南シナ海
南シナ海(みなみしなかい、South China)とは、中国の南東に広がる海域。
概要[編集]
中国大陸、台湾、ルソン島、パラワン島、ボルネオ島、インドシナ半島に囲まれた太平洋の縁海である。面積はおよそ470万平方キロメートルで、東西は1200キロメートル、南北は3600キロメートル。水深は最大で5420メートル。平均は1140メートルと縁海としては深いほうである。透明度は北部は10メートル前後であるが、中部や南部ではおよそ30メートル。
名称について[編集]
中国名では南海という。ベトナム名では東海という。沿岸諸国は中国の支配権をうかがわせる名称を嫌って、近年では東南アジア海などへの名称変更なども検討されている。
資源など[編集]
トロール漁業の好漁場で860種類以上の魚類が生息し、タイマイ、ナマコ、ウニ、クルマエビなどが豊富である。大陸棚では石油資源の埋蔵量が大きいとされ、西沙・中沙・南沙などの小群島では中国と沿岸諸国との間に領有権争いが起こっている。
南シナ海問題[編集]
南シナ海の主権や権益をめぐって中国・フィリピン・ベトナムなどが対立している。中国は独自の境界線である「九段線」を引いて南シナ海の大半の主権や権益を主張し、岩礁などを埋め立てて人工島を造成し、滑走路やレーダー施設を建設している。アメリカのドナルド・トランプ大統領は2017年11月にベトナムでの演説で南シナ海の実効支配を進める中国を念頭に、法の支配や航行の自由を尊重すべきだと強調している。
2016年7月、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所は中国の主権主張は「法的根拠が無い」と判断したが、中国は黙殺して対空ミサイルやレーダーを設置するなど軍事拠点化を進めている。また中国は急速に大規模な埋め立てを行い、3000メートル級の滑走路を備えた巨大人工島を3か所に造成している。アメリカやイギリス・フランスなどはこれに対して南シナ海に軍艦を派遣する「航行の自由」作戦で中国を牽制している[1]。