直木孝次郎
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直木 孝次郎(なおき こうじろう、大正8年(1919年)1月30日 - 平成31年(2019年)2月2日)は、歴史学者。日本古代史の代表的研究者である。戦後の古代史をリードしてきた。世には「河内政権論[1]」、律令国家成立過程の研究などで知られる。大阪市立大学名誉教授。文学博士。
経歴[編集]
- 1919年1月30日、神戸市生まれ。家は代々続く米穀商であった。
- 1936年3月、兵庫県立第一神戸中学校(神戸一中、現兵庫県立神戸高校)卒業。
- 1941年、第一高等学校卒業。
- 1943年9月、京都帝国大学文学部史学科を繰上げ卒業、海軍に入隊。
- 1945年、終戦により復員。最終的には海軍士官であった。
- 1946年、京都帝国大学特別研究生
- 1950年、大阪市立大学法文学部助手。
- 1954年、『続日本紀研究』を創刊。
- 1955年、大阪市立大学文学部助教授
- 1966年、大阪市立大学文学部教授
- 1969年5月23日、『日本古代兵制史の研究』により京都大学より文学博士(乙第1429号、新制・論文博士)。
- 1981年、大阪市立大学を退職、大阪市立大学名誉教授。
- 1981年、岡山大学教授
- 1984年、岡山大学定年退官。相愛大学教授、その後、甲子園短期大学教授を歴任。
- 1985年、日本学術会議会員。
- 2019年2月2日午前1時27分、老衰のため奈良市の病院で死去。100歳。喪主は長女東野美穂子[2][3]。
受賞[編集]
人物[編集]
- 奈良県明日香村の高松塚古墳で、被葬者を天武天皇の皇子である忍壁皇子と早い段階で推論している。
- 全国の重要遺跡の保存[6]や検証に意欲的に取り組んだ。このため、戦後の古代史研究の指導者的役割を果たしている。
- 歴史教科書の検定を違憲と主張する「家永教科書裁判」では原告家永三郎の証人になった。
- 邪馬台国論争では畿内説の立場で加わっている。
- 万葉集に詠まれた和歌山市の和歌浦の景観訴訟も支援している。また、万葉集にひかれて古代を学ぶ傍らで歌にも親しみ、1987年の歌会始の召人にも選ばれている。
- 太平洋戦争を経験しているため、日本国憲法の第9条を守り改憲を阻止しようとした「九条の会・おおさか」の発起人としても名を連ねている。
著書[編集]
1950年代-1960年代[編集]
- 『日本古代国家の構造』青木書店、1958年
- 『持統天皇 (人物叢書)』吉川弘文館、1960年
- 『伊勢神宮 (三一新書)』三一書房、1960年
- 大阪市立大学難波宮址研究会, 難波宮址顕彰会 編『難波宮址の研究 第1』難波宮址研究会、1960年
- 『壬申の乱 (塙選書)』塙書房、1961年
- 『日本古代の氏族と天皇』塙書房、1964年
- 大阪市立大学難波宮址研究会, 難波宮址顕彰会 編『難波宮址の研究 第2』難波宮址研究会、1965年
- 『奈良時代史の諸問題』塙書房,、1968年
- 『日本古代兵制史の研究』吉川弘文館、1968年
- 『神話と教育 (新日本新書)』新日本出版社、1969年
1970年代[編集]
- 『日本歴史 : シンポジウム 2』学生社、1971年
- 『奈良 : 古代史への旅 (岩波新書)』岩波書店、1971年
- 『神話と歴史』吉川弘文館 、1971年4月
- 『倭国の誕生』(「日本の歴史」第1巻)小学館、1973年10月
- 『飛鳥奈良時代の研究』塙書房、1975年9月
- 『古代史の人びと』吉川弘文館、1976年6月
- 『わたしの法隆寺』塙書房、1979年1月
1980年代[編集]
- 『正倉院文書索引 : 官司・官職・地名・寺社編』平凡社、1981年4月
- 『古代史の窓』学生社、1982年1月
- 『古代国家の謎を追う : 蘇我百年への道 対論2』徳間書店、1982年11月
- 『エコール・ド・ロイヤル古代日本を考える 2』学生社、1983年9月
- 『日本の美と文化 : Art japanesque 2』講談社、1983年9月
- 『歴史との出会い : 追憶と随想』社会思想社、1984年4月
- 『奈良 : 古代を考える』吉川弘文館、1985年5月
- 『持統天皇 (人物叢書 新装版)』 吉川弘文館、1985年7月
- 『古代遺跡見学 : 奈良・大阪・京都・滋賀 (岩波ジュニア新書)』岩波書店、1986年4月
- 『夜の船出 - 古代史から見た万葉集-』橘書房、1986年6月
- 『日本古代国家の成立』社会思想社、1987年6月
- 直木孝次郎先生古稀記念会 編『古代史論集 上』塙書房、1988年1月
- 『古代日本と朝鮮・中国 (講談社学術文庫)』講談社、1988年9月
1990年代[編集]
- 『飛鳥 その光と影』吉川弘文館、1990年6月
- 『伊勢神宮 (新日本新書)』新日本出版社、1991年7月
- 『クラと古代王権』ミネルヴァ書房、1991年12月(共編)
- 『壬申の乱 増補版 (塙選書13) 』塙書房(増補版)、1992年8月
- 『難波 : 古代を考える』吉川弘文館、1992年12月
- 『新編 わたしの法隆寺』橘書房、1994年6月
- 『飛鳥奈良時代の考察』高科書店、1996年4月
- 『日本古代国家の成立 (講談社学術文庫)』講談社、1996年12月
2000年代[編集]
- 『万葉集と古代』吉川弘文館、2000年6月
- 『古代河内政権の研究』塙書房、2005年3月
- 『日本古代の氏族と国家』吉川弘文館、2005年12月
- 『飛鳥 : その光と影 (歴史文化セレクション)』吉川弘文館、2007年5月
- 『古代の日本 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2008年10月
- 『邪馬台国と卑弥呼 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2008年11月
- 『神話と古事記・日本書紀 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2008年12月
- 『古代への道 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年
- 『飛鳥の都 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年5月
- 『奈良の都 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年10月
- 『古代の動乱 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年4月
- 『飛鳥寺と法隆寺 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年6月
- 『伊勢神宮と古代の神々 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年1月
- 『大和王権と河内王権 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年2月
- 『難波宮の歴史と保存 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年8月
- 『古代難波とその周辺 (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年7月
- 『古代国家の形成 : 雄略朝から継体・欽明朝へ (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年3月
- 『直木孝次郎と奈良・万葉を歩く : 私の歴史散歩 春夏』吉川弘文館、2009年3月
- 『万葉集と歌人たち (直木孝次郎古代を語る)』吉川弘文館、2009年9月
- 『直木孝次郎歴史を語り継ぐ : わたしの戦前・戦中・戦後』吉川弘文館、2013年4月
- 『白鳥になった皇子 : 古事記 (読みなおす日本史)』吉川弘文館、2016年4月