国鉄キハ185系気動車
国鉄キハ185系気動車とは、日本国有鉄道が製造、民営化後はJR四国が全車継承した鉄道車両である。ここではJR九州譲渡車は取り扱わない。詳細はJR九州キハ185系気動車を参照されたい。
概要[編集]
国鉄が最後に開発した特急形車両で、国鉄分割民営化を控えた1986年に四国地区向けに製造された車両の一つ。いわば国鉄の置き土産である。
それまで四国の特急列車に用いられていたキハ181ではなく、老朽化した急行形のキハ58/65等急行型気動車の代替車と位置付けられ、置き換えと同時に急行列車を特急に格上げし、民営化後のJR四国の経営基盤安定化を図る目的で開発。
運用[編集]
2022年現在、JR四国の定期特急列車は振り子機能を使用しない徳島県内の「剣山」、「むろと」を中心に運用され、車両基地への送り込みのため「うずしお」1往復にも使用される。
臨時での特急使用は、多客期の高松〜多度津間、分割運行の「いしづち」、「しまんと」に見られる。
車体構造[編集]
短編成化への対応[編集]
本系列は、
- 運転台・トイレ付普通車キハ185形0番台
- キハ185-0トイレなしverキハ185形1000番台
- 運転台無グリーン・普通合造車キロハ186形
の3種類から構成され、普通車の中間車が存在しないことが特徴。基本的にはキハ58系列と同じ。
なお当形式では固定編成を前提とする考えから脱却した。特急形気動車ではあるが、電気式冷暖房など一般形気動車と異なる「特別な構造」を用いることをやめ、一般形気動車に近い機器構成とされた。また冷房装置にはバス用既製品を使用し、キハ185形は走行用エンジンで、キロハ186形は専用の小型エンジンで、それぞれコンプレッサーを直接駆動する方式(機関直結式)を採用した。要約すると、
- 固定編成の削減
- コストカット
以上の二点が大幅に行われたのである。
車体素材[編集]
国鉄特急形車両としては初めてステンレス車体が採用され、軽量化とメンテナンスフリーが両立された。
なお、205系電車製造にあたり東急車両製造が軽量ステンレス車の仕様公開に踏み切ったため、ステンレス製の車両がこの頃から増加。電車では他に211系などが相当し、気動車でも同時期にキハ54形やキハ31形でステンレス車体が採用された。
車両型式ごとの説明[編集]
0番台[編集]
片運転台を持つ普通車。行先表示器、トイレと洗面所を設置、26両製造。
1000番台[編集]
片運転台を持つ普通車。0番台の相違点はトイレが設置されていない。18両製造。
キロハ[編集]
中間車両でグリーン席・普通席の合造車。行先表示器設置。8両製造。普通席は当初転換クロスシートでシートピッチが広かったため、グリーン席よりも好評価という「グレード逆転現象」が見られた。
なおこの形式の冷房装置の動力は、2エンジン搭載で出力に余力があるため機関直結とされたキハ185形と異なり、床下に装架された専用の小型エンジンから得ている。
特徴的な車両ごとの紹介[編集]
JR九州車[編集]
詳細は「JR九州キハ185系気動車」を参照
キロハ-1[編集]
2社合わせても初めてかつ、2022年時点で唯一の廃車車両。他のキロハがジョイフルトレインに改造されたりJR九州に譲渡されたりする中で唯一原型で残っていたが2013年に廃車、のちに解体されている。
キロハ-2[編集]
-2は2002年10月6日に運転開始した「剣山」・「うずしお」の「アンパンマン列車」用「ゆうゆうアンパンマンカー」へ改造。
形式や車番の変更はしていないが、専用塗装に変更し、グリーン室は車端寄りの座席1列を撤去してベビーカー置場とし、普通席との仕切り扉を撤去し、普通席部分は座席を撤去してプレイルームを設置。子供連れでも使いやすい車両となっている。
また、当車両はリニューアルを施して2007年10月6日から新しいラッピングで営業運転を開始した。このとき2位側のベビーカー置場を売店に改造している。
キロ-4[編集]
キロハ186形のうち、JR四国のジョイフルトレイン「アイランドエクスプレス四国II」として2000年に多度津工場で改造。
車体は専用のラッピングが施されている。定員は30名。
なお、運転台とトイレ、洗面所を持たないため、両端には、車体後部にラッピングを施したキハ185-11/12を連結して運転。
後に伊予灘ものがたり2代目車両の中間車へ改造された。
キロハ-8[編集]
2017年4月運行開始の土讃線の観光列車「四国まんなか千年ものがたり」の2号車として同年に「アイランドエクスプレス四国II」で使用されていた0番台から改造。
3000番台[編集]
キハ185形0番台を普通列車仕様に改造した車両。2006年6月に2両とも元の仕様に戻されため現存しない。
3100番台[編集]
こちらもキハ185形1000番台を普通列車仕様に改造した車両。3000番台と違いトイレがない。
なお、-3102は2017年4月運行開始の土讃線の観光列車「四国まんなか千年ものがたり」の3号車として、-3113は2022年運行開始の2代目伊予灘ものがたりの1号車として再改造。
キロ185-0番台[編集]
キハ185形0番台のうち、アンパンマントロッコの控車として使用されていた-26が2015年のリニューアルに伴い格上げ改造が施工された。
車内はボックスシートに改装されている。
四国まんなか千年ものがたり[編集]
詳細は「四国まんなか千年ものがたり」を参照
志国土佐 時代の夜明けのものがたり[編集]
詳細は「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」を参照
伊予灘ものがたり[編集]
詳細は「伊予灘ものがたり#2代目」を参照