2019年J1 残留争い
この項目では、2019年のJ1リーグのうち、第32節から第34節 (最終節) までの間にJ2リーグ降格、あるいはJ1参入プレーオフ出場の可能性が高かった、浦和レッズ・湘南ベルマーレ・松本山雅FC・清水エスパルス・ジュビロ磐田・名古屋グランパス・サガン鳥栖の各チームについて述べる。
あらすじ[編集]
浦和レッズ[編集]
この年はAFCチャンピオンズリーグ2019 (ACL) に出場し、これに主力選手を送り込むため、J1リーグ戦はターンオーバー同然の状況になっていた。年間を通しての最高順位は5位で、この年はACL圏内となる3位以内に入ることができなかった。
湘南ベルマーレ[編集]
序盤は比較的良好だったが、曺貴裁監督がパワハラ問題により第23節をもって現場から離れてからは、チームの順位も下がっていった。
松本山雅FC[編集]
第4節以降一度も10位以上に上がれず、第16節にはプレーオフ出場の16位に、第17節以降は自動降格圏となる17位以下がほとんどだった。
清水エスパルス[編集]
開幕6連敗で大きく出遅れたのちに第7節でジュビロ磐田に勝利したが、ヤン・ヨンソン監督が解任され篠田善之監督が就任するも、年間を通じてほとんど1桁順位になれなかった。
ジュビロ磐田[編集]
こちらも清水エスパルスと同様、年間を通じて1桁順位にはほとんどなれず、第17節以降は最下位に位置することが多かった。こちらは名波浩監督が6月30日に解任され、翌日に鈴木秀人監督が就任するも、こちらも8月15日に解任され、小林稔が監督代行を務めたのちに8月20日からフェルナンド・フベロ監督が就任した。
名古屋グランパス[編集]
序盤は好調な滑り出しだったが、後半戦に入ると順位が下がる。9月23日に風間八宏監督が解任され、マッシモ・フィッカデンティ監督が後任として就任していた。
サガン鳥栖[編集]
序盤から不調が続き、5月5日にルイス・カレーラス監督が解任され金明輝監督が就任。後半戦はある程度持ち直したが、それでも年間を通じて1桁順位になれなかった。
第31節終了時点での順位[編集]
順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 得 | 失 | 点 | このままいくと・・・ | 備考 | 第32節対戦相手 |
12 | 名古屋グランパス | 31 | 9 | 9 | 13 | 44 | 47 | 36 | J1残留 | 鳥栖 | |
13 | 浦和レッズ | 31 | 9 | 9 | 13 | 31 | 44 | 36 | ACLの関係上別日程あり | 川崎 | |
14 | サガン鳥栖 | 31 | 10 | 5 | 16 | 32 | 50 | 35 | 名古屋 | ||
15 | 清水エスパルス | 31 | 10 | 5 | 16 | 42 | 66 | 35 | 大分 | ||
16 | 湘南ベルマーレ | 31 | 9 | 4 | 18 | 37 | 61 | 31 | プレーオフ出場 | FC東京 | |
17 | 松本山雅FC | 31 | 6 | 12 | 13 | 19 | 34 | 30 | J2降格 | 横浜FM | |
18 | ジュビロ磐田 | 31 | 6 | 7 | 18 | 24 | 45 | 25 | 札幌 |
試合経過[編集]
同一時間帯に開催された試合は、並行して記載する。
第32節[編集]
対戦カード・会場[編集]
太字は本項で解説しているチーム。
- 11月5日 (火) 開催
- 浦和レッズ - 川崎フロンターレ (埼玉スタジアム2002)
- 11月23日 (土) 開催
- 北海道コンサドーレ札幌 - ジュビロ磐田 (札幌ドーム)
- FC東京 - 湘南ベルマーレ (味の素スタジアム)
- 松本山雅FC - 横浜F・マリノス (サンプロ アルウィン)
- 清水エスパルス - 大分トリニータ (IAIスタジアム日本平)
- 名古屋グランパス - サガン鳥栖 (豊田スタジアム)
試合展開[編集]
