大学入学資格検定

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大学入学資格検定(だいがくにゅうがくしかくけんてい)とは、2004年度まで実施されていた大学入学資格を持たない(≒高等学校を卒業していない)中卒者[注 1]を対象に、合格することで高校卒業者と同等の資格を得られる試験である。通称大検

2004年度の実施を最後に廃止され、2005年度以降は高等学校卒業程度認定試験(高認)へと役目を引き継いだ。

概要[編集]

全日制高校に合格できたが、いじめ起立性調節障害など様々な理由で卒業を迎えられずに退学してしまったり、そもそも高校に合格できなかったり、自主的に進学しなかったりした16歳以上の高卒者ではない者もしくは定時制・通信制高校生[注 2]を主な対象としていた試験。

この試験に合格することで、公的に高卒者と同等の学力を有していると見做され、

  • 大学専門学校への出願資格[注 3]
  • 国家公務員の高卒程度の採用試験、高卒資格を必要とする国家資格の受験資格
  • 地方公務員や一部民間企業の採用試験で高卒者と同等に扱ってもらえるメリット

が得られる。

履歴書に書く時は(西暦ないし和暦)◯◯年◯◯月 大学入学資格検定合格と書いた。

沿革[編集]

  • 旧制度下にあった専門学校入学者検定が太平洋戦争後の学制改革に際し、大学入学資格検定となった。
  • 1986年:高等専修学校修了者の大学入学資格付与が開始されたことで、体育などの実技科目が試験科目から外れる。
  • 1988年:定時制・通信制高校の修業年限変更(4年→3年以上)に伴い、高校中退扱いしかなかった定時制・通信制在学中の大検合格者が高校卒業認定を受けられるようになった。
  • 前述の通り、2004年度の実施を最後に大学入学資格検定は廃止され、高等学校卒業程度認定試験へと引き継がれた。

試験内容[編集]

廃止時点で11または12科目を受験し、高卒程度認定試験に比べると受験しなければならない科目が多く、家庭科が必須だった。ただし高認と違って英語が選択科目扱いで、英語が苦手ならば英語科を受験しないという選択肢も可能だった。

選択科目は必須選択と通常選択の2種類があり、必須選択科目は全員がいずれかの科目を選択、通常選択科目は用意された科目の中から2科目を選ぶ形であった。

科目一覧[編集]

最終実施年分を紹介。全員必須科目については太字で記した。

  • 国語
    • 国語
    • 古典(選択)
  • 地理歴史
    • 世界史A / 世界史B のどちらか1科目必須
    • 日本史A / 日本史B / 地理A / 地理B のどれか1科目必須
  • 公民
    • 現代社会
    • 倫理
    • 政治・経済
    • 以上の中から現代社会1科目または倫理+政治・経済の2科目のどちらか必須
  • 数学
    • 数学Ⅰ
    • 数学Ⅱ・数学A(選択)
  • 理科
    • 総合理科
    • 物理ⅠA / 物理ⅠB
    • 化学ⅠA / 化学ⅠB
    • 生物ⅠA / 生物ⅠB
    • 地学ⅠA / 地学ⅠB
    • 以上の中からいずれか2科目必須。
  • 家庭
    • 家庭
  • 保健体育
    • 保健(選択)
  • 外国語
    • 英語(選択)
  • 工業
    • 工業数理(選択)
  • 商業
    • 簿記・会計(選択)
  • 職業訓練
    • 情報関係基礎(選択)

その他[編集]

  • 高校生・浪人生向けの模試で、高校名を偽装するために、「大検」を装う人がいる。模試の成績優秀者に大検の人がいたら、現役大学生の殴り込みなど、受験生では無い可能性も高い。
  • 大学の下級学校の修業認定を受けるものではなかったため、堤清二(実業家)や橋爪大三郎らは「高校卒業相当の学力」を認定するものに改めるように運動をしていた。その影響からか、現在の「高認」に改められた。

大検合格の著名人[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 大検は受験資格としていた。高認は年齢制限に変わった。
  2. 1987年度以前の入学者は4年の在学年限を満たさないと卒業できなかったため、満18歳入学を果たすために大検が使われた。
  3. 1987年以前は、大学等入学と引き換えに定時制、通信制高校は退学せざるを得ず、定時制、通信制高校の卒業資格が得られなかった。
出典