年10月5日 - 12月28日、テレビ東京)
- BS笑点(2003年10月12日 - 2007年2月17日、BS日テレ) - ナビゲーター
- 笑点Jr.(2007年4月22日 - 2011年3月13日、日テレプラス) - ナビゲーター
- 東京スカイ座 一朝一席(2010年7月4日 - 2014年3月30日、TOKYO MX) - ナビゲーター
- 笑点デラックス(2012年10月1日 - 2016年9月26日、BS日テレ)
- 笑点 特大号(2013年4月3日 - 2016年6月15日、BS日テレ) - レギュラー出演降板後も不定期の出演あり。
テレビドラマ[編集]
- 時代劇スペシャル ご存知!旗本退屈男(1988年 - 1993年、テレビ朝日 / 東映)
- 暴れん坊将軍VII 第12話(1996年、テレビ朝日)
- フードファイト スペシャル 〜深夜特急死闘編〜(2001年9月29日、日本テレビ)
- BS笑点ドラマスペシャル 桂歌丸(2017年10月9日、BS日テレ)[1]
ドキュメンタリー[編集]
- 落語人生どこまでも〜誰も見たことがない桂歌丸〜(2013年9月14日、BSフジ)
- クローズアップ現代 忍び寄る病 ~“COPD”の脅威~(2014年11月26日、NHK総合)
- ファミリーヒストリー 桂歌丸〜遊郭に生まれて 女傑と呼ばれた祖母〜(2017年12月20日、NHK総合)
映画[編集]
- 爆笑野郎 大事件(1967年、東宝)
- 落語野郎 大爆笑(1967年、東宝)
- 喜劇 大風呂敷(1967年、日活)
- トラック野郎・男一匹桃次郎(1977年、東映)
- 博多っ子純情(1978年、松竹)
- 明日やること ゴミ出し 愛想笑い 恋愛。(2010年、日本テレビ放送網/吉本興業)
- 映画館落語 かもめ亭(2012年、マイシアター)
声優[編集]
- 飛べ!孫悟空(TBS) - 光明大王 役
- がんばれゴエモン 東海道中 大江戸天狗り返しの巻(2005年、コナミ) - 講談風ナレーション
- 落語天女おゆい(2006年、ティー・エヌ・ケー) - 本人 役 ※冨士子夫人もキャラクターとして登場。三遊亭小遊三も本人役で出演[2]。
- 伏 鉄砲娘の捕物帳(2012年、アスミック・エース エンタテインメント) - 滝沢馬琴 役[3]
CM[編集]
- 日本盛(1970年代) - 山村聡、三遊亭小圓遊と共演[4]。
- 山形屋海苔店(1970年代)[5][6][7]
- 日清食品 「そば喜利」(1979年) - 三遊亭小圓遊と共演
- 日野・レンジャー (1980年代ごろ)
- ロッテ・ホカロン (1980年代中ごろ)
- ネスレ・ジャパン 「ネスカフェ サンタマルタ オレ」「ネスカフェ 匠」(2005年 - 2006年) - ナレーションも兼務。
- 野村證券 「株券電子化」篇 - 林家木久扇(当時:木久蔵)と6代目三遊亭円楽(当時:楽太郎)との共演
- au by KDDI 「簡単ケータイS 『公園トーク篇』」(2007年)
- TSUTAYA 「TSUTAYA・Tポイントカード」
- 東京都 「都民を守る安全対策 振り込め詐欺防止」編(警視庁版)、「悪質商法防止」編(生活文化局版) ※歌丸自身は神奈川県民。
- サントリー 「缶ビール6缶ケース・笑点コラボレートTシャツ「福T」プレゼント」(2007年3月)
- SpiNet(ファイザーとベーリンガーインゲルハイムの両日本法人が展開するCOPD情報サイト) 「COPD対策啓発キャラクター」(2009年12月 - )
- 肺に罹患し、退院して日の浅い歌丸が「肺気腫に伴う感染憎悪」に関する啓発キャラクターとして起用された。2010年2月には、ディスカバーCOPD研究会のメンバーにもなった。この研究会の会見の直前に肺炎にかかり入院することとなり、研究会の会見を欠席。『笑点』も休演することになってしまった。復帰後、「COPD啓発大使」となった(同広報大使は和田アキ子)。
- 日本薬師堂 グルコンEX - 三遊亭好楽と共演
- 日本民間放送連盟「STOP!温暖化」(2014年4月 - 2015年3月)
著書[編集]
- 極上歌丸ばなし(2006年、うなぎ書房、編者:山本進) ISBN 978-4901174213
- 座布団一枚! 桂歌丸のわが落語人生(2010年、小学館) ISBN 978-4093881388
- 恩返し 不死鳥ひとり語り(2012年、中央公論新社、編者:長井好弘) ISBN 978-4120043253
CD・DVD[編集]
CD[編集]
- 桂 歌丸1「質屋庫」「菊江の仏壇」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ2(2000.4.19発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸2「左甚五郎-竹の水仙」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ6(2001.5.23発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸3「牡丹灯籠―栗橋宿」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ12(2002.7.24発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸4「双蝶々雪の子別れ」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ18(2003.3.19発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸5「髪結新三」上下 