ACLの関係上同じ節の他の試合とは別日に開催され、なおかつ試合後にはACL決勝戦のため移動を控えている中、浦和は川崎との試合に臨んだ。平日の夜の開催ながら2万1817人のサポーターが来場したが、前半35分に川崎・脇坂泰斗に先制された。後半開始時点では浦和の選手交代はなかったが、後半13分には青木拓矢に代わり阿部勇樹を投入。後半22分に川崎はレアンドロ・ダミアンに代わって小林悠を投入。後半30分に、浦和は岩武克弥に代わって関根貴大が入るも、後半33分に川崎・小林悠が2点目を決めた。浦和は後半34分に、山中亮輔に代わって興梠慎三が入るも、得点を挙げられず試合は終了した。
11月23日、残り8試合が開催された。勝利しなければ降格が決まる磐田はこれ以上試合を落とせない。一方松本も敗れると降格に大きく響く上、相手は15年ぶりのJ1優勝を狙う横浜F・マリノスである。そのマリノスが早速前半2分、仲川輝人により先制。それからしばらくして、札幌ドームでは前半26分に磐田・アダイウトンが先制した。一方、初のJ1優勝を狙うFC東京と戦う湘南は前半36分、松田天馬が先制。前半終了間際、45分に、清水は大分・田中達也相手に先制され、厳しい状況におかれた。名古屋と鳥栖はどちらも得点はなく前半が終了した。
後半は序盤、いずれの会場も得点がなかったが、得点はいずれも終盤に動いた。清水は後半43分、ジュニオール・ドゥトラにゴールによって同点に追いついた。時を同じくして、札幌・深井一希によって同点に追いつかれた磐田は、残留に向けて窮地に立たされた。湘南はアディショナルタイムに入った後半49分に、FC東京・森重真人によって同点に追いつかれ、FC東京はJ1制覇に向けて望みをつないだ一方で、湘南は同じく窮地に立たされた。しかし、磐田は後半52分に荒木大吾がゴールを決め、残留に向けて望みをつないだ。一方、名古屋と鳥栖は無得点で試合が終了した。
試合結果[編集]
第32節終了時点での順位[編集]
順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 得 | 失 | 点 | このままいくと・・・ | 備考 | 第33節対戦相手 |
12 | 名古屋グランパス | 32 | 9 | 10 | 13 | 44 | 47 | 37 | J1残留 | 磐田 | |
13 | 浦和レッズ | 32 | 9 | 9 | 14 | 31 | 46 | 36 | ACLの関係上別日程あり | FC東京 | |
14 | サガン鳥栖 | 32 | 10 | 6 | 16 | 32 | 50 | 36 | 札幌 | ||
15 | 清水エスパルス | 32 | 10 | 6 | 16 | 43 | 67 | 36 | C大阪 | ||
16 | 湘南ベルマーレ | 32 | 9 | 15 | 18 | 38 | 62 | 32 | プレーオフ出場 | 広島 | |
17 | 松本山雅FC | 32 | 6 | 12 | 14 | 19 | 35 | 30 | J2降格 | G大阪 | |
18 | ジュビロ磐田 | 32 | 7 | 7 | 18 | 26 | 46 | 28 | 名古屋 |
第33節[編集]
対戦カード・会場[編集]
いずれも11月30日 (土) 開催。
- FC東京 - 浦和レッズ (味の素スタジアム)
- 湘南ベルマーレ - サンフレッチェ広島 (Shonan BMW スタジアム平塚)
- ジュビロ磐田 - 名古屋グランパス (ヤマハスタジアム)
- ガンバ大阪 - 松本山雅FC (パナソニックスタジアム吹田)
- セレッソ大阪 - 清水エスパルス (ヤマハスタジアム)
- サガン鳥栖 - 北海道コンサドーレ札幌 (駅前不動産スタジアム)
試合展開[編集]
