安保哲夫

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安保 哲夫(あぼ てつお、1937年7月14日[1] - 2020年)は、経済学者。東京大学名誉教授。専門は国際経済論、アメリカ経済論[2]宇野学派

経歴[編集]

朝鮮平壌近くで生まれる。1962年和歌山大学経済学部卒業。1965年法政大学社会学部助手。1967年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。1968年法政大学社会学部専任講師、1971年助教授[1]。1973年東京大学社会科学研究所助教授、1985年教授[3]。1985年「戦間期アメリカの対外投資 : 金融・産業の国際化過程」で経済学博士(東京大学)[4]。1998年東京大学名誉教授、帝京大学経済学部教授[3]。2008年帝京平成大学現代ライフ学部教授[5]。のち帝京平成大学現代ライフ学部研究員、神戸大学経済経営研究所リサーチフェロー[6]

日本多国籍企業研究グループ(JMNESG)を主催[7]。1985年[8]に内外の研究者と日本多国籍企業研究グループを結成し、日本型経営・生産システムの海外移転可能性を研究した[5]。「日本的経営が海外で適用できるかどうかに関する研究は,70年代後半からなされていたが,包括的かつ大規模な実証研究を行ったのは,安保・公文グループが初めてであろう」とされる[8]

法政大学助手時代に宇野弘蔵の演習に出席した。また向坂逸郎が自宅で開いていた読書会でマルクス主義の古典の読み方を学んだ[9]社会主義協会の機関誌『社会主義』、理論誌『唯物史観』、日本社会党の機関誌『月刊社会党』、労働大学調査研究所監修『月刊労働組合』などに執筆。協会派系の書籍として大内兵衛、向坂逸郎監修『大系国家独占資本主義 3 米欧の国家独占資本主義』(河出書房新社、1971年)、田中勝之鎌倉孝夫編『日本労働者運動史 4 ファシズム下の労働運動』(河出書房新社、1975年)、向坂逸郎編著『資本論解説』(労働大学、1975年)、塚本健編『続大系国家独占資本主義 2 世界資本主義の現段階』(河出書房新社、1978年)、向坂逸郎編著『レーニン研究入門 上』(社会主義協会出版局、1978年)などに執筆。宇野派系の書籍として武田隆夫、遠藤湘吉、大内力編『資本論と帝国主義論――鈴木鴻一郎教授還暦記念 下 帝国主義論の形成と展開』(東京大学出版会、1971年)、楊井克己、石崎昭彦編『現代世界経済論』(東京大学出版会、1973年)、大内力編『現代資本主義と財政・金融 3 現代金融』(東京大学出版会、1976年)、日高普大谷瑞郎斎藤仁戸原四郎編『マルクス経済学――理論と実証 大内力還暦記念論文集』(東京大学出版会、1978年)、楊井克己、石崎昭彦編『現代国際経済』(東京大学出版会、1984年)などに執筆。

著書[編集]

単著[編集]

  • 『戦間期アメリカの対外投資――金融・産業の国際化過程』(東京大学出版会[東京大學社會科學研究所研究叢書]、1984年)

共著[編集]

  • 『アメリカに生きる日本的生産システム――現地工場の「適用」と「適応」』(板垣博、上山邦雄、河村哲二、公文溥共著、東洋経済新報社、1991年)
  • 『日本企業の自信と不安――経営行動の考察と提言』(大河内暁男、山之内昭夫、天笠美知夫共著、大東文化大学経営研究所[Research papers]、1996年)

編著[編集]

  • 『日本企業のアメリカ現地生産――自動車・電機 : 日本的経営の「適用」と「適応」』(編著、東洋経済新報社[東経選書]、1988年)
  • 『日米関係の構図――相互依存と摩擦』(柴垣和夫、河合正弘共編著、ミネルヴァ書房[Minerva21世紀ライブラリー]、1992年)
  • 『日本的経営・生産システムとアメリカ――システムの国際移転とハイブリッド化』(編著、ミネルヴァ書房[東京大学社会科学研究所研究報告]、1994年/ミネルヴァ書房[MINERVA現代経済学叢書]、1995年)
  • 『日本型経営・生産システムとEU――ハイブリッド工場の比較分析』(公文溥共編著、ミネルヴァ書房[MINERVA現代経済学叢書]、2005年)
  • 『中東欧の日本型経営生産システム――ポーランド・スロバキアでの受容』(和田正武共編著、文眞堂、2005年)
  • 『日本石油・ガス企業の国際競争戦略――国際石油メジャー・日本製造企業との比較』(編著、ミネルヴァ書房[シリーズ・現代経済学]、2008年)
  • 『ラテンアメリカにおける日本企業の経営』(山﨑克雄、銭佑錫共編著、中央経済社、2009年)

訳書[編集]

  • 西村閑也監修『国際決済銀行年次報告書 第3巻』(平田喜彦共訳、日本経済評論社、1980年)
  • ミラ・ウィルキンス『アメリカにおける外国投資の歴史 1607〜1914』(山﨑克雄共監訳、ミネルヴァ書房、2016年)

出典[編集]

  1. a b 東京大学社会科学研究所編『社会科学研究所の30年――年表・座談会・資料』東京大学社会科学研究所、1977年、80頁
  2. アフリカの日本企業 時潮社
  3. a b 東京大学社会科学研究所:名誉教授:安保哲夫 東京大学社会科学研究所
  4. CiNii 博士論文
  5. a b 安保哲夫「帝京大学の10年[含 安保哲夫教授・略歴および著作目録]PDF」『帝京経済学研究』第42号第1巻、2008年12月
  6. KAKEN
  7. 中東欧の日本型経営生産システム―ポーランド・スロバキアでの受容 紀伊國屋書店
  8. a b 手塚公登、小山明宏「現代の「日本的経営」論(5)PDF」『學習院大學經濟論集』第59号第2巻、2022年7月
  9. 安保哲夫『戦間期アメリカの対外投資――金融・産業の国際化過程』東京大学出版会、1984年