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ25(2004.6.23発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸6「小烏丸」「辻八卦」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ30(2005.5.18発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸7「藁人形」「井戸の茶碗」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ51(2008.7.23発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸8「火焔太鼓」「紙入れ」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ55(2008.12.24発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸9「真景累ヶ淵 豊志賀の死」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ59(2010.4.7発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸10「中村仲蔵」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ68(2011.4.20発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸11「鰍沢」「城木屋」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ71(2011.7.27発売、ソニーミュージック)
- 高座60周年記念 特撰 桂歌丸(2011.7.27発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸12「紺屋高尾」「トーク:歌丸ばなし1」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ95(2014.6.25発売、ソニーミュージック)
- 桂 歌丸13 「小間物屋政談」「トーク:歌丸ばなし2」 - 「朝日名人会」ライヴシリーズ96(2014.6.25発売、ソニーミュージック)
- NHK新落語名人選 桂歌丸(2005.12.7発売、ユニバーサルミュージック)
- 真景累ヶ淵
- 真景累ヶ淵 CD5枚組(2006.2.22発売、テイチクエンタテインメント)
- 真景累ヶ淵 深見新五郎(2006.2.22発売、テイチクエンタテインメント)
- 真景累ヶ淵 勘蔵の死(2006.2.22発売、テイチクエンタテインメント)
- 景累累ヶ淵 お累の自害(2006.2.22発売、テイチクエンタテインメント)
- 真景累ヶ淵 湯灌場から聖天山(2006.2.22発売、テイチクエンタテインメント)
- 真景累ヶ淵 お熊の懺悔(2006.2.22発売、テイチクエンタテインメント)
CD・DVD[編集]
- 牡丹燈篭
- 牡丹燈篭 お露と新三郎(2006.9.27発売、テイチクエンタテインメント)
- 牡丹燈篭 お札はがし(2006.10.25発売、テイチクエンタテインメント)
- 牡丹燈篭 関口屋のゆすり(2006.12.20発売、テイチクエンタテインメント)
- 牡丹燈篭 完全セット(2006.12.20発売、テイチクエンタテインメント)
- 乳房榎(2008.10.22発売、テイチクエンタテインメント)
- 江島屋怪談(2009.10.21発売、テイチクエンタテインメント)
一門弟子[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ この演目を演じる落語家は、三遊亭圓朝以来とされる。 “asahi.com:歌丸、長編怪談をCD化 円朝作「真景累ケ淵」 - 文化芸能”. 朝日新聞. 2012年10月1日確認。
出典[編集]
- ↑ 尾上松也がドラマで歌丸演じ「笑点の司会をやりたい」 - スポーツ報知 2017年10月8日
- ↑ “落語天女おゆい”. メディア芸術データベース. 2017年3月13日確認。
- ↑ “豪華ゲストキャスト発表!”. 映画「伏 鉄砲娘の捕物帳」公式サイト. 2012年9月15日確認。
- ↑ “日本盛「けんか」”. 放送ライブラリー. 2016年11月7日確認。
- ↑ “山形屋の海苔「じいさん、ばあさん」”. 放送ライブラリー. 2016年11月7日確認。
- ↑ “山形屋の海苔「ほら来た、いつもの贈りもの」”. 放送ライブラリー. 2016年11月7日確認。
- ↑ “山形屋の海苔「今も昔も」”. 放送ライブラリー. 2016年11月7日確認。
関連項目[編集]
- 落語芸術協会
- RHYMESTER - メンバーの中に歌丸をもじって「宇多丸」で活動しているラッパーがいる。
- 崎陽軒 - 冨士子夫人が以前、崎陽軒店頭・駅売店のシウマイ娘(売り子)をしていた。
- 江戸噺家
- 小文治一門