この試合に勝利しても湘南の結果により降格が決まる磐田と、松本が敗れて湘南が勝利すると降格が決まる松本は、どちらも最後のわずかな可能性に懸けて試合に挑む。一方、勝てば残留が決まる鳥栖も負けられない。しかし、その鳥栖は札幌相手に、早くも前半4分にジェイに得点される。その後前半9分に湘南がオウンゴールで得点した。その2分後、前半11分にガンバ大阪・小野瀬康介に得点された松本は、早くも降格が危うい状況となった。清水は前半18分にエウシーニョが得点。松本と同じく、湘南のリードにより降格が危うい状況となっている磐田は、前半22分に松本昌也が先制。一方、小野瀬が先制したガンバ大阪は前半30分に井手口陽介が得点。松本はさらに窮地に立たされる。と、ここまで得点が動いていなかった浦和は前半39分、マルティノスが先制した。時を同じくして、磐田と戦っている名古屋も長谷川アーリアジャスールが1得点を挙げた。前半の終盤、45分には井手口陽介が再びゴールを決め、前半でガンバ大阪は3点差をつけることができた。
後半も各会場ともに熱い試合が繰り広げられた。後半13分には早くもガンバ大阪が、アデミウソンの得点により松本を4点差に突き放す。後半24分には優勝に向けて負けられないFC東京が、田川亨介の得点によって浦和と同点に追いつく。後半26分には磐田・大久保嘉人が今季初ゴールを決めるも、湘南が引き続き1対0でリードしているため、このまま終わると降格が決まってしまう。後半30分・34分にはセレッソ大阪の水沼宏太と柿谷曜一朗がそれぞれ得点を決め清水を1点差で逆転した。試合は終盤に入り、後半45分には松本・水本裕貴が得点を決めたが、それでもガンバ大阪に3点差をつけられ、かつ湘南がリードしているため残留は非常に厳しい。アディショナルタイムには後半49分、札幌・鈴木武蔵がゴールし、鳥栖と2点差に広げた。試合はこのまま終了し、松本は3点差で敗れ、また磐田は今季初の連勝を決めるも、湘南が1点差を守り切り勝利したため両チームの降格が決定してしまった。
試合結果[編集]
2019年11月30日
|
ジュビロ磐田 | 2 - 1 | 名古屋グランパス |
---|---|---|
松本昌也 前半22分 大久保嘉人 後半26分 |
公式記録 | 長谷川アーリアジャスール 前半39分 |
2019年11月30日
|
ガンバ大阪 | 4 - 1 | 松本山雅FC |
---|---|---|
小野瀬康介 前半11分 井手口陽介 前半30分 井手口陽介 前半45分 アデミウソン 後半13分 |
公式記録 | 水本裕貴 後半45分 |
第33節終了時点での順位[編集]
順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 得 | 失 | 点 | このままいくと・・・ | 第34節対戦相手 |
12 | 名古屋グランパス | 33 | 9 | 10 | 14 | 45 | 49 | 37 | J1残留 | 鹿島 |
13 | 浦和レッズ | 33 | 9 | 10 | 14 | 32 | 47 | 37 | G大阪 | |
14 | サガン鳥栖 | 33 | 10 | 6 | 17 | 32 | 52 | 36 | 清水 | |
15 | 清水エスパルス | 33 | 10 | 6 | 17 | 44 | 69 | 36 | 鳥栖 | |
16 | 湘南ベルマーレ | 33 | 10 | 15 | 18 | 39 | 62 | 35 | プレーオフ出場 | 松本 |
17 | ジュビロ磐田 | 33 | 8 | 17 | 18 | 28 | 47 | 31 | J2降格決定 | 神戸 |
18 | 松本山雅FC | 33 | 6 | 12 | 15 | 20 | 39 | 30 | 湘南 |
第34節[編集]
対戦カード・会場[編集]
いずれも12月7日 (土) 開催。
- 浦和レッズ - ガンバ大阪 (埼玉スタジアム2002)
- 松本山雅FC - 湘南ベルマーレ (サンプロ アルウィン)
- 清水エスパルス - サガン鳥栖 (IAIスタジアム日本平)
- 名古屋グランパス - 鹿島アントラーズ (豊田スタジアム)
- ヴィッセル神戸 - ジュビロ磐田 (ノエビアスタジアム神戸)
試合展開[編集]
前節で降格が決まった松本は、最終節でプレーオフ回避を争う湘南と対戦。一方、清水エスパルスもサガン鳥栖との直接対決に臨んだ。浦和と名古屋は2桁失点でもしない限りプレーオフ出場の可能性はないが、それでも気を抜かず最終節に臨む。磐田は前節での降格が決まっているが、まだ最終戦が待っていた。この裏で横浜F・マリノスとFC東京による優勝決定直接対決が行われていたが、もちろん残留争いにも注目が集まっていた。
早く試合が動いたのは埼玉スタジアム。ガンバ大阪・宇佐美貴史が前半9分に得点した。それからしばらくして、前半36分には神戸・ポドルスキがゴール。前半の終盤、45分には鹿島がオウンゴールでの得点となった。このまま前半が終了したが、アルウィンとアイスタは両者とも無得点で前半が終了した。
後半は6分、磐田・アダイウトンがゴール。後半17分には浦和が、柏木陽介の得点でスコアレスを回避し同点に追いついた。しかしその2分後、後半19分には浦和の対戦相手、ガンバ大阪がアデミウソンの得点により、再び1点差に広げた。それから4分後、後半23分には清水が、ドウグラスの得点により先制し、残留に向けて大きく動いた。後半30分には神戸が得点。それも、現役を引退するダビド・ビジャによるものだった。これにより神戸と磐田は1点差に広がる。後半38分には同じく神戸・ポドルスキが2点目。2分後、後半40分には湘南・野田隆之介が得点し先制。この時点で清水対鳥栖の得点が1対0であるため、鳥栖は残留が危うい状況となった。これと同じタイミングで、神戸・ポドルスキが3点目を挙げハットトリック。磐田との点差を3に広げた。後半43分にはガンバ大阪・福田湧矢が得点し、浦和とは2点差に広がるが、2分後の後半45分には浦和・ファブリシオの得点により1点差に追いつく。時を同じくして、松本も後半45分に阪野豊史が得点。同点に追いつかれた湘南は残留が危うい状況となった。そしてこのまま試合が終了し、名古屋・浦和に加え、この節の試合に勝利した清水と、2点差以内で敗戦した上で湘南の引き分けにより鳥栖が残留を決めた。よって、湘南ベルマーレのJ1参入プレーオフ出場が決定した。また、この試合に敗れた磐田は静岡県内に本拠地を置くチームで初の最下位を経験することとなった。
試合結果[編集]
2019年12月7日
|
浦和レッズ | 2 - 3 | ガンバ大阪 |
---|---|---|
柏木陽介 後半17分 ファブリシオ 後半45分 |
公式記録 | 宇佐美貴史 前半9分 アデミウソン 後半19分 福田湧矢 後半43分 |
2019年12月7日
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ヴィッセル神戸 | 4 - 1 | ジュビロ磐田 |
---|---|---|
ルーカス・ポドルスキ 前半36分 ダビド・ビジャ 後半30分 ルーカス・ポドルスキ 後半33分 ルーカス・ポドルスキ 後半40分 |
公式記録 | アダイウトン 後半6分 |
第34節終了時点での順位[編集]
順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 得 | 失 | 点 | このままいくと・・・ |
12 | 清水エスパルス | 34 | 11 | 6 | 17 | 45 | 69 | 39 | J1残留決定 |
13 | 名古屋グランパス | 34 | 9 | 10 | 15 | 45 | 50 | 37 | |
14 | 浦和レッズ | 34 | 9 | 10 | 15 | 34 | 50 | 37 | |
15 | サガン鳥栖 | 34 | 10 | 6 | 18 | 32 | 53 | 36 | |
16 | 湘南ベルマーレ | 34 | 10 | 16 | 18 | 40 | 63 | 36 | プレーオフ出場決定 |
17 | 松本山雅FC | 34 | 6 | 13 | 15 | 21 | 40 | 31 | 第33節でJ2降格決定 |
18 | ジュビロ磐田 | 34 | 8 | 17 | 19 | 29 | 48 | 31 |
その後[編集]
J1参入プレーオフ[編集]
最終節を16位で終えた湘南は、12月14日に行われたJ1参入プレーオフでJ2の4位から勝ち上がった徳島ヴォルティスと対戦した。前半20分に鈴木徳真のゴールで徳島が先制するも、後半19分に湘南の松田天馬が同点ゴールを決めた。試合はこのまま1対1で終了し、湘南のJ1残留が決